ホントウの勇者

さとう

憩いの町ポートレード⑦/リリと一緒・依頼完了



 やって来たのは普通の民家だった
 子守りの依頼をする家庭って言うからどんなのかと思ったけど、案外普通で安心した


 「こんにちはーっ、ギルドの依頼で来ましたーっ」


 ここはあえてリリが声を出す。せっかくだしリリを主体で依頼をこなすことにした。


 「はーい、今開けまーす」


 ドアを開けたのは以外にも男性だった
 そのまま室内に案内されると、ベビーベッドで子供をあやす女性がいた。この人が母親だろう


 「ロミ、依頼を受けてくれた冒険者の方だよ」
 「あら、ごめんなさいね。それと、いらっしゃい」


 新婚さんだろうか、仲良さそうな夫婦だ
 さて、依頼内容の確認だな


 ソファに座りお茶を貰って依頼を聞く


 「依頼内容はお子さんの子守りで間違いないですね」
 「はい。私はロミ、彼は旦那のファズです」
 「あの、どうして赤ちゃんの子守りを依頼したんですか?」


 リリが不思議そうに聞く。それは俺も同意見だった  
 すると旦那のファズさんが言う


 「実は······ボクの仕事の休暇が明日までなんですけど、1日くらい彼女と2人きりでデートしたくて。それでギルドに依頼をしました。まさか来てくれるとは思いませんでしたが」


 なるほど、そういうことか


 「さぁあなた、さっそく準備して行きましょう。それとそちらの女性にうちの子のご飯の作り方を教えますね」
 「はい、お願いします。お姉さん」


 リリはロミさんと一緒に台所へ、ファズさんは着替えに寝室へ向かった。あれ、俺は?


 俺は1人でお茶を啜っていると、着替え終わったファズさんが戻って来て、すぐにロミさんも戻って来た。既に着替えも終わってメイクもしてる


 「それじゃ行ってきます。よろしくね」
 「行ってきます」


 2人は仲良く腕を組んで出ていった




 2人にとっていい1日になるといいな




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 俺はここで改めて赤ちゃんを見る


 年齢は1歳くらいだろうか、穏やかに眠っている
 ベビーベッドにはおもちゃがあり、ぬいぐるみや積み木なんかも置いてあった


 「フォルくんって言う男の子だって。かわいいね」
 「確かに······」


 スヤスヤ眠る男の子のほっぺは柔らかそうで、こんな小さな手なのにぬいぐるみをガッチリ掴んで離さない


 「あ」
 「お⁉」


 すると突然ぱっちりとフォルくんの目が開き、目の前にいた俺とリリを見た
 ヤバい。顔が歪んでいく······泣くぞ⁉


 「ふぇぇぇん‼」
 「やっぱりぃぃっ⁉」


 案の定泣き出した。どうしよう
 俺が慌ててると、リリがゆっくりとフォルくんを抱き上げる


 「よ〜しよし、いい子いい子······」
 「ふぇ、ふぇぇ、ふぇぇん‼」
 「お、おい。泣き止まないぞ⁉ どうしよう⁉」
 「ジュートさん、落ち着いて······あ、そうだ」 


 リリは妙案が浮かんだようだ。ここは任せるしかない


 「おいリリ、どうすんだよ⁉」
 「任せて。よっと······んしょ」
 「ちょ⁉ 何を⁉」


 なんとリリは上半身裸になった。何してんのこの子は⁉


 「ちっちゃいけど······はい、どうぞ」
 「あぶぅ······」


 フォルくんはリリの胸を吸うと静かになった。すげぇけど直視できん


 「ジュートさん見て······かわいいよ」
 「あ〜······うん、そうだな」
 「私はジュートさんになら見られてもいいよ? ほら、見て」


 うーん、信頼されてるんだろうな。でも恥ずかしい
 俺は意を決して見ると、フォルくんは相変わらずしゃぶっていた
 片方はフォルくんが吸っているが、もう片方は剥き出しなので丸見えだ。胸は小ぶりだが形はキレイ、先端は淡い桃色で、フォルくんが夢中になるのも理解できる


 泣き止んだフォルくんは俺たちに慣れたのか、必死に手を伸ばしてアピールしてくる。どうやら遊んで欲しいらしい
 リリの胸から口を離すと、キャッキャと騒ぎ始める。よし遊んでやるか


 「あはは、遊びたいって」
 「だな、遊んでやるか」




 その前にリリよ、服を着なさい




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 フォルくんと遊ぶこと数時間、腹も減ったので俺たちとフォルくんは食事。なんとロミさんたちは俺とリリの分の食事を用意してくれていた


