ホントウの勇者

さとう

魔術師の町ブルグレート①/神話魔術・要塞の町



 《······アナタ、急に何を言ってるノ?》
 「いや、なんとなく」


 それから1日、日差しを浴びながらのんびり歩く


 「なぁクロ、魔術師の町ってどんなことろだ?」
 《その名の通りの町ヨ。あそこは魔術師が集まって魔術研究をしてるワ、大昔の魔術師が使った魔術の究明や、新しい魔術の開発。さらに8大陸の魔術師協会の総本部が置かれてる場所でもあるワネ》


 魔術師の協会か。行ったことないな


 「大昔の魔術ねぇ······」


 俺の中には魔術の知識が溢れてる
 【無】属性の影響だろうか、使いたい魔術を思い浮かべると魔術の名前や効果などが瞬時に浮かぶ
 多分、この世界の魔術は全て使える。【神話魔術】も含めて


 「念のため俺は【灰】属性ってことにしておくか」
 《そうネ。気をつけてネ》




 魔術師の町まであと少し。もうちょっとだけ散歩気分で




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 「着いた······けど、ここなのか?」
 《そうヨ?》


 〔魔術師の町ブルグレート〕へ着いたが、俺にはそうは思えなかった


 外観は町というより要塞
 1つの巨大な要塞の中に、住居や店が並んでいる
 薄暗い灰色の要塞は冷たさしか感じない。歩く人たちも魔術師で、住人らしき人は全く見なかった


 《この建物全体が魔術協会の総本部ヨ。基本的に住人は魔術師のみで、宿屋は完全に冒険者や傭兵専用。商店もお店というよりは購買……だったハズ》
 「へぇ······」


 クロ曰く、冒険者や傭兵がこの町に来るのはスカウトのため。魔術師たちにとっては聖地のような場所で、研究者肌の魔術師たちはここに集まって研究をするそうだ


 「何日か観光したら行くか。とりあえず宿屋へ行こう」


 と言うわけで宿屋へ
 見るものはなさそうだけど、せっかく来たんだしね




 俺とクロは要塞の中央へ歩きだした


 
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 宿屋は狭く、ビジネスホテルみたいな寂しい部屋だった


 飲食店も少なく携行食品は充実していた。だから買い物には一苦労だ
 結局、新鮮な野菜とかは買えなかった。残念


 「なーんか退屈な町だな······」
 《マァここは魔術師以外は用のない町だからネ》
 「あ、そうだ。せっかくだしギルドへ行くか。シロの言う通りなら薬草が売れるはずだ」


 ちょうど視界に商人ギルドが入ったので行ってみる
 久しぶりの商人ギルドは、そんなに賑わっていなかった


 俺は受付のお姉さんに要件を説明する


 「あの、買い取りをお願いします」
 「はい。商品はどのような物で?」


 ここで俺はカバンから薬草を取り出す
 いくつかは〔マルチウェポン〕用の毒矢として取っておき、残りは全て売却することにした


 「麻痺薬草20束、毒草20束、眠り草20束······はい。合計金額6万ゴルドですね。ご確認ですがこれらはどこで手に入れられましたか?」
 「はい。えっと、〔ギース街道〕の沼地です」
 「〔ギース街道〕······では、あそこのモンスターの集団は?」
 「はい、倒しました。ゴブリンの集団と大蛇とゴリラですね」
 「······かしこまりました。それではこちらへゴルドカードをお通し下さい」


 俺は財布からカードを取り出して魔道具に通す。するとピッと音がして入金されたようだ
 俺はついでにお姉さんにいろいろ聞いてみた


 「あの、魔術協会の本部は見学できますか?」
 「見学······ですか? 仲間の勧誘ではなく?」
 「はい」


 お姉さんは少し困ったように笑う


 「中に入るのは問題ありませんよ。それにあなたはS級の冒険者ですし」
 「おお。じゃあさっそく行ってみます」




 小遣いも手に入ったし、さっそく行って見るか




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 「はぁ〜······すっげぇな」


 魔術協会総本部
 中はかなり広く天井も高いし、歩く魔術師は全員とても頭が良さそうに見える。受付らしきところで冒険者や傭兵が何かを話してる······よく見ると看板に「魔術師斡旋所」と書いてあった


 「······でも、つまらんな」
 《······何を期待してたノヨ》


 何かイベントがあると思ったけど何もない。いつもならこの辺りで何かイベントが起きるんだけどな


 「仕方ない、宿に······お?」


 ここでようやく面白そうな物を見つける


 「あれは掲示板か、人が集まってるな」 


 壁に設置された大きな掲示板にたくさんの人が集まっている
 その声色は明るく期待に満ちているのがすぐにわかった


 「行ってみようぜ、おもしろそうだ」
 《ヤレヤレ······》


 掲示板に近づくが、なかなか文章が読めない
 人混みをかき分けてようやく文章が見える位置まで来て俺は目を疑った


 「······おい、ウソだろ?」


 そこにはこう記されていた






 『リヒテル魔教授・神話魔術の解読に成功


  近日、正式に発表、実験を行う
  ブルグレートの魔術師は全員協力し
  魔術の発展に貢献せよ


  詳しい話は後日、全体集会にて』






 神話魔術って人間に使えるのか?




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 《ムリに決まってるでショ。アナタ以外の〔神の器〕でも不可能ヨ。人間が詠唱なんかしたら一瞬で魔力を食い尽くされて死ぬワ》


 だそうです。まぁわかってましたけどね


 神話魔術は魔力の消費が並ではない。俺でさえ魔力の消費はないがいろいろ吸い取られる感覚がする
 連発は不可能。数日明けて1発が限度だ


 神話魔術の発動プロセスは、最初の詠唱段階で大量の魔力を吸い取られ、魔術の発動と同時にごっそりと魔力を奪われる
 【銃神】は最初からこの魔術を人に使わせる気はなかったんだろうな。完全に自分専用だ


 「どうする? 町を挙げて発動なんかしたら、町の魔術師は全員お陀仏だ」
 《······止めるしかないワネ》
 「止める······どうやって?」
 《よく見なサイ、どうやらこのリヒテル魔教授とか言う魔術師が解読に成功した。なら、この魔術師を説得すれば回避できるカモ》
 「なるほど。よし、情報を集めてみるか」




 これだけ有名な魔術師だ。ギルドへ行けばいろいろ教えてくれるはずだ



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