ホントウの勇者

さとう

王都パープルテッラ④/解体・7つの想い



 と、いうわけで〔シャロアイト研究所〕へ


 「ただいま戻り」
 「シャロアイト~~ッ!!」


 帰ってくるなり研究員の少女ララベルがシャロアイトに飛びついてきた
 シャロアイトはその胸に埋もれてフガフガ言ってる……羨ましい


 「待ってたわシャロアイト、もうわかんないことだらけで疲れたよぉ!!」
 「むぐぐ……とりあえず離れて下さい」


 ララベルはここでやっと離れた
 俺を視界に入れてつまらなそうに呟く


 「なに? また来たのアンタ?」
 「は? お前に関係ないだろ?」


 俺がコイツに頭を下げたりこびへつらう理由はない


 「へぇ、アタシが誰だか知らないようね。アタシは」
 「あ~~いい、いらね。お前の事なんかどうでもいいし興味の欠片もないから!!」


 俺は両手を前に出してストップをかける


 「シャロアイト、さっさと行こうぜ。ロボットを見るんだろ?」
 「はい。行きましょう」




 俺とシャロアイトは少女を置き去りにして研究所へ入った




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 「待ちなさいよ~~ッ!!」


 と、思ってたら少女が後ろから現れた
 どうやら無視されたのが応えたのか、かなり怒ってる


 「アタシを無視するなんていい度胸してるじゃない!! このハイデローゼ家の次女、ララベル・ハイデローゼを侮辱したことを後悔させてやるんだから!!」


 うぜぇ……なにコイツ
 結局、名乗りを聞いてしまった。どうやらコイツは貴族みたいだな


 「ララベル、いい加減にしてください。ジュートくんに失礼なことをしないように」
 「で、でもシャロアイト……」


 ララベルは俺とシャロアイトに着いてくる
 どうやらコイツもロボットに用があるらしい


 そして分析室に到着
 さっそく中に入るとレクシアさんが迎えてくれた


 「おや、シャロアイトにジュートさん」
 「お疲れさまです。レクシア、なにか進展はありましたか?」
 「いえ。構造が複雑で分解すら難航しています」


 ロボットに見ると、どうやら身体を覆っていた装甲を取り外された状態だった
 内部構造が剝き出しで、それはどうみても機械だった


 「やっぱな……」


 間違いない。〔古代具〕は機械だ


 「ジュートくん。見てわかりませんか?」
 「ん? いや流石にこれはな……」


 俺に機械の知識はない
 しかし、シャロアイトに言われてなんとなく見てみる
 すると、見覚えのあるモノがあった


 「これは……バッテリーかな?」


 あったのは四角い箱のようなモノ
 中には液体が満たされていたので多分だけどバッテリーだ
 するとシャロアイトが食いついてきた


 「ばってり……以前も聞きましたがそれは何ですか?」
 「ああ。バッテリーはエネルギーを貯めておける装置なんだ。エネルギーは電気で、このロボットが動く力をこの箱に貯めておいて充電するんだ」
 「ふむ。と言うことはこのロボットの力は電気で、ロボットが動くことで更なる電気を起こしてこの箱に
貯める……ふむ、永久機関なのですね」
 「いや、この中の液体がなくなれば充電が出来ない……はず」


 うーん、流石にわからんな
 あのロボットがいつからあったのか、侵入者を感知したのは間違いないと思うけど


 「ふむ。ではまずこの箱と中の液体を分析しましょう。同じモノを作れるかも知れません」
 「分かりました。ララベル、行きますよ」
 「あ、待ってよー」




 こうして作業はゆっくりと進んでいく




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 「ありがとうございます。おかげでだいぶ作業が進みましたよ」
 「いえ、お役に立てたなら」


 レクシアさんが笑顔でお礼を言ってくる
 さすがに機械のことは分からんがここの人達よりは知ってる
 とはいえ頭の中から集積回路みたいなのが出てきたときは説明に困ったけど
 コイツがこのロボットの頭脳ですよ、なんていって分かるはずがない


