ホントウの勇者

さとう

MID BOSS BATTLE①/【銃神ヴォルフガング】VS【機帝ディセス・ペラシオン】/呪いの声・圧倒的



 「ちくしょう、なんでアレが……!!」


 俺は氷寒たちと合流するべく走り、少し先を走っていた4人を見つけた
 4人は俺を見ると嬉しそうに走ってくる。うん、うれしい


 「みんな!! 無事だったか?」
 「……ええ。なんとかね」
 「ふふ~ん、吹雪を止めたのはあたし~」
 「無事でよかった……」
 「大変だった」


 よかった、全員無事だな
 とりあえず全員に回復魔術をかけてケガを治す
 ここからは本題だ


 「みんな、あのロボットのことは?」
 「……わからないわ」
 「やっばいよね~?」
 「あんなの見たこと無い、誰の神器なの?」
 「カッコいいかも」


 やっぱそうか、カッコいいには少し同意する




 仕方ない、簡潔に話そう




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 俺はこれまでの経緯と、あの〔機帝ディセス・ペラシオン〕の詳細を説明する


 「……じゃあアレには鉛田さんが?」
 「ああ。弓島さんたちの話だと中にいるらしい、とにかくあそこから引きずり出さないと死んじまう」
 「で、でも……私たち全員、〔第二神化形態〕を使ったから暫く神器が使えないの」
 「マジか……よし、じゃあ俺に任せてみんなはマフィの所へ、アイツなら何か知ってると思うから分かったら連絡してくれ」
 「で、でも~、1人じゃ危険かも」
 「任せとけ、俺ならまだやれる」
 「わかった。すぐに連絡する」


 そう言うと虫菜はゲートを開いて消えてしまった
 あとの3人も慌てて後を追う


 「よし、とにかくアイツを押さえ……え?」


 改めて〔機帝ディセス・ペラシオン〕を見た
 すると機帝のボディが展開し、小さな機械が発射された


 「な、なんだ……?」


 その数は100や200どころじゃない
 1000、2000……まだ増える


 「や、ヤバい……ヤバい、ティエルッ!! 【魂融エンゲージ】だ!!」


 アレは、戦闘用の飛行機械だ




 アレが町を攻撃したら、町は火の海になっちまう!!




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 時間は少し戻り、まだ吹雪が吹いていた頃


 王城の中、各大陸の王と【特級魔術師】8人、護衛のメンバーは城の会議室で外の様子を伺っていた


 「·········」


 その中の1人、シャロアイトは黙って外を眺めていた


 「······ジュートくん」


 突然の吹雪、銃斗の〔神の器〕襲撃発言は、事情を知らない人間にとって恐ろしいことであった
 シャロアイトですら何も出来ずに、唯一の〔神の器〕であった銃斗を疑っていまい、激しく後悔した


 悲しそうに別れを告げ飛び出した銃斗が、そんなことするはずないのに


 会議室はこれからの対策を練るため、王様と【特級魔術師】が話し合いをしているが、シャロアイトは全く聞いていなかった


 「とにかく、この吹雪では外に出られん。吹雪が落ち着き次第、あの〔神の器〕の捜索、または抹殺をすべきだな」
 「待てよ、この吹雪がジュートのせいとは限らねぇぞ。むしろアイツは吹雪を止めるために飛び出したんだ。じゃなきゃここで自分の正体をバラす意味はないし、ホントに敵ならオレたちを皆殺しにすることも出来たハズだぜ」
 「し、しかしアートルム王······〔神の器〕は神の尖兵。何かの思惑が有ったのは間違いない」


 【黒の大陸】の王は銃斗を擁護している
 シャロアイトは、以外に思いつつも吹雪を見つめた


 「大丈夫かしら?」
 「え、あ···シトリン」


 シャロアイトの隣に来たのは、【黄の特級魔術師 シトリン・アングレサイト】だった


 「あなた、ジュートと旅をしていたんでしょ?」
 「は、はい。それが何か?」
 「ふふ。少し羨ましくってね、きっと楽しかったんでしょうね」
 「はい。遺跡調査をしたり、町で人助けしたり、遊技場で遊んだり······わたくしの人生で、最高の思い出です」
 「そう。なら······ちゃんとお礼をしなきゃね」
 「······はい‼」


