ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE①/【銃神ヴォルフガング】VS【樹神】・【霊神】・【呪神】・【幻神】/幽霊・呪い



 「な、なんか薄気味悪い森だな······なぁ、クロ」
 《············》


 クロは黙り込んでしまい、しきりに辺りを警戒してる。とりあえず魔導車を止めてみた


 「おい、どうしたんだよ」
 《······おかしいワネ、こんな森ワタシは知らない》
 「なんだそりゃ? それにお前は【黒の大陸】に詳しくないんだろ?」 
 《そうヨ、だから調べたのヨ······少なくともこんな森は、最近までなかったはずヨ》
 「そんなこと言ったって、現にあるじゃん?」
 《とにかく、魔導車から降りて調べまショ》


 アウトブラッキーから降車して森を歩く
 森の中は暗く、ぬるい風が木々を揺らしカサカサと音を立てる


 「お、おい······マジで怖い。早く出ようぜ」
 《·········》


 クロは周囲を警戒しながら歩く······すると


 《ジュート、これを見て》
 「なんだよ?······って、なんだこりゃ。どういうことだ?」


 俺が見たのは、木と木の間に挟み込まれ潰された案内看板だった


 「なんでこんなトコに······よっ、と」


 俺は案内看板を引き抜き、木製のボロボロの看板の文字を読んだ


 「えっと、「この先【紫の大陸・関所】」って···なんでこんな森の木の間に看板が?」
 《·········》


 誰かが引き抜いてわざわざココに挿したというのは不自然だし意味がない。となると···?


 「もとからココにあった······?」
 《······まさか、ネ》
 「クロ?」


 クロは俺の肩に飛び乗り上を見上げた
 そして、前足で1本の木の枝を指した


 《ジュート、あの枝を切り落としなサイ》
 「は? なんで?」
 《いいから。これではっきりするワ》
 「······まぁいいけど」


 俺はジャンプしてナイフで枝を切り落とした。もちろんキレイにスパっと切れる


 「これでいいのかよ?······って、えぇっ⁉」
 《やっぱりネ······》


 あり得ない光景だった
 樹木の枝と切り落とした枝からツタのような物が伸び、切断面同士が結合···そのまま何もなかったようにくっついた


 「おいクロ、どういうコトだよ⁉」
 《間違いなく敵ネ、この森は【神器ジンギ】で作られた森で間違いないワ》




 そして、見計らっていたタイミングで何かが現れた




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 「な、なぁ······あ、あれってもしかして」


 俺の前に現れたのは······白い半透明のモヤ


 「う、ウソだろ······?」


 それはヒトの形を持っているがヒトではない
 だって···足がないし浮いている
 さらに顔は能面のようにのっぺりしていた


 つまり、幽霊だった




 「ッギャあァァァァっ⁉」




 俺は全力で逃げ出した




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 《ちょっとジュート、ドコに行くのヨ⁉》
 「バカ野郎‼ 幽霊、ユーレイだぞ⁉ 逃げなきゃ祟られるぞ⁉」
 《ユーレイって何ヨ⁉ アレは神器のチカラに決まってるでショ‼》


