ホントウの勇者

さとう

魔物使いの町テイマード①/観光・宴会



 〔灰の渓谷〕を抜け、天気も良かったのでバイクで走る
  シェラは当然のように後ろに乗り、俺の背中合わせで座る


 「気持ちいい〜っ。こんな乗り物も悪くないな‼」
 「だろ?」


 シェラはご機嫌で、俺も嬉しかった
 このままあと数時間でテイマードへ到着する


 「なぁ、テイマードってどんな町だ?」
 「テイマードか。あそこは魔物使いの集まる町で、魔物を飼い慣らす訓練所や専用の拘束具なんかを作ってる施設もあると聞いた」
 「へぇ……」
 「魔物使いは、小さい頃からの訓練で適性を培われ、腕利きの魔物使いはSレートモンスターですら手懐けると聞いたことがある。しかし戦うだけではなく、愛玩動物として飼われるモンスターもいるみたいだぞ?」
 「詳しいな。興味あるのか?」
 「いや。視察という名目で立ち寄ったことがあるだけだ。正直なところ退屈だった」


 まぁコイツらしい感想だ




 そして、町に到着した




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 「うーん。思った通り……」
 「アタシは久し振りに来たぞ」


 町は、モンスターで溢れていた……が、攻撃的な意志は感じない


 冒険者風のスタイルで、傍らに狼を連れて歩いてる人や、大鷲のようなモンスターを肩に乗せて歩いてる人、虎のようなモンスターに跨がって進む人、さらにはウサギみたいなモンスターを抱っこして歩く子供なんてのもいた


 「コレなら……行けるかも」
 「何がだ?」


 俺は1つのプランを思いつき、頭の中で呼んでみた


 《どうしたジュート、なんか用か?》


 ようアグニ。今さ、魔物使いの町に来てるんだけど


 《ああ、懐かしいな。相変わらずモンスターで溢れてるのか?》
 《へぇ、面白そうっすね》
 《もぐ~》


 よかったら出てこないか? お前達なら出てきても大丈夫だと思うぜ?


 《なに?……まぁ確かに》
 《いいんすか? おいらたちが出ても》


 うーん。人に近いルーチェやティエルはマズイけど……アグニとクライブ、モルなら行けるかも。よかったらどうだ?


 《おお、おいらは出てみるっすよ。面白そうだし》
 《もぐ~》
 《オレは……どーすっかな》


 ナハトとニュールは……ちょっとマズイかな


 《カッカッカ、気にするでない。ワシはここで酒盛りしとるわ。のぉインヘニュール》
 《ギギギ……》
 《わーったよ。たまには外の空気も悪くねぇしな、よし行くぜクライブグリューン、トレパモール!!》
 《はいっす!!》
 《もぐっ!!》


 ルーチェ、ティエル、ゴメンな


 《いいよ~。そのかわり、いっぱいお菓子を買ってきてね!!》
 《ま、そういうコト。クロシェットブルム、そろそろお昼寝の時間よ?》
 《ニャ……わかったワ》


 よし。クロが引っ込んで代わりにアグニ、クライブ、モルが出てきた


 「おぉ!? なんだなんだ!?」
 「コイツも俺の仲間だよ。よろしくな」


 びっくりしたシェラは、すぐに気を取り直す


 「なるほど、ジュートの仲間か」
 《そーいうこった。よろしくな、龍のねーちゃん》
 《よろしくっす》
 《もぐ~》


 シェラはアグニ達に挨拶し、律儀に握手までした




 さて、とにかく町へ入ろう




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 《へぇ、オレらを見ても平気みてーだな》
 「だろ? 町中モンスターだらけなんだ。お前たちを見てもモンスターと変わらないからな」
 《お、おいら達は最強の神獣なのに······》


 アグニは俺の隣に、クライブは俺の上を飛んでモルはシェラの肩の上でのんびりしている
 普通に見る限り、ただの魔物使いにしか見えないだろう


 《お⁉ 見ろよジュート、露店で酒を売ってるぜ》
 「へぇ。えーっと······〔ホット麦酒〕・〔契約獣テイムモンスター〕も飲めます。だってさ」
 《ほぉぉ、あったけぇ麦酒か。買ってくれや》
 「はいはい。シェラはどうする?」
 「悪い。アタシは酒が苦手なんだ」


