ホントウの勇者

さとう

MID BOSS BATTLE②/【銃神ヴォルフガング】VS【機帝ディセス・ペラシオン】/揺れる・分離



 「壊子ッ、お願いやめてぇっ!!」
 「ほ、ホントに無差別……あたしたちも狙われてるっ!?」


 羽蔵が鷹を操り戦闘機を回避し、弓島が躱しきれない戦闘機を打ち落とす
 それを繰り返しながら確実に〔機帝ディセス・ペラシオン〕に近づいていた


 「で、でっか……」


 近づくにつれて分かる……その大きさ、威圧感
 まるで、巨大なビルが歩いているような……弓島はそう感じた


 「ねぇ、どーすんの? このままじゃこっちもマズイよ!?」
 「わかってる!! でも、あれには壊子が乗ってる。きっと私たちを……」


 だが、その考えは甘かった


 「ヤバッ!? 麻止ちゃん避けてッ!!」
 「くッ!!」


 〔機帝ディセス・ペラシオン〕は、下半身のブースターを噴かして急接近
 右手の巨大ハンマーで、羽蔵たちを叩き潰そうとした


 「な、なんて速さ…ッ!? あの巨体で!?」
 「ねぇ、狙われてるのアタシ達だよ!? 何でッ!?」


 右手のハンマーを巧みに操り、羽蔵たちを叩き潰そうとする
 ロボットの右腕はムチのようにしなり、動きが読みにくかった


 「く、離れなさいっ『灰羽凶鳥ハイハネマガドリ』!!」


 羽蔵の命令に「鷹」は目を輝かせ、翼を広げて全力でバックする
 普通の鳥には絶対に出来ない、絶妙な動きだった


 「壊子っ!! アタシたちが分からないのっ!?」
 「壊子っ!! 返事をしてっ!!」


 必死に呼びかけるが当然返事は帰ってこない
 それどころか、攻撃が悪化した


 『オォォォォォッ!!』


 〔機帝ディセス・ペラシオン〕が、怒りの咆吼を上げる


 「ぐ、ぅぅぅぅッ!?」
 「あ、たま……いたい……!?」


 まるで超音波のような咆吼に、『灰羽凶鳥ハイハネマガドリ』の動きが止まる


 「ま、とめ、ちゃん。マズイよ……ッ!!」
 「わかって、る……っ!!」


 空気の振動が、2人の動きを制限する
 再びのハンマーでの猛攻に、ついに対応できなくなった


 『オォォォォォッ!!』
 「しまッ!?」
 「麻止ちゃん!!」


 超音波とハンマーのコンボ
 迫り来る巨大なハンマーに、2人は目を閉じた




 「掴め、『左腕アルマイト』!!」




 突然、2人の身体が後方に引っ張られた




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 町の入口から僅か1キロ


 俺は町を覆う門の上で、ハンマーに潰されかけた2人を救助した


 「大丈夫か!? ケガないか!?」
 「………」
 「………」


 2人はポカンとしてる……うん、無事みたいだな
 すると、我に返ったのは羽蔵さんが先だった


 「な、なんで助けたのっ!! あなたは私たちの敵でしょ!?」
 「ふざけんなッ!!」


 俺の本気の恫喝に、羽蔵さんは身体を竦ませる


 「何が敵だ。俺は羽蔵さんを、弓島さんを……敵だなんて思ってない!! みんな同じクラスメイトだろうが。なんで、なんで分かってくれないんだ……!!」


 くそ、なんか泣けてくる
 こんな状況なのに、2人に会えて嬉しい俺がいる


 「いいか、俺は羽蔵さんと弓島さんが大事だ。死んで欲しくない!!」
 「な、なな何いってんのよジュート!? あんたこんな状況で……!!」
 「うるせぇ!! いいか、お前等が俺にどんな想いを抱こうが、俺はお前達を絶対に助ける!! 何があっても、どんな時でもな!!」
 「………あ、ははは。あんた、かっこいいくらいバカね」
 「んだよ、いいだろ別に。もう偽るのはやめた。どうせこの世界に永住するんだし、もう嫁も5人いるしな」
 「な、なんですって!? ま、まさか……高名さんたち?」
 「おう。もういろいろ卒業したぜ……ふふッ」
 「ぐ、ぬぬう……ジュートのくせにっ、あ、アタシも……あれ? アタシ、なんで?」
 「弓島さん?」
 「あ、あの……あれ? アタシ、あれ……どうして、なに、この気持ち」


 弓島さんは胸を押さえて苦しんでる 


 「あ、う……やっぱり、これがそうなのね?」
 「は、羽蔵さん!?」


 羽蔵さんも、同じように苦しみ出す
 ま、まさかコレって……まさかのまさか?


