ホントウの勇者

さとう

酒の町バッカスビル③/計画始動・アグニの評価



 酒場改造計画初日···俺はまず内装をいじることにした。広さは変える事ができないので雰囲気から、まずは壁を塗り替える


 色は、相談の結果白く塗ることにした。壁塗りの依頼の為に町の大工に来てもらい、早速仕事をしてもらう。その為に店内のイステーブルを全て撤去して塗ってもらう


 その間に、俺は家具屋に向かいオシャレなイステーブルを買うことにした。その為に一度フィガロさんの家に向かい許可を貰う


 「·········と、言うことで許可を下さい」


 「わかりました、店内の事は全てお任せします。その代わり···買い物にリプラを連れて行って貰えませんか?」


 リプラに視線を送ると、もじもじしながら俺を見てくる···行きたいんだな、まぁ気分転換も大事だしな


 「よしっ。じゃあリプラ、行こうか。帰りに好きな物なんでも買ってやるからな」


 「ホントですか⁉ ありがとうございます‼」


 「ははは、気をつけて」




 フィガロさんに見送られながら、俺とリプラは町に出た。




───────────────


───────────


───────




 町を歩きながらリプラと話をする


 「お父さん、最近遅くまで何かやってるの。キッチンにいろんなお酒並べて混ぜ合わせて飲んだり、フルーツを切って浮かべたりして悩んでる···大丈夫かなぁ」


 「大丈夫。お父さんは新しいお酒を作ってるんだ。この町···いや、この大陸で最初のお酒だよ」


 これはウソじゃない
 この世界での酒は基本的に素材そのままだ。いちいち混ぜ合わせて飲むなんて面倒な事は誰もやらないハズだ


 「そっか。でも···無理しちゃやだな、わたしにはもう···お父さんしかいないから」


 「············」


 聞きたいけど聞けなかった······母親は、どうしてるんだろう。リプラは悲しそうに語る


 「お母さん···男の人と出て行っちゃったの。わたし···お母さんが知らない人と歩いてるの見た。お父さん、その日から毎日辛そうだった」


 俺はリプラの頭を撫でて言う


 「リプラ···じゃあお母さんの分まで頑張らないとな。大丈夫か?」


 「はいっ。わたし、頑張ります‼」




 力強く、リプラは頷いた




───────────────


───────────


───────




 俺とリプラは家具屋にやって来た
 リプラはいろんな家具に目移りし、辺りをうろついてる。俺は従業員に話をし、必要な家具をまとめて購入した


 オシャレな黒い円卓テーブルに、座り心地の良さそうなカウンターチェア、キレイなシャンデリア魔道具など、以前見た漫画やアニメの知識を振り絞り、色々考えながら購入した


 それと、ライトを増設して明かりを増やすためにリフォーム業者を紹介してもらい、いろいろ話し合った。この業者がいい人で、俺の考え通りの工事をしてくれ、なかなかいい雰囲気の店が出来上がった


 フィガロさんの方も順調で、すでに沢山のレシピを作り上げた。辛口のカクテルには甘いツマミを、甘いカクテルにはしょっぱいツマミといろいろ考えて、簡単な料理も提供することにした


 問題は······カクテルの味見


 手はある···が、これは危険な賭けでもある


 俺は二人に確認することにした




───────────────


───────────


───────




 綺麗な内装に変化した店…壁の色は白く塗り替えられ、店内を照らす光はシャンデリア、敢えて光を弱くしてわざと薄暗くし、壁に設置したダウンライトが光を補助する。テーブルはおしゃれな円卓が3つにイスはそれぞれ2脚ずつ。カウンターは5席でイスはおしゃれなカウンターチェア。魔導冷蔵庫や魔導コンロは新調し、酒棚には数々のワイン、焼酎、果実酒、日本酒、麦酒にフィガロさんオリジナルブレンドのカクテルの材料を混ぜたリキュールが並んでいる。さらに後ろにはライトアップした水槽に小さな魚が泳ぎ、薄暗さの中で目立った存在になっている。食器やグラスも全て新調し、店内には音楽も流れていた


