ホントウの勇者

さとう

レセルバ鉱山/モルの穴掘り・原石



 「……やっぱ暗いよな」


 〔レセルバ鉱山〕入口……鉱山の入口は真っ暗だった。分かっていたけどね


 《サテ……説明の時間ネ》


 クロが俺の肩に飛び乗り頭をこすりつけてくる
 フワフワした毛がくすぐったくて気持ちいい


 〔レセルバ鉱山〕は、元々は武器防具に使う金属鉱や、貴金属に使う宝石なんかがよくとれた鉱山で、洞窟の中は何層にも分かれたある意味ダンジョンのような鉱山だ
 今は発掘はされていない……何故ならこの鉱山の岩や岩盤が固すぎて、いい石はとれるのだが割に合わないのだ
 なのでこの鉱山は次第に人が寄りつかなくなり、もっと近くに柔らかく質のいい石がとれる鉱山が見つかったので全く人間が来なくなってしまった……その広さ、複雑さ故にこの中で迷子になり死亡する人間も出てきたので、現在は立ち入る者が誰もいない
 さらに……モンスターも近寄らない天然の要塞みたいになったのだ


 《人の気配が全くしないワ……》
 「だな。さっさと行こう、案内頼むぜ」




 そんなわけで……洞窟探検といきますか




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 洞窟はそんなに広くない。高さ4メートル、横幅5メートルほどの通路で、壁には古ぼけた魔導ランプが掛かっていた
 試しに魔力を通したが着かない……どうやら部品が劣化してるようだ


 仕方なく魔術で光の球を打ち上げて進む
 かなり広い通路に、途中で開けた場所に出る……どうやらここが発掘現場みたいだ
 発掘現場には使い古したスコップやツルハシ、一輪車などが放置され、長い間人の手に触れていないことがわかった


 そのまま歩くこと一時間……まだまだ先は長い。そうだ、いいこと考えた!!


 「なぁ、みんな出てこないか? たまには俺と一緒に歩こうぜ」


 俺とクロだけじゃさみしい
 せっかくだし、先は長そうだし……皆で行こう
 すると、カラフルな紋章が輝いて全員現れた


 《へっ、たまにはいいかもなぁ…辛気くせぇ場所だが我慢するか》
 《えへへ、なかなか外に出られないからね。遊びながらいこっ!!》
 《もぐ~~ッ!!》
 《おいら…狭いトコ苦手なんすよ……》
 《やれやれ、仕方ないわね……》




 全員集合。たまにはこんなのもいいかな……じゃあ行きますか




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 アグニとティエルが辺りを照らしてるおかげで昼間のように明るい
 これなら俺の魔術はいらないな。しかし………


