ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE①/【銃神ヴォルフガング】VS【吸血鬼ギィーレレロ】/スピード・ブサイクトカゲ



 「高級品······ふざけやがって」


 このフロアの警備は15人。牢屋の中は全員女の子
 しかも何人かは妊娠しているようでお腹が大きかった


 牢屋の形は上のフロアと同じ円形で、違うのは見張りが牢屋の前に1人づつ立っていることだった




 まぁ、神器を発動させた俺には何の問題もないが




 俺は階段を飛び出して一番近くの牢屋に立っていた吸血鬼の首を切り落とし、心臓にナイフを突き刺す


 「は?」


 その隣にいた吸血鬼は何が起きたか理解出来てない
 そのまま【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】を投げつけ心臓を破壊


 あとはほとんど流れ作業
 残り3人ほどでやっと戦闘態勢になったがすでに遅い······あっという間に15人を始末した


 「大丈夫か?······今出してやる」


 少女たちは全員が妊娠していた
 そのうち何人かは俺より年下······それでも助けが来ると信じて待っていたそうだ


 「ここに避難してくれ、上の階層のみんなは全員ここの中にいる」


 そういうと全員が素直に従って紋章に触れる
 これであとは最下層の人間。たしか選別作業が始まったんだよな
 ここまで来たらあとは暴れてやる




 ギィーレレロがいたら、ヴリコラカスの居場所を聞いて始末してやる




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 「ここが最下層······地下にこんな空間があったなんて」


 最下層はかなりの広さだった
 学校の体育館より広く、そこにいた人間の数は20くらい
 全員が人間の男女で全裸で立たされていた


 俺は〔神化形態〕のまま辺りを観察する


 吸血鬼の数はここまでで一番多い、恐らく150はいる
 全員が武装して作業してるな、台車を引きずり運び、男女の服や装備を処分したり、あとは警備なのかよくわからんが壁に並んで立っている


 そして見つけた。長いウェーブの金髪の、女吸血鬼


 「あれがギィーレレロか······」


 俺との距離は役150メートル。ここから狙撃するか
 ギィーレレロは、冷たく赤い瞳を輝かせ人間を観察してる
 そして、1人の男の前に立ち全身を観察した


 「ふ〜ん······なかなかイイねぇ…あ・じ・み、いただきま〜す」


 そう言って口を開けてキバを見せつけ、男の首に食らいついた


 「ひっ、ひっ、ひぃぃぃっ···あぁぉぁあ···」


 男は恐怖で失禁···ギィーレレロに向かって小便をぶちまけるが、ギィーレレロは恍惚の表情で血と生気を吸い上げる


 「んっふぅ……あ〜オイシかったぁ〜。ありゃぁ?···死んじゃったかぁ〜ふふふ、ゴメンねぇ?」


 男は恐怖で目を見開いて死んでいた
 その顔を苦痛に歪ませて······あのイカレ吸血鬼


 そしてギィーレレロは怯える人間に対して言う


 「アナタたちは全員ヴリコラカス様の供物よぉ、フフフ···その時が来るまで待っててねぇ〜······と・こ・ろ・でぇ」


 ギィーレレロは言った














 「アナタ、だぁれぇ?」














 俺の後ろで・・・・・




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 俺は瞬間的に【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】を抜いて確認もせずに振り抜く
 俺の目にはまだ150メートル先に・・・・・・・・・ギィーレレロが写っている


 しかし、現実にヤツは俺の真後ろにいて声を掛けてきた


 「あははははッ、〔神の器〕がな~んでこんなトコにぃ?」


 しかしギィーレレロは身体を少しよじらせただけでその攻撃を回避する


 「そっかそっかぁ~、アナタ人間、いや王都の手先ねぇ?」
 「違う、俺はお前にヴリコラカスの居場所を聞きに来た冒険者だ」
 「〔神の器〕の冒険者ぁ?……あははははッ!! そんなワケないじゃなぁい?」


 ちくしょう。甘く見てた、まさか俺の「眼」で追えないなんて……!!


 「吸血鬼最速……か」
 「ふぅん? アナタ、かなり強いわねぇ……アナタがギュステビオンを殺したのぉ?」
 「………違う」
 「まぁどうでもいいかぁ……ねぇ、アナタに聞きたいんだけどぉ……?」










