ホントウの勇者

さとう

楽園都市ラーベイン⑤/完成・ビノンテンパーク



 翌日、フォーミュライドから職人が資材と共にやって来た
 その中にはなんと知り合いもいた


 「デボンさん、マードックさん⁉」
 「やぁジュートくん。【特級魔術師】の依頼と言うからもしかしてと思ったが。まさかというか、やはりというか」
 「ようジュート、手伝いに来てやったぜ‼」


 2人の登場に思わず顔が綻んだ


 「お久しぶりです。その後はいかがお過ごしでしょうか?」
 「ああ。今は飛行魔導車の開発に夢中さ。【パープルイーグル社】は息子に任せてあるから問題ないしね」
 「ったく。オヤジの道楽には呆れるぜ」


 久しぶりの会話はやっぱ楽しい
 と、仕事の話をしないとね


 シャロアイトは設計図を2人に見せて詳細を説明した


 「ふふふ、実に面白い。これだから魔導車はやめられない」
 「同感だ。一生を賭けても惜しくないぜ」
 「では、ジェットコースターの指揮はデボンさんにお任せします」
 「任せてくれ、最高のものを仕上げよう。行くぞマードック‼」
 「おう‼ ヘバんじゃねーぞオヤジ‼」


 デボンさんとマードックさんはケンカするように走って行った
 こりゃかなり期待できるな


 「さて。見回りをしつつお手伝いしましょう」
 「そうだな」


 魔道車の職人が合流。これで作業はもっと進むな


 予定制作期間はあと4日




 ここまでで驚異的なスピードだった




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 資材の加工、組みたて、そしてエンジンの制作などはかなりのハイペースで進められた


 エンジンの制作はシャロアイトの指揮の元進められ、かつての経験を活かしたおかけで半日で完成。試運転を含めて一日で終わった


 さすがというか、魔道車職人は1人1人が腕利きで、一度指示を出すと瞬時に連携、あっと言う間に作業を終えてしまう


 おかけで指示を出してその場を離れ見回り、再び戻ると既に作業が終わってる······なんてことがほぼ全てのグループであったので、指示を出すシャロアイトが一番忙しかった


 そして、作業のほぼ全てが終了
 ジェットコースターやその他の試運転をする日が来た


 人間はまだ危ないので砂袋を乗せての実験


 「さて、行きます」 


 相変わらずシンプルな声でジェットコースターを遠隔起動させる
 これはレールを伝い魔力を流すことで起動させる、シャロアイトの考えた最新技術らしい


 魔力を流されエンジンは起動
 大人数を引っ張るエンジンは大型だが静か


 「······発進」


 遠隔起動端末のレバーを操作、前進を始めた


 「おお···」
 「来たぞ···」
 「見守るんだ···」


 職人たちも静かに見てる
 その表情は真剣そのもの


 「よーし······いいぞ」


 コースターはレールを伝い上に···そして


 「······行きなさい」




 そのまま猛スピードでスタートした




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 コースターはすごいスピードで走りだす
 おそらく100キロは楽に超えている


 「よし。最初のループだ‼」


 最初のループも難なく通過、砂袋も動いてない
 捻り、螺旋もクリアし連続ループもクリア


 「すげぇ‼」


 そのままトップスピードに入り2周目
 そして······ゴールイン


 間違いなく大成功だ
 その証拠に、職人たちが肩を組んで大喜びしてる


 「砂袋では成功です。次は人間を乗せて運転してみましょう。誰か希望者は?」


 とたんにピタリと騒ぎが止まった
 お互いが顔を見合わせて困惑してる


 まぁそうだよな。未知の乗り物だし恐怖するのはわかる
 だからこそアイデアを出した俺が行くべきだろうな


 「俺が行くよ」
 「そういうと思ってました」


 なぜか微笑むシャロアイト
 うーん、見透かされていたのか




 じゃ、行きますかね




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 「うおーっ‼ あっはははぁっ‼」




 やべぇ、めちゃくちゃ気持ちいい
 俺は異世界でジェットコースターに乗ってる‼


 先程と同じスピードでループを回る
 連続ループや螺旋、捻りをクリアしてトップスピードへ


 「きんもちいぃぃぃーっ‼ サイコーッ‼」


 しかし、何事にも終わりはある


 「ふぅ〜っ」


 停車、そのままシャロアイトのもとへ


 「とうでしたか?」
 「サイコーだった」


 俺の笑顔に感化されたのか、乗車希望者が続々と出て来た
 何人か気を失ったが楽しかったと言う意見が多く、ジェットコースターはひとまず完成した


 他の乗り物も続々と完成




 遊園地は、間もなくオープンを迎える




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 「やぁジュートさん、こんにちは」
 「どうも、ビノンテンさん」


