ホントウの勇者

さとう

石の町ダクレム③/恋人へのプレゼント・揺れる心



 「よし。ジュートくん、今日はありがとね」
 「いやはや……これだけの極上の原石、夢じゃないだろうか」


 魔導車で町に帰還
 そしてウィルターのお店の裏に魔導車を付けて、作業場へ麻袋を降ろす
 そして中身を見せたとたん、冗談抜きでウィルターさんが腰を抜かした


 ウィルターさん曰く、これだけの原石があれば一生食べるのに困らないそうだ……マジで?


 「あ、あと俺の持ってる原石を売り払いたいんですけど、これって商人ギルドで売っていいんですかね?」


 お金に余裕はあるけど俺はこんなのいらない
 邪魔にもならないけど使う人がいるなら売り払おう…ということで売る場所をウィルターさんに聞く


 「ああ。問題無いよ……あの、どのくらいだい?」
 「えーと……たくさん」


 正直あの量は麻袋100でもたりない……原石が値崩れしたりしないだろうか


 「うーむ……こんなことを頼むのは筋違い、無礼も甚だしいいが、できれば〔王都ブラックオルス〕で売ってもらえないだろうか。ここで大量に売られると値崩れを起こしかねない、申し訳ないが……」


 もちろん問題無い
 どうせお金には困ってないし、急ぎでもない


 「わかりました。じゃあそうします」
 「すまない……その代わりに最高のアクセサリーを作らせてもらう」
 「私も頑張ってデザインするね」


 そう言ってウィルターさんとシェイナさんは店の中に消えていった




 あとは待つだけ……のんびりするか




─────────────


─────────


──── 




 そのまま宿屋での~んびり待つ。するといきなりドアが開いた


 「ジュートくん、アクセサリーが出来たわよ!!」
 「うおっ!? シェイナさん…驚かせないで下さいよ」


 シェイナさんは宿屋を辞めてウィルターさんのお店のデザイナーとなった
 どうやらいろいろアイデアが沸いてきたらしい


 「さ、行きましょうか。アニキが待ってるよ」
 「はーい」




 待つこと4日……アクセサリーの完成だ!!




─────────────


─────────


────




 〔ウィルター装飾品店〕は今日は定休日みたいだ
 シェイナさんは普通にドアを開けて中に入っていく……するとウィルターさんが出迎えてくれた


 「やあジュートくん。ご注文の品はできてるよ」
 「おお、ありがとうございます!!」


 できあがったネックレスは5つ……それぞれ別の宝石がはめられたシンプルなデザインのネックレスだ
 チェーンはシルバーで台座も銀で出来ており、研磨され輝いてる宝石がはめられている
 ネックレスに合わせた色違いの箱も付けられており、ものすごく満足した


 「あとはコレを………はい。完成!!」


 シェイナさんは綺麗な色違いの包装紙に包む。ホントに至れり尽くせりだ


 「ありがとうございます!! おいくらでしょうか?」
 「いや、キミからお金は受け取れない。私もいい仕事をさせて貰ったからね……それにこれほどの原石が山のように手に入った。こちらが支払いたいくらいさ」
 「いや、でも……」


 それとコレとは別
 原石は拾い物だし、技術料金は別と考えていたからな


 「いいって、ジュートくんのおかげで生活も楽になったし。私もデザイナーとしてデビュー出来そうだしね。ふふふ、キミがあの宿で、私が接客したのは運命だったのかな?」
 「え、あ…いや……」


 なんか恥ずかしい、運命の出会いみたいな言い方だ


 「ん?……ああゴメン!! そんなつもりじゃ、あはは……」
 「コラ、シェイナ。ジュートくんが困ってるだろ?」
 「いや。あはははは……」


 なんとなく笑ってごまかす。じゃあさっそく渡しに行こう


 「それじゃあ、お世話になりました!!」
 「ああ。また来てくれ、歓迎しよう」
 「次は私のデザインしたアクセサリーを買ってね!! もちろん恋人へのプレゼントにね!!」




