ホントウの勇者

さとう

九創世獣②/真実・封印



 えっと······このワンコが最後の【九創世獣ナインス・ビスト】なんだよな?


 《はじめまして、ボクはシロフィーネンス・シラネリア。よろしくね》
 「俺はジュートだ、よろしくな。ところで······何でココに?」


 恐らく、この場にいる全員の疑問だ


 《当然、キミたちに会いにね。ボクは鼻が効くから、キミたちが【灰の大陸】に入った時にココへ向かい始めたんだ》 


 鼻が効く······なるほど。ワンコだからか
 ちなみに、コイツの呼び方はもう決めてる


 「よーし。お前はシロだな」
 《······シロ?》
 「シロフィーネンス、って長いからな。呼び安いような愛称だよ。な、みんな」


 俺は振り返るり、硬直してる8匹を見る


 《······おいシロフィーネンス、答えて貰うぜ。この姿は何だ? ヴォルはオレたちに何をした? ヴォルの最後を見届けたお前なら何か知ってんだろ······答えろや》


 アグニが、まるで挑みかかるように聞く


 《シロフィーネンス······》


 ルーチェは聞くのを恐れるような、弱気な表情


 《もぐ······》


 モルは、ルーチェを心配するかのように抱きかかえられ


 《うぅぅ······空気が思いっす》


 クライブはうなだれ、弱々しくホバリングし


 《·········》


 ティエルは、腕を組んでシロを見つめてる


 《······ふぅむ》


 ナハトは骸骨の指を顎にあて、何かを考え


 《······ギガガ》


 ニュールは、首をグルグル回しながら唸る
 俺はみんなを落ち着かせる


 「ちょ、ちょっと待てよ。いきなりすぎるだろ」
 《構わないよ》


 シロが、俺を遮って答える


 《正直な所、ボクにも分からないことがある。でも······ボクの知ってることをみんなは知る権利がある》
 《······悪かった。でも答えてくれや》


 アグニが謝り、シロは俺の足元へ


 《ジュート。落ち着ける場所へ案内してくれないか?》
 「落ち着けるところ······」


 やっぱあそこだなぁ······
 俺は手首に巻いてあるバンドを見る


 「よし、マフィのとこへ行こう。そこでシロの話を聞かせてもらおう」


 俺はバンドに魔力を送り、転移する


 《·········》




 クロは、最後まで喋らなかった


  
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 「あ、おかえりジュート」
 「ビックリした······おかえりなさい」
 「おかえり。ケガはない?」


 いつもの談話室に転移し、出迎えてくれたのは3人
 黎明はお菓子を食べ、麻止は本を読み、壊子は妙にゴテゴテした箱を弄っていた


 「ただいま······って、何やってんの?」


 俺は壊子に質問する


 「えっと。ヒマだしね、何かゲームでも作ろうかなって」
 「ゲーム?」
 「うん。ボードゲームばかりだと飽きるでしょ? だからテレビや筐体を作ったらみんなで遊べるかなーって」
 「······えっと」


 壊子が大きな箱を弄ると、ガチャガチャと音を立てて形が変わる。そして、見たことのある機械が現れる


 「うーん。確かこんな感じで······」
 「お、おお······」


 そして、ゲームセンターにあるような筐体が現れる
 壊子が筐体を操作すると、派手な音を立てて起動した
 ゴテゴテした箱はガチャガチャと音を立てて小さくなり、ついには壊子の手のひらサイズほどの大きさへ変化した


 「はぁ〜、何だそりゃ。もしかして」
 「うん。これが私の神器、【機の創手の孤独の欠片アルマキナ・ロンサム・フラグメント】だよ。いろんな機械やマシン、ロボットなんかも作れるんだ」


