ホントウの勇者

さとう

ライガの森②/守護神・絶望の言葉



 「どうやらコイツが門番らしいな······‼」


 敵ロボットは人間のような姿で、ぶっとい拳に硬そうな足を生やしてる。そして黄色く光ったビー玉のような単眼を俺に向けた


 「行くぜっ‼」


 ロボットは足の裏にタイヤでも付いているのか、滑らかに滑走してかなりの速さで迫ってきた


 「喰らえっ‼······って、効かないかっ‼」


 『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』の弾丸はあっさり弾かれる
 俺は向かって来るロボットが拳を振り上げてるのを見た


 「武器はパンチかっ‼ お決まりなヤツだぜっ‼」


 俺は大振りのパンチを躱してロボットの頭の上に飛び乗る
 どうやら知能は低そうだ。これなら問題ない


 「頭の装甲ひっぺがして直接弾丸をブチ込んでやる‼」


 俺はロボットの頭の装甲を掴んだ


 「行くぜっ‼ ぎっガガガががァっ⁉」


 すると突然、恐ろしい痺れが俺を襲う
 どうやらロボットが危険を感じて放電したようだ


 「ぐ、くそ······シビれたぁ〜」
 「ジュートくん‼」


 シャロアイトが心配してる
 さっさとケリをつけたほうがいいな


 「なるべく壊さないように倒して下さい‼」


 あ、そっちね
 ちょっとだけ悲しくなった


 「悪いけどそりゃ難しいな······」


 さて、どうするか
 痺れるってことは電気の類いは効かないな
 なら、貫通力のあるルーチェか、それともアグニの炎で燃やすか、モルの力で吹き飛ばすか


 ティエルとナハトはこういうのに向いてない、ならここはあえてコイツでいくか


 「行くぞクライブ。【九創世獣ナインスビスト魂融ソウルエンゲージ】‼」


 《ジュ、ジュートさん······おいらのこと、忘れなかったんっすねぇっ‼》


 あ、うん。一応······何かゴメン


 「【蜻蛉神化ソウルオブクライブグリューン】······あはは」


 何か一瞬だけ力が抜けてしまった


 「と、とにかく。『暴風機関銃ヴァンフーン・アヴェンジャー』‼」


 俺はガトリング砲をロボットに向けた
 ロボットはそれを無視して再び突っ込んでくる


 「よっしゃ喰らいやがれッ‼」


 突進するロボットに向けて風の弾丸をバラまく
 当然弾かれるが弾数が違う。激しい音を響かせながらロボットの突進が止まり後退を始める


 「まだまだぁっ‼」


 そのままロボットはボディをヘコませながら後退し、遂に壁際まで押し返した


 「これで終わりだ‼」


 俺は〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕をセットし、ロボットに向けて引鉄を引いた


 「【竜巻砲撃トルネード・ブラスター】‼」


 いつもと比べ物にならないほどの弾丸の雨が降り注ぐ
 弾丸が螺旋を描きながらロボットに集中砲火


 そしてついにロボットの装甲を貫通




 ロボットの瞳が光を失い、そのまま倒れた


 
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 「ふむむ、なるほど。やはりこれはわたくしの見立て通り〔古代神式魔道具〕ですね。これ程の大きさでしかもジュートくんの技をことごとく弾くとは。ジュートくん、持って帰りましょう。わたくしが修理して使います」
 「使うって······何に?」
 「もちろん遊び相手です。これ程の古代具にはお目にかかれません。きっとわたくしたちの魔道具技術は進歩するでしょう」
 「まぁいいけど···危ないマネすんなよ?」
 「もちろんです」


 俺はこのロボットを異空間にしまう
 もしかして古代具って機械のことかもな、なーんて


 「さぁ奥へ進みましょう。何があることやら」 
 「だから先に行くなっての‼」




 俺はシャロアイトを追いかけて最深部に進む




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 「ここが最深部……なんだコレ?」


 最深部は前の部屋同じドームのようになっていた
 違うのは、部屋の中央に巨大な半球体があったこと
 そしてその球体には突起物が突いていた。まるでツノみたいな……なんだこれ?


 「ジュートくん。あそこ何かありますよ」
 「お、ホントだ……ん?」


 壁際に教壇みたいな台が設置されていた。なんか見たことあるな


 「見てみましょうか。ジュートくん」
 「お、おお……」


 何だろう、何かイヤな予感がする
 俺とシャロアイトは教壇に向かって歩き出した


 「ふむ。何でしょうかね、コレは」
 「…………ウソだろ」
 「ジュートくん?」


 俺には分かった


 「コレって……キーボード、じゃあこれはディスプレイ? マウスもある……」


 その台にあったのは、間違いなくパソコンで使うキーボード
 キーは英単語が印刷され、数字も書かれていた
 キーボードのコードは台に直接繋がれ、壁にはディスプレイが設置されてる
 マウスのコードも台に繋がれていた