 2人に挨拶し店を出る
 この町での探索は終わり…よし、マフィのとこへ行くか




 俺は町から出て転移を発動。マフィの所へ転移した




─────────────


─────────


────




 「たっだいま~~っ!!」


 声を上げながら転移、するとそこはいつもの休憩室ではなく広く白い部屋
 そしてそこには……






 「【刺糸スピッツ】!!」
 「【氷河壁ひょうがへき】!!」






 括利が両手から細い針のような糸を伸ばし、俺をすり抜けた先にいる氷寒を狙う
 しかし氷寒の出した分厚い氷の壁に遮られた瞬間だった


 「じゅ、ジュートくん!?」
 「あっぶな……」


 水萌と虫菜が離れた所でその様子を見てたみたい
 俺はいきなりのことで全く反応できず硬直……すると氷寒と括利が技を解除。あわてて近づいてきた


 「………死にたいの!?」
 「も~あっぶないな~っ!!」


 なんだろう、俺が悪いのかな……なんか悲しくなってきた


 「ごめんなさい……」




 とりあえず謝った
 来た早々いきなりコレか




─────────────


─────────


──── 




 とりあえず休憩室へ
 みんな魔術で身体を綺麗にし、ソファへ深々と座った


 俺の隣には虫菜と括利、この2人はスキンシップが多い
 特に括利は腕をガッチリ抱き、虫菜も負けじとくっついてくる
 2人とも胸が大きいので柔らかさが伝わってきた


 「なあ、神器を使って平気なのか?」
 「うん、いざという時に闘えないと困るしね。それに不思議と力がわいてくるの」


 水萌は嬉しそうに言う。力が沸く……大丈夫なのかな?


 「心配いらん。このまま行けば〔第二神化形態〕にもなれるだろうな」


 そう言って肘掛けイスがくるりとまわる
 するとそこにはマフィがいた。いつの間に……


 「そうなのか?」
 「ああ。コイツらの神はもう【銃神】を恨んでいない。どうやらお前を経由して【氷神】と【糸神】の心情を【水神】と【蟲神】が理解したようだ。神もまた感情を持つ……お前の思いが通じたのかもな」


 そんなこと言われると照れる。俺は思ったことをやってるだけだ


 「それはそうとジュート」
 「ん?…なんだ?」










 「お前、式場しきば夜刀やとを抱いたな?」










 その言葉に、全員が反応した




─────────────


─────────


────




 「お前の魂をスキャンしたら知らないパスが・・・・・・・繋がれていた・・・・・・。詳しく調べたらそれが式場しきば夜刀やと……【刀神】の物だった」
 「…………」
 「どういうことだ?……何があったんだ?」


 隠すことじゃない
 俺は……【黒の大陸】でのコトを説明した


 夜刀とすればパスをつなげるかも知れないと思ったこと、結局ダメだったこと、夜刀は【時の大陸】で俺と決着を付けるということ


 「なるほどな……恐らくだが、式場しきば夜刀やとと【刀神】の精神が混濁を始めてる。そのおかげで式場しきば夜刀やとが【刀神】になりつつある。愛する者と戦う…かつてのシェイヴァレイザーもそうだった。アイツは【銃神】に恋をしていたから、きっと同じ境遇の式場しきば夜刀やとに自分を重ねた結果だろう」


 マジかよ……【刀神】が【銃神】に恋してた?


 「神だって感情がある。子を作る事は出来ないが行為は出来る……【創造神】が何を考えてこんな作りにしたかは知らんがな。愛を語る奴もいるし、恋をする奴だっている。私やシャルムなんて文学や研究に恋してたからな」




 それはなんか違う気がする。まぁいいけど




─────────────


─────────


────




 「そういえばお前、何の用で来たんだ?」


 話が一段落しマフィが訪ねる。そうだ、プレゼントを私に来たんだ


 「その~えっと……」


 うう、なんか恥ずかしい。全員が俺を見てる……よし


 「みんなにプレゼントを持ってきたんだ」


 最後の方で声が小さくなってしまった……うう


 「プレゼント~?」
 「……へぇ?」
 「わざわざ届けに?」
 「わぁお」


 俺は意を決してプレゼントの箱を取り出し全員に配った
 もちろんマフィにも


 全員が袋を開けて箱を開ける
 うう、みんなの顔が見れない……ここから消えたい


 「わぁ~っ……キレ~~っ!!」
 「…………」
 「すごい……綺麗な水色」
 「ほわぁ……」


 4人がネックレスを掲げて宝石をのぞき込む


 「ふ、ふむ……私にもか。ほう、へぇ……むむむ」


 マフィは顔を赤くして落ち着きなくもじもじしてる
 そして4人がネックレスを付けて胸に手を当てた


 「お、おい…どうやって付けるんだ?」
 「ん? ホラ、こうするんだよ」
 「わわッ!?」


 俺はマフィの背後に回り、髪の毛を持ち上げて首の後ろでチェーンを付ける


 「わかったか?」
 「……うん」


 なんかしおらしい……「うん」なんてコイツが言うの初めて聞いた


 「ジュート、ありがと~っ!!」
 「……ありがとう」
 「ありがとう。大事にするね」
 「ありがと」


 4人は嬉しそうだ……よかった


 「ジュート、その……感謝する」
 「おう」


 そう言ってマフィは消えた
 また冒険者観察でもすんのかな


 「じゃあ……お礼しなきゃね~」
 「……そうね」
 「みんなで、ね?」
 「お楽しみ」


 そう言って抱きつかれ、立ち上がり温泉へ




 こりゃしばらく帰れないな……帰る気もないけどね





「ホントウの勇者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く