ホントウの勇者

さとう

暗闇の町ブラッギィ②/イケニエ・護送



 翌日の朝、朝食を食べに1階に降りる
 すると宿屋のおじさんが俺を見た


 「·········やっぱり」


 俺は昨日の夜、目が冴えて眠れなかったので吸血鬼のことを分析した


 まず、なぜ俺を狙ったか
 いろいろ考えたけど多分偶然だ。旅の冒険者、しかも1人···格好のエサだ
 昨日あれだけ騒いでいたのに宿屋のおじさんは何も言わない


 多分この町は、吸血鬼に支配されてる


 昨日、クロから聞いた吸血鬼についての情報はこんな感じだ


 吸血鬼は【黒の大陸】の固有種族
 【赤の大陸】は獣人、【青の大陸】は人魚、【黄の大陸】はドワーフ、【緑の大陸】はエルフ、【白の大陸】は翼人、会ったことないけど···こんな感じだ
 獣人は全大陸に多く存在し、固有種族ではなくなってるらいしけど


 吸血鬼はその名の通り血を吸う
 普段はモンスターの血を吸い生活しているが、中には人間の血を求めて人を襲うヤツもいるらしい
 吸血鬼は【黒】魔術の達人で、俺を襲ったヤツもなかなかの魔術の使い手だった
 この町が12時を過ぎると暗闇になるので、それに便乗し冒険者や旅人から血を吸っていたのか


 吸血鬼の身体機能は高く、魔力も高い
 武器は剣やナイフを使う者も居れば格闘を使う者、牙のみの者など様々で弱点は【白】の魔術
 吸血鬼に回復魔術は効かない。使うと消滅してしまうから……その為ケガはすぐ治るし、病気にも強い
 とりわけ夜は吸血鬼の能力が上がり、個人では倒すことが出来ないほどの強さを誇る


 吸血鬼に血を吸われた生物は、吸血鬼になる……ワケではない
 血液と生気を一緒に吸われるので、その生物は衰弱死する




 そんな吸血鬼が、なんで俺を襲ったんだろう?




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 そのカギはここの住人、そんな気がする


 町に入ったときから感じた視線。それがずっと気になっていた


 今なら分かる、俺はきっと生け贄に選ばれたんだ


 この町はきっと吸血鬼の管理下にある町、住人が生け贄を選んで俺を差し出した
 それに……吸血鬼が俺を襲ったヤツだけとは限らない。町ではきっとどこかで変死体が上がっているはず




 「なーんて……考えすぎか」




 吸血鬼は気になるけど、正直たいした強さじゃない
 仮に俺を襲ったヤツが100匹現れても全く問題ない
 とにかくメシを食べよう、食べたらさっさと出発だ


 「おじさん。朝ご飯下さい」
 「ッ…あ、ああ……」


 なんだろう? おじさんの顔色が悪い……体調でも悪いのかな?
 俺は食堂の開いてる席について料理を待つ。近くには若い冒険者グループが何組もいた


 「おまたせしました」


 おじさんが料理を運んできた……パンとスープにサラダ、卵と野菜の炒め物だった。いいね


 周りの冒険者もがっつり食べてる
 きっとこれから冒険に出かけるんだろう、元気に頑張ってほしいものである


 「さーて、いただきます」


 クロは〔セーフルーム〕でティエルと寝てる
 今日これからの目的地を頭の中で質問してみた……おーいクロ、今日はどこ目指すんだ?


 《今日は〔ドノパン鉱山道〕に向かうワヨ。そこを抜けたら〔暗黒街ウォープリズン〕に出るワ》




 なんだよあんこくがいって……あれ?……あたまがぼんやりするぞ?




 《……ジュート?》




 これは、まさか……うそだろ?




 「ぐがぁぁぁ……ぐがぁぁぁ……」
 「すう…すう…」




 みんな……ねて、る……やべ……おれ、も






 俺の意識は闇に落ちる……その時








 「すまないねぇ……キミ達は大事な生け贄なんだ」








 そんな声が聞こえた気がした




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 ガタンゴトン、ガタンゴトン……そんなBGMで目が覚める


