ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE②/【銃神ヴォルフガング】VS【拳神】・【弓神】・【羽神】・【潜神】/パンツ・切り札



 敵は4人


 近距離攻撃の厳次と土丸
 恐らく遠距離攻撃の弓島さんと羽蔵さん
 今更だけど、多人数戦闘が多すぎるな


 土丸はモグラみたいな神器を装備して、厳次は変わらず両手両足、羽蔵さんは上空にいるロボット鷹に乗ってるし、弓島さんも鷹の上でゴツい弓を構えてる


 戦闘パターンは、厳次と土丸で近距離、弓島さんと羽蔵さんが遠距離を担当するって所か······問題があるとすれば


 「真藤くん、次はボクにやらせてよ。借りを返したいんだ」
 「やめとけ、お前だけじゃ勝てねぇよ」


 連携、かな
 ここに来るまで、どれくらいの時間があったのかはわからない。でも、連携訓練なんてやってないはずだ。無断で出てきたって言うくらいだし······そこに付け入るスキがあるはず


 狙いは······土丸だ‼


 「ふふん、じゃあ行くよ無月くん。あの時の借りを返させてもらうよ」
 「あぁ、来いよ」


 俺は言い終わる前に銃を連射した
 狙いは両足と両手、神器を破壊する


 「おっと、危ないねぇ無月くん」 
 「何ッ⁉」


 俺は上空を見上げる
 弾丸は全て、上空から飛来した矢に撃ち落とされた


 「どうかな、アタシの弓の腕前は?」


 ニンマリと笑いながら光の矢を構える


 「オイ、オレも忘れんなよ?」


 厳次も拳を構えて前に出た


 「全員、気を引き締めて。相手は最強の〔神の器〕よ」


 羽蔵さんが注意を促しつつ戦闘態勢へ
 このままじゃマズい、温存してる場合じゃないな
 俺は本気を出すことにする


 「【第二神化セカンドエボル銃神覚醒ヴォルフガング・アウェイクン】」


 吹雪を一時的に吹き飛ばすほどの閃光
 俺は〔第二神化形態〕へ変身する


 「悪いな、さっさと終わらせる」


 厳次と土丸は不敵な笑みを浮かべる


 「面白ぇな。じゃあオレも本気で行くわ」
 「じゃあボクも、相手してもらうよ」


 厳次と土丸も、〔第二神化形態〕へ変わる


 「【第二神化セカンドエボル拳神覚醒クライゼルシュネク・アウェイクン】」
 「【第二神化セカンドエボル潜神覚醒マオルビルフ・アウェイクン】」


 2人の姿も変わる


 厳次は全身鎧で拳が肥大化し、殴ることに特化した戦闘鎧へ
 土丸は、モグラのような姿が変化、爪がドリルに変化し、全身がずんぐりとした鎧に覆われる


 「『究極激拳のエクスプロシオン・ウルティマ滅衝撃・スパンキーインパクト』‼」
 「『タルポヴューレン・スカロプス』‼」




 俺は最悪の事態に気付かないまま、戦闘を始めた




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 「まずは小手調べ、【ドリルショック】!!」


 土丸が、両手に装備されたドリルを回転させる
 するとドリルが分離して発射される


 「………」


 小手調べ? 誰が、いつ、俺に対して……?
 それがもの凄くカンに触った


 俺は『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』を抜き、属性を込める


 「『三連【緑】装填トリニティ・グリーンチャージ』」


 俺は全力で真横に飛び、巌次と土丸の視界から外れる


 「あら?」
 「なっ、消えた……ッ!?」


 〔第二神化形態〕時、俺の身体能力は数倍に跳ね上がる
 通常形態では巌次の攻撃は見えなかったが、今は見える自身がある
 上空にいた羽蔵さんが叫ぶ


 「右よ、避けなさいッ!!」
 「遅い」


 巌次と土丸が俺に気が付くがもう遅い


 「【嵐乱旋風ハウルフォルトゥーナ溜撃フルショット】!!」


 風の弾丸が発射され、巌次たちの中央で炸裂
 竜巻の刃が2人を飲み込んだ」


 「うっぎゃあぁぁッ!?」
 「ちぃぃッ!!」


 土丸は吹き飛ばされたが巌次は耐えている
 俺は【雄永死輝絆剣ウィンクルス・デッド・スパーダ】を装備して走り出した、が


 「『月の瞬きステラウィンク』!!」
 「おっと」


 螺旋を描きながら一本の矢が飛来し、俺の眉間を正確に狙ってきた。もちろん叩き落としたけど


 「ジュート、てめぇッ!!」
 「来いよ巌次、遊ぼうぜ」


 俺は上空の2人を無視して巌次を挑発する
 不思議と負ける気がしなかった


 「おぉぉぉぉッ!!」
 「でやぁぁぁッ!!」


 巌次の拳にはブースターのような推進装置が付いている
 拳を繰り出すと加速し、引くと逆噴射する
 よく見ると全身に似たようなブースターが装着され、それらが火を噴きながら巌次の動きをサポートしていた


