ホントウの勇者

さとう

楽園都市ラーベイン①/輝き・カーニバル



 「今日はこのくらいにしとくか」
 「はい。晩ごはんですね」


 〔楽園都市ラーベイン〕へ向かう街道で、俺とシャロアイトは【アメジスト号】を停車させ【アウトブラッキー】に乗り換えた


 「さて、何が食べたい?」
 「むむ、そうですね······昨日がお魚でしたので今日はお肉がいいです」
 「よし。じゃあ肉丼でも作るか」
 「おお、楽しみです」


 【アウトブラッキー】のキッチンで調理をする
 腹が減ったので肉丼は大盛り、サラダとスープも作りテーブルに並べた


 「おーい出来たぞー」
 「はい。今行きます」
 《ニャ》


 シャロアイトはご飯が出来るまでの間、クロと一緒にベッドでコロコロ転がることが多い


 「よし。いただきます」
 「いただきます」


 合掌し早速食べ始める
 うん、うまい。今回もよく出来た


 「うーん、ジュートくんのご飯は絶品です。お城のご飯よりおいしいです」
 「そりゃどうも。たくさん食べろよ」
 「はい。おかわり」
 「あいよ」


 こうして食卓を共に囲むものも何回目だろうな




 穏やかに、楽しく食事を済ませた




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 食後のお茶で一服······この時が1番落ち着く


 「ジュートくん、〔楽園都市ラーベイン〕を抜けて〔ボルボ岩山〕を超えれば次はいよいよ〔王都パープルテッラ〕です」 
 「そうか、じゃあもうすぐ依頼達成だな」
 「はい。その前に〔8大王協議会〕のこと忘れないで下さいね」
 「ああ。そう言えばそんなのあったな」
 「…………」
 「じょ、冗談だよ」


 なんかスゴい冷たい目で見られた


 「王都に着いたらまずは王へ謁見していただきます。それから、わたくしが選んだ王の護衛ということで紹介します。この人事はわたくしに一任されてるので問題ないと思いますが……もしかしたら騎士団長が文句をつけてくるかもしれません」
 「騎士団長ねぇ……強いのか?」
 「はい。王都では間違いなく最強です」
 「ふーん」


 まぁどうでもいい
 それより目の前のことが気になる


 「ところで〔楽園都市ラーベイン〕で仕事があるんだろ、確か……」
 「魔導遊具の新型と改修作業ですね、ところで……ジュートくんの世界ではどのような魔導遊具があるのですか?」


 魔導遊具……ようは遊園地のアトラクションか


 「そうだな……ジェットコースター、観覧車、お化け屋敷、ゴーカート、フリーフォール……そういえば潜水艦みたいなのもあったな」


 とりあえず思いつく物をズラリと並べる


 「…………???」
 「まぁわからんよな……よし」


 俺は紙とペンを取り出して図解で説明した




 「いいか、ジェットコースターってのは……」




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 「おお……おおおおお……来ました、天啓が来ましたッ!!」
 「おわっ!?」


 俺が思いついたアトラクションを説明し終えるとシャロアイトは勢いよく立ち上がった


 「なるほど……ジェットコースターですか。連結させた乗車席に固定し魔導エンジンで引っ張る……ふむ、フォーミュライドで学んだことが早速使えそうです。それにフリーフォール、これも面白い。さらに潜水船、水中の中を散歩できる……ふむ」
 「お、おい……」


 部屋の中をグルグル回りながらブツブツ呟いてる
 これはマズイ、こんな所で図面なんて書き出したらめんどくさい


 「おいシャロアイト、図面は町に着いてから書けよ」
 「むむむ、今ではダメですか?」
 「ダメ、町まではあと2・3日だろ。それまではメモだけにしとけ」
 「むむむ……わかりました」
 「よし、風呂入るぞ」
 「はい」


 シャロアイトを何とか説き伏せて風呂へ
 〔ガーボ地下遺跡〕での一件から一緒に入るようになった
 俺の前で裸になったりすることに抵抗がなくなったんだよなぁ……なんでだろ?