 俺は急ブレーキで立ち止まる


 「そ、そうだな。ユーレイなんているワケない。うん」




 『ホァァァァ······』




 「うひょおぉぉぉぉっ⁉ バ、【爆裂炎弾バーンストライク】‼」


 突如として現れた半透明の幽霊に、問答無用で炎弾を浴びせまくる······が


 「き、きき、効いてないっ⁉」
 《どうやら魔術は無効化されるみたいネ》


 炎弾は全て幽霊をすり抜けて後ろの木々に命中
 木々は燃えて衝撃で倒れたが、すぐにもとに戻ってしまった


 「おいクロ逃げるぞっ⁉」
 《待ちなサイ。こちらの攻撃が効かないというコトは······》


 クロは俺の肩から降りて幽霊と向き合う
 すると、幽霊がクロに向かって来たが、スルリとすり抜けてしまった


 《フム、やっぱり。どうやらただのまやかしネ、物理的ダメージはないワ》
 「マジかよ······?」


 俺は漂う幽霊を見る
 うん、やっぱ怖い。触りたくない


 「とにかくココから出よう。こんな所にいつまでも居たくねーよ」


 そう言って俺は出口らしき方向へ歩きだした
 幽霊は何もせずに静かに漂っている


 「この幽霊、何がしたかったんだ?」


 俺は漂う幽霊の横を通り過ぎる
 その時、わずかだが幽霊に・・・・・・・・触れてしまった・・・・・・・




 「·········え?」




 物凄い脱力感が俺を襲い、膝が崩れた




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 《ジュートっ⁉》
 「あ、あれ······?」


 なんだろう、身体がおかしい
 これは······まさか


 「魔力が、練れない⁉」
 《······コレは、まさか》


 クロは俺の周りをぐるぐる回る


 《やっぱり、コレは呪いヨ。アナタに呪いを与えることが出来るのは人間の魔術じゃ無理。間違いなく〔神の器〕の仕業ネ》
 「じゃあ、この幽霊と呪いは······」
 《恐らく【霊神】と【呪神】ネ。どちらも戦闘には向かないサポート寄りのチカラだけど···合わせるとなかなか厄介ネ》
 「くっそ、魔術が使えない。おいクロ、どうすれば呪いは解ける?」
 《簡単ヨ、術者を倒せば呪いは解ける······コノ場合は神器を破壊することネ》


 神器の破壊······この森のどこかにいるクラスの誰かを探して、神器を壊さなくちゃいけないのか


 「厄介過ぎる。ドコにいるかわかんねーぞ」
 《······フム。なぜ攻撃して来ないのカシラ?》
 「え?」
 《この2つの神のチカラがサポート、この森が舞台だとすれば···アナタを狙う攻撃手段があるはずヨ》


 俺は周囲を警戒するが、それらしいモノは何もない
 魔術や直接攻撃があると思ったけど


 「······どうする?」
 《ココにいても仕方ないワ。とにかく用心して進みまショ》


 俺は神器を纏い立ち上がる。脱力感はあるけど動けないほどじゃない




 「よし、行くか······」




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 とにかく森を歩いて本体を探す
 クラスの誰かは知らないけど少なくても3人。戦闘員も入れれば4人はいる


 森の中は相変わらず不気味で、幽霊も普通に飛んでいた
 しかし魔術は使えない、この手のタイプには物理攻撃が効かないので逃げるしかない


 「なぁクロ、敵の居場所はわかんねーのか?」
 《探ってるケド······この森のせいで位置が特定出来ないのヨ》


 俺とクロはひたすら森を歩く
 魔術が使えなくなってからすでに3時間以上経過していた


 「ふぅ···少し休憩、ってワケにはいかないよな」
 《そうネ。早く見つけないと、この呪いを起点として更に強力な呪いを掛けられるカモしれないからネ》


 今までにない攻撃手段に、俺は少し参っていた


 「くそ·········ん?」


 そして、森の先に光が見えた


 「お、おいクロ、あれ出口じゃねーか?」
 《まさか、罠に決まってるワヨ》


 クロはあっさり切り捨てるが、俺は久しぶりに見る光にすっかり心を奪われていた


 「いいから行って見ようぜ、きっと出口に決まってる‼」
 《チョ···ジュート、待ちなサイ⁉》


 俺はクロを置いて走りだし、光に向かって突き進んだ


 そして·········辿り着く




 「············え?」






 当然、出口ではなかった




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 「よーし、捉えたぜ。無月はもうオレの手の中だ」
 「うん。そのままよろしく、篠原クン」


 森の中に停めてある魔導車タイプの神器・『装甲走行操行ヴォワチュール・アウトヒューラー』の中で、4人の男子はそれぞれの役割をこなしていた


 「オレたちはもういいか?」


 その内の1人、読坂よみさか供恩くおんは、手に持った禍々しい杖で肩を叩き、あらゆる呪いを操ることが出来る【呪神カースフルール】の神器、『黄泉の摩訶杖リトリビジョン・カースワンド』を解除する


 「あ〜ダルかった、あとはヨロシクな」 


 三途さんず玲弥れいやは、足元に置いてある巨大な壺にもたれかかる
 その壺からは半透明の霊体が無数に出てきている
 これがあらゆる形の霊体を操る【霊神プリズラーク】の神器、『死霊の集う霊壺レイシス・オブ・バラムポッド』の力だった


 「じゃあ篠原、ちゃんとやれよ」
 「オレたち、少し休むからよ」
 「おう、任せろ」


 篠原しのはら幻想げんそうは、予め設置しておき、無月銃斗が通るように仕向けた場所の神器の様子を見る


 「よーし、いい感じ。あとは楠木、頼んだぜ」
 「任せてよ。抜け殻になったところでボクが始末するよ、フフフ···無月みたいなバケモノと正面からやりあうなんて、バカのすることさ」




 楠木くすのき森玖りんくは、邪悪な笑みを浮かべた





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