 そう、あんな一方的な別れで納得出来るハズがない
 銃斗は〔神の器〕だが、それがどうした
 大切な思い出をくれた、大事な人に変わりはない


 「······ジュート、会えるの?」
 「あら? ルビーラ」


 いつの間にか隣に【赤の特級魔術師 ルビーラ】がいた
 ルビーラは俯き、泣きそうになっていた


 「······ジュート、喋ってくれなかった。久しぶりだったのに」
 「あらら〜、酷い男のコねジュートくんは」


 ルビーラを後ろから優しく抱きしめたのは、【青の特級魔術師 サフィーア・サピュロス】だった。まるで母親のようにルビーラを慰めてる


 「あの子はきっと戻ってくるわ。その時ちゃ〜んと、お話しましょうね?」
 「······うん」


 シャロアイトはその光景を見て、暖かい気持ちになる


 「シトリンお姉ちゃん‼」
 「ブラン?」


 隣にいたシトリンに、白いローブを着た黒髪の少女、【白の特級魔術師 ブーランジェ】が抱きついた
 その後ろには護衛だろうか、獣人の少女が2人、俯いていた


 「わたしもお兄ちゃんに会いたいよぉ、わたし···嫌われちゃったの?」
 「······ブラン?」 
 「【白の大陸】で、ちゃんとお別れ出来なくて······いっぱい助けてもらったのに、わたし······うぅ」
 「ブラン、泣かないで······あなたたちも」


 シトリンの視線は後ろの獣人に向く
 姉妹だろうか、顔立ちはよく似ている


 「私も、お兄さんに謝りたいです。お兄さんが怒るのは誰かのため······それを怖いだなんて思ってしまって、私はなんて愚かな······っ‼」
 「うぅぅ······ごめんなさい、お兄ちゃん······また、頭をなでてほしいよぉ······うえぇ」


 獣人の姉が、泣き出した妹を慰めてる
 シトリンは3人を優しく宥め始めた


 「·········」


 シャロアイトは、すぐ近くで壁に寄りかかる少女、【黒の特級魔術師 オニキス・オプシディアン】に視線を移す
 彼女の近くには、【灰の特級魔術師 シェラヘルツ】がいて、オニキスに話しかけていた


 「まさかジュートが〔神の器〕だったとはな。面白い」
 「シェラ、あなた······どうするつもり?」
 「決まってる。ジュートとは戦いの約束をした。くくく······面白くなるぞ」
 「ハァ、あなたは変わらないわね」
 「ああ。アタシはアタシだし、ジュートはジュートだ。1人の戦士として戦うだけだ。オニキス、お前は?」
 「······私も同じよ。ジュートには恩もあるしね」


 シャロアイトは思う
 ジュートは、こんなにも愛されてる


 「······ちょっとだけ、嫉妬します」


 銃斗が戻ってきたら伝えよう
 感謝と、気持ちを


 「あ······」


 そして、吹雪が弱まっていく
 次第に白い景色が収まり、いつもの町が見える


 「······ウソ」




 そして、絶望が全員を襲う




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 空を飛び交う戦闘機械を眺め、俺はティエルに向かって叫ぶ


 飛行機のデザインはシンプルで翼と胴体のみ、大きさは1メートルほどで以外とすばしこい


 「ティエル、行くぞ‼」
 《ムリよジュート、〔第二神化形態〕を使ってる時は【魂融エンゲージ】は使えないわッ‼》


 今さらだが俺は甘かった
 こんな大事なことを検証していなかった


 それに、神器を解いたらこの飛行機を止める手段がなくなる


 「だったら······このまま撃ち落とす‼」


 吹雪の影響で町に人影は見えない
 なら、ひたすら撃ち落とせば問題ない


 俺は建物の上に飛び上がり、飛んでいる飛行機を撃ち落とす


 「喰らえッ‼」


 幸いにも銀弾1発で撃ち落とせる
 しかも飛行機は魔力の塊らしく、撃ち落とすと爆発し、そのまま消滅した


 しかし、飛行機もただ撃ち落とされるワケではない


 「おわっ⁉ 特攻かよ⁉」


 奴らの武器は体当たり
 マズい、町の建物に特攻を仕掛けてる


 「だったら、【三連紫装填トリニティ・パープルチャージ】‼」


 シャロアイトの使った魔術、コイツなら適任だ


 「飛べ、【雷震飛鳥アストライアー・ロビン溜撃フルショット】‼」


 俺は天に向けて、紫の巨大な球体を放つ
 すると、球体からいくつもの鳥が飛び交い、飛行機を撃ち落とした


 「よし、これならいける‼······ん?」


 俺は、凄いスピードで何かが飛んでいくのを見た


 「おい、まさか······⁉」


 それは、機械のような鷹
 そこに跨がるのは2人の少女


 「まさか、止めるつもりなのか⁉」


 鷹は、一直線に〔機帝ディセス・ペラシオン〕に向かって飛んでいく


 「あんの、バカっ‼」




 俺は全力で飛び出した





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