ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE④/【銃神ヴォルフガング】VS【樹神】・【霊神】・【呪神】・【幻神】/暴走・7つの祈り



 「ん……?」
 「なんだ?」
 「ああん?」
 「え…?」
 「コレは……?」


 楠木・読坂・三途・篠原・轄俥の反応は様々だった
 なぜなら、無月銃斗に放ったトドメの一撃が、見えない何かに弾かれたのだ


 「おい楠木、どうしたんだよ」
 「おかしいな、ボクはちゃんと……ッ!?」


 三途の問いに答えた楠木は、全身を震わせた
 楠木だけではない……他の4人も同様だった


 「な、なんだ……おい、楠木」
 「………」
 「待て三途……無月の様子が、おかしい」


 5人は、両手を枝に括られて宙に浮く無月銃斗から、得体の知れない何かを感じていた


 「お、おい楠木……なんか、ヤバいぞ」
 「わかってる、何かがヤバい……!!」


 楠木は森に命じ、無数の枝のヤリを作り出して一斉に放った


 「【森の槍トレントランス】!!」


 360度、全方向から無数のヤリが銃斗を遅う


 「………………」


 が、ヤリは銃斗に触れる前に消滅
 そして、両手を拘束していた枝もボロボロと崩れ去った


 「な、何が……!?」




 そして、銃斗の身体に変化が起きる




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 濡羽色の光が銃斗を包み込み姿が変わり〔神化形態〕へ
 そこからさらに変貌を遂げ〔第二神化形態〕へ


 そして、そこからさらに姿が変貌していく


 ガラスにヒビを入れるような音と共に、身体を覆う鎧の面積が広がり形態フォルムも変化する
 より凶悪に、より強く、より禍々しく、より邪悪に


 顔の半分を覆っていた仮面は、顔の4分の3……つまり、左目とその周辺を残し全てが仮面で覆われ、残った左目が銀色に染まり、瞳の中に紋章が刻まれる


 『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』は光に包まれ、そのまま右腕にまとわりつく
 そして右腕そのものが巨大な銃となり、2連砲身の巨大銃となる
 さらに側面に巨大化した大剣【雄永死輝絆剣ウィンクルス・デッド・スパーダ】が逆手に装備された


 さらに注目すべきは左腕の『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト
 その腕は邪悪に、そして巨大に変化した
 左腕全ての鎧が巨大に変貌、その大きさだけで2メートルを超えており、余りにもバランスが狂っていた


 生身の部分は、顔の一部と右腕の二の腕のみ
 それ以外は凶悪な鎧に包まれ、その姿は余りにも狂っていた




 【凶悪マガツ第三狂神化形態だいさんきょうしんかけいたい






 最強の力は、楠木たちに狙いをつけた




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 「お、おい。おいおい……あんなの聞いてねぇぞ!? 無月の〔第二神化形態〕はあんなのじゃねぇ!! 報告と全然違うぞ!?」


 読坂が叫び楠木を見る
 が、楠木もまた汗びっしょりだった


 「そんなの知らないよッ!! おい篠原クン、キミは無月に何を見せたッ!!」
 「な、何をって……俺は指示通り〔クローノス城〕でのことをアレンジして見せただけだ!!」
 「待てよ、そんな場合じゃねぇぞ楠木ッ!!」


 銃斗の右腕が巨大な砲塔が楠木たちに狙いをつける


 「みんな乗ってッ!! 速くッ!!」


 轄俥が神器を発動させ、4人を乗せて高速で走り出す


 「このまま走れッ!! 木々は無視して突っこめッ!!」


 轄俥は言葉の通りに木々を無視
 すると木々が自ら動き魔導車をよけていく




 そして、背後からの巨大な炎の光線が『装甲走行操行ヴォワチュール・アウトヒューラー』の脇を通り抜ける




 「飛ばせ飛ばせッ!! 当たったら死ぬぞッ!!」
 「分かってるよっ!!」


 炎だけではない
 水・岩・竜巻・光・闇・雷・無数の鎖などがいくつも通り抜け、そして少しずつだが被弾する


 「く…なんだよアレッ!? かすっただけなのに削られる…ッ!!」
 「くそ、こうなったら……行くぞ!!」


 楠木が魔力を練り、自信の最強のワザを発動させる




 「『第二神化セカンドエボル樹神覚醒ウッズヴァルト・アウェイクン』!!」




 その言葉と同時に、森の木が数ヶ所に集まっていく
 そして、まるで生き物のように形を変えて巨大な大樹となり君臨した


 大樹は全長20メートルはある
 そして生き物のように身体をくねらせて無数の枝を身体から生やし、その様子を見守っていた銃斗に狙いを定めた


 「いけ!! 『深淵大樹しんえんたいじゅメディスアルベロ』!!」


 無数の枝は一つに集まり、まるで人間のような手で銃斗を遅う……が










 「ヴァァァァァァァァァッ!!!!!!」










 右腕に凝縮した極大の魔力の砲撃が、大樹を根元から吹き飛ばした




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 砲撃の余波は、数キロ離れていた楠木たちですら吹き飛ばされるモノだった


 「ぐ……お前ら、無事か?」
 「ああ、くっそ…なんだよアレ……!!」
 「……おい、轄俥がいないぞ!?」


 地面に投げ出されたのは4人
 轄俥以外の4人が投げ出されていた


 「く……今はとにかく城へ戻ろう、このことを報告しないと」


 楠木の言葉は最後まで続かなかった


 なぜなら、楠木たちの目の前に黒い手が伸びてきたからだ


 「おい……おいッ!!」
 「は、はははは……」
 「に、逃げ……」


 読坂は逃げようと後ずさる
 三途は顔をヒクつかせて震え始める
 篠原はなんとか立ち上がろうとする


 が、伸びた左腕を起点として一気に腕が伸縮する……そして




 「ハァァァァァァァ……」




 狂ったような笑みを浮かべ、鎧に包まれた口元がバキバキと開く
 紋章の刻まれた銀眼がギョロギョロと回り、獲物を捕捉する
 狂った大きさの左腕は、まるで別の生き物のように動く




