ホントウの勇者

さとう

王都ブライトネーション③/お泊まり・温泉にて



 魔導車は順調に走り続け、途中で休憩も挟みながらひたすら走ること5日······ついに見えてきた


 「あれが〔王都ブライトネーション〕か···デカイな」
 「そりゃそうさ。この【白の大陸】で1番大きな町だからね。そもそもの規模がちがうさ」


 レオパールは後部座席で酒を飲みながら語る···酔って吐くなよ


 「お兄ちゃんお兄ちゃん、王都には「おんせん」があるんだって、一緒にはいろーね‼」
 「そ、そうだな···」


 クルルのキラキラした瞳が眩しい···うーん、正直言うとこの成長が激しいクルルと一緒に風呂はキツいな。ブランと一緒だった時は何ともなかったけど


 「······はぁ」
 「ブラン···大丈夫?」
 「うん。ありがと、エルル」


 ブランは少しづつ口数が少なくなっていった···どうやら本当の父母に会うのに緊張してるようだ


 「ブラン姫を送り届けたらアタシ達の依頼は終わりだ。ジュート、アンタはどうすんだい?」


 「俺は······」


 俺はどうする? すると······


 「あの···お兄さん」
 「どうした、ブラン?」
 「その···王城まで一緒に来てほしいの。まだ···ちょっと怖い」


 よし。俺の予定は決まったな


 「わかった。俺もついていく···ブランが両親に会って安心できるまで側にいるよ」
 「······うん。ありがとう」


 ブランは天真爛漫なイメージが強かったが、今のブランはおとなしく清楚なイメージだ
 長い黒髪は丁寧に整えられたロングストレート、服装も白くてふわふわしたコートに白い毛糸の帽子。まるで雪の妖精のようだ。間違いなく美人になる


 「アタシ達はしばらくこの町に留まるよ。〔激獣兵団シバテリウム〕の幹部数人が到着したら新本部の場所やらなんやらを打ち合わせしなくちゃならん。ジュート、今のうちにエルルとクルルと一緒に町で遊んできな。もちろんお前の都合に合わせる」


 「ッ⁉」
 「ホントッ⁉」


 エルルはビクッと身体を強張らせ、クルルは明らかに喜んでいる···もう断われないじゃん


 「わかった。その代わりブランの件が落ち着いたらな…あと、出来たらブランも一緒に」
 「それでいいさ。よし、宿は同じ場所にしよう。すぐに連絡が取れるようにね」


 打ち合わせを済ませていざ王都へ






 悪意は、すぐそこまで近づいていた




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 王都は、とても綺麗な町並みだった


 ログハウスのような丸太積みの家や、北欧のようなレンガの家が立ち並び、街道も綺麗に舗装されてまるでパリの町を歩いてるようだ······行ったことないけど


 そして何より驚いたのは、この町には図書館があるということだ


 王城からやや外れた場所に、レンガ作りの大きな建物がそびえたち、学者や魔術師が多く立ち寄る知識の海。絶対にここに寄ろう


 そんな洋風チックな町並みをあえて歩く···時間は朝の9時頃、この時間に着くのを見越して朝ごはんは食べなかったのである


 「お兄ちゃんあれ、〔ブライトオーク〕の串焼きだって‼」
 「あっちには〔ブライトレンジの果実湯〕だってさ‼」
 「あそこには〔ブライトバードサンド〕ですね···じゅるり」


 クルルとブランが俺の両腕を引っ張って誘導する···エルルは俺の背中にちょこんとくっついてる


 「わかった、わかったから落ち着け‼」


 「ハハハ‼ モテモテじゃないか。アタシもご相伴に預かろうかねぇ」


 「カンベンしてくれ······」




 結局、お昼近くまで町を散策した···




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 とりあえず俺たちは宿を決めた


 「ここにしようかね···この王都で1番の高級宿だ。しかも最上階のスイートルーム···くくく、いい酒も揃ってるだろうねぇ」
 「お前なぁ···まぁ別にいいけどよ」


 町の中心にある巨大な宿屋に入り、受付で最上階のスイートルームを2部屋取る。俺1人とレオパールが3人だ


 「お、おいジュート。支払いはアタシが···」
 「気にすんな。もう払っちまった」
 「お前···スイートルームが一泊いくらか知ってるのか⁉ アタシ等は最低1月は泊まるんだぞ⁉」
 「ふっ···」
 「なんだい? その余裕顔···」