 《あ~~~っ······飽きてきた……》


 なんにもない洞窟。俺の隣をぷかぷか浮いていたルーチェが項垂れていた


 《ちょっとルーチェミーア、しっかりしなさいよ》
 《だって、ここなんにもないんだもん。ティルミファエルはヒマじゃないの!?》
 《そ、それは……》


 ルーチェの言葉にティエルが狼狽し


 《うう……狭い。おいらにはキツイっす》
 《ったくクライブグリューン。少しは根性みせろや》
 《うぅぅ……無理っすよ》


 クライブの羽がしおれてる……おいおい、大丈夫かよ
 アグニもなんか疲れてるし


 「み、みんな…疲れたなら戻っていいぞ?」


 次の瞬間、4つの紋章が輝いて4匹が消えた……薄情者め


 《あのコたちは全く……》


 クロがため息をついてる……すると


 《もぐ~~っ!!》
 「うおっ!?」


 近くの壁を突き破ってモルが現れた


 《久しぶりに地面を思う存分掘れて楽しいみたいネ……》


 クロの翻訳、するとうれしそうにモルは消えた


 「…………まあいいか」




 洞窟探検は続く……




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 最下層まで歩いてきた……さすがに疲れてきた


 モルは辺りをひたすら掘りまくってる
 〔セーフルーム〕の自室の土は柔らかく物足りなかったのか、固い壁や岩盤を苦も無く掘り進む姿は外見から考えられないほど勇ましい


 「おーいモル、少し休憩しようぜ~」


 モルを呼ぶ……すると、俺の足下からボコンと現れた


 《もぐ、もぐもぐ…も~ぐもぐ!!》
 「そっかそっか、お腹減ったのか。いまお菓子出してやるからな」
 《もぐ~~~~っ!!!》


 あれ、なんかおかしいな。俺はクロを見る


 《どうやらこの下で何かを見つけたみたいネ》


 この下って……ここは最下層だぞ? ここから下なんてないはずだけど


 《もぐもぐっ!!》
 《自分に任せろって言ってるワ》
 「…………何を?」


 するとモルは凄い勢いで土を掘り始め、俺の数メートル先に大きな穴を開けた


 《も~~~~~ぐ~~~~~っ!!!!!!》


 モルが掘り進むと……バガン!! と大きな音がして地面に穴が空く
 地盤すら突き破って掘り進んだみたいだ……そこまでするとは


 《もぐ!!》
 《穴が空いたみたいネ。どうやら下は空洞のようネ》


 俺は穴を覗く……穴の大きさは幅2メートルほど、下は真っ暗で何も見えない
 ここに入るの?……正直かなり恐いんですけど


 《せっかくトレパモールが掘った穴に入らないノ?》


 それを言われるのは辛い
 仕方ない……覚悟を決めるか


 「じゃあ……行きますか」




 俺は意を決して穴に飛び降りる……どうか変なことが起きませんように!!




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 飛び降りると言ってもジャンプするワケじゃない


 俺は辺りを見て、腰掛けみたいな形をした岩に魔術で作った鎖を巻く
 壊れないようにガッチリと、そして鎖を穴に落とす
 かなり長めに作ったのに、鎖は風を切りながら落下した


 《じゃあ······逝きなサイ》
 「······おう」


 ニュアンスがちょっと違った気がした。気のせいだよね?


 クロを肩に乗せ懸垂下降でゆっくり降りる
 雪山のクレバスに落ちた人を救うレスキュー隊ってこんな気持ちなのかな


 そのままゆっくり···ゆっくりと降りる
 そして5分ほどで下が見えてきた。そして······驚いた


 「·········」
 《·········》


 言葉が出ないと言うのはこの事だ
 そこは空洞で広さは体育館ぐらい、ドームみたいな部屋だった。そして驚いたのは


 「これって······」
 《廃棄された鉱山······まさかこんなにネ》




 壁一面を埋め尽くす、宝石の山だった






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 宝石、と言っても店で売られてるような物ではなく原石と言われる加工前の石だった
 それが壁一面を覆い尽くしてる


 蒼いのもあれば紅いのもあるし、黒いのもあれば白いのも透明なのもある
 よりどりみどり、取り放題の大盤振る舞いだ。ちょっと意味が違うかな


 《もぐ、も〜ぐ‼》


 俺の足元にボコンと現れたモルが何かを言ってる


 《自分に任せろって言ってるワ》


 するとモルは地面に潜り再び移動する···すると、壁全体が振動し、原石がポロポロ落ちてきた


 「とは言っても···使わないんだよなあ」
 《マァ持ってればいいんじゃナイ?》


 まぁ確かに。とりあえず亜空間にしまっておこう




 さーて、戻るとするか。ここを垂直に登るのはキツイけどね




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 穴から戻り再び進む
 思わぬ収穫だったけどこんなのどうすればいいんだ?


 《石の町で加工して貰えばいいんじゃナイ? 売ればかなりのお金になるワ》


 なるほど、それもいいか。でも······これ以上はお金いらないなぁ
 タダでさえこの世界で一生遊んで暮らせるだけのお金があるんだし


 そんなことを考えながら歩いてると、出口が見えてきた


 外へ出ると相変わらず暗い。でも街道沿いに進んでいけば〔石の町ダクレム〕だな




 さーて、町に向かいますか





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