ホントウの勇者

さとう

憩いの町ポートレード①/リリティアラ・コノハ





 「······う、んん」
 「こ、コノハッ⁉ コノハぁッ‼」


 お、どうやら女の子が目覚めたようだ
 ぼんやりとした瞳で少女を見つめ、まだ状況を理解してないような声で呟く


 「······リリティアラ、お嬢様? ここは······私は?······っ⁉」


 すると女の子の顔がハッとなり、少女を抱きしめて慌てたように身構える


 「お嬢様⁉ ご無事ですか⁉」
 「うん、私は平気だよ。でも、コノハが······コノハが、死んじゃうかと······うぇぇ〜ん」
 「お嬢様······あぁ、よかった······うぅぅ」


 う〜ん、感動的だ。助けられてよかったよ、マジで
 しばらくすると泣き止み、2人の視線が俺に


 「あの、こちらの方に助けてもらったの」
 「なんと······」


 すると女の子は立ち上がり、俺に向かって一礼する


 「危険なところを助けて頂き、誠に感謝します」
 「い、いえ······その」
 「何か?」


 「何か?」って、身体に巻いてたシーツが落ちて裸なんだよ
 直視出来ないからヤベーんだろ、それともご褒美か?


 「こ、コノハ。おっぱいおっぱい」
 「え、わわっ⁉」


 少女がシーツを拾い上げ女の子の身体を隠した
 まだ女の子用の着替えって残ってたかな?


 《やれやれ、人間は不便だね。性器を晒すのがそんなに恥ずかしいのかい?》
 「あ、ワンちゃん」
 「ど、どうも」


 いつの間にかシロの背中には女の子用の下着と着替えが。さすがに準備いいな。俺は後ろを向いてますね


 「あ、あの。私もいいかな?」


 少女がシロの頭を撫でながら言う。どうやら少女も着替えたいようだ




 とにかく、着替えるのを待つしかないね




───────────────


───────────


───────




 「すみません。もうこちらを向いて結構です」
 「あ、はい······おお」


 2人は見事にフォームチェンジ。どこからどう見ても村娘にしか見えないスタイルだ
 吸血鬼の町でエレルギーンさんが買った服の残りだがサイズピッタリ。冒険者向けの服だから動きやすさ重視なのは仕方ない。スカートも結構短いしね


 「改めて自己紹介を。私はコノハ、こちらはリリティアラ・ルノーお嬢様です。お嬢様は貴族ルノー家の第六女であり、歌姫でございます」


 スゴい力の篭った自己紹介だ。特にお嬢様の紹介がハンパじゃないな


 「俺はジュート、見ての通りの冒険者だ。えっと······差し支えなければ事情を話してほしいな、通り道だったら送ってやれるし」


 まぁこの際だし行きたいところへ連れてってやってもいい
 度は道連れっていうしね。うん


 「わかりました。私たちの事情を説明させて頂きます」




 コノハは一礼して話始めた




───────────────


───────────


───────




 「率直に申し上げますと、私どもは逃げてきたのです」


 率直すぎる。中身は?
 コノハは真面目な顔でズバリと言わんばかり


 「リリティアラお嬢様は王都一の歌姫であると同時に、この灰の大陸の様々な町で歌を披露する旅をしておられました。そして今日、王都の実家からのご依頼で、とある貴族のお屋敷に歌を披露するために向かいますと、待っていたのはその貴族当主との縁談。しかも双方合意済みの恐ろしいものでした」


 なんとまぁ可哀想に
 リリティアラはシロをなでている


 「私どもは有無を言わさず逃亡。追いかけてくる貴族を巻こうとしてあの森へ······そして盗賊団に捕まり、護衛は私以外は全滅。ジュート殿がいなければ死んでしまうところでした」
 「そりゃ危なかったな······」


 ギリギリセーフだったのか。あぶねー


 「ところで、ジュート殿のこれからの予定は?」
 「俺? 俺はポートレードで静養してから〔龍の渓谷〕へ行って、その後で王都へ行くけど」
 「なるほど······リリティアラお嬢様」
 「お手‼······えっ⁉ な、なに?」


 リリティアラお嬢様はシロと遊んでた。元気になって何よりだけどね
 するとコノハはリリティアラと何かを相談し始めた。なんだろう、これはまさかのまさか?


