ホントウの勇者

さとう

ライガの森①/雷の森・未開の遺跡



 「ここが〔ライガの森〕か······」
 「はい。ここからは歩きですね」


 【アメジスト号】から降りて森の入口に立つ


 「·········ヤバくね?」
 「ですね。ここは危険度Sの森、冒険者や傭兵ですら近付きません。本来なら迂回するべきですね」
 「え、でも案内したのお前じゃん?」
 「はい。ジュートくんなら何とかなると思いました」
 「いや待てよ、これはさすがに······」


 それもそのはず〔ライガの森〕はただの森ではない


 「あ、また落ちました」
 「おいおい、当たったら死ぬぞ⁉」




 森の至る所に落雷が落ち、森自体がバチバチと発電してる······そんな危険過ぎる森だった




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 「ジュートくん、【雷光膜ライトフェル】は使えますか?」
 「【紫】の中級魔術か? 一応使えるけど······あ、そうか」
 「そうです。身体を雷の膜でコーティングすれば感電しません。なのでジュートくん、お願いします」
 「わかった······ほれ」


 俺とシャロアイトの身体を、紫の膜が包み込んだ


 「ありがとうございます。この魔術は並みの魔術師なら30分、わたくしでも数時間が限度なので、ジュートくんがいて助かりました」


 シャロアイトはにっこりと笑う
 笑うとかなりかわいいな


 「よし、じゃあ行くか。気をつけろよ」
 「はい。それとここのモンスターは殆どAレートなので、気を付けて下さい」




 そして俺とシャロアイトは森を歩きだした




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 「シャロアイト、気を付けろッ‼」
 「はい。お願いしますジュートくん」


 俺とシャロアイトはモンスターと戦っていた 
 紫色の1メートルくらいの蛇が3匹、突然地面から現れたのだ


 「〔パープルバイト〕ですね。単体ではAレート、10匹以上の集団ではSレートに相当します。弱点は特にありません、狙うなら頭を切り離すことです」
 「わかった、任せろっ‼」


 俺は地面を這う蛇の1匹に向かって駆け出す
 すると蛇はアゴを開けてジャンプして来た


 「遅いっ‼」


 当然、俺にとってはチャンス
 遠慮なく首を切断、まずは1匹始末


 すると残りの2匹はシャロアイトの元に


 「シャロアイトっ⁉」
 「大丈夫です。お願いします」


 シャロアイトは指揮棒を振るとバチンと音がして爆発
 すると蛇が俺の方に吹き飛んできた


 「ナイスっ‼」


 俺は飛んできた蛇の頭を遠慮なく切断
 そのまま周囲を警戒し······ナイフを鞘に収めた


 「ふぅ···これで何匹目だよ」
 「レートの高いモンスターばかりだと疲れますね。それにこんな奥まで踏み込んだのは歴史上わたくしたちが初めてかもしれません」


 俺たちは森の真ん中辺りで迷っていた
 シャロアイトですら入ったことのない森。地図もないので大体の方角で歩くしかない
 しかもモンスターが多いので休むのもままならない
 頭の中でクロに聞いてみるか


 おいクロ、道はわかんないのかよ?
 《······難しいワネ、そこの森はカンが狂うワ》


 なるほど、こりゃ参ったな


 「ジュートくん、あそこ···なんだか明るいです」
 「えぇ?······ホントだ」


 確かに明るい···と言うか光ってる


 「行ってみましょう。気になります」
 「お、おい待てよ⁉」


 シャロアイトはスタスタ歩いて行ってしまう
 初めての場所だしな···興奮してるのかも




 俺は苦笑して、シャロアイトの後を追った




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 「おおお、すごいです······‼」
 「なんだこりゃ······⁉」


