ホントウの勇者

さとう

憩いの町ポートレード⑨/コノハと一緒・モモキン



 バーベキューの翌日


 「うぅ~……ん」
 「ふぁ……おはよ、ジュート」
 「おはよ」


 場所はコテージのベッド。俺と黎明は眼を覚ました
 もちろん昨夜はお楽しみ。黎明から「お代」をたっぷりいただき、深夜近くまでハッスル


 バーベキューは朝方まで続き、肉も食材も尽きてお開き
 住民や観光客は帰ったが、冒険者や傭兵はそのまま酔いつぶれて浜辺で寝てるらしい


 「ふぁ……朝ご飯にしよう」
 「うん。ちょっと胃が重いから、軽くて消化のいいのがいいな。お粥とか」
 「だな。コノハなら配慮してると思うけど」




 俺と黎明は魔術で身体を清め、服に着替えて居間に向かった




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 「おはよー」
 「ふぁ……おはよ」


 黎明はそうでもなさそうだが、俺は少し眠い。するとキッチンの方からいい匂いが漂ってきた


 「おはようございます。ジュート殿、レイメイさん」
 「おはよう、コノハ」
 「おはよーコノハ、手伝おっか?」
 「では、お嬢様をお呼びして頂いてもよろしいでしょうか?」
 「うん。リリ、昨日はすごかったもんね。大分お疲れかも」


 黎明はリリの寝室へ。俺は氷寒と虫菜に挨拶する
 氷寒はキッチンでコノハの手伝い、虫菜はバルコニーに寝そべっていた。何やってんだ?


 「おはよう氷寒、虫菜は何やってんだ?」
 「……ああ、どうやら昨日、あなたの相手が出来なかったのを悔やんでるのよ。黎明に独り占めされたみたいでちょっと落ち込んでるの」
 「そうなのか?」


 虫菜は昨日、出店で買い食いしたのはいいが、強い酒を飲んでしまいグロッキーに。帰る頃までは起きていたが、コテージに着くなり寝てしまった
 ちなみに氷寒は、俺と2人で夜を過ごしたこともあったので黎明に譲ったそうだ


 「じゃあ今日は虫菜だな」
 「……そうしてあげて」


 そこまで話すと俺は虫菜のもとへ


 「おはよう」
 「ごめん、相手できなかった」
 「いいって、それより頭は痛くないか? 魔術で治すぞ?」
 「平気、あの」
 「じゃあ今日の夜は大丈夫だな。2人っきりで……楽しみにしてる」
 「……うん!!」


 虫菜はガバッと起き上がり抱きつく。おぅおぅ、可愛いじゃねぇか
 するとリリと黎明がやって来た。よーし朝飯だ




 俺たちは全員食卓に着き、賑やかに朝ご飯を食べ始めた




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 今日のメニューはなんと朝粥だ。栄養を配慮し細かく刻まれた野菜が入ってる


 「昨夜はお肉がメインでしたので、さっぱりと食べやすい朝粥にしてみました」


 コノハの配慮に全員が賞賛を送る
 一通り食べると俺は今日の予定を確認した


 「みんな、今日の予定は?」
 「……私はここで1日読書。昨日はさすがに疲れたしね」
 「釣り」


 氷寒は読書、虫菜は釣りか


 「アタシは買い物かな~、まだまだ行ってないお店もたくさんあるし、括利たちにお土産も買いたいし」
 「あ、私も一緒に行きたいです。買いたい物があるんです」
 「買いたい物?」
 「えへへ……まだ秘密です」


 はにかむリリを黎明が抱きしめる。わかるぞ、可愛いんだよな


 「俺は……」


 まずはギルドに昨日の挨拶をして、コテージで読書でもしようかな。そう考えていたらコノハが俺に言う


 「ジュート殿、よろしければ私にお付き合い願えませんか?」
 「いいけど、どっか行くのか?」
 「はい。実は私の武器が盗賊に破壊されたので、新しく新調したいので武器屋へ」
 「なるほど……いいぜ、俺も付き合う。そのかわり最初にギルドに寄っていいか? キンタローさんに昨夜のお礼を言いたいからさ」
 「わかりました、ではそのように」




 そんなわけで、今日はコノハと一緒だな




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 「よぉ兄ちゃん!! お前って毎回違う女を連れてんのな」
 「キンタローさん、ヘンなこと言わないで下さいよ」