 俺は【雄永死輝絆剣ウィンクルス・デッド・スパーダ】を2本の小剣に戻して拳を躱し、いなす
 そして上空では弓島さんが光の矢を番えるのが見えた


 「『星の導きスターリーデ』!!」


 放たれた矢が複雑な軌道を描きながら俺に迫る
 狙いは……心臓か、頭か、首か


 「………」


 俺は巌次と打ち合いながら迫る矢に注意を向ける
 狙いは……頭だな。エグいぜ


 「へへっ、逃がさねぇぞッ!!」
 「チッ!!」


 巌次のスピードが上がり、ますます手が離せない
 なら、さらにスピードを上げて巌次のラッシュを弾けばいい






 「逃がさなぁぁぁいっ!!」
 「な、つッ、土丸ッ!?」






 しかし、突如地面から現れた土丸が、俺の足をガッチリ掴む


 「テメッ!?」
 「貫かれろォォォォッ!!」




 弓島さんの矢が、俺の心臓を貫いた




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 矢は俺の心臓を貫く……ワケがない


 「どわぁッ!?」
 「おぉっと、悪いな巌次!!」


 俺は躱せないと踏んで作戦変更
 矢は俺の心臓を狙って背後に迫っている……なら、背中に触れた直後に回避すればいい
 両足は土丸が掴んでいる、なら逃げられるのは……前方


 つまり、巌次を巻き込むように、巌次を押し倒して地面に転がった


 「じゅ、ジュート、てめぇッ!」


 俺は無骨な鎧姿の巌次の上に倒れ、その金属質な胸に手を置く
 土丸の手も離れ、地中から地面に出てきた


 ここで俺は、衝撃の事実に気が付いた


 背中を擦った矢が消えたので、追撃があると睨んで上空を見上げた
 案の定、弓島さんは矢を番え、羽蔵さんも「鷹」に何かを命じてる


 だが、そんなことは飛んでしまった
 俺は巌次の耳元に囁きかける


 「どけ、ジュートッ!!」
 「よく聞け、巌次っ!!」
 「んだよッ!!」


 俺はニヤリと笑い、昔みたいに笑って言う






 「羽蔵さんと弓島さん……パンツ丸見えだぜ?」






 「……マジで?」




 巌次は、間違いなく笑っていた




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 俺は巌次が見えるように体勢を変える
 ゴロリと転がって、ベストポジションに移動する


 「……おお」
 「な?」
 「ああ、なんかこういうの久し振りだな」


 ちなみに羽蔵さんが緑、弓島さんは水色だった


 「舞え、『針雀はりすずめ』!!」
 「飛べ、『彗星矢コメットペイル』!!」


 「「うぉぉぉッ!?」」


 なぜか巌次も攻撃を食らった……まさか


 「……スケベ」
 「……絶対に殺す」


 バレてた、しかもスカートを押さえて顔を赤くしてる
 こういうのがそそるんだよなぁ……


 「こういうのがそそるんだよなぁ……」


 あ、巌次も同じこと考えてる


 「だよな。昔さ、階段下でパン食べながらさ、昼休み中粘ったよな」
 「ああ。それでジュートが弓島のパンツ見てよ、バレてボコボコにされたよな」
 「あ!? そーいえばお前、あの時逃げただろ!!」
 「そ、そうだっけ? お返しに帰りラーメン奢ってやっただろ?」
 「違う!! 奢るって言ってお前……会計でサイフ忘れたとか言って結局俺が奢ったんだぞ!! あの時の850円、忘れてないからな!!」
 「う、そ、そうだな……」






 「『百舌玉葛もずたまかずら』!!」
 「『月光束射ムーンストーム』!!」






 「「ぎゃあぁぁぁッ!?」」




 風のボールと束ねた光の弓が、俺と巌次を襲い吹き飛ばした




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 「く、くそ……ジュートめ、まんまと罠にかかっちまったぜ」
 「えぇ~……」


 土丸が呆れてる……まぁしょうがないよね


 「さぁて、そろそろ決めるぜ!! 起きろ『左腕アルマイト』!!」


 左腕が膨張し、1メートルほどの大きさになる
 俺はそれを振るいながら『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』に魔力を込める