 俺はレオパールに全財産の総額を教える


 「は、はぁっ⁉ ごっごっ···ごじゅっ⁉」
 「おい黙れ、デカイ声だすな‼」


 レオパールを黙らせてニヤリと笑う


 「ま、そーいうことだ。ここは俺のおごりだ」


 高級宿ではしゃぐエルルたちと部屋に向かった




 「相変わらずとんでもないねぇ···」




 レオパールは苦笑した




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 部屋はかなり広い、しかも温泉まで付いていた


 ベッドもふかふかでソファも大きい。しかも暖炉までついてるし、壁際には小さな酒場が併設されていた


 「すご〜い···あの」
 「ん?···どうしたブラン?」


 部屋を見たブランが俺の袖を引っ張った


 「今日はお泊りして、明日お城にいこ? エルルとクルルとお泊りできるのも···もう···」
 「ブラン···」


 すると、エルルとクルルがブランに抱きついた。こうして見ると歳の離れたお姉さんが子供をあやしてるようにしか見えん。とても同世代に見えない


 「じゃあ、今日はたくさんお喋りしましょうね、ブラン」
 「そーだね。朝まで楽しもう‼」
 「エルル···クルル······うん。楽しもう‼」


 女の子3人はワイワイ騒ぎだした···いつまでも仲良しでいられるだろうな




 俺は······クラスの皆を思い出してしまった




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 王城へは明日出向くことにした


 今日は豪華な夕食でワイワイ楽しむ


 「エルル、これ美味いぞ」
 「あ···ありがとうございます。お兄さん」


 エルルも少し落ち着いてきたのか、俺を避けることはなくなった。よかった······


 美味しい料理を食べて、今までの冒険の話をした
 レオパールはここが落ち着いてきたら【緑の大陸】のアウラの所に行ってみるらしい。エルフの地に行きアウラに挨拶くらいはしておきたいそうだ


 「ジュート、アンタは次は何処に?」
 「俺は···【黒の大陸トレマブラック】だな」


 もちろん、エルルとクルルをバザルド達に会わせてからだけどね


 そして夕食は終わり···部屋に戻った




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 「お兄さん、お風呂にはいろ‼」
 「お兄ちゃんの部屋でいいよねっ‼」


 現在、俺は脱衣所で服を脱いでる。クルルとブランが風呂に入ると言って部屋に飛び込んできたのだ


 「クルル、エルルはどうした?」
 「ん〜···お姉ちゃんは後で入るってさ。へんなの」


 やっぱり恥ずかしいんだな···無理もないか


 クルルとブランは素っ裸で風呂に向かう


 「おいコラ走るなーっ‼」
 「はーいっ‼」
 「いやっほーっ‼」


 ダメこりゃ···ブランはともかくクルルはヤバい。かなり成長した身体を隠そうともしないし、タオルすら持ってない


 鍛えられムダな肉は一切付いてない女の体。しかし胸は大きく動くたびにぷるぷる揺れる···


 「お兄ちゃんどしたの〜?」
 「いや、何でもない」


 バカな···クルルは可愛い妹だ。欲情するなんてありえん


 俺は堂々と身体を晒して歩く。やましいことなんて1つもない


 「わ〜っ···お兄ちゃんスッゴい筋肉。カッコいい‼」
 「おう、ありがとな。ほらブラン、クルル、頭洗うから1人づつおいで」
 「は〜い。じゃあわたしから‼」


 ブランが湯船から上がり桶に座る···俺はその長い黒髪を丁寧に洗ってやる


 「よーし終わり。後で魔術で乾かせよ?」
 「はーい」
 「次はわたしね〜」


 クルルが桶に座る···おしりの少し上からしっぽが生えてる。俺が頭を洗うとしっぽが左右に揺れた


 「はい終わり。後でブランに乾かして貰えよ」
 「うん。ありがとお兄ちゃん」


 よし、じゃあ次は···


 「ねぇねぇ、お兄ちゃんの身体はわたしとブランで洗ったげる」


 クルルの提案···まぁいいか 


 「わかった。お願いするよ」


 クルルとブランがスポンジを取り出し、石鹸でスポンジを泡立てて俺の背中と腕を洗っていく


 「気持ちいい?」
 「ああ···きもちいい」


 ホントに気持ちいい···まるでマッサージだ
 俺の頭に液体が落ちる···すると、ブランが頭を洗っていく


 俺の意識が落ちていく···気持ちよすぎて眠くなってきた






 「お兄ちゃん、コレ・・も洗うね‼」






 クルルの手が、俺の分身に触れた




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 「「「はぁ〜〜〜···」」」


 3人で湯船に浸かりまったりする···うん、さっきのは気のせいだ。何もなかった


 「お姉ちゃんもくればいいのに···」
 「だよね〜···」


 クルルとブランはさっきの出来事をまるで気にしてない。俺が意識しすぎなのかな···


 「エルルはレオパールと入るんじゃねーの? まぁ気にすんな······はぁ〜···」


 ダメだ〜···意識も溶けそうだ〜···


 温泉は最高だ···この町はまた必ず来よう。今度は···氷寒や括利も連れて···




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 風呂から上がるとクルルとブランは部屋に戻っていった。これから朝まで3人で話すのだろう…いい思い出をたくさん作ってほしい