 「そんな、なんで……」
 「ジュートくん。説明して下さい」


 シャロアイトが何か言ってるが俺には聞こえていなかった
 俺は震える指でエンターキーを押す……すると


 「な……!?」
 「コレは……何なんですか、ジュートくん!!」


 シャロアイトが聞いたこともない声を出す
 ディスプレイには文字が書かれていた


 「…………」
 「見たことも無い文字です……ジュートくん読めますか? それに、この古代具は一体。こんな鮮やかなモノは見たことがありません」


 俺はディスプレイに書かれてる文字を読みながら、マウスを使って文字をスクロールさせていく


 「…………」
 「ジュートくん。いいかげんに教えて下さい。コレは一体」




 「行くぞ、もうここに用はない」




 俺はマウスから手を離して振り返る
 そしてシャロアイトの手を引いて歩き出した


 「ジュ、ジュートくん!?」
 「ここは……来ちゃいけない場所だった。早く出よう」


 シャロアイトは俺の手をふりほどいて向き直る


 「教えて下さいジュートくん。コレは……ジュートくんの世界のモノですね? ジュートくんは何を見たんですか?」
 「……………言えない。これはこのままにしておくべきだ」
 「そんな言葉でわたくしが納得できるとでも?」


 シャロアイトは俺を睨み付ける
 これはシャロアイトだけじゃない、この世界の人間は知らない方がいい


 「………ジュートくん。お願いします」
 「………これは、コイツは危険なモノだ」


 俺は少しだけ真実を話すことにした










 「これは、〔神の器〕の遺産だ」




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 「ふむ。じゃあこれはずっと昔の〔神の器〕が残した遺跡なんですね」
 「ああ。これは人間には使えない、〔神の器〕じゃないと動かせない」


 シャロアイトは渋々と引き下がる


 「じゃあジュートくんは……ダメですよね」
 「ああ、俺は動かすつもりは全くない」


 俺の決意は固い
 たとえ眉間に銃口を突きつけられても決意は変わらない


 「はぁ。わかりました……ではここから出ましょうか」
 「ああ、悪いなシャロアイト……」
 「いえ、この古代具に未練はありますが……嫌がるジュートくんを見たらもうどうでもいいです。わたくしはジュートくんに嫌われたくありませんし。それに面白い古代具は手に入りましたしね」
 「ああ、さっきのロボットか」


 俺はシャロアイトの頭をなでなでしながら歩く
 そして、ドームの隅にあった紋章の前に来ていた


 「情報ではここから出られるみたいだ、じゃあ行くか」
 「これでですか?……ただの紋章にしか見えませんが」
 「まぁ見てろ……行くぞ」


 俺とシャロアイトは紋章の上に立ち、紋章に魔力を流す


 「よし、森の出口に……」
 「ジュ、ジュートくん……ひゃあッ!?」




 俺とシャロアイトの身体は光に包まれ消えていった




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 「よーし到着……どうした?」
 「…………」


 シャロアイトは何故か座っていた
 そのまま何事もなかったように立ち上がる


 「いえ別に。ところで今のは一体?」
 「ああ、【時】属性の【転移テレポーラ】っていう魔術だ。あの紋章にはその魔術が封じられてて、魔力を流すと森の出口まで送ってくれる仕組みらしい」
 「なるほど。それにしても不思議でした。この〔ライガの森〕にあのような遺跡があったとは」
 「ああ。シャロアイト、このことは絶対に秘密だ。いいな」
 「むう、仕方ないですね。黙っておきましょう」
 「頼むな。じゃあ……〔競争都市フォーミュライド〕に向かうか」
 「はい。では【アメジスト号】を」


 俺は異空間から【アメジスト号】を呼び出す
 シャロアイトが乗り込み、俺も乗り込もうとする




 「……………ごめん」




 俺は一度だけ森を振り返り、ディスプレイの文章を思い出した


 「ジュートくん?」
 「悪い、出発するか」




 そうして【アメジスト号】は出発した




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 ディスプレイにはこう記されていた




 ここに眠るは【機神アトレシャトーラ】の〔神の器〕が造りし最強兵器


 全ての大陸を滅ぼし、神を滅ぼし、世界を破滅させる究極兵器


 一度発動すれば最後。全てを破壊するまで止まることはない


 故郷へ帰ることが出来なかったオレの、恨みの結晶


 この文章を読んだオレの故郷の人間よ、どうか頼む


 オレの神器、【機の創手の孤独の欠片アルマキナ・ロンサム・フラグメント】が残した絶望


 【機帝ディセス・ペラシオン】を起動してくれ


 これがオレ、間新ましん甲貴こうきの生きた証だ








 父さん、母さん。もう一度会いたかった









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コメント

  • ヒカッチ

    うわ・・・起動させたら世界滅びるんじゃね(^-^;
    魔神達との戦いで役に立つんじゃ・・・

    0
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