 「ジュート殿、あなたの旅に我らも同行させては頂けないでしょうか? もちろん食費や謝礼はお支払いいたします」
 「え、何で? どっかに送るんじゃないの?」
 「いえ。縁談を蹴った時点でもう帰る場所はありません。このまま安住の地を求めて進むならあなたのような強い冒険者と一緒がいいと判断しました」


 なるほど、安住の地か……う~ん


 《ま、いいんじゃないかい? 旅は道連れ世は情け、だろ?》


 シロお前、どこでそんな言葉を……まぁいいか


 「わかったよ。じゃあ一緒に行くか」
 「ありがとうございます。お礼は必ず」
 「やったぁ!! ありがとうジュートさん、シロちゃんも!!」


 リリティアラお嬢様はもうシロに懐いてる。シロも満更じゃない


 「じゃあこのまま〔憩いの町ポートレード〕に行くぞ、コノハ、リリティアラお嬢様」
 「あ、リリでいいです。長いし呼びにくいでしょ?」
 「このまま……? そういえばここはどこですか?」


 その後、アウトブラッキーに驚くコノハを宥めたり、シロを気に入って遊ぶリリを眺めながら進む




 アウラ・シャロアイト・シェラとは違う雰囲気の同行者を連れて、俺たちは進む




───────────────


───────────


───────




 ポートレードまであと数時間、という所でうれしい来客が


 「……久し振りね」
 「来ちゃった」
 「やっほ、ジュート」


 氷寒・虫菜・黎明。イーティアで来れなかった3人が現れた
 虫菜はさっそく俺に抱きつく……が、唖然とする2人の少女を見てビックリした


 「……どう言うことかしら?」
 「だれ?」
 「あんた……まさか」
 「ちょ、何か誤解してるだろ!? 説明するから落ち着けよ!?」


 取りあえず事情説明……リリとコノハの事と、俺たちが〔神の器〕ということをキッチリと説明する
 怖がられるかと思ったが、そんなことはなかった


 「はぇ~……〔神の器〕だったんですね。スゴい、私初めて会っちゃった」
 「なるほど、ではこの魔導車は神の技術……納得です」


 ま、まぁ……よかった? のかな。納得してもらえたようだ
 すると俺の嫁たちが聞いてきた


 「……ジュート、これからドコ行くの?」
 「ふふふ、聞いて驚け!! これからって言うか、あと数時間で〔憩いの町ポートレード〕……リゾートだ!!」
 「おぉー」
 「マジ!? すごいじゃん!!」


 3人とも嬉しそうだ。よかったよかった


 「ねぇコノハと……リリちゃん、あたしは黎明、こっちが氷寒でこっちが虫菜ね。リゾートに着いたらみんなで遊ぼうねっ!!」
 「はい!! えっと、レイメイさん、ヒョーカさん、チューナさん!!」
 「あ、あの……よろしくお願いします」
 「よろしく」
 「……よろしくね」


 女子はすっかり仲良しだ。俺ってハブられてないよね?


 「ポートレードはリゾートの他にも高級ショッピングモールがあります。8大陸の有名なデザイナーが手がけた洋服・アクセサリーや、一流のシェフが経営する飲食店街、さらには遊戯場など。全部回るのに1月以上はかかると言われてますね」
 「マジで!? わーお楽しみ~っ!!」
 「はい!! みんなで遊びましょうっ!!」
 「……ま、いいかもね」
 「うん」


 俺はいる。俺はここに存在してる
 うん……大丈夫。シロの神化を纏ってるワケじゃなさそうだ


 「これだけの人数ですと……ジュート殿、宿を取るよりコテージを借りた方が良さそうですね」
 「コテージ?」
 「はい。ポートレードには高級宿が多数存在しますが、中でもオススメなのは水上コテージです。値段は張りますが……私どもでお支払いさせて頂きます」


 おいおい、女の子に出させるワケにいかねーよ


 「いや、俺が出すからいいよ。ちょうど依頼の報酬も貰ったしな」


 俺はスプリフォからの報酬を使うことにした。5000万もあるし


 「ま、のんびりしようぜ」


 俺の一言に全員が同意する




 勉強ばっかだったし、自分にご褒美でもあげようかね



「ホントウの勇者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く