 「……ん?」


 もの凄いタイミングで、腕のバンドが鳴り始める
 これって絶対そうだよな。うん 
 俺はバンドのスイッチを入れ、話しかけた


 「………もしもし」
 『ふっふっふ、おめでとうジュート。ハーレム拡張の時だ、その2人をゲットしろ!!』


 やっぱそういうことか


 『うむ。やはり揺らいだな……このままパスを繋げば安定する。さっさと送れ、後はお前の到着までこちらで管理する』
 「マジかよ……」
 『ああ。あと〔機帝ディセス・ペラシオン〕だったか? そいつは知らん、私も初めて見たからな。じゃあ健闘を祈る』


 おいおいそれだけ? 少しは情報くれよ


 「あの」
 「な、何よ?」
 「えっと、あの」


 弓島さんは顔を赤くして胸を押さえ、羽蔵さんは俯いて恥ずかしそうにしてる
 不謹慎だけど……めっちゃカワイイ


 「話はあっちでマフィがするから、あとみんなもいるから」
 「は? マフィ?」
 「みんな?」


 2人は首をかしげてるが、俺はバンドに魔力を流して入口を作る
 場所は……2人の真下


 「え」
 「あ」


 2人はそのまま落下していった……後で謝ろう


 「じゃあ行きますか……へへッ!!」




 何故かとても嬉しく、何でも出来る気がした




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 「とは言ったけど……どうしよう。空でも飛ばないと攻撃が当たんねーぞ」


 さっそく壁にぶち当たる。そもそも鉛田さんはどこにいるんだよ
 俺の位置は門の上。〔機帝ディセス・ペラシオン〕は一キロ先の空中、多分500メートル以上は浮いてる


 流石に空は……あ、そうだ


 「ティエルッ!! 【アウトブラッキー】で行くぞッ!!」
 《りょーかいッ!! やったぁっ!!》
 《あーっ!! わたしも行くっ!!》


 すると、俺の隣に【アウトブラッキー】が現れる
 すでに飛行形態に変形しているので、俺は翼に飛び乗った


 「よし、頼むティエル……って、なんでルーチェが?」
 《着いてきちゃったのよ、全く》
 《むーっ、いいでしょ別にーっ!!》
 「ケンカすんなよ……まぁいいか、行くぜ!!」
 《オッケーッ!! 飛ばすわよッ!!》
 《いけいけーっ!!》


 猛るティエルと、はしゃぐルーチェ




 俺たちは大空へ飛び出した




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 「ティエル、なるべく近づいてくれ。まずは武器を破壊する!!」
 《オッケー、じゃあ右腕に回るわね!!》
 《ゴーゴーッ!!》


 ティエルがハンドルを切ると右腕、ハンマーの方向へ
 機帝は車の動きに合わせて回転し、死角に入れない


 「くっそ、機械のくせに考えてやがる!!」
 《任せて!!》


 ティエルは急上昇し、頭の高さまで上がる


 《行くわよジュート、掴まってなさい!!》
 「おぉぉっ!?」
 《やっほーっ!!》


 そのまま勢いを付け、螺旋を描きながら落下
 その動きに機械は対応できず、ピッタリと右腕に付くことが出来た


 「ナーイス!! いくぜモル、【魂融エンゲージ】!!」


 単発最強の『炸裂地石砲ヴェルディ・グラナーデ』を構え、二の腕あたりに集中砲火


 「チッ、固いな……!!」


 ゴツい鎧に包まれた腕に亀裂が入る
 でも、このまま行けば破壊出来る


 「よし、このまま······」


 そう思ったときだった


 「は……?」
 《え……?》
 《おぉ?》




 突如、右腕が肩からポロリと落ちた




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 ポロリと落ちた右腕は、飛行機と同じく消滅
 肩が空洞となってポッカリと空いた……なんかイヤな予感


 「な、なぁ……まさか」


 イヤな予感は当たる


 機帝の肩の空洞から、3本の鎖が飛び出した
 しかも、その鎖は電気を帯びている……電磁ウィップだ


 《か、躱せなかったら……ゴメンね?》


 ティエルは自信なさげに、頬をヒクつかせる




 どうやら、機帝にはまだ秘密がありそうだ





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