 俺もさっさと寝よう…レオパールは町の酒場に繰り出したし、起きててもしょうがないしな


 これからの予定は…ブランの見送りをしてからエルルとクルルを連れてバザルドのところへ…二人にはキチンと話しておかないといけない。バザルドのこと、クエーナさんのこと……


 そういえばここには【白の特級魔術師 ウィゼライト・クラック】の教会があるんだっけ。暇だったらのぞいてみようかな…あの女は生理的に好きになれないけど


 そうだ、図書館にも行きたいな。探せば本屋なんかもあるかな…しばらく町に滞在するし、いろいろ歩くのも楽しそうだ……


 やることがいっぱいだ…でも、楽しそうだ………ふぁぁ……




 ねむ……おやすみ…




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 寝る時間が早かったせいか、朝は早く起きてしまった…こんな時は朝風呂だ!!


 部屋のそなえつけ露天風呂に向かい、脱衣所で素っ裸になる。よーし、いざ!!


 「あ~…さいこ~だ~……」


 湯船の中は広く、余裕で足を延ばせる……これはぜひ欲しい、無理だけど
 すると、脱衣所から誰かがやってきた……だれだ?


 「あ、あの……お兄さん」
 「ん?…ああ、エルルか…おはよう」
 「お、おはようございます……」


 エルルはタオルでがっちり身体を隠してる。胸の前で手を組んで身を小さくしていた


 「どうした?」
 「え、あ…きゃあっ!?」


 立ち上がり近づく俺を拒否する…なんでだろ?


 「ご、ごめんなさい。その…前を」
 「前?…ああ」


 どうやら俺の分身が気になるらしい…やっぱり女の子だな、俺は全然気にならんけど


 「悪い悪い…これでいいか?」
 「は、はい…ごめんなさい」


 俺は体を洗うために洗い場に。すると…エルルが背後に回った


 「どした?」
 「あ、あの…クルルたちがお兄さんの身体を洗ったから…わたしも」
 「そうか、ありがとな」
 「……はい」


 どことなくエルルはうれしそうだ。こんな身体でよかったらいくらでも洗わせてやる
 エルルはたどたどしい手つきで俺の背中を洗っていく。そして頭も丁寧に洗ってくれて最高に気持ちよかった


 「ありがとな、前は自分でやるから」
 「……はい」


 前を自分で洗う…するとエルルが言う


 「お兄さん、頭を洗ってもらえませんか?」
 「頭? いいぞ」


 俺はエルルの頭を丁寧に洗う…全体をマッサージするように洗い、白い犬耳も丁寧に洗う。エルルは耳の中に泡やお湯が入らないように耳をパタンと閉じていた


 「わふぅ……気持ちいいです……」


 再会して初めてエルルの頭を触った…洗髪だけど
 髪を洗い終わると、エルルが身体を洗いたいといったので、俺は湯船で後ろを向いてエルルの裸を見ないようにした…そしてエルルが湯船に入ってくる


 「お兄さん。その…いろいろごめんなさい」
 「へ?」


 突然の謝罪に少し変な声が出てしまった


 「わたし…最近、身体が変なんです。動いてもないのに身体が熱くなったりして、胸の奥がギュってして…ヘンな気持ちになっちゃって…お母さんはすぐによくなるって言ったけど、お兄さんに再会してからますます気持ちが昂っちゃって……」
 「それは………」


 発情期だよ、なんて言えるわけがない。それを言うのはレオパールの仕事だ


 「大丈夫。すぐによくなるさ、今はどうなんだ?」
 「平気です。でも…お兄さんと一緒にいると胸がドキドキする…クルルみたいに素直になれないっていうか…恥ずかしい…でも。お母さんはこれが治れば女になれるって…意味が分かりません」


 うーん…俺から言えることは何もない


 「とにかく、体調が悪い時はすぐに言えよ。我慢はするなよ」
 「はい…ありがとうございます」


 エルルはにっこりほほ笑んだ


 「よし、上がるか」
 「はい」


 俺は普通に立ち上がる…すると


 「お兄さん、その…前が」
 「ん、ああ…気にすんな。脱衣所はすぐだ」
 「……はい」


 エルルも立ち上がる…裸で


 「~~~っ!! ど、どうですか?」


 俺に身体を見せつけながら質問する……そうだなぁ、胸はクルルより大きいしスタイルは抜群だ。かなり成長したなとしか言えん


 「大きくなったな…お兄さんうれしいぞ!!」
 「………そうですか」


 なぜかがっくりしてそのままエルルは出て行った…なんで?




 とにかく上がろう…今日は王城へ向かう日だ





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