 コノハと出かけ、冒険者ギルドにやって来た
 俺を見た受付のお姉さんが、すぐにキンタローさんを呼んでくれた。俺も有名になったもんだ


 「昨夜はありがとうございました。すごく楽しかったです」
 「そりゃコッチのセリフだ、まさかあんな大宴会になるとはな、がっはっは!!」
 「は、ははは……」


 一通り話し終わったので、俺は聞いてみた


 「あの、この町で有名な武器屋って知りませんか?」
 「武器? 兄ちゃん、武器が壊れたのか?」 
 「いえ、俺じゃなくて……」


 俺は後ろにいるコノハを見た。コノハは俺たちの会話に参加せず黙り込んでいたが、ここでようやく話してくれた


 「このあたりで武器を扱ってるお店を教えて頂けませんか? 武具はグラブとレガースです」
 「ほぉ、嬢ちゃんは拳闘士グラップラーなのか。こりゃたまげた」
 「はい。お願いします」
 「よしわかった。ここらで1番の武器屋を紹介してやる、ついてきな」
 「え、案内してくれるんですか?」
 「ああ、おれも注文した戦斧バトルアックスを取りに行かにゃならんしな」


 そんなわけでギルドを後にしてキンタローさんに着いていく
 俺たちはキンタローさんの後ろを歩き、キンタローさんは豪快な歩幅で進んでく


 「コノハは格闘技が得意なのか?」
 「はい。お嬢様の護衛ですので、武器術や武術、格闘技などは一通り習得してます。中でも私は武術が得意でした」
 「確かに……」
 「盗賊団のときはお嬢様を人質に取られ、油断したところで薬を嗅がされて……情けない」


 まぁ仕方ない。コノハにとってリリは何より大切な存在、そりゃ動揺もするって
 そうして歩くこと20分、町の裏通りらしきところでキンタローさんはストップした


 「ここだ。入んな」


 裏通りにあったのは、大きなレンガ造りの武器屋だった
 ドアは2メートル以上の鋼鉄製で、かなりの重量がありそうだったが、キンタローさんは片手で開けた
 中は広く、様々な武器が展示されている。奥の方から複数の金属音が響くので、きっと弟子も育てているんだろう
 すると、キンタローさんが怒鳴るように声を出した


 「オイ来たぞ、モモタローッ!!」
 「やかましい、聞こえてるんだよキンタローッ!!」


 現れたのはキンタローさんそっくりのオヤジ。しかもデカい


 「コイツはモモタローだ。まぁ一応おれの兄で、ご覧の通りの武器屋でもある」


 キンタローさんは俺とコノハに紹介してくれた。モモタローって
 とにかく挨拶して武器を買うか。俺も面白そうな武器があったら買おう


 「おうモモタロー、おれの武器は?」
 「出来てるぞ、試すか?」


 あっちは何やらやり取りしてる。邪魔しないでおこう


 「コノハ、いろいろ見ようぜ」
 「はい」


 俺とコノハは展示してある武器を見る
 剣や槍、短剣や斧、盾や鎧。一通りは揃ってるし、質も良さそうだ


 「ジュート殿。あなたが着けているような武具はありませんか?」
 「俺の?……これ?」


 俺は手首を反らして〔カティルブレード〕の刃を出す


 「はい、その武器は非常に優れた暗器です。私も1つ欲しいのですが……」
 「えっと、売ってるかな……」


 俺とコノハは周囲をくまなく探したが売ってない。やっぱ【紫の大陸】じゃないと無いのかもしれない
 とはいえ俺のをやるのもなぁ……2刀流は外せないし


 「悪いな。モモタローのヤツが……どうした?」
 「あ、キンタローさん。実は……」


 ここでデカい斧を担いだキンタローさんが出てきた。俺は簡単に事情を説明する


 「なるほどな。それにしても〔マルチウェポン〕を使う冒険者は初めて見たぜ」
 「そうなんですか?」
 「ああ。冒険者や傭兵は見た目がハデな武器を好むからな。使いづらい飛び出しナイフや飛距離が短い短弓なんて使うヤツはいねーのよ」
 「はぁ……」
 「おっと悪い。兄ちゃんの武器をバカにしたわけじゃねぇ、そうだな……おい、モモタローッ!!」
 「なんだよキンタロー、こっちは忙しいんだ!!」
 「いいから話を聞けよ」


 ズカズカとモモタローさんがこっちに来る。キンタローさんが事情を話すと俺とコノハをジロジロと見始める


 「……なるほどな。おめぇら、かなり強ぇな。いいだろう、専用の武具を作ってやるよ」
 「え、いいんですか?」
 「ああ。鍛冶職人として武器は腕のいい戦士に使って貰いてぇ。武器は……」
 「私です。お願いします」
 「嬢ちゃんか。拳闘士で〔マルチウェポン〕か……よし、少し待ってろ。〔マルチウェポン〕は以前、冒険者が売りに来た在庫があった。嬢ちゃん用にカスタマイズしてやるよ」


 そう言ってモモタローさんは奥へ戻っていった


 「ま、メシでも食ってこいや。おれはギルドに戻るからよ」
 「はい。ありがとうございます」
 「ありがとうございます、キンタローさん」


 キンタローさんは斧を担いだまま去って行った。今度ちゃんとお礼しよう


 「じゃ、メシでも食いに行くか」
 「はい。少し早いですがいいでしょう」




 時間はだいたい10時半頃か。まぁいいか



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