ホントウの勇者

さとう

石の町ダクレム①/宝石の町・ロイヤル



 〔石の町ダクレム〕は、別名で宝石の町とも呼ばれている


 【黒の大陸】の観光名所の1つで、この町に訪れる人はセレブや貴族などのお金持ちばかり


 この町には【黒の大陸】で取れた殆どの鉱石、原石が集まるので宝石加工職人が多く在住し、工房を構え店を構えている
 なので町を歩く人は冒険者よりもキレイに着飾ったセレブばかり


 そのため警備も並みではない
 光を嫌う吸血鬼対策で、常に町は大型魔導ランプが灯されており、町の警備隊は莫大な報酬と引き換えに【黒の大陸】最強の傭兵団〔輝ける闇グロウザラム〕が引き受けている


 《······と言うことネ》


 なるほどな、さすがクロだ
 町の説明に関して右に出る者はいないぜ


 俺とクロは長い街道を【アウトブラッキー】で走行してる
 遠くに輝く町の光を眺めながら、クロがいろいろ説明してくれた


 「とりあえず、原石をいくつか宝石に加工して、後は全部売っちまおう。こんなにあっても仕方ないしな」


 俺の頭の中には4人の少女、ついでに1人が浮かんでいた
 少女たちにプレゼントをするにはもってこいの原石だ




 少女たちの笑顔を思い浮かべ、魔導車を加速させた




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 「や〜っと入れた······疲れた」




 町の警備はかなり厳重だった
 町に近づくに連れて魔導車が混んでいるのがわかったので、途中で車を降りて歩くことにした
 そこから数時間······入口の門に並ぶ人たちに混ざって立ち尽くし、やっと自分の順番になり検査をうけた


 手荷物やここに来た目的、俺は原石を加工して宝石を作ってもらうためと言い原石を見せて納得させた
 その後は簡単な検査、店目に光を当てて調べる···こうすれば吸血鬼がわかるそうだ
 もちろんシロだった。当たり前だ


 そんなこんなで町に入り歩く。宿を取って腹ごしらえかな




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 町の建物は立派なものばかりだった
 目立つのはやはり貴金属店···きらびやかな装飾品がショーケースに飾られて高級感に溢れている
 町の中央にはギルドや武器防具店、あるのが当たり前なのになぜか場違いなイメージだ


 宿屋はたくさんあるがどこも高級感溢れている
 まぁ今の手持ちならどこでも泊まれるし、この町でさらにお金が増えるだろうしな······適当でいいか


 町の中央にそびえ立つ10階建てくらいの立派な宿屋に入った
 中は今まで泊まった宿屋の中でも一番に広く、美しい
 とにかく受付を済ませよっと、今日は遅いしここで夕食を食べて明日から買い物と宝石加工かな


 「いらっしゃいませお客様、本日はご宿泊でございますか?」


 今までにないくらい丁寧な対応だ
 高級宿なだけある······よく見ると周りはセレブばかり、俺みたいな冒険者は一人もいない
 すると受付のお姉さんが言う


 「申し訳ありません、本日は満室でして···最上階のロイヤルスイートルームしか空室がございません」


 ロイヤルスイートルーム。なんともすごい響きだな


 「じゃあそこでお願いします」
 「し、しかし···お値段が一泊300万ゴルドで···」
 「大丈夫です。とりあえず·····5日ほど」


 宝石の加工に何日かかるかわからないしな
 もっとかかるようだったらその都度延長すればいいか


 俺はゴルドカードを取り出し会計をする


 「そ、それでは最上階へご案内いたします」


 受付のお姉さんが驚いてる。そんなに俺は金持ってなさそうに見えたのかな




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 なんとエレベーターで最上階へ
 どうやら【紫の大陸】の技術らしい···ものの10秒と掛からなかった


 「ご夕食のお時間は?」
 「えーと、すぐにお願いします」
 「かしこまりました」


 お姉さんが再びエレベーターで降りていく
 どうやら夕食はここまで運んでくれるらしい


 部屋の内装は豪華の一言だった
 最上階そのものを1つの部屋として改造してあるため、屋上に家が建築されてる感じだ
 外に出ると町を見下ろせる···ランプの光が町を彩り幻想的な景色だ


