ホントウの勇者

さとう

閑話 篠原幻想 【幻神ファンタルジオ】



 篠原しのはら幻想げんそうたちは、【紫の大陸ノイエパープル】の入口近くに来ていた


 「おいおい楠木、このままだと【黒の大陸】から出ちまうぜ?」


 そう答えるのは読坂よみさか供恩くおん
 垂れ目の少年は目を細めて、隣を歩く中性的な少年…楠木くすのき森玖りんくに話しかけた


 「いいんだよ。無月がどこにいるか分からない以上、罠を仕掛けるのはこの大陸の出口……つまり【紫の大陸】の入口がベストなのさ」


 その様子をボケッと見ていた三途さんず玲弥れいやは、隣にいた轄俥かつぐるま盛輪じょうりんに話しかけている


 「なぁなぁ、これが終わったら近くの町で遊ぼうぜ。ぐふふ……」
 「三途くん……もしかして、娼館にでも行きたいの?」
 「あったりまえだろ? 男なら誰だっていい女抱きたいだろ?」


 全く関係のない話をしている男2人に、篠原はため息をついた


 「おいそこの2人……女の話はあとにしろよ」
 「いいだろ別に……お前はどーなんだよ、もう女とヤったのかよ?」
 「それってクラスの女ってことか? ムリムリ、アイツら全員おっかねぇもん」
 「ぎゃははっ!! 確かにな、それにオレは大人の女が好みだ。そう…ローレライ様みたいな……ぐふふ」


 三途は何かを思い出しながら……気持ち悪いニヤケ面をした
 そして読坂はそんな3人を呆れた表情で見る




 「お前ら……手伝えよ」




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 それから数時間後……「罠」が完成した


 「さて、これでいいだろう。ここに踏み込んだ人間はオートで迎撃される。無差別攻撃になるけど仕方ないよね?」


 楠木は肩をすくめて微笑む……その顔に一切の罪悪感はない


 「……う~ん」
 「どうしたの、篠原君?」


 腕を組んで悩んでいる篠原に、轄俥は話しかける


 「いや、この「罠」に無月がハマったとして……ホントに大丈夫かなって」
 「やれやれ、相変わらず篠原は不安性なんだな」
 「いいだろ別に。不安に超したことないだろ」


 篠原は不安性。それはここにいるメンバー全員が知っていた


 「無月が「罠」にハマればすぐに分かる。それまで近くの町でのんびりするか……轄俥の神器なら、ここまで数十分でこれるしな」
 「おっ、さんせーい!! じゃあ行こうぜ!!」
 「ちょっ!? 三途くん、引っ張らないでよ!!」


 読坂の提案に三途は賛成し、轄俥を引っ張り神器の元へ歩いて行く


 「…………」
 「不安かい?」


 「罠」を見つめる篠原に声を掛ける楠木は、薄く微笑んでいた


 「まぁな……悪いな、こんな性格で」
 「いいよ。実験は成功したけど……無月に通用するかどうかはわからないからね、不安なのはボクも一緒さ」


 篠原は「罠」を見つめて振り返る


 「篠原くん?」
 「行こうぜ……あとはぶっつけ本番だ。考えても仕方ないしな」
 「……そうだね」


 篠原と楠木は、神器の車に向かって歩き出した





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