ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE①/【銃神ヴォルフガング】VS【拳神】・【弓神】・【羽神】・【潜神】/拳の英傑・激闘



 吹雪がまだ止んでいない頃、俺は戦いの中にいた


 「くそっ、視界が悪い……!!」


 真っ白な吹雪で視界が悪い 
 しかも弓島さんと羽蔵さんは、戦いが始まって早々にいなくなった
 目の前にいるのは真藤巌次のみ、土丸もいない


 「行くぜジュート、気合い入れろよ?」
 「うるせぇよ、さっさと来い!!」


 俺は【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】と【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】を構えて巌次に向き直る
 たしかコイツは空手部のエース……半身を前に出した独特なポーズだ


 「あれ、神器は使わないのか?」
 「ま、とりあえずどこまでやれるか試して見たい」
 「……ナメんなよ?」


 俺は巌次に向かって突進し、様子見の一撃を振るう
 左手の振り下ろし、狙いは前に出した左腕


 「シッ!!」
 「なッ!?」


 なんと巌次は振り下ろした剣の腹に手の甲を会わせ、スナップを利かせてはじき飛ばした
 いくら様子見だからって油断しすぎた


 「おいおい、ナメてんのはお前だろ?」
 「あぁ悪かったなぁっ!!」


 俺はスピードを上げて剣を振るう
 手首を使い、腕・肘の回転で無限の斬撃を繰り返す……が


 「く、くそッ……何だよお前ッ!?」
 「………」


 巌次は無言で全てを弾く
 巌次も同じく手首をコントロールし、肘と肩で最小限の動きで斬撃を弾く
 手にはグローブのみ、神器を出していない


 「おぉぉッ!!」
 「………わかった」
 「なにッ、ぶふッ!?」


 てのひらを使った掌打が、俺の顔面に決まる
 しかし威力は弱く、俺の連激を止めて距離を取るための一撃


 「うーん……速さは大したモンだけどオレほどじゃねぇな。それにまだまだ動きも甘くてスキも多い」
 「………あ?」
 「いや、お前がかなり強いっていうから期待してたんだよ。今だって弓島たちには手を出さないように言ってあるし……うーん。レオンハルト様との戦いは見てないからなんとも言えないけど、ホントにお前がレオンハルト様を追い詰めたのか?」


 レオンハルト……あのデブか
 あの時はキレてたし、〔第二神化形態〕だったからな


 「それで巌次……お前はどうしたいんだよ?」
 「決まってんだろ、ローレライ様の考えが間違ってるって証明するんだよ」
 「……なんだそりゃ?」


 巌次は忌々しそうに俺を見る


 「ローレライ様はな、オレ達36人が束になってもお前には適わないって言ったんだよ。オレ達がそんなコト言われて納得できるワケないだろ? だから無断でこの大陸に来たんだよ」
 「ふーん、っていうか無断で来たのかよ?」
 「ああ。言い出しっぺは羽蔵だけどな」


 ナルホドな。どうやらコイツらはローレライの考えが間違ってることを証明に来たらしい
 確かに、36人が俺より弱いなんて言われて黙ってられないよな


 「じゃあいいか? そろそろオレからも行くぜ……!!」
 「ああ、俺も本気で相手してやるよ」


 巌次の圧力が高まり、神器が現れる


 「……おお、かっこいいな」
 「だろ?」


 それは両手両足を包み込む「籠手ガントレット」と「脛当レガース」だ。さらに口元にはマスクが現れ、カシャンと口元を覆う
 色は黄と緑。ゴツいデザインで殴られれば痛そうだ


