ホントウの勇者

さとう

二度目のクローノス城①/大きな力・脱出



 「あれ……ここは?」


 俺は目を覚ます……どうやら机に突っ伏して寝てたみたいだ
 場所はどうやら見慣れた学校の教室……時間は夕方


 「まだ夢なのか……?」


 俺は寝ぼけた感じの声で呟く。すると




 『いーや、コレは「現実の夢」だ。さっさと起きろこのバカ』




 教壇に腰掛けて俺を見下ろす『俺』


 
 俺の力の管理人・ガントが顔をしかめて俺を見ていた




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 「ガント、なんか久し振りだな。お前に会えたってことは……」
 『お前の予想通り、まーた死にかけたんだよ。まぁしぶとく生きてるけどな』
 「お、おう……そうか」
 『ったく、ちょっとこっち来い』


 ガントは教壇から降りて手招きをする


 「なんだよ?」
 『いーから来い』


 俺はワケもわからずガントの元へ行く……すると




 『こんの……大バカ野郎がッ!!!』
 「ぐはぁッ!?」




 思い切りぶん殴られて吹っ飛び、机を吹き飛ばしながら転がった


 「な、なにすんだ!!」
 『うるせぇッ!! テメェの暴走のせいで【銃神】の力の蓋がぶっ壊れたんだよ、おかげでテメェに使わせねぇはずだった【凶悪マガツ第三狂神化形態だいさんきょうしんかけいたい】の封印まで解きやがって……!!』


 ガントが何を言ってるか分からなかった
 【凶悪マガツ第三狂神化形態だいさんきょうしんかけいたい】ってなんだ?


 『チッ!! どうやら記憶が抜けてるみてーだな。いいか、お前は【銃神ヴォルフガング】の封印されてた力を使って、お前のクラスメイトたちをブチのめしたんだよ。人数は4人、全員が重傷だ』
 「はぁ!? お、俺がいつそんなこと………あ、あれ? 思い出せない。たしかクロと森を歩いて……それで、あれ?」


 わからない……俺は何をしたんだ?
 たしかあの時クロと森を歩いて、出口を見つけて……?


 『もういい、思い出した所でどーこーなるモンじゃねぇ。それより……いいか、お前は【凶悪マガツ第三狂神化形態だいさんきょうしんかけいたい】の力を使って暴走した。これは事実だ」
 「お、おう……そうなのか」
 『ああ。そして暴走したお前を救うために【九創世獣ナインス・ビスト】が力を合わせてお前の精神を引っ張って暴走を沈めた』
 「そうなのか……みんな」
 『おう。おかげで力を使い果たして眠ってる……しばらくは【魂融ソウルエンゲージ】は使えねぇが【神器ジンギ】は使える。〔第二神化形態〕も使える。力の蓋が開いたせいで使用時間も延びたハズだ』
 「おお、そうなのか?」
 『そうだ、この際空いちまったのは仕方ねぇ……』


 そう言うとガントは俺に近づいて手を差しのばす
 俺はその手を掴んで立ち上がり、ガントに向き合う
 するとガントは、俺の側の机に何かを叩きつけた




 『1分だ』




 ガントが叩きつけたのは、デコボコで歪な濡羽色のマガジン


 『いいか、コイツを使えば1分だけ【凶悪マガツ第三狂神化形態だいさんきょうしんかけいたい】を意識を保ったまま使える……ただし、1分を過ぎると神器は強制解除。72時間は神器は一切使えない、いいか……使いどころを誤るなよ』
 「いいのか? 危険なんじゃ」
 『言っただろ? 空いちまったモンは仕方ない。使えるなら何でも使え』
 「わかった、その……ありがとう」
 『バーカ、礼ならケモノたちに言え。まぁしばらく寝てるだろうけどな』


