ホントウの勇者

さとう

閑話 真城真龍・【龍神ドラゴディルア】



 真城ましろ真龍しんらとその仲間四人は、上空を漂っていた


 雲の上を優雅に泳ぐ黄色の龍


 【龍神ドラゴディルア】の神器・『鎧龍王アルマドゥーラ』の上に、少女たちは乗っていた


 「いや〜、きんもちいいね〜っ‼」


 「そ、そうだね···怖い」


 「ったく。魔導車なんかで移動してたのがバカらしいぜ」


 「そりゃ同感だわ、こっちのが全然速いし」


 「だね」


 そう答えたのは仲間の四人の少女。清水しみず水萌みなも鉄間てつま蓮夏れんげ火等かとう燃絵もえ山野やまの虫菜ちゅうなである




 「ふんふんふ〜ん」


 「真龍、ごきげんだね」


 「うん。ちゅーなは楽しくないの? もうすぐ無月と戦えるんだよ‼ わはっ、た〜のしみだな〜っと‼」


 「あたしはあんまり···戦いは好きじゃないし。正直めんどい」


 「そーなの? もったいないなぁ〜···あたし、この世界に来てすっごく充実してるよ。毎日楽しくてしょうがない‼」


 「真龍は強いね···いろんな意味で」


 「そ〜お?」




 こうして空の旅は続く···




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 真城ましろ真龍しんらは、ひたすら明るい少女だった


 その活発な性格で男女分け隔てなく接し、裏のない性格でもあったので誰からも好かれていた。テストの点はいつも平均、たまにやや下。部活はバスケ部で放課後は汗を流し、部活のない休日は基本的に遊ぶ。学校の友達と買い物やカラオケをしたり、近所に住む幼馴染の山野やまの虫菜ちゅうなを引っ張り回して遊んでいた


 しかし……【神】を宿した真龍の性格はガラリと変わった


 まず···非常に好戦的になった


 どんな敵でも怯まずに、この世界で習った棒術で突っ込んでいく。その勇敢さ、獰猛さはあの【獅子神レオンハルト】すら唸らせるほどだった


 魔術はからっきしダメだった。典型的なファイターで、前線での戦闘でこそその真価を発揮する、クラスメイト40人の中で5番目に強い存在となった


 彼女の趣味は強いモンスター狩り······とにかく強いモンスターと聞けば片っ端から倒しに行く。たまに神器を使わずに、如意棒だけで倒すときもあった···戦闘狂




 彼女にとって無月銃斗は、とびきり強いモンスター···その程度の認識だった






 そして、事件は起きた




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 それは雲の上を漂ってい何日か過ぎた頃。『鎧龍王アルマドゥーラ』の上には魔導車が縛り付けてあり、彼女たちは基本的に空で生活していた


 「············」
 「············」
 「············」
 「············」
 「············」


 5人の少女たちは全員無言で立ち尽くす···そして、山野やまの虫菜ちゅうながポツリと呟いた










 「ここ···どこ?」










 彼女たちは、迷子になっていた




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 「あ、あはは···雲の上だったから全然違うトコ進んでたみたい」


 「···········」
 「···········」
 「···········」
 「···········」


 「ゴメンなさい‼ そんな目で見ないでっ‼」


 清水が頭を抱えながら周囲を見渡す···そして


 「ここは···多分【青の大陸】ね。よくまぁこんな所まで···」
 「おい真龍、てめぇ···」
 「どーする? とりあえず全裸で川に放り投げる?」
 「··········バカ真龍」


 全員が呆れながらそれぞれの意見を述べる···どうやらお仕置きは確定のようだ


 「不味いわね、今から行っても時間がかかるわ。その間に無月くんが【白の大陸】から出ちゃうかも······」
 「おいおい、そりゃないぜ。アタシ達が何の為に来たかわかんなくなっちまう。このままおめおめ城に戻れるかよ」
 「でもどうする?···【門】は帰還にしか使えるないし」
 「······終わった」


 4人の少女たちはあーだこーだと話を進める···すると、話を黙って聞いていた真城ましろ真龍しんらが、大声で割り込んだ




 「みんな‼ ここはアタシに任せ······って、そんな顔で見ないでってば‼ 今度は絶対に大丈夫だからぁ‼」




 4人の少女たちは疑わしげな瞳で 真城ましろ真龍しんらを見つめる


 「はぁ、それで···どうするの?」 


 「普通に向かって間に合わないなら、普通じゃない方法で間に合わせればいいんだよ‼」


 「はぁ?···どう言う意味だ?」


 「あたしが本気で飛ばして行く。そうすれば···2、3日で着くはず」


 「2、3日って···無理よ、【青の大陸】すら出れないわ······⁉」




 清水が言った直後だった。真城ましろ真龍しんらを中心におびただしい力が集まり形となる






 「『第二神化セカンドエボル龍神神化ドラゴディルア・アウェイクン』っ‼」






 この3日後、少女たちは無事に【白の大陸】に戻ることが出来たという




 戦いは、間もなく始まる





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