ホントウの勇者

さとう

九創世獣③/クロ・シロ





 《そうだ。【時の大陸】へ向かう前に〔グレーマウンテン〕へ向かってほしい》
 「へ? 何で?」
 《ちょっと忘れ物、それに猶予はまだあるしね》


 まぁ構わない。俺もシェラと戦うために〔龍の渓谷〕へ向かうつもりだったしな


 《わぁ〜、じゃあ久しぶりに9匹で旅ができるんだね》
 《もぐ〜》


 モルを抱きかかえたルーチェが嬉しそうに言う


 《へへっ、じゃあシロフィーネンスの歓迎会を兼ねて宴だ‼ おい嬢ちゃんたち、ウマいメシと酒を頼むぜ‼》
 《カッカッカ‼ いいのぅいいのぅ、どんな時でも酒はウマいのぅ‼》


 アグニとナハトは既に宴会モードだ




 ま、いいか。せっかくだし楽しむか




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 それから数日後、俺は裸でベッドの上に横たわっていた


 隣には黎明がいる。同じく裸で
 この数日で8人全員を相手にし、最終日の今日は黎明を朝から抱いていた
 朝起きると黎明がいてそのまま始め、汗だくだからと一緒に風呂へ入り連戦、ベッドに戻るとそのまま再戦と俺の欲は留まることを知らない
 裸で眠る黎明を見つめていると、再びムクムクと欲望が湧き上がる······が、黎明が眠そうに目を擦って起きあがった


 「······あんた、ヤリすぎ」
 「······ご、ごめんなさい」


 そう言われても返しようがない。だって事実だし


 「ま、求められるのは嫌いじゃないけどね」
 「そ、そう? ならもう一回······」
 「チョーシ乗るなっ‼」


 枕で頭を叩かれるが、もちろん本気ではない
 すると、真面目な顔で黎明は言う


 「······書架ちゃんと······戦うんだよね?」
 「······」
 「その時はアタシも行くから。絶対に」
 「······でも」
 「行くから。絶対に」


 黎明の決意は固く、これを崩すのは不可能に感じた


 「わかったよ」
 「うん。絶対に助けようね」


 俺たちは見詰め合い······キスをする




 結局、再戦してしまった




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 《クロシェットブルム······キミはまだ自分を責めているのかい?》
 《······》
 《あの時······【女神】の放った一撃。ヴォルフガングがキミを庇ったのは彼の優しさだよ。その結果が何であれ、キミは自分を責めるべきじゃない》
 《······でも、ヴォルは死んだワ》
 《うん。肉体は滅びて魂······いや、意思は消失した》
 《······》
 《キミがジュートと契約しないのは······怖いから、だね》
 《······》
 《ボクとキミだけがヴォルフガングの最後を見た。滅びる身体、消え行く意思。そして······途切れたパスに残る悲しみ。あんな思いは······二度とゴメンだ》
 《······そうヨ。もうあんな思いはしたくないのヨ‼ ヴォルは最後の最後までワタシたちを心配してた、だからワタシのせいでヴォルが死んだ時······自分を責めずにいられなかった。もうイヤなのよ······》
 《······》
 《ジュートと初めて会った時······ジュートがヴォルの神の器と知って驚いたワ。自然とジュートを助けて、戦いへ導いていた。また、失うかもしれないのに······ワタシは》
 《クロシェットブルム、もう遅いよ。ジュートは戦うことを、守ることを、救うことを選んだ。だったら······最後までジュートを導くのがキミの役目だ》
 《でも······》
 《ジュートはヴォルフガングじゃない。ヴォルフガングは守ることを選んだけど、ジュートは共に戦うことを選んだ。なら······ボクたちが守り、守られればいい》
 《······シロフィーネンス》
 《さぁ、ジュートのそばで寝よう。昔みたいに寄り添って》
 《······エエ》




 《ありがとう······シロフィーネンス》




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 「······んぁ?」


 朝、不思議な感覚で目を覚ました


 「······クロ? シロ?」


 頭のそばにシロが丸まり、俺の胸板の上にはクロがいる
 2匹とも気持ち良さそうに寝息を立てて、起こすのを躊躇った


 俺はシロの頭をなで、クロの頭から身体にかけて手を流す
 すると、2匹とも目を空けてそれぞれ伸びをした


 《んん〜······おはようジュート》
 《んニャ······オハヨ》
 「おう。どうしたんだよ?」
 《フフ、気にしなくていいよ》
 《そうネ》


 うーん。なんか気になる


 《さ、朝ごはんの時間だよ》




 シロに急かされ、急いで着替えて部屋を出た




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 「では、今日出発するんだな?」
 「ああ。シロの言う〔グレーマウンテン〕へ向かうつもりだ。途中で〔龍の渓谷〕も寄るけどな」
 「ふむ、まだまだ先は長いな」


 朝食が終わり、マフィと2人でお茶を飲む
 他の女子は各自トレーニングや朝風呂なんかに行ってる


 「用事が終わったら【時の大陸】へ向かうのか?」
 「ああ。そろそろシグムントのヤツをブッ殺したいし、クラスのみんなも助ける」
 「そうか······なら、出発前に必ずココに来い。いいな」
 「分かった」
 「いいか。あくまでお前の目的はクラスメイトの救出だ。そのためについでに【女神】を倒せ、いいな」
 「ああ」


 とんでもない「ついで」だな。でも……なんだか気合いが入る


 「マフィ……お前にはホントに世話になってる。何かお返しができればいいんだけど」
 「気にするな、私も楽しいからな。どうしてもと言うなら、全てが終わっても私と遊んで貰おうか」
 「わかったよ、それにお前と居ると楽しいしな」
 「ははは、冗談……へ?」


 俺はマフィの頭を撫でる


 「え、あ、その……えっと」
 「何だよ?」


 俺はマフィを怪訝な目で見た
 マフィは顔を赤くしながら無言で俺を見つめてる


 「……その、約束は守れ」
 「ああ。任せとけ」




 この神様との約束は、言われなくても守るけどな




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 朝食を終え、みんなに別れを告げて転移する


 「ここは……」


 着いたのはキレイな草原地帯
 そして、目の前には大きな町が見えた


 《あれが〔美食の町イーティア〕だよ。8大陸の有名どころの飲食店が集まる町さ》
 《フフ。美味しい出会いがありそうネ》


 肩の上にクロ、足下にはシロがいる


 「クロはともかく……うん。シロも一緒で平気だな」


 だって犬だし
 黒猫と白犬を連れた、シングルの冒険者にしか見えないだろう


 《昔、ヴォルフガングと旅をしたときもボクとクロシェットブルムは付いていたんだ。ふふふ、懐かしいね》
 《そうネ。まぁヴォルほどじゃないけど、ジュートも強くなったワ》
 「へいへい。どーせ神には勝てませんよ」


 冗談めかしながら歩き出す




 俺と9匹の神獣達の、最後の冒険が始まった





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