 ガントと俺は顔を合わせて笑った


 『さーて、そろそろ起きる時間だ』
 「そっか、じゃあまたな」
 『おう。気をつけろよ』


 ガントは手を振ってる……なんだかぼやけてきた












 『なんせそこ、〔クローノス城〕の牢獄だからな』














 「…………ハァ!?」




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 「…………マジかよ」


 眼を覚ました俺が見たのは、冷たそうな鉄格子だった
 周囲は石造りの頑丈そうな牢屋に、金属製の鉄格子
 間違いなく俺が以前捕まった牢獄だった


 ここで以前、俺は拷問された……腐ったブタみたいなバケモノ兵士に
 あ、ヤバい。苛ついてきた


 「………あれ?」


 俺は自分の今の状態に気が付く
 それにしても……いいのかな?
 すると、近くの牢獄から声が聞こえてきた


 「あ……起きたんだ、ジュート」
 「その声、夜刀か!?」
 「うん。久し振り」


 久し振りに聞く声の主は式場しきば夜刀やと。俺と愛し合った女の子


 「なぁ夜刀、なんでこんなとこに?」
 「それはコッチのセリフ。なんでジュートが【時の大陸】に? 【黒の大陸】にいたんじゃないの?」
 「ま、まぁいろいろあって捕まったんだ」


 実は全く覚えていない。誰と戦ったのかすらね
 夜刀はどうやら隣の牢獄にいるみたいだ……顔が見たいな


 「じゃあこっちの質問、なんで夜刀がここに?」
 「えっと、自分の部屋が落ち着かなくて……ココだとぐっすり眠れるの」
 「そっか、じゃあコッチに来ないか?」
 「……ムリ、カギがない」
 「………なぁ夜刀。お前、何を隠してるんだ?」


 夜刀が何かを隠しているのは俺には分かった


 「…………」
 「夜刀、話してくれ」
 「…………負けちゃったの」
 「負けた?」
 「うん。【獅子神レオンハルト】……強かった」
 「それで?」
 「自分への罰。それだけ」
 「………そっか、じゃあもっと強くならないとな」
 「うん、ジュートを殺すのは私だから」
 「はは、じゃあ俺も速く【黒の大陸】に戻らないと」
 「うん。もっと強くなってね、私も強くなる」




 冷たい石壁越しの会話だが、俺の心は温かかった




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 そして数時間後……階段を降りて誰かが来た


 「ん……?」


 それは全身鎧の兵士だった
 そしてそいつは兜を取るとブタのような顔を歪ませて俺に向き直る


 「久シブリダ……マタ会エルトハナ」
 「………誰?」


 ニヤケたブタに知り合いはいない。するとブタはさらに顔を歪ませた


 「アノ時オ前ヲ痛メツケタ者サ、思イダシタカ?」
 「…………ああ~、そうか」


 そうかそうか……そっちから来てくれるとは


 「フフフ、マタ楽シモウ?」
 「………そうだな」


 ブタがゆっくりと俺に手を伸ばす……が、俺はその手を掴んで手を引き、そのままカウンターで顔面をぶん殴った
 ブタはそのまま地面に転がる


 「ブガァッ!?」
 「お前さぁ……ホンットにバカだよな?」


 そう、コイツらは超級のバカだ


 「なーんで俺を拘束しないの? それに魔力も問題無いし、すぐにでも戦える」


 起きたとき俺の身体は拘束すらされてなかった
 流石に武器は取り上げられていたが、魔術は問題無く使えるし、神器もフツーに使える……ほんとにアホだ


 「じゃあ遊ぼうか?……あの時のお礼がしたかったんだ」


 俺は神器を纏い強く念じる
 すると、どこからともなく【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】と【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】が現れる
 どうやらこの牢獄のどこかにあったらしい


 「まぁ時間もないし手早く済ませるね?」
 「ヒ、ヒッヒィィィィン!?」




 ブタのくせに……馬みたいな悲鳴上げんじゃねぇよ




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 「さーて行くか」


 俺は四肢や内蔵が散らばる生臭い牢獄を鉄格子を切り裂いて脱出する
 そして隣の牢獄にいる夜刀に再開した


 「夜刀、ようやく会えた」
 「ジュート······」


 夜刀は牢獄の隅っこに体育座りでいた
 まるで、拗ねてるような感じだった


 「なぁ、ここから一緒に······」
 「それはムリ」


 まぁわかってたけど、ついそんなことを言ってしまう


 「冗談だよ、それより···俺は行くよ。お互い強くなったらまた会おう」
 「······うん」


 夜刀は立ち上がり鉄格子のドアを開ける、すると俺に抱きついてキスをしてきた


 「······ん、元気出た。ありがとジュート」
 「俺も、これ以上はここではムリだな」
 「そうだね。また今度、ね」


 夜刀はにっこり笑うと再び牢獄へ




 よーし、さっさと脱出するか‼





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