 リリはフォルくんをだっこして食事をあげてる。どうやらペースト状のお粥みたいなものらしい


 「いつもはロミさんがあげてるんだけど、私は出ないから……」
 「あ、うん。そうだね……」


 なんともコメントしづらいね、俺に振らないで欲しい
 リリはそうでもなさそうだが、俺が気まずいまま食事が終わる


 「あら、また眠いのかな? ちょっと待ってね……んしょ」
 「ぶっ!? またかよ!?」


 リリは再び胸を出し、まるで授乳するようにフォルくんに寄せる
 するとフォルくんは待ってましたと言わんばかりに吸い始め、暫くすると静かに寝息を立て始めた


 フォルくんの口から先端を外すと、桃色の先端は赤く充血しなんとも色っぽい
 ヤバい、これじゃ俺が変態野郎みたいだ


 「ふふ、かわいい」


 リリは俺の気も知らずに、裸のままベビーベッドに寄りかかってる。だから服を着なさいって


 「赤ちゃんかぁ……私もいつか、お母さんになるのかなぁ……」
 「そうだなぁ、リリもコノハもいいお母さんになるだろうさ。コノハは料理上手だし、リリは面倒見がいいし」
 「うん。じゃあジュートさんがお父さん?」
 「はは、俺はもう嫁さんが7人もいるんだぞ? リリにはもっと強くてカッコいい人が見つかるさ」
 「……そうかなぁ、私にはジュートさんが1番だけどなぁ」


 リリは俺をじっと見つめる。何だろう、ドキドキしてきた
 上半身裸のまま俺を見つめるリリは可愛く、正直言うとドキドキもだけどムラムラもしてきた
 マズい、俺には7人の嫁が居るのに、8人目を迎えてしまうのか


 「ほ、ほらリリ。服を着ろって、風邪引くぞ」
 「……はーい。むぅ」


 リリはもぞもぞと服を着始め、俺はため息をついた




 リリに「女」を感じてしまった。妹だと思ってたのに、女は恐ろしいぜ




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 リリと一緒にフォルくんをあやすこと数時間、時間はだいたい4時


 「ただいまー」
 「ただいま」


 お、ロミさんとファズさんが帰ってきた。2人とも大きな荷物を抱えてホクホク顔だ。よっぽど楽しかったんだろうな


 「お帰りなさい」
 「お帰りなさい。ロミさん、ファズさん」


 俺とリリが迎え、挨拶もそこそこにロミさんはフォルくんの元へ
 ファズさんは荷物を置いて俺たちをねぎらった


 「いやぁいい休日になった。本当に助かったよ」
 「いえ、俺たちもいい経験でした。子供をあやすのって大変で……」
 「はは、そりゃそうだ。でも自分の子供ならその苦労でさえ幸福なときがある。キミ達にもきっと分かるよ」
 「……はい。あ、私フォルくんに挨拶してきます」


 リリはロミさんの元へ行き、フォルくんを抱っこして別れを告げていた
 フォルくんがリリの胸に顔を埋めてたのが気になるけど……


 「それじゃあこれが依頼達成の報告書。それと、お土産も」
 「わ、ありがとうございます」


 リリはファズさんから一枚の羊皮紙と、小さな包みを受け取った


 「リリちゃん、ほんとにありがとうね」
 「いえ、私も楽しかったです」


 別れを告げると、ファズさんが思い出したように言った


 「そう言えば町で聞いたんだけど、今日これから浜辺で大規模なバーベキューが行われるそうだ。なんでも、気前のいい冒険者がSレートモンスターの肉を大量に提供したらしく、町中から人があつまるそうだ」
 「へ、へぇ~……」


 その気前のいい冒険者、どうやら俺です


 「2人も行かれるんですか?」
 「ええ、せっかくだしね。それにタダだしね」


 町中か……いつの間にかかなり話が大きくなってるな
 ギルドに報告ついでにキンタローさんに聞いてみるか




 俺とリリはファズさん宅を後にした




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 リリは嬉しそうにクルクルと回っていた


 「すっごく楽しかったです。それにフォルくんも可愛かったですし」
 「だな。俺は疲れた……」


 これからバーベキューだってのに、早くも疲れたぜ


 「さぁ、ギルドに報告して一度コテージへ帰ろう」
 「はい。みんなでバーベキューですね!!」




 いい感じに腹も減ったし、今夜は食いまくってやるぜ!!



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