ホントウの勇者

さとう

戯れの世界よ我が手の中に⑤/みんなで・【アウトブラッキー】



 俺が虫菜にパスを繋げてから数時間···いつの間にか眠っていたようだ


 隣には全裸の虫菜。穏やかな顔で眠ってる
 思わず頭をなでてしまった。すると


 「ん······?」
 「·····おはよ」
 「んん······」


 低血圧なのか寝ぼけてる
 ぼんやりしたまま手を伸ばし辺りを探る···ああ、メガネを探してるのか


 メガネは俺の方のサイドデスクにある。そのことを思い出したのか虫菜は俺を跨いで手を伸ばした


 「ちょ······むぐ」
 「んん〜···」


 俺の顔面に虫菜の巨乳がもにゅんと乗っかる
 う〜ん、いい匂い、柔らかい······えい


 「ひゃっ⁉·········ッ」
 「ご、ごめんなさい」


 メガネをかけた虫菜の無言の視線······すみません、調子乗りました


 「また今度ね·········今日はお終い」




 顔を赤くしてそんなコトを言われた




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 着替えてみんなの所へ行くと、全員揃っていた


 「終わったか······ふむ。問題ないな、あるのはコッチだ。おい······コレはホントに解けるのか?」
 「もちろん。あなたが下手なだけ」
 「神である私が下手だと⁉······いいだろう。見てろ‼」


 マフィ···虫菜の身体より知恵の輪が大事なのかよ


 「おかえり〜」
 「······おかえりなさい」
 「おかえりなさい」
 「ああ、ただいま」


 みんなに出迎えられてなんか嬉しい······でも気になることがある


 「何やってんだクロ?」
 《ゴロゴロ···このコ···なかなかの···テクニシャン···ネ》


 そこにいたのは氷寒の膝の上で喉をゴロゴロされているクロだった。よく見るとみんな遊んでる


 「はい、コレもおいし〜よ〜」
 《ホントだ。コレもクッキーだよね‼》
 《う〜ん。人間の甘味は美味しいわね》


 括利はルーチェとティエルにお菓子をあげていた


 「わぁ〜。このモグラさんかわいいな〜」
 《もぐ〜》


 水萌はモルを手に乗せて遊んでる······どうやら嬉しいらしく手の平でクルクル回っていた


 「·········」
 《な、なんすか?》


 虫菜はクライブを見つめてる···どうやら珍しい虫と思われてるみたい


 《おいマレフィキウム、何やってんだ?》
 「うるさい、話かけるな·········」


 アグニは知恵の輪に没頭するマフィに話かけていた···そうだ、みんなにお礼を言わないと


 「みんな、今回はありがとな。おかげで勝つことが出来た。特に···モルとティエルはいなかったら勝てなかったよ」


 これは本心だ。ティエルのバイク操作がなければヤバかったし、モルの力がなったらロボットを破壊する事も出来なかった。改めて思う···みんなの力が必要だ


 《ま、あたしも楽しかったわ。また運転させてね‼》
 《もぐも〜ぐ‼》




 そんなわけで一通り話をする······これからの予定はこんな感じかな




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 「次は【黒の大陸】······ナハトオルクスか」
 「ああ、マフィは知ってんのか?」
 「まあな」


 次の【九創世獣ナインス・ビスト】か、早いもんだ。あと3匹の所まで来たぞ


 《ナハトオルクス······オレと酒が飲めるのはアイツだけなんだよな》
 《あたしは苦手よ、あんのクソジジィ······ッ!!》
 《ティルミファエルさん、なんかあったんすか?》
 《うっさい‼》
 《ひぃぃっ⁉ なんでっすか⁉》


 各々の話で盛り上がる。すると虫菜と水萌が言う


 「あの、私たちは」
 「一緒に···ダメ?」


 なんともまぁ魅力的な提案。しかしマフィが


 「ダメだ、外を動くのはジュートだけの方がいい。お前たちは全員、シャルムの力を受けたことがある。居場所がバレるとジュートに不利だ」


 よく分からんが一緒はダメなのか
 正直、俺は町でみんなと買い物とかしてみたい。所で気になる単語が


 「なぁ、シャルムって何だ?」


 俺の疑問にマフィは憎々しげに答えた


 「ああ。【知神シャルム・ビブリオン】···神の中で3番目に頭のいい神だ」
 「······3番目?」
 「ああ。2番は私だ···ムカつくことにシャルムは認めなかったがな」


 うわーきっとこれライバル関係だわ。すると水萌が言う


 「その力は静寂さんだよ。静寂さんは私たち全員の連絡係も兼ねていたからね。静寂さんは目が見えないから【時の大陸】で連絡係とエルレイン様のお世話係も兼ねてるのよ」
 「······目が見えないのに、お世話係?」
 「うん。エルレイン様の素顔を知られることがないからね。お世話って言っても大したことないみたいだよ」