 するとエレベーターが止まる音···先程のお姉さんがワゴンを引いて上がってきた


 さて、やっとメシの時間だ




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 豪華な一品料理が並び、一人でも食べ切れる量の料理が次々出される
 俺の給仕を担当したのは受付のお姉さん……結局最後まで担当してもらい、今も俺の後ろに控えている


 お姉さんは年齢が20歳くらいの美人
 せっかくだし町のこといろいろ聞きたいな


 「あの……すみません」
 「はい。なにか御用でしょうか」


 うーん、堅苦しい
 まあ1泊300万の部屋に泊まる高額宿泊者に敬語を使うななんて言いにくい
 でも俺としてはフレンドリーなほうがありがたい


 「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
 「はい。なんなりと」


 にっこり笑うお姉さん。とりあえず質問してみるか


 「あのー、俺…この町は初めてで、その…贈り物の宝石を依頼したいんですけど、えっと、あー…原石はありますんで宝石に加工してくれる工房を」


 やっべ、女の子に贈り物する宝石を依頼したいのでいい店知りませんかなんてかなり恥ずかしい
 思いっきりドモってしまった……するとお姉さんはくすりと笑い


 「もしかして……女の子?」
 「ぐふぅっ………そうです、はい」


 バレバレだった。ううう、恥ずかしい


 「あ…す、すみません!? 私、お客様になんてことを……」
 「あーいやいや、そのままでお願いします。俺もそっちのが喋りやすいです」


 お姉さんはあわてたが、俺の一言で落ち着いたようだ


 「そう?……なら、そうさせてもらおうかな」
 「はい。俺も気を使われるの苦手なんで……」


 ふう。これで話せる……ではもう一度質問しよう
 この際開き直って聞いてやる


 「それで、女の子に宝石を送りたいんです。人数は5人、うち4人は恋人です」
 「………も、モテるのね…その年ですごいわ。所で原石を持ってるのよね? 見せてくれる?」
 「あ、はい。えーと…これです」


 俺はカバンに手を突っ込んでこっそり異空間の門を開く……そこから5色の原石を取り出した
 俺なりに考えた彼女たちの色……括利は黄色・氷寒は青・水萌は水色・虫菜は緑・マフィは黒だ
 これは俺の直感だけどね


 「………これ、どこで?」
 「え?…〔レセルバ鉱山〕ですけど」


 お姉さんの表情が変わった。どうしたんだろ?


 「う、うそ。だってこんな大きな原石見たことないわよ!? 〔レセルバ鉱山〕は原石を採り尽くされて閉鎖された山よ!? こんな大きな、しかも鮮やかな原石見たことないわ!?」


 て、テンションたっか。詳しいなこのお姉さん


 「く、詳しいんですね」
 「この町の人間なら常識よ!! それでどこで採ったの!!」


 めちゃめちゃ近くで話してくる
 美人のお姉さんに詰め寄られて悪い気はしないが、顔が怖い


 「えっと、鉱山の最下層のさらに下です。秘密の穴を見つけて…降りたら大量の原石を発見しました」


 ほとんど採りつくしたけどな
 でもあそこを掘ればもっと出てくるかも


 「盲点だったわ。まさかあれより下にこんな原石が……ねえ、このことは誰にも言ってない?」
 「はい。お姉さんが初めてです」
 「そう……このことは言っちゃダメよ。そのかわりこの町で最高の宝石職人を紹介してあげる」


 この人……独り占めする気か?


 「ち、違うわよ。あははは……」
 「…………」
 「ゴメン、そんな目で見ないで……」


 まあいいか、別に悪さをしようってんじゃなさそうだし
 金に目がくらむのは人として仕方ないよね


 「わかりました、あとで場所を教えます。それで職人は……」
 「任せて、明日案内してあげるわ」




 案内って……着いてくるのかな? 





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