 「さ、今日はもう終わりにしましょう」
 「お、やったぁーっ!! おしまいおっしまーい!!」


 その言葉にララベルは反応し、さっさと帰ってしまった


 「やれやれ……優秀なのですが、まだまだ子供で……」


 レクシアさんは苦笑
 まぁその気持ちも分からんでもない


 「では私も失礼します」
 「お疲れさまです」
 「お疲れっす」


 他の職員も帰宅し、いつの間にかシャロアイトと二人きりだ


 「さて、わたくしたちもご飯にしましょう」
 「そうだな。今日は何にする?」
 「カレーがいいです」




 何度も繰り返してきた夜が老けていく……




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 それから3日、何事もなく過ぎていった


 俺は城の中の与えられた部屋で考え事をしていた


 ここで俺は思い立つ
 〔8大王協議会〕では全ての【特級魔術師】が揃う
 大勢の前で俺の正体が露見する場合がある


 ルビーラは……まぁ大丈夫だろう
 サフィーアは……これも平気かなぁ
 シトリンは大丈夫。正体はバレてない
 エメラルディアは……バレてない
 ブラン……こいつはマズいな。正体はバレてる
 オニキスはバレてる、けどコイツは平気だろう
 シャロアイトは大丈夫。ある意味1番信用できる
 【灰】はまだ出会ってない、これを機に顔を拝んでおくか


 あれ、よく考えるとけっこうマズいな……どうしよう


 特にブランがヤバい
 最後の最後で神器を使ったのがバレたし、王様からいろいろ聞いてる可能性がある
 今回出てくるのは王様とブランだ、ヤバすぎる


 かと言ってここでやめるわけにも行かない
 騎士団長とシャロアイトの顔にドロを塗ることになる


 「うーん。いざとなったら逃げるしかないか」
 《そうネ》
 「うおっ!?」


 いつの間にかクロがベッドの上にいた


 「お前な……もういいや」
 《フフ、久し振りネ》
 「ああ、悪いな…最近みんなに構ってやれなくて」
 《いいのヨ。みんなわかってるワ》
 「そうか……?」
 《エエ。ワタシたちは本来なら人間と関わる存在じゃないワ。どちらかと言えば見守る存在……だから気にしなくていいのヨ。アナタは戦いでワタシたちを使ってくれればネ》
 「………」


 それじゃただの道具だ


 「それじゃ………」
 《ナニ?》
 「………いや、その」


 言えない
 俺は間違いなくみんなの力を使ってきた
 道具、と言われたらみんなはどう思うだろうか


 俺はみんなを道具だなんて思ったことは一度もない
 一緒に旅をする大事な仲間……これは間違いない


 「俺はクロを、アグニを、ルーチェを、モルを、クライブを……ティエルを、ナハトを大事に思ってる、感謝してる。みんながいなかったらここまでこれなかった」
 《……そうネ》
 「クロ、お前は俺の命の恩人だ。だから……使うだなんて言うな、言わないでくれ」
 《………ゴメンなサイ》


 俺の気持ちは、伝わっただろうか
 すると頭の中に声が響く


 《ジュート、あんま深く考えんなよ。お前がどう考えようと、オレたちはお前の側にいる》
 《うん。わたしたちみ~んな、ジュートが大好きだからね!!》
 《もぐ!!》
 《そうっすよ。それに、おいら達は一蓮托生!! 生きるも死ぬも一緒っす》
 《ええ。この呪い…いえ、封印が解けないまま死にたくはないけどね》
 《カッカッカ!! どんな気分だろうと今日も明日も酒はウマいもんさ》


 俺の思いは同じだ
 みんなは大切な仲間……一緒に旅をする仲間
 この世界で出来た、かけがえのない大切な宝物


 「みんな……ありがとう。これからもよろしく頼むぜ」


 感謝の言葉を贈る
 こんなありきたりな言葉だけど、心を込めて


 《おう、気にすんなや》
 《うん。がんばろうね》
 《もぐッ!!》
 《へへっ、がんばるっす》
 《仕方ないわね……ふふ》
 《カッカッカッカッ!!》


 【銃神ヴォルフガング】は、いい仲間と旅をしたんだな


 《ジュート、アナタなら………》
 「クロ?」


 クロが何かを言いたそうにしていた


 《……なんでもないワ》
 「なんだよ?」


 何気ない会話が、俺の心を満たしてくれた






 そして、〔8大王協議会〕が始まる


 

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