 店の名前は〔バー・リプラ〕
 リプラは恥ずかしがって反対したが、俺とフィガロさんに押し切られて結局この名前になった


 今夜は店のメニューの確認、そこでついに問題が起きた


 「カクテルの方も順調ですが···誰か味見できれば···」


 「すみません、役立たずで···」


 「ち、違います‼ そう言う意味じゃないんです。毎日飲んでる私の舌ではアテにならない、自信はあるが第三者の意見が欲しい······」


 「お父さん······わたしは?」


 「リプラはまだ早い。後10年後だな」


 俺達は笑い、穏やかな空気が満ちる
 言うなら今しかないな······頼むぜ


 「フィガロさん、リプラ···味見の心当たりがあります。」


 「ほ、本当ですか⁉ それは一体······」


 「······これは、俺の秘密にも関わることです。他言無用でお願いできますか?」


 フィガロさんとリプラは顔を合わせて微笑んだ


 「貴方のおかげでここまで来れた···貴方にどんな秘密があろうと決して言いません。この命を掛けてもいい」


 「わたしもです‼」


 俺は二人の目を真っ直ぐ見る···優しく澄んだキレイな瞳、命を掛ける···きっとウソじゃない


 「わかりました、信じます···驚かないで下さいね?」


 「「?」」




 「来い、アグニ」




 俺の言葉と同時に、アグニが現れた






───────────────


───────────


───────




 《わっはっはぁ‼ 酒といえばオレ、オレといえば酒‼ 【赤】の【九創世獣ナインス・ビスト】アグニードラ・インフェルノ様の登場だぜ‼》


 「うるせーよ、店の雰囲気が台無しだろーが。もう少し静かに出てこいよ」


 《あぁん? 無茶いうなや、お前に呼ばれるのずっと待ってたんだぜ?···おいフィガロ、さっさとカクテルを飲ませろや》


 アグニは器用にカウンターのテーブルチェアに座る


 「「···············」」


 あらら、フィガロさんもリプラもポカンとしてる
 俺は平静を保ちながら紹介する


 「フィガロさん、リプラ、コイツはアグニ。赤い喋るトカゲで酒に関することでコイツの右に出るヤツはいない。カクテルの意見もしっかりくれると思う」
 《おいジュート、誰が喋るトカゲだ。オレは最強の······》
 「わかったわかった、悪かった‼」


 俺とアグニのやり取りを見て二人はようやく再起動した


 「えーと······あー、カクテルカクテル···」
 「わぁ〜···カッコいい〜···」


 フィガロさんは理解を諦め、リプラはアグニに近づく


 《おうリプラ、今オレをカッコいいって言ったか?》
 「うん。すごくカッコいいよ‼ えーと、アグニ‼」
 《がっはっはぁ‼ アリガトよリプラ‼》


 うーん、リプラはすでに仲良しだ。ある意味すごいな。フィガロさんは慣れた手つきでカクテルを作る。道具はバーテンダーが振るような物ではなく、理科の実験で使うような道具で混ぜていた


 「ど、どうぞ」
 《·········おう》


 アグニの態度が変わり、短い手でグラスを掴む。中身は青い液体で、中にフルーツも添えられていた
 ちなみにグラスや食器もオシャレなものに揃えた


 《·········ふむ》


 アグニはグラスをゆらし、匂いを嗅ぐ······なんかカッコいいな、トカゲなのに
 アグニは静かにグラスを傾ける


 《·········なるほどな》


 そういえばコイツがこんな真剣に酒を飲むの初めて見た。いつもは樽をガブ飲みしてるイメージしかなかったけど······


 《強い甘みに僅かな酸味······これはブルーロレンビの皮を使ってるな? さらに砂糖と果肉を混ぜてコメ酒を合わせてある。確かに美味いが···果物が強すぎて酒の風味が薄い、少し強い麦酒を混ぜたらどうだ?》


 おいおいキャラがおかしいぞ⁉
 なんでそんな評論家みたいな口調なんだよ⁉


 「な、なるほど······わかりました。作り直します‼」
 《うむ。他のも頼む、なかなかいい味だ》
 「はっ···はい‼」


 ダメだ、俺には理解できねぇ‼···俺の知ってるアグニじゃねぇ‼


 「あ、アグニさん?」
 《任せろジュート、最高に美味いカクテルを期待してな‼》
 「は、はい。わかりました」




 それから実に4日間、アグニとフィガロさんは店に篭りっぱなしだった




───────────────


───────────


───────




 その間の数日間···俺とリプラは一緒に過ごした
 俺の滞在してる宿にリプラを呼んで過ごし、町を一緒に回って遊んだりもした


 リプラは高級宿に初めて入って興奮したり、リプラは洋服を余り持っていなかったので沢山買ってあげたりして喜ばせた


 身体の方は回復し、子供らしく元気になった。あとは店が上手くいけばもう大丈夫だろう


 そして、町の中央の宿屋には相変わらず列が出来ている。あれから20日以上経過してるのにまだいるのか······聖女様は




 「さて、今夜にでもフィガロさんの所に行ってみるか?」


 「はいっ‼」




 アグニもずっと店にいるみたいだし···そろそろオープン準備しないとな




 俺とリプラは宿に戻り、アグニ達のところへ向かうのだった





「ホントウの勇者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く