 全てのアトラクションの最終チェックが完了し、オープンの2日前
 今日はリクトとマオちゃん、奥さんを連れたビノンテンが遊園地の最終チェックをしに来た


 ビノンテンさんは町の宣伝をし、この遊園地···〔ビノンテンパーク〕の設立者として大いに人気者となった


 今日は特別に家族で来た
 これも俺がお願いし、リクトとマオちゃんとの約束を果たして貰うための計らいでもある


 「お兄さん、今日はパパとママが遊んでくれるって‼」
 「うれしい‼」
 「おお、良かったな」


 リクトは俺の買ってあげた剣のおもちゃを腰に差していた
 マオちゃんはビノンテンさんが抱っこしてる


 「さて、これから町長には一通りのアトラクションを体験して頂きます。立役者がアトラクションの説明を出来ないのは恥ずかしいことですからね」
 「ああ。任せてくれ‼」


 それでは体験してもらおう




 笑顔の4人家族でな




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 久しぶりの家族の団欒
 しかも、楽しいアトラクションでの休日


 リクトもマオちゃんも大変満足で、ジェットコースターとフリーフォール以外のアトラクションは全て体験した


 全てが終わると、子供2人は眠ってしまいビノンテンさんと奥さんが抱っこしていた


 「いやぁ、これならきっと上手くいく。ほんとうにありがとう」
 「いえ、仕事ですから」


 いつものシャロアイトの返事
 薄く微笑みビノンテンさんと握手をする


 「ジュートくんも、ありがとう」
 「いえ、俺は何も」


 俺も固く握手
 あとはオープンしてどれだけ反応があるかだな




 さぁて、あとはオープンを待つのみだな




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 〔ビノンテンパーク〕はいよいよオープン


 予想していた通り、大混雑だった


 「ふむ。想像以上ですね」
 「ああ。でも楽しそうだな」


 見た感じ人気はジェットコースターとフリーフォール
 既に長蛇の列が出来ており、空からは楽しそうな悲鳴も聞こえる


 「まだまだ敷地は広い、アトラクションを増やして広げるのもいいかもな」
 「ほう。それは面白い」


 やべ。シャロアイトが考え込んでる
 余計なことを言ってしまったかもな


 「と、とにかくここでの仕事は終わったし、〔ボルボ岩山〕を抜けて王都へ向かおうぜ」
 「そうですね。そろそろ帰って〔8大王協議会〕の準備をしないといけませんしね」


 俺たちは宿に戻り、ゆっくりと寝た
 翌日、ビノンテンさんに挨拶をして出発する


 「そうですか、王都へ······」
 「はい。それでは失礼します」
 「お世話になりました、ビノンテンさん」


 俺とシャロアイトは挨拶を終えて部屋を出る


 「お兄さん‼」
 「おにーさーん」
 「おっと」


 リクトとマオちゃんが抱きついてきた


 「いっちゃうの?」
 「もっとあそぼーよー」


 うーん。こう言われるとキツイな
 リクトはおもちゃの剣、マオちゃんはネコのぬいぐるみを抱きしめている


 「ゴメンな、また遊びにくるから元気でな」
 「うぅぅ」
 「そんなぁ」


 俺は優しく頭をなでてやる


 「リクト、マオ、ちゃんとお兄さんにまたねをしなさい。そうすればまた会えるから」


 ビノンテンさんが2人に優しく言う
 するとリクトとマオちゃんは振り向いた


 「お兄さん、またね‼」
 「またね‼」
 「ああ、またな」




 こうして俺とシャロアイトは、ラーベインを後にした




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 「よーし、後は〔ボルボ岩山〕を抜けて王都だな」
 「はい。もうすぐですね」


 【アメジスト号】で空を飛びながら話をする
 もうすぐ【紫の大陸】での冒険も終わりかな


 「もうすぐジュートくんとの旅も終わりですね······」
 「だな、でもまだ残ってるだろ?」
 「······はい」


 俺の目的は王都の先にある〔バルバリー古代遺跡〕
 そこにいるインヘニュールを仲間にする


 「ま、もうしばらくは頼むわ」
 「はい。わかりました」




 俺たちは〔ボルボ岩山〕に向けて飛んでいく





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