 服を脱いで全裸に、そして湯船にお湯が貯まるまで身体を洗う


 「ジュートくん。背中をお願いします」
 「おう」


 シャロアイトの背中を綺麗に洗う……よし


 「ほれ、前は自分でな」
 「はい。ではジュートくんの背中を」
 「お、サンキュー」


 シャロアイトはスポンジで俺の背中をゴシゴシ洗う
 力加減も丁度良くとっても気持ちいい


 「ふぅ、気持ちよかった」
 「はい。では湯船に」


 浴槽にお湯が貯まったので湯船に
 俺が浴槽に寄りかかり、シャロアイトが俺に寄りかかる


 「あ~……いいな」
 「はい。全身が温まりポカポカします。この感覚は魔術では味わえません」
 「だろ? これからもちゃんと入れよ」
 「そうします」


 シャロアイトの頭は俺の顎の下にある
 少し視線を下げると膨らみはじめの乳房が見えた


 「む、えっちな視線を感じます」
 「なんじゃそりゃ……」
 「ふふふ、わたくしは12歳。あと5年もすればきっとスゴいことになります」
 「へー」


 そう言ってシャロアイトは自分の乳房をマッサージ
 まぁ12歳でコレなら5年後はスゴいだろうな……どうでもいいけど


 「ジュートくん。触ってみますか?」
 「チェンジで」
 「…………」
 「いででででッ!?」


 イタズラっぽく囁くシャロアイトをバッサリ
 すると何故か耳を引っ張られた


 《………ヤレヤレ》




 何故かベッドの上にいるクロの声が聞こえた




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 「お、おおおおお……っ!!」
 「見えてきましたね。アレが〔楽園都市ラーベイン〕です」


 見えてきたのは様々な光
 それは言い直せばイルミネーション


 町、というより目立つのは城
 町の中央に城が建ちその周りに様々な形の建物が見える
 少し低めの塀からいろいろ見える……住宅などは見えない、あるのは店やよくわからない建物ばかり


 「この町……正確には町ではありません。【紫の大陸】の収入源の1つで、最新の魔導技術を導入した乗り物や魔道具、さらには温泉や豪華な宿や様々なお店を並べることによって町のように見せかけています。住人は基本的にここの従業員、あとはお店の人ぐらいですね」


 シャロアイトが説明してくれる。相変わらず便利


 「わたくしが設計・開発した「魔導滑車」が人気の1つです。これは町中に金属棒を張り巡らせて町全体を1周する乗り物です。この技術は【赤の大陸】にも提供し、王城までの足となってます」


 ようはモノレールみたいな感じか
 たしかに【赤の大陸】にはロープウェイみたいなのがあったけど、まさかシャロアイトが創った物だったとは


 「その「魔導滑車」の技術を使ってジェットコースターも創れるだろ」
 「………おおお」


 やべ、ヘンなスイッチが入りそうだ




 俺はシャロアイトを宥めつつ町に入った




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 町に入るとお祭り騒ぎだった


 パレードなのか、奇抜な格好をした人が歩きお菓子を配ってる
 観光客なのか、お土産の袋を抱えた子供連れの親子
 町の明かりはイルミネーション、その輝きは褪せることがない


 「おおっ!?」


 道路を1台の魔導車が走ってる……が、その魔導車は独特で、まるでカーニバル会場にでも走ってそうなデザインだ。そしてその上で仮装した何人もの人間が楽器を鳴らしてる


 「ふむ。どうやらパレードの時間ですね」
 「パレード?」
 「はい。いつも決まった時間にパレード用魔導車が町を走ります」


 すれ違うのは観光客や仮装した人、冒険者や傭兵も見たけどみんな手にお土産を持ってる
 そしてそのまま音楽が鳴り響く町を歩く


 「お、この城は……」


 俺の目の前には外からも見えた巨大な城
 まるで王様の住む城そのまんまだ


 「コレは〔エレガント・ビューティキャッスル〕この8大陸で最も高級な宿です。一番安くても1泊1000万ゴルドはしますね」
 「とんでもねぇな……」


 周りには10階建て以上の建物がゴロゴロある
 これも決して安い宿ではないんだろうけど、この城を前にしちゃうとな


 「お、ギルドもあるんだな」
 「はい。これだけの町ですから」


 俺は近くの露店で飲み物を買ってシャロアイトに渡す


 「さてどうすんだ、早速行くのか?」
 「そうですね、まずはジュートくんのお買い物を済ませてからにしましょう」
 「そうだな。食材なんかを補充しておこう」
 「はい。それが終わったら町外れの町長の家に行きましょう。そこが依頼の場所です」


 よし。さっさと買い物を済ませるか





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