 うーん······なんか引っかかるな


 「まぁいいか。とにかく何日か休んだら【黒の大陸】に向かうよ。せっかくだしみんなで遊ぶか」


 こんな機会あんまりないからな。それに


 「そうだね。じゃあ今日はパーティーしよ〜‼」
 「······いい考えね。それに人も増えたからローテーションも決めましょう」
 「ローテーション?···氷寒、どう言うこと?」
 「······全員いっぺんだとジュートが疲れるからね」
 「なるほど」
 「でも、ジュートが望むならいいよね〜?」
 「······もちろん」  


 女子4人が何かを決めている······全員いっぺん···ゴクリ


 「じゃあ今日は記念日だから全員で〜‼」




 括利の声が部屋中に響き渡った




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 至福の時間だった


 遊戯場で汗を流す···テニスをしたり、アスレチックスで競争したり。バスケットを全員で勝負したり、プールで泳いだりもした


 パーティーは豪華だった。マフィが出した料理以外にも、水萌が手作りのケーキを出したりしてみんなを驚かせ、少しだけお酒も飲んだりした


 パーティーのあとは全員で温泉。虫菜と水萌は立派な温泉に仰天して、マフィはダンジョンの冒険者観察が忙しいと言って来なかった


 温泉では俺は野獣に変身。あとは欲望のまま大暴れし、そのまま全員ベッドにお持ち帰り···今更だが〔神の器〕になってから精力がかなり増した···3日ぶっ続けでも疲れない


 そんな感じで戦いを忘れて楽しみ···出発の日




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 出発の日に全員が見送ってくれた
 近くにはなぜかデカい魔導車が置いてあった


 「ジュート、コイツを持っていけ」
 「······これは?」


 マフィがくれたのは腕時計。時計ではないが右腕につけるバンドみたいだ


 「転送装置の強化版だ。様々なギミックを付けてある···たとえば、そのスイッチを押してみろ」


 とりあえず言われた通りにする···すると、右腕のバンドから光が···懐中電灯か


 「【黒の大陸】は闇の大陸···あまり光が差さない。暗い場所で魔力を使わずに照らせる、魔力の痕跡を残さず歩けるだろう」


 確かに、こりゃ便利だ


 「あとは、お前の〔第二神化形態〕のカウントダウン機能もついてる。ラスト30秒で警告が鳴る」
 「へぇ、サンキューな」


 「あとはコイツも持っていけ。お前の魔導車は破壊されたからな、私のスペシャル魔導車だ。特殊機能も付けてある···ククク」
 「嫌な予感しかしねぇ···まぁありがとう」


 魔導車か…これはありがたい。【黒の大陸】で買わなきゃって思ってたからな


 これで準備は完了。いざ出発と行きますか


 「よし。行くぞクロ」
 《エエ。やっと寒いのとおさらばネ》


 嬉しそうだ···まぁ俺も嬉しい


 「じゃあ、行ってきます‼」




 俺は全員に見送られ転送した




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 【黒の大陸】手前の平原に転送、そこから魔導車を出して乗り込んだ


 「見た目は普通の魔導車だな······ん?」


 大きさや形は以前とほぼ同じ、車体はメタルブラック···だが、内装は違った


 「なぁ、これって···」
 《空間歪曲···さすが神ネ》


 中はめちゃくちゃ広かった。大きなベッドにキッチン、風呂もついてるし魔導具も揃ってる。ソファもフカフカだしトイレも完備···水は普通に流れるし、水道も使える。どうなってんだ? 恐ろしいモンを貰っちまった···むやみに人を乗せられん


 運転席に座り出発しようとすると、おかしなスイッチが幾つか並んでいた


 「······なんだこれ」
 《······イヤな予感しかしないワネ》
 「押して見るか? さすがに自爆はしないだろ」


 俺は試しに1つ、スイッチを押してみた···すると


 「······?」
 《何も起きないワネ?》


 確かに……遊びのギミックだったのかな? 
 するとクロが外を見てそのまま転がる


 《ジ、ジュート···外を見なサイ》
 「ん?······なんだこりゃ⁉」


 びっくり仰天⁉···何故なら魔導車が消えていた。いや、透明に···ステルス迷彩に変化してた


 「とんでもねぇな···他のスイッチはどうする?」
 《じゃあ···1つダケ》


 俺はその隣のボタンを押す···すると、魔導車から派手な機械音が鳴り始めた


 「·········」
 《·········》


 魔導車の姿は大きく変貌した。まずタイヤが格納され、車体の横に飛行機のような水平の翼が生え、さらに後方にはジェットエンジンのような物が付いている。さらに天井にはヘリのようなプロペラが付いていた···なんじゃこりゃ


 魔導車は魔導飛行機へと進化した
 すると、魔導車内に音声が流れる


 「ふふふ。この姿は氷寒と括利の世界の乗り物を聞いて私が作り上げた最強の魔導車‼ その名も【アウトブラッキー】だ‼ 心して乗りたまえ。ハッハッハ‼」


 確かに、ヘリと飛行機、ジェット機を混ぜたようなスタイルだ。まぁいいか。気にしたらキリがない




 「とにかく、行くぞ【黒の大陸】‼」
 《エエ、行きまショ》 




 俺とクロは魔導車で走り出した





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