ホントウの勇者

さとう

閑話 読坂供恩・【呪神カースフルール】



 「はぁ……」


 読坂よみさか供恩くおんはため息をついていた


 ここは魔導船の中。そして大型の客室でもあり5人の少年が揃っていた


 「つまり、俺たちの力で無月の精神を追い込むワケだな。確かにガチンコのバトルより可能性あるな」


 そう答えたのは三途さんず玲弥れいや
 特徴であるつり目をさらに釣り上げて薄く微笑む


 「そんなに上手く行くかね、俺は不安だ······」


 肩を落とすのは篠原しのはら幻想げんそう
 特徴がない普通の少年で、彼は明らかにやる気がなさそうだった


 「安心して、舞台はボクが用意する。君たちはボクの指示でチカラを使ってくれればいい。後はボクに任せてくれ」


 芝居がかったセリフを言うのは楠木くすのき森玖りんく
 中性的な容姿を持つ美少年の言葉に3人はとりあえず安心し、読坂は最後の1人に声を掛けた


 「お前もいいよな、轄俥かつぐるま?」


 何も言わずにそこにいた少年、轄俥かつぐるま盛輪じょうりんは苦笑いで答えた


 「もちろん、僕はただの移動係だからね。戦闘では役に立たないし、無月には一度コテンパンにやられてるからね。みんなの邪魔はしないよ」


 その言葉に三途は笑い、轄俥の肩を抱いた


 「バーカ、仲間に邪魔もクソもあるかよ。俺は腹を括ったぜ。こうなったらやってやる‼」


 そして篠原も、仕方ないと言わんばかりに首を振った


 「確かにな。もう引き返せねぇならやるしかないか···俺も覚悟を決めるよ」


 楠木はそんな2人を見て笑う


 「ああ、戦いはボクに任せてくれ。くくくっ···楽しみだねぇ、読坂くん」
 「あ、ああ······」




 読坂は不安だった






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 「はぁ······」


 読坂は、1人で船のデッキに来ていた


 「なんだかなぁ······」


 楠木の作戦は悪くない
 だが······どうしても無月に勝つ未来が予想出来ない
 考えれば考えるほどおかしいと彼は感じていた


 そもそもこの船の移動にしても、わざわざ時間をかけて向かっている
 この船で【白の大陸】へ向かい、そこから轄俥の【神器ジンギ】で【黒の大陸】へ向かう予定だ


 どう考えても効率が悪い
 まるでワザと時間をかけてるような気がしてならない……


 そのくせ【門】の使用には制限をかけて、緊急時以外には使えないようにしてる
 【門】は危険だがそこまでのものだろうか? 読坂は、自分の中で1つの結論を出した




 「俺たちは······ホントに必要なのか?」




 まるで、今までの戦いが、無月のためにあるような
 ホントに必要なのは自分たちではなく無月なのでは···と、根拠のない考えに至ってしまった




 「俺たちは······勝てるのか?」




 何度も何度も考えた、胸の中のモヤモヤに気付きながら
 読坂は海を眺めながら呟いた




 「俺たちは······正しいのか?」




 答えは、どこからも帰ってこなかった





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