 「【拳神クライゼルシュネク】の神器・『衝撃の激拳エクスプロシオン・スパイカー』だ。当たると痛いぜ?」
 「ああ、気を付けるよ」




 俺と巌次は正面から激突した




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 「行くぜッ!!」
 「こ、いぃぃッ!?」


 巌次が一瞬で眼前に迫ってきてビビった
 俺との距離は10メートル以上あったのに、一瞬で0になった
 巌次はすでに左拳を軽く突き出す……ジャブだ


 「う、おぉぉッ!?」
 「オラ、どんどん行くぜ?」


 かろうじて防御するがジャブは止まらない
 一度拳を突き出したはずなのに、5発以上衝撃が来る
 右手の籠手で顔をガードし、左手の剣で身体をガードする
 防戦一方で攻撃に移れないし、ジャブなのに拳が重い


 「く、そッ……おりゃッ!!」


 後退しながら何とか跳躍し、そのまま『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』連射する
 しかし、巌次が手をパパッと動かしたのを見ると、弾丸は消えていた


 「へへ、一度やってみたかったんだよ……弾丸キャッチ」
 「う、ウソだろ!?」


 巌次の右手からパラパラと弾丸が落ちる
 10発以上撃ったのに、全部右手だけで掴まれた


 しかし俺はすぐに思考を切り替え、的確な攻撃手段を選ぶ


 「行くぞクライブ、【魂融エンゲージ】だ!!」
 《はいっす!!》


 俺はクライブを身に纏い、『暴風機関銃ヴァンフーン・アヴェンジャー』を呼び出す
 巌次との距離は15メートル、機関銃ならキャッチは出来ないはず


 「喰ら」
 「させねーよ」


 なぜかすぐ近くに巌次がいた


 「へっ、お前の戦闘データは大量に揃ってる。どんな力で、どんな技で、どんな攻め方をするか……クラスの連中と常に研究してるんだ。負けねーよ」


 巌次は『暴風機関銃ヴァンフーン・アヴェンジャー』にショートアッパーを繰り出し空中に放る
 俺は動けずにその光景を眺めてしまった


 「【クラッシュ】!!」


 落ちてきた、『暴風機関銃ヴァンフーン・アヴェンジャー』に拳が叩きつけられると、衝撃で爆発した
 よく見ると巌次の神器が変形し、拳の部分の装甲が開いていた
 しかし、そんなことはどうでも良かった