 「巌次、土丸!! 決着だぁッ!!」
 「ふん、おもしれぇッ!!」
 「ヤレヤレ、行くよッ!!」


 お互いの距離は30メートルほど


 「集え、全ての鎧」


 巌次の鎧が外れ、形を変えながら右腕に集まっていく
 鎧が巨大な右腕に変化し、巌次の腕から外れて浮遊する


 「コイツが俺の最強技。【クライゼル・ストライク】だ、本気で行くぜジュート!!」


 土丸は両腕からドリルを出して空中に集め、まるで掘削機のように何本も回転させる
 数が50を超えたあたりで、全てのドリルが俺に向く


 「いくよ無月クン……【ドリルパーティ-】の時間だ!!」


 2人からは怨恨は感じない、感じるのは闘志
 戦って勝つ、という思いのみを感じる
 なら、俺はこれに応える義務がある


 俺は左腕を巨大化させ、『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』に〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕を装填


 「来いよ、全部受け止めてブチのめす」


 その言葉が引き金となり、2人の大技が炸裂した


 「ぶち抜けッ!! 【クライゼル・ストライク】!!」
 「暴れろッ!! 【ドリルパーティ】!!」


 巨大な拳、無数のドリル
 どちらを受けても重傷は間違いない
 しかし、俺はそれを左手で受け止める




 「オォォォォォッ!! 食い尽くせ【魔力喰らいエーテル・イーター】!!」




 喰らうのは魂ではなく魔力
 神器も魔術も魔力を使う……なら、食い切れる


 「ウソだろ……ッ!?」
 「ぼ、ボクのドリルが!?」


 巨大化した左手は、徐々に右腕とドリルを飲み込む


 「うおおぉぉぉぉッ!!」


 全てを飲み込んだ所で、俺は『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』を向けて引き金を引いた


 「悪いな」


 土丸は顔を歪め、巌次は笑っていた……気がした




 「【銃神砲撃ヴォルフガング・ブラスター】!!」




 手加減した砲撃が、2人を飲み込んでいった




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 ボロボロになって2人は吹っ飛び、突然現れた緑色の物体が空中で回収する


 「……あれは、戦闘機か?」


 デザインは戦闘機、どちらかといえば爆撃機だな
 あ、【門】を開いて消えていった
 俺は未だに空を飛んでいる2人に質問した


 「まだやるのか? ちなみに俺の〔第二神化形態〕はまだまだ持つぞ?」
 「もちろん。でも……やるのは私たちじゃないわ」
 「え?」




 ここで、吹雪が止んだ




 「……な、なんで」


 俺の視力は、神器によって引き上げられている
 町の中央からでもわかった
 町の外、数キロ先からとんでもないモノがこちらに向かってる


 「あれが私たちの切り札……」


 羽蔵さんが微笑んでる


 「お、壊子ちゃんやっと来たのか~」
 「壊子……鉛田壊子さんか。じゃあアレには鉛田さんが!?」
 「そうだよ、壊子ちゃんが見つけて乗り込んだの。壊子ちゃんは【機神アトレシャトーラ】の〔神の器〕だからね。アレくらいの機械なら朝飯前だってさ」
 「ば、バカな……鉛田さんは死ぬ気なのか!?」
 「……何をいってるの?」
 「何をって、お前たちはアレの動かし方を知らないのかよ!?」
 「はぁ? 壊子ちゃんが任せろっていったんだよ?」


 「ふざけんな!! ディスプレイを見なかったのかよ、アレは操縦者の命を犠牲にして起動するんだぞ!? それが分かってんのかよ!!」


 ここで初めて2人の顔色が悪くなる


 「……ハッタリでしょ? 私たちを遠ざけるための」
 「バカ言うな!! お前ら程度を俺が遠ざけて何の意味がある、向かってくるなら瞬殺すればいい話だ!! クソッ、はやく鉛田さんを引きずり降ろさないと死んじまうぞ!!」
 「う、そ、そんな……だって、壊子ちゃんが大丈夫だって、呼んでるって……」


 弓島さんが動揺してる……もういい、放っておこう


 「そ、そんな……」
 「か、壊子ちゃん……」


 〔機帝ディセス・ペラシオン〕の記述には、遺書と操縦方法が載っていた
 俺は遺書を読み、操縦方法を見て触れてはいけないと思っていた


 「止めなきゃ……町がヤバい!!」




 俺は数百メートル先に4人の少女が走ってる姿を確認し、合流するために走り出した


 

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