 シャロアイトは目を輝かせ、俺は開いた口が塞がらなかった


 「これは間違いなく遺跡です。推測ですが、この雷はここを守るために遺跡自体が放電してるようです」
 「確かに。見ろよ、あそこから放電してる」


 遺跡はまるでアラビアの宮殿のような形で、塔のてっぺんに避雷針のような長い棒がいくつもあり、そこから上空雷を放電···雲を経由して森中に落雷を落としてるようだった


 「では入りましょう」
 「ちょ、待てよ。ここまで来るのにかなりの雷が落ちてるんだぞ、俺たちは膜を貼ってるから平気だけど、これ程までに近づけたくないなら中にも相当な仕掛けがあるはずだ‼」


 恐らく罠のカーニバル
 命の危険もあるかもしれない


 「ですが気になります」
 「わかってるけど、落ち着けって」
 「それは難しいです。わたくしは未だかつてないほど興奮してます。誰も入ったことのない未開の遺跡······ジュートくん、お願いします」


 シャロアイトは俺を見上げてジッと見る
 あぁもう。その視線は止めてくれよ


 「······はぁ、わかったよ」
 「おお、ありがとうございます。ジュートくん」




 全く、嬉しそうにしちゃってさ




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 「これは、なるほど······」
 「おい、あんまり遠くに行くなよ」


 シャロアイトは通路の模様や地面、ほんの少しの壁画にさえ興味を持ち、カバンからメモを取り出してスケッチをしていた


 「すごいです。ここには今までの遺跡にはない技術が使われています。壁そのものに電気が帯びている···この特性を利用できれば魔力に変わるエネルギーを生み出せるかもしれません」
 「へぇ、要はバッテリーか」
 「?」


 俺の頭じゃそのくらいしか思い浮かばない
 電気ねぇ···テレビとかも作れるかな?


 「あの、ばってり? とはなんですか?」
 「バッテリーな。俺の世界の電池···えっと、エネルギーを貯めておける装置だな」
 「それは魔力ですか?」
 「いや違う。電気のエネルギーを貯めて置いて好きなときに使えるんだ」
 「使う、とはどのように?」
 「そうだな···ケータイやテレビ···は違うか。難しいな」
 「けーたい? とはなんですか?」
 「あぁ、ケータイは遠く離れた人と話が出来る機械···まぁ魔道具みたいなモンだ。俺の世界では機械って言うんだ」
 「キカイ······それではてれび? とは」
 「テレビはそうだな···映像を映し出す機械だ。例えば、ここで俺とシャロアイトがいることを、全く別の場所で他の人間に見せることが出来たりする。そんな機械だ」
 「·········ジュートくんの世界に行ってみたくなりました」


 シャロアイトは目をキラキラさせて俺を見る


 「はは、シャロアイトならいつか必ず作れるさ。期待してる」
 「はい。なんだか色々と浮かんで来ました」


 遺跡の中には特に仕掛けもなく、歩きながら話しても余裕だった
 そして歩くこと30分




 最深部にて、ついに敵が現れた




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 「ここは随分と広いな」
 「そうですね。どうやら最深部の手前のようです」


 俺とシャロアイトは広い空間···まるでドームのような場所に来た
 空間全体が石碑のようなもので覆われ、不思議な文字が刻んである


 「お、奥に通路が·········ッ‼」
 「ジュートくん、どうしました?」


 俺は奥にある通路に妙な塊があるのに気が付く
 そして、その塊が動くのを見た


 「あれは······まさか⁉」
 「ジュートくん?」


 俺はその塊に見覚えがあった
 ごく最近、それも戦いの中で


 「あれは、火等かとうさんのに似てる······」


 それは金属のような材質で、色は鉛のような鈍い色
 ギギギと音を立てながら立ち上がる。その姿はまるで人間のようだった
 手足がある。しかもどう見ても戦闘用


 「ジュートくん、あれは······」
 「今回は下がってろ、シャロアイト」


 俺は神器を発動。〔神化形態〕へ変身する




 「あれはロボットだ‼」





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