 「く、クライブッ!!」
 《じゅ、ジュートさん……ごめんっす》


 『暴風機関銃ヴァンフーン・アヴェンジャー』の破片が集まり、クライブの姿が現れた
 ボロボロで羽も千切れ、足が何本か折れていた


 「し、しっかりしろ!!」
 《う、うぅぅ……》


 クライブはそのまま消えてしまった


 「あ、ああぁぁ……」
 《ジュート、クライブグリューンなら大丈夫ヨ。休めばすぐに治るワ!!》
 「ほ、ホントかッ!? よかった」






 「良くねーよ、よそ見すんなよ?」






 巌次の拳が、蹲っていた俺の顔面に突き刺さった




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 「ぐ、ゲハッ!?」


 地面を転がりながら何とか体勢を立て直す


 「オラぁッ!!」
 「うぎッ!?」


 しかし、巌次が早すぎて対応が遅れる
 動きに全くついて行けない。このままじゃマズイ


 「こ、このッ!!」
 「ふん、何だそりゃあッ!!」


 剣を振るうが躱されるか受け止められる
 距離を取ることも難しい、常に巌次は2メートル圏内に張り付いている


 「が、あぁッ!!」
 「はん、そんなモンかよッ!!」


 何度も地面を転がり距離を取ろうとするが、巌次はそれを許さない
 そして、それはついに来た


 「【バースト】ッ!!」
 「ぐ、うぅぅ、がはぁぁッ!?」


 巌次のボディブローを受け、空中に飛ぶ
 俺は薄れる意識の中、最後の賭に出た


 「………」
 「ふぅ、終わりか……何が最強だよ」


 巌次はうつぶせの俺を見てトドメを刺そうと拳を振り上げた


 「じゃあなジュート。式場にはオレが倒したって伝えとく」
 「……やめとけ、殺されるぞ?」
 「どうかな」


 巌次は、拳を振り下ろした
 俺は横に転がり拳を回避、数メートルの距離が出来た
 それと同時に俺は銃を構える






 「喰らえ」






 俺は巌次に向かって『黒玄散弾銃アスワド・シェル・ショット』の引き金を引いた




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 「ぐぅッ!?」


 いきなりの散弾銃に、巌次は瞬間的に防御を選んだ
 両腕を交差して散弾をガード、しかし構わず打ち続ける


 「おぉぉぉぉッ!!」


 何度も何度も打ち続け、巌次は次第に下がっていく
 俺も身体の痛みに撃つのをやめた


 「テメェ……いつの間に」
 「へっ、お前に殴られて吹っ飛んだとき、こっそり変身したんだよ。この【骸骨神化ソウルオブナハトオルクス】なら色も黒いし、それにお前も知らない力だからな」


 そう。この姿はまだ見せていない
 しかも色も黒でよく見ないとわからないし、今は吹雪で視界もよくない
 ごまかすのには全く問題無かった


 「それに……ここからが本番だ、『髑髏死体ボーンガダベル』」
 「な、何だとッ!?」


 巌次は急に現れたガイコツ集団に驚いていた


 「さぁいくぜ……『個々突撃ワイルドブリッツ』!!」


 俺の言葉を合図にガイコツたちが暴れ出す
 片手用散弾銃を装備し、腰の剣を抜き、盾を構える


 おのおのが好きな戦法で巌次に飛びかかった


 「この、ホネごときがッ!!」
 「まだまだ行くぜッ!!」


 さすが巌次、ガイコツたちを次々と殴り蹴り壊していく
 しかし俺もただ見てるだけではない


 「オラオラ、まだまだ出るぜッ!!」


 散弾銃を連射し、『髑髏死体ボーンガダベル』を次々と生み出す
 巌次が疲れるまで何体でも生み出してやる


 「くっそ、がフッ!? このヤロッ!!」


 さすがに2000体以上のガイコツ相手だと厳しいらしく、何発も攻撃を食らっている
 ショットガンの柄で殴られ、盾で頭を叩かれ……巌次も応戦するが数が違う


 「終わりだ巌次!!」
 「はん、ジュート……何か忘れてないか?」


 巌次はニヤリと笑う……忘れてること?






 「『太陽の矢サニーレイン』!!」
 「『灰色の羽グレーフライ』!!」






 それは、「矢」と「羽」だった


 輝くような光る「矢」が、『髑髏死体ボーンガダベル』を浄化する
 鈍くきらめく「羽」が、『髑髏死体ボーンガダベル』を粉砕した


 2000体以上のガイコツは、一瞬で消え去った


 「う、ウソだろ……ッ!?」


 俺は通常の〔神化形態〕に戻り、攻撃が放たれた場所……空中を見た
 吹雪の中を何かが飛んでくる


 「あれは………「鳥」か?」


 そこにいたのは巨大な「鳥」
 鈍い鉄色の巨大な翼を持つ、「タカ」のような鳥だった
 まるで機械で出来ているような鋼鉄のボディの鳥の上に、弓島さんと羽蔵さんが立っている


 「やっぱジュートは強いねぇ、真藤1人じゃムリだったね」


 弓島さんは、輝く大きな「弓」を手に微笑んでいた
 恐らく属性は【白】だ。じゃなきゃガイコツを浄化できない


 「ワガママは終わり。ここからは私たちも入るわよ」


 羽蔵さんが冷たい目で俺を見据える
 マズいな、巌次だけでも厄介だってのに……!!


 「むふふ、ボクもいるからね」
 「チッ、仕方ねぇ」


 ボコンと地面から土丸が現れる
 その隣には立ち直った巌次が構えを取る


 「ふぅ……」


 落ち着け、心が乱れると敗北する
 絶対に勝つ。相手が【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】でも




 俺は全神経を集中し、攻撃に備えた





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