 手のひらのキューブをもて遊びながら壊子が笑う。なるほど、面白そうだな


 「そうだ、何かリクエストある? ある程度の物なら作れるよ?」
 「マジで⁉ そうだな······」


 と、俺が考えてると、隣にシロが現れる


 《ジュート、悪いけどそれは後ほどに。まずはボクの話を聞いてほしいな》
 「あ、ゴメンよシロ」


 シロが尻尾を振りながらトコトコ歩くと、女子3人が反応した


 「わぁ〜、かわいい」
 「へ、へぇ······」
 「ふかふか〜」


 黎明と壊子がシロを撫で、麻止はウズウズしながらその様子を眺めてる


 《うぅん、気持ちいいね······こんなに撫でられるのは久しぶりだよ》


 シロもまんざらではなさそうだ
 すると、残りのメンバーが部屋に入ってきた


 「あ、おかえり」
 「おかえり~」
 「……犬?」
 「まっしろだね」


 水萌たちが俺を迎え、視線の先にいるシロを見る
 すると、4人の影に隠れるようにいたマフィが声を掛けてきた


 「久し振りだなシロフィーネンス。ふむ……これで9匹揃ったのか」
 《やあマレフィキウム。数百年ぶりだね》


 こちらも残りの8匹が現れ、談話室は一気に賑やかになった


 《さーて、さっそく聞かせてくれやシロフィーネンス。お前の知ってることとやらをな》
 《わかってるよ。えっと……そろそろいいかな?》


 みんなのオモチャにされていたシロが言うと、水萌たちは離れた




 シロの話か……長くなりそうだ




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 談話室に全員が座り、水萌がお茶を入れてようやく落ち着く
 そこで、椅子に横たわるシロがようやく話し始めた


 《まず······キミたちはどこまで覚えてる?》
 《ドコまでって······うーん。わかんないな? いつの間にかヴォルとのパスが途絶えてこんな姿になっちゃったから》


 ルーチェが腕を組みながら真面目に答える


 《そもそも、ヴォルフガングが何と戦っていたかわかるかい?》
 「何って······【銃神】は【魔神】と相討ちで死んだんだろ?」
 《違うよ。ヴォルフガングが相討ったのは【魔神】じゃない。【魔神】はそもそも、ヴォルフガングが死んだあとに生まれた存在さ》


 その事実に、全員が驚愕した


 「······待って、エルレイン様は先代の【魔神】から全ての力を受け継いだって言ってたわ」


 氷寒が言うが、シロの語りは止まらない


 《恐らく、【魔神】はそう聞かされてるか、洗脳されてるんだろうね。洗脳や調教はローレライの十八番だから》
 「マジかよ······」
 《それで、ヴォルは何と戦ってたんだよ? オレたちですら知らなかった事実だぜ》




 《決まってるだろ。【女神】さ》




 シロはあっけらかんと答えた
 俺はよくわからなくなり、答えを聞く
 俺の推測が、どうやら的を射てるのかもしれない


 「なぁシロ。その話がお前たちの姿と何の関係があるんだ?」
 《もちろん関係あるさ。ヴォルフガングは【女神】と戦い倒すことが出来ないと悟ると、瀕死の身体を引きずって最後の一撃を放った。ヴォルフガングの一撃は【女神】を倒すのではなく封印するための一撃······そして、【女神】は次元の間に封印された。しかし、【女神】の最後の抵抗で、封印の魔術の一部がヴォルフガングに逆流して、パスを繋いでいたボクたちを蝕んだ。だからこんな姿になってしまったんだよ》


 おいおい、マジかよ······


 《じゃ、じゃあ······どうやって封印を外せるんっすか?》
 《······さぁね、ボクにも分からない。ヴォルフガングの意思が消滅した今、カギとなるのはジュートの存在だけ》


 シロを当てにしていたアグニたちは、落胆を顕にする


 《マズいわね。今のあたしたちはせいぜいSレートの神獣くらいいか力がないわ。こんな状態で【時の大陸】に向かうのは無謀すぎるわ》
 《確かにのぅ。相手は【女神】と【魔神】さらには【王ノ四牙フォーゲイザー】もおるし······カッカッカ、死ぬのぅ‼》
 《うん。恐らく億単位の神獣が待ち構えてると思うよ。最強の神獣使いの【歌神】に、単体最強の【獅子神】に、空の神【空神】に、薬品の強化による【薬神】までいる。ジュートやボクたちだけじゃね》


 お、億単位って冗談だろ⁉


 「当然だが、私は手伝えんぞ。そもそも戦闘向きの力は持ってないからな。それに氷寒たちを連れて行ったところで変わるまい」
 「······まぁ、な」


 そもそも連れて行くつもりはサラサラないけどな


 「そもそも連れて行くつもりはサラサラない、でしょ?」 


 黎明のジト目に、俺は思わず振り向いた


 「ま、そんなことだろうと思ってたけどね。相変わらずわかりやすいのよアンタは」
 「あ、いや······その」
 「悪いけどアタシたちも行くから。みんなを助けたいのはアンタだけじゃないからね」


 その答えに、女子全員が頷く




 女は強し、こりゃ参ったわ



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