ホントウの勇者

さとう

王都ブラックトレマ①/影の隊員・餌場の疑い



 宴会が終わり全員で後片付けをする。もちろん人間も獣人も全員で


 みんなはもう俺のことを受け入れてくれた
 なので迷わず〔セーフルーム〕に入ってくれた。地味にうれしい


 そして俺は吸血鬼たちにお礼を言い、最後にバールベロとエレルギーンさんの家に行く
 隣にはミモザもいた


 「バールベロ、エレルギーンさん···ホントにありがとうございました」
 「ありがとうございました‼」


 俺とミモザのお礼に2人は笑顔で言う


 「こちらこそ、あんなに楽しかったのは初めてさ。ぜひまたこの町へ来てくれ、歓迎するよ‼」
 「ええ、ジュートくんとミモザちゃんなら大歓迎よ〜」


 するとミモザがエレルギーンさんに抱きつく


 「·········ありがと」
 「あら〜? ふふ、またおいで」
 「······うん」




 ミモザはにっこり微笑んだ




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 ミモザはそのまま〔セーフルーム〕へと戻っていった
 なんで最後にエレルギーンさんに抱きついたんだろう?


 町を出た俺は【アウトブラッキー】を呼び出し飛行形態へ変形、そのまま乗りこんで発進させる


 「王都か、王様となんか戦えるのかね?···何の策もなしに突っ込んだら間違いなく犯罪者だぞ」
 《そうネ、まずはオニキスに相談しまショ》


 助手席にいるクロの言う通りだ
 とにかく王都に行ってオニキスに相談しよう。50人を帰してあげないといけないしな


 アウトブラッキーに魔力を送りスピードを上げる




 王都までこのままひとっ飛びだ




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 王都までもう少しと言う所で地上に降りて走り出す
 ヘタに空飛んでる所を見られたら面倒だしな


 「見えてきた……アレが〔王都ブラックトレマ〕か」
 《ナカナカ大きい町ネ》
 「そりゃ王都だし……あそこにヴリコラカスが、王様がいるのか」


 ギィーレレロの情報が正しいとは限らない……が、俺はギィーレレロの情報が正しいと確信していた
 ギィーレレロの最後の笑顔が、俺を陥れようとしてるとは思えなかったからである………我ながら甘い


 「とにかく、城に行ってオニキスに会おう。あと、みんなを保護して貰おう」


 ちなみに50人のウチ半数以上が王都の出身
 冒険者や商人見習い、家族で観光していた者と理由は様々で、残りも近場の町出身だそうだ
 ちなみにミモザも王都出身


 「町に着いたら王都出身者は降ろして、残りをオニキスに頼んで保護、その後は……いろいろ話さなきゃな」


 いきなり王様に会おうとは思わない
 考えることが山積みなのでオニキスにいろいろ確認しなきゃ動けない。全くめんどくさい




 アウトブラッキーは、そのまま王都に突入した




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 王都に到着した俺は、町並みを録に見もせず王城へ
 まずはオニキスに会うために急いで行く
 城は相変わらず大きく目立つのですぐにわかり、簡単に門に辿り着く


 「とりあえず門番に聞いてみるか······」


 全身武装の屈強な門番が2名いたので、適当な方に話しかけた


 「あのー······すんません」


 ジロリと見られる······うーん、何か怖い


 「······要件は?」
 「えっと、〔闇と影の舞踊ブラックハーケン〕のオニキスに会いたいんですけど······居ますか?」
 「何故だ?」
 「大事な要件があって、どうしても会わなくちゃいけないんです」
 「その要件を聞いている」
 「······本人じゃないと言えません」
 「帰れ。団長はご多忙···今日も本部で執務中だ。お前のような得体の知れないガキの相手をしてるヒマはない」
 「なるほど、本部にいるのか······その本部はドコに?」
 「······キサマ、ふざけるなよ?」