 「ん?……どこだココは?」


 起きた俺は周囲を見渡す、そして身体に違和感を感じる


 「なんだこりゃ……」


 両手には手枷が付けられ、さらに全裸だった。うっそーん


 よく見るとここは魔導車の中みたいだ
 窓はなく壁は鉄で覆われている、しかも席は向かい合わせの長いす……まるで護送車みたいだ


 辺りには俺と同じような少年少女で溢れている
 人数は…30人くらい。男が10人、女が20人と偏った編成で、全員が手枷を付けられて全裸でいた


 年代は10代前半から後半くらいばかりで、男はよく見ると全員がなかなか鍛えらえた肉体をしてる
 たぶん冒険者や傭兵だな。女の子も多分パーティだろう


 席はみんなバラバラに座っていて、俺の隣は両方とも女の子だ
 片方の女の子はブラウンのショートカットの女の子で歳は同じくらい、顔を赤くして必死に胸を隠そうとしてる……俺と目が合い視線は下半身へ……するとますます赤くなる


 もう片方の女の子は黒髪のロング、年代も俺と同じくらい、しかしコッチの子は堂々としており、大きな胸を隠そうともしていない
 立派なもんだ……いろんな意味で。俺の視線に気がついてもすぐに視線を元に戻した


 男の中にはこの状況を楽しんでるのか、ゲスな視線を女の子達に注いでいる
 殆どの女の子は身体を隠しているが、俺の隣の女の子だけ堂々と身体を晒してる


 「…………なるほどね」


 黒髪の女の子が呟く。この女の子はどうやら羞恥心より何かが気になるらしい




 さて、どうしよう?




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 さてどうする……朝食に何かを盛られたのは間違いない。しかもかなり強力な眠り薬


 朝食時だったので俺はラフな格好だった
 武器も装備も全て亜空間にしまってある。その気になればこの拘束を解いて大暴れできる……が、さすがにこの人数を守りながら戦うのはホネが折れる
 それにここがどこだかさっぱり分からない。下手に暴れて崖下転落なんてなったらおしまいだ


 俺の結論は様子見だな、どこに連れて行かれるかを調べてからでも遅くない
 こんなコトをするヤツらを見つけて血祭りにあげよう……ふっふっふ




 そしてしばらく進み……魔導車が停車した




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 着いたのは石造りの地下牢のような場所だった


 「……降りろ」


 後部ドアが開き、全身コートで顔をマスクで隠した人物が指図する
 そして3人一組で小分けし、それぞれを地下牢へ監禁した


 「………大人しくしていろ」


 その一言ですぐにいなくなってしまう……貴重な情報源が行ってしまった


 仕方ない、まずは周囲の確認からだな


 ここは……6畳ほどの石畳の地下牢で、窓はなく出口はドアしかない


 俺と一緒に閉じ込められたのは例の黒髪の女の子と知らない金髪ロングの女の子
 黒髪の女の子は元々だが、金髪の女の子も身体を隠すのを諦めたようだ。胸は控えめで形は綺麗だ……そんなことより


 「ココどこだ?」


 俺は立ち上がり周囲を調べながら言う。すると黒髪の子が言う


 「ここは恐らく……吸血鬼の町ね」


 今度は金髪の女の子が言う


 「吸血鬼!? ウソ!?」


 実は俺もそう思っていた
 昨日の襲撃といいタイミング的に間違いないと思う
 黒髪の女の子が立ち上がり、俺に近づき言う


 「なんで男と女に別れたか分かる?」
 「あん?」
 「ホラ、聞こえてきた………」


 耳を澄ます……そして、確かに聞こえてきた


 男と女の、甘く交わるような声が


 「男女で分けたのはきっと……こういう行為をさせるため」
 「お、おい……何を」
 「ホラ……元気になってきた」
 「おまッ……おい、やめろ!!」
 「イヤ……」


 すると、俺と黒髪の女の子の手枷が外れ、俺は黒髪の女の子に押し倒された
 いつの間にか金髪の女の子は気絶してる


 「おい、マジでやめろ、いい加減に……」


 俺は黒髪の女の子を引きはがそうとして……聞いた






 「そのまま聞いて、じっとして」






 黒髪の女の子のまじめな顔。俺の手を掴み、自身の胸を握らせる




 「私は〔王都ブラックオルス〕から来たの。〔暗闇の町ブラッギィ〕で行方不明者が多数出て、この〔吸血鬼の町ヴァンピア〕に運ばれたって情報が入ったから」




 俺は快楽におぼれかけながらその言葉を聞く
 そして……少女が俺の分身を掴み、自身に誘導する




 「国王は【黒の大陸】最強の吸血鬼、〔ヴリコラカス〕を討伐対象にした……私はそいつを始末するために来たの」




 少女とキスをする、俺はいつの間にか両手で乳房を掴んでいた
 そして……少女の言葉に驚いた








 「私は【黒の特級魔術師 オニキス・オプシディアン】…おねがい、アナタの力を貸して」








 そして、少女と俺は一つになった





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