 無月銃斗が、現れた




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 銃斗はまず、一番近くにいた篠原に狙いを定める


 「あ、あああ……ゆ、許し」


 その巨大な左腕で、篠原の右腕を起用に掴みねじ切る
 ボキョグチャゴキ、と、肉と骨の潰れ砕ける音が響き渡る


 「ぎゃ、ギャァァァァッ!?」 
 「ギャァッハッハァァァァッ!!!」


 ねじ切られた右腕を左腕ですりつぶし、そのまま篠原に投げつける


 「いっ、がぁぁッ!?」


 細かく砕けた骨と肉が弾丸のように射出され、篠原の身体を引き裂いた
 そして、銃斗は三途に狙いを定めた


 「た、頼む、悪かった、悪かったぁぁぁぁぁっ!?」
 「ぎゃアッハッハハ!!!」


 右腕の砲身から巨大な銀弾が発射され、三途の両足を吹き飛ばす
 その余波で三途は吹き飛ばされ地面を何度も転がった……当然、そのまま気絶


 銃斗は読坂を睨み付ける


 「く、そ……何なんだよ、お前……!!」
 「ハァァァァァ……」


 銃斗はつまらなそうに左腕でなぎ払う
 その威力は凄まじく、読坂は至る所を骨折しながら吹き飛ばされる




 そして、銃斗は見つけた……1人逃げようと【門】を開く楠木を




 銃斗は楠木に向かって砲身を向け、放つ
 砲身からは数十本の鎖が飛び、楠木の全身を拘束した


 「ぎゃあぁっ!? ご、ごめんなさい、ごめんなさい!!……ヒィィッ!?」


 銃斗は残された生身の目……銀眼を、楠木の鼻先に近づける


 「た、助け……む、むつき……ぐぴゅッ!?」


 銃斗はそのまま鎖を引く
 すると、楠木の身体からポキポキゴキゴキと何かが折れる音が何度も聞こえる
 そして、楠木は血のアワを拭いて気を失った




 4人の少年達は、あっさりと全滅した




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 セーフルームの深淵にて、獣たちは困惑していた


 《おい、ありゃ何だ?》
 《……〔神化形態〕よね?》
 《で、でも……ヴォルフガングさんのチカラであんな姿、初めて見たっす》
 《もぐ……?》
 《お前さんたちも知らんのか。でもありゃマズくないかのぉ?》
 《なんか……恐いよ》
 《……ジュート》


 7匹が困惑していると、いきなり声が聞こえてきた




 『チッ!! マズいな、おいお前ら手を貸せ!! このままだとジュートが死んじまうッ!!』




 いきなりの侵入者に全員が仰天し、その姿を見てさらに仰天した


 《じゅ、ジュート!? な、なんでココにいるのヨ!?》
 《ど、どう言うことッすか!?》
 《え? あれ? ジュートが2人~?》
 《ほほう……よう分からんが面白いのぅ》
 《もぐ~?》
 《おい、どう言うことだジュート!!》


 『あーっもう、細かい説明はあとでジュートに聞け!! 『俺』は【銃神】の力がジュートの人格をコピーした存在だ、名前はガント!! とにかく手を貸せっての!!』


 ガントは混乱する獣たちに一喝し、状況を説明した


 『いいか、あれは【凶悪マガツ第三狂神化形態だいさんきょうしんかけいたい】だ。【銃神】にのみ許された最強の〔神化形態〕で、本来はジュートに使わせるつもりはなかった』
 《あぁ? 何でだよ》
 『見りゃわかんだろ、暴走しちまうんだよ。幻覚を見せられてアイツの心に怒りと悲しみがあふれ出して、それがストレスとなって【銃神】の力の扉が壊れちまったんだよ。ありゃ完全に不可抗力だ』
 《それで……どうやってモトに戻すのヨ?》
 『ああ。ジュートの意思はあそこにはない、ジュートの心の奥底で眠ってる状態だ』
 《ナルホドね、それで?》
 『簡単だ、お前たち【九創世獣ナインス・ビスト】はジュートと契約……つまりアイツの魂とパスが繋がれた状態だ。そこでお前たちがジュートの意思を引っ張って表に出せ、それしかない』
 《い、いや、いきなり言われても……それに、難しそうっすよ》
 《まぁ、やるしかないのぉ……ワシもまだ死にとぉないしな》
 《もぐ……!!》


 すると、ガントの身体が歪み始める


 『チッ、やっぱ現実空間には干渉出来ねぇか。おい、ジュートを頼んだぜ!!』


 そう言ってガントは消えてしまった


 《どうやら手はこれしかねぇ、やるぜお前ら!!》
 《うん。わたし、まだまだジュートと冒険したい!!》
 《も~ぐ~っ!!》
 《うう……自信ないっす。でもやるっすよ!!》
 《そうね、あたしだってまだ魔導車運転してないし!!》
 《カッカッカッカ!! やっぱりヴォルフガングはお騒がせモンじゃ!!》


 獣たちは気合いを入れる。しかし


 《…………ジュート、ワタシは》




 黒猫は、なぜか俯いていた




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 轄俥盛輪かつぐるまじょうりんは、ボロボロの身体を引きずって4人の元に戻ってきた


 そして、その惨状に驚き、すぐに【門】を開いて仲間を城へ送る


 彼の視線は、一点で止まった




 「………無月、キミは……」




 そして、もう一つ【門】を開く










 そして、誰もいなくなった







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