 そう言うと門番は剣を抜く
 すると近くにいたもう1人もこちらに向かって剣抜いた


 「······なに、やんの?」


 うーん、最近の俺は沸点が低い。少しケンカを売られただけでもイラついてしまう
 門番2名の身体がビクッと震えた······ビビってやがる




 「やめなさい」




 女の声···しかも俺の後ろから。この声は···⁉


 「オニキス⁉」
 「久しぶりね、ジュート」




 そこにいたのは、【黒の特級魔術師】にして〔闇と影の舞踊ブラックハーケン〕の団長


 オニキス・オプシディアンだった




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 「ここは私に任せなさい」 
 「「はっ‼」」


 門番は敬礼して持ち場に戻っていく。俺はオニキスの変わらない姿に少し安心した


 「場所を変えましょう。そうね···王都中心の喫茶店、〔ブラックデイズ〕で。私もすぐに向かうから先に行ってて」
 「わかった、後でな」


 俺とオニキスは別れて俺は喫茶店へ
 オニキスは城へ入って行った。とにかく行くか


 そして歩くこと30分···ようやく王都の中心へ
 そして見つけた···あれが喫茶店〔ブラックデイズ〕か


 「へぇ、いい感じじゃん」


 俺が今まで見た喫茶店は、どちらかといえばダークな雰囲気の店がほとんどだったが、この店はカジュアルで明るい雰囲気の喫茶店だった


 俺は中に入り一番奥のボックス席へ···店員さんが注文を取りに来たので紅茶を頼んで待っていると、オニキスが現れた


 「ゴメンね、待った?」
 「いや、今来たトコ」


 何これ、なんかデートの待ち合わせみたいな感じ。なんか恥ずかしいな


 オニキスの服装は黒を基調とした動き易さを重視した作業服みたいなもので、女の子が着るようなものではなかった
 オニキスは全く気にしてないみたいだけど······よく観察すると服の内側が少し不自然だ、武器でも隠してるんだろうか


 「それで、どうして門番とケンカしてたの?」
 「お前に大事な話があるんだよ、だからオニキスに会わせろって言ったら無視されたから」
 「やれやれ、それで何の話?」


 オニキスは仕方ないなぁ···と言う感じで微笑んでる
 俺は視線を凝らして誰も聞いていないかを確認する


 「大丈夫よ、この店は〔闇と影の舞踊ブラックハーケン〕の所有物の1つ。すでに人払いは済んでるわ」


 ホントだ。いつの間にか誰もいないし、カウンターにいた店員さんも消えていた
 これで安心して話せるな


 「わかった。いいか、驚くなよ·········」
 「なに?」






 「〔デューラの宵山〕で、吸血鬼ギィーレレロを倒した。それで今その時捕まってた人間たちを保護してる。この人たちをもとの故郷に帰してやってくれ」 








 「···············は?」




 オニキスは混乱した‼




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 「·········つまり、アナタは吸血鬼の町の情報で〔デューラの宵山〕に向かった。そこで大量の人間が選別されていた、そしてギィーレレロを倒して人間たちを保護、そして人間たちを故郷へ帰すために私を頼って来た······と言うことね?」


 オニキスは俺に詳しく説明を求めた
 時折オニキスの質問を交えながら話し、最後にオニキスがまとめた
 ヴリコラカスの正体はまだ話してない


 「そういうことだ。頼めるか?」
 「もちろん。吸血鬼に襲われた人たちの保護は、私たちの仕事よ。にわかには信じられないけどね······アナタがウソ付くわけないし」


 そう言って貰えるのはありがたい。やっぱ信頼って大事だよね


 「よし、じゃあ地下に行きましょう。そこで一度全員を開放して簡単な検査をするわ、問題がなければ王都の出身者はそのまま開放する。残りは責任を持って故郷へ送るわ」
 「ああ、任せる······地下?」
 「ええ。この喫茶店は秘密の隠れ家でもあるからね、地下に広い空間があるわよ······聞いてたわね?」


 オニキスが言うと突然女の子が3人、天井の隠し扉から落下してきた


 「準備をお願い。時間は15分後で、人数は30人集めて取り掛かりなさい」
 「「「はっ‼」」」」


 そして女の子たちは音もなく去っていった······忍者かよ


 「ビックリした······なぁ、いきなり30人も集められんのかよ。しかも15分って···ムリじゃね?」
 「そうかしら? むしろ15分は余裕を見て言ったのよ。正式隊員だったら5分で終わる仕事よ」 
 「そ、そうか。正式隊員って?」
 「さっきの彼女たちは訓練中の見習い隊員よ。正式隊員は200名、私の直属の精鋭隊員が50人、見習い隊員は···1000人くらいいるかしら? 王都を出た先にある〔ブラックハーケン訓練所〕で日々修行してるわ」
 「そ、そんなにたくさんいたのか······もしかして全員女?」
 「もちろんよ、入隊条件が女であること、30歳未満であることだからね」
 「·········そうか。それを決めたのは?」






 「もちろん王様よ? だって〔闇と影の舞踊ブラックハーケン〕の制度は王様が決めたんだから」






 「·········そっか」


 若い女の子ばかりの隊員か


 「なぁ、1000人も隊員を把握出来てんのか?」
 「まぁ点呼は取ってるけどね、やっぱり辛い訓練から逃げちゃう子はいるわ。朝になって気が付くと荷物も持たずにいきなりいなくなるほどね、さすがに困るわね」


 オニキスは笑うが俺は笑えなかった


 王様の正体······ヴリコラカス




 俺は〔闇と影の舞踊ブラックハーケン〕が、王様の餌場かもしれないと疑っていた





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