 と、言う事で露店でホット麦酒を2つ買う


 「すみません、2つ下さい」
 「はいよ。兄ちゃんと姉ちゃんか?」
 「いえ、こっちのトカゲです」
 「そうかい、器は皿の方がいいかい?」
 「いえ、コップで構いません」


 注文をすると、木の革で出来たような使い捨てのコップが2つ渡される
 大きさはビールジョッキくらいで、湯気が立ち上りとてもいい匂いがする


 味は······まんま温かい麦酒
 しかも温かいからアルコール度数が強く、酔ってしまいそうだ


 《くぅ〜っ‼ あったけぇ麦酒も中々イケるぜ。おいジュート、おかわりだ‼》
 「落ち着けって、俺のやるよ」


 アグニに俺のコップを渡すと、一気に飲み干した
 露店のおじさんは、それを見て驚いていた


 「いやはや、兄ちゃんの〔契約獣テイムモンスター〕は人間みたいだねぇ。そんな美味そうに酒を飲むなんて、初めてみたよ」
 「あ、あはは······」


 コメントしづらいな
 ま、次に行きますかね


 魔物使いの町ということで、露店なんかは魔物も飲み食いできる店が多かった
 町の中央も大きく、この広場には大型のモンスターもたくさんいる。3メートルはありそうな巨人や、大きな蛇みたいな長いモンスター、バケモノみたいな鳥に跨って空を飛んでる人もいる


 「モル、クライブ、何か食べるか?」
 《もぐぐ》
 《甘いおやつが食べたいそうっすよ?》
 「甘い······お、あそこに果物パイが売ってるぞ。行くか?」
 「行くっ‼」
 《もぐっ‼》


 なぜかシェラも大きく頷いたが、小腹も空いたのでさっそく露店へ向かう


 《ジュートさん。おいらはあそこの木で樹液を吸って来るっす。すぐ戻りまーすっ‼》
 「お、おい。離れるなって」
 《全く。しょーがねぇな、オレが着いてくぜ》


 そう言うと、クライブが向かった木にアグニも向かった
 ま、アグニがいるなら問題ないな


 そして俺とシェラとモルで屋台へ向かう


 「おお、美味そうだな」


 果物パイは、リンゴやブドウなどの果物を薄く切って焼いた、アップルパイのようなもので、甘い香りが空腹を刺激した


 「よし。食べよう」
 「ああ、大盛りで頼むぞ、ジュート」
 《もぐ‼》


 ルーチェとティエルのお土産も購入し、〔セーフルーム〕に送りつつパイをかじる


 「······うん。美味い‼」
 「ああ。焼き立ての香りもいいし、癖になるな」
 《もぐ〜》


 モルも満足してるのか、両手で器用にパイの欠片を持ちつつシェラの肩の上でモグモグ食べてる
 しばしパイを堪能してると、アグニたちが戻ってきた


 《よう、そろそろ宿へ行こうぜ。人間たちの話を聞くとどうやらモンスターたちも一緒に泊まれるらしい》
 「へぇ、じゃあみんなで泊まれるワケだな」
 《そうみたいっすね。へへっ、なんか嬉しいっす》
 《もぐもぐ》


 確かに。いつもみんな〔セーフルーム〕だし、こういうのはなかったからな


 「ははは。今日は宴会だな‼」
 《お‼ わかってんじゃん、龍の姉ちゃん》




 やれやれ、とにかく宿を探すか




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 この町で1番大きな宿へ着き、1番大きな部屋を取る
 シェラの言うとおり、今日は宴会だった


 モンスター用のエサをアグニたちが食べてみたら以外と美味かったので、【九創世獣ナインス・ビスト】を全員呼び出してパーティをした


 酒をたくさん注文し、料理を運び、あとはひたすらみんなで飲み食いする
 何度か給仕のおばさんたちが出入りしたが、特に不審な視線は感じず、むしろ忙しそうに働いてくれた


 今まで、こうやって騒ぐことがあっただろうか
 お喋りしながら飲み食いするのはとても楽しかった


 「さて、明日は買い物だな」
 「そうか。ではたくさん肉を買っておいてくれ」
 「わかってるよ。って言うか肉以外も買うけどな」
 「よし、それが終わったら【モンスターコロシアム】を見物しよう。あそこは魔物使いたちの契約モンスターを戦わせる場所で、見てるだけでも楽しいぞ?」
 「へぇ、面白そうじゃん」




 コロシアムか······なんかワクワクするな





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