 「〔神の器〕の生気ってぇ……どんな味なのぉぉぉ?」










 猛烈な殺気があふれ出し、それは魔力の奔流となり俺を襲った




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 俺は最下層に落下……吸血鬼と人間の間に着地した


 「な、なに。なんなの?」
 「おい、コイツ〔神の器〕だぞ!?」
 「なんでここに……もうイヤぁぁっ!!」


 人間はパニックに陥るが、吸血鬼がそれを押しとどめる
 そして未だに上空にいるギィーレレロが周りの吸血鬼に指示を出した


 「はぁ~い、ミンナでそのコをイジメてちょ~だ~い。あ、生気は吸っちゃダメよ~ん」


 その言葉に、周囲の吸血鬼全員が俺を見る


 「ボウヤ~、その子達はアタシの眷属よ~ん。アタシの加護でスピードも速いから死なないでね~ん」


 甘ったるい声が響き、その言葉が合図となり戦闘が始まった


 「シャァァァァッ!!」
 「ジャァァァァッ!!」


 両手にナイフを持った吸血鬼たちが襲ってくる
 しかも推定150人……その剣速はかなり早く、捌くので精一杯だった。ザコでこれかよ!!


 「くっそがぁ!!」


 『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を連射するが当たらない
 コイツらのスピードが弾速よりも遙かに速い。ならコイツで!!


 「いくぜアグニ!! 魂融ソウルエンゲージ……」
 《ダメだジュート!! オレの炎じゃ人間を巻き込んじまう!!》


 くそ、確かに
 敵は四方八方にいるし、人間達は壁際に集められて捕らわれてる
 広域に炎を放射すれば間違いなく黒焦げだ


 「なら……モル、いや…クライブ!!」
 「スッキあり~っ」
 「な、ぐがぁぁっ!?」


 上空から現れたギィーレレロが、手のツメに魔力を纏わせて背中を切り裂いてきた
 その衝撃で【果たされし友情の約束リアライズ・プロメッサ・アミティーエ】が切り裂かれ血が噴き出す


 「てめぇ……ッ!!」
 「ふっふ~ん、アタシがなにもしないとでも~?」


 くっそ、油断した……マズイ!!


 「ジャァァァァッ!!」
 「ジャァァァァッ!!」


 その間にも吸血鬼たちの猛攻は止まらない
 そしてその攻撃のスキマを縫うようにギィーレレロの猛攻がプラスされる


 「ホラホラぁ~っ!! 死んじゃうわよ~ん!!」
 「ぐっ、が…くっそがぁっ!!」


 ギィーレレロの猛攻を殆ど躱せずに傷だけが増えていく
 このままだとマズイ……失血が多い!!


 「おっしま~いっ!!」
 「がっはぁぁぁぁぁっ!?」


 腹部に強烈な蹴りを受けて吹っ飛び、俺はそのまま動かなかった……見てやがれ


 「う~ん……〔神の器〕って言ってもこの程度かぁ~」


 ギィーレレロと吸血鬼たちがゆっくり俺に近づく




 「【白】の中級魔術、【聖母祝福オラトリオ・キュアー】!!」




 その瞬間、吸血鬼数人が蒸発……ギィーレレロもダメージを受けた


 「ぎゃぁぁぁぁぁぁっぁあっ!?!?」
 「バーカぁっ!! ザマー見ろってんだぁはっはっはぁっ!!!」


 コイツら吸血鬼は【白】属性が弱点
 それはどんな吸血鬼だろうと、眷属だろうと変わらない!!


 【聖母祝福オラトリオ・キュアー】は回復力は低いけど狙いを定める必要の無い広範囲の回復魔術
 トドメを刺して安心して近づいたところを狙えばダメージは与えられる……見事に引っかかってくれた


 「こ、ここ……こんのガキィィィィィッ!!!」


 ギィーレレロの顔と身体は焼けただれている
 手下は蒸発したけど…さすが眷属、タフさもかなりのもんだ


 「ブっ……こ……ろぉぉぉっすっ!!!!!!」


 次の瞬間、ギィーレレロの姿が変わる……身体の色が薄い茶色に変化し質感も変わり、顔に至っては眼が左右に寄って口は裂け、蛇のように舌をシュルシュルと伸ばす
 手のツメは鋭くなり長く伸び、コウモリのような翼は小さくなった
 そして……長い爬虫類のようなしっぽが伸びた


 その姿は、異形のトカゲのようだった


 「〔魔性化〕か……しかもトカゲかよ」
 「ダマレェッ!!」


 するとギィーレレロは動き出す。そのスピードは先ほどの比ではなかった


 「ぶっ、分身だとぉっ!?」


 余りの速度に残像が混じり、恐ろしい速度で俺に連続攻撃を仕掛けてくる
 さらに、援護射撃で吸血鬼たちの魔術も飛んでくる……ヤバい


 「チィィィッ!! どーする、このままじゃ!!」


 吸血鬼は未だに100体以上
 しかもブサイクトカゲのギィーレレロもいる……すると




 《よぉ兄ちゃん。大ピンチだなぁ、カッカッカ!!》




 ナハトの笑い声が俺の中に響いた





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