ホントウの勇者

さとう

〔聖樹メーディアス〕/クライブグリューン・リベルラ



 あれから俺は2日寝込んだ


 《フフ、まさか第二神化形態とはネ……やるじゃナイ》
 《おう、左腕も目覚めたし…これでだいぶ楽になるな》
 《そーだね、氷寒と括利だけじゃなくて他の友達も救えるんじゃないかなぁ?》
 《もぐもぐ!!》


 あのー…キミ達、俺の頭の中で騒がないでくれる?


 すると、クロが俺の前に現れる


 《覚醒した影響が一時的に現れたんでショ、すぐ良くなるワヨ。動けるようになったら王宮の結界へ行くワヨ…アウラはもう王の儀式を済ませちゃったからネ》


 「マジかよ!? 俺初めて知ったんだけど!!」


 俺は思わず飛び起きた
 だって…この3日間誰も来ないから情報が入ってこない
 ちなみにココは王宮の一室、ぶっ倒れた俺はそのままここで休んでる


 《とにかく…明日には行くワヨ、アウラにはワタシから説明しといてアゲル》


 そう言ってクロは出て行ってしまった…アウラの所へ行ったのか


 とにかく…明日までゆっくり休もう




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 翌日…俺の身体は全快し、動けるようになった


 《サア、いくワヨ…アウラから許可は得ているワ》
 「はいはい…あわてんなよ」


 俺はクロに付いていき、王宮の中の〔謁見の間〕へ入る…そこには誰もいなく、静寂に包まれていた


 《アウラの王女就任式の準備で忙しいから、誰もいないのネ》
 「それも初耳なんですけど!?」


 チクショウ……なんか置いてきぼりだぜ


 《この裏の通路ネ》
 「ああ、さっさと行こうぜ」


 俺とクロは再び歩き出した


 そのまま歩くとすぐに着いた…これが結界か


 俺の目の前には複雑な幾何学模様の結界があった。色は半透明の黒っぽい色で、通路全体を覆っている。この先に祭壇があり、さらにその先に〔聖樹メーディアス〕が存在する


 「さてクロ、どうやって結界を突破するんだ?」
 《……やっぱりネ、大丈夫…アナタなら問題無いワヨ》
 「え?…どういう…」
 《いいカラ、先に進みなサイ》


 クロが頭でぐいぐい押してくる…わかったよ


 「よく分からんが……いくぞ」


 俺はおそるおそる結界に触れる…すると


 「あれ?…いける」


 結界に触れると、まるで水面のように波紋が広がる
 思い切って腕を突っ込むと……すっぽりと入った


 「なんで?」


 とにかく……これで先に進めるな


 祭壇の奥にも似たような結界があったが、ココも同じであっさりと通れた
 とにかく先へ進む……この先に〔聖樹メーディアス〕があるんだな


 「なんだよ、結界ってたいしたことないじゃん」
 《バカね、普通の人間なら、触れたダケで灰にナル結界ヨ?》


 マジかよ、なんつーモンを設置しやがったんだ


 「なんで俺は平気なんだ?」


 《簡単ヨ…あの結界を敷いたのがヴォルだからヨ》


 「へー……ええええっ!?」


 なんで【銃神ヴォルフガング】がこんなとこに?


 《まぁ…クライブグリューンに聞けば分かるワネ》




 そしてついに見えた…アレが〔聖樹メーディアス〕か


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 どう見ても普通の樹にしか見えなかった


 大きさは約20メートル、葉っぱは緑色で形も普通
 なにか実がなっているわけでもないし、特別な魔力を感じる訳でもない
 言い伝えだと、ここに古代の神の力が眠っているハズなんだけど……


 すると、クロが大声で叫んだ


 《クライブグリューン!! 出てきなサイ!!!》
 「うおおっ…ビックリした」


 すると……俺の目の前に一匹の生物が飛来した


 《なんだよ…うるさい…!? ク、クロシェットブルムさん!? なんでココに!?》
 《アナタに会いに来たノヨ……アナタ、ワタシの念話をムシしたワネ?》
 《ち、違いますよ!! おいら、その~…寝てたんっす!!…へへへ》
 《ア~ラそう?……じゃあ説明してアゲル》
 《あ、あはははは……ハァ》
 《……何カ?》
 《いいいいいえっ…何でもないっす》


 何だコイツ……これが…【緑】の【九創世獣ナインス・ビスト】?


 《んん?…この感じ…あ、アナタ…ヴォルフガングさん!?》
 「え~と…その、〔神の器〕です」
 《おおおお~~っ…あ、おいらは【緑】の【九創世獣ナインス・ビスト】、クライブグリューン・リベルラっす。よろしくっす!!》
 「あ…はい、よろしく」


 《何ヨ?…元気ないワネ?》


 「いや~……だって」


 クライブグリューン・リベルラ…コイツの姿は……


























 どうみても………トンボだぜ?




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 一言で表すなら……緑色のトンボ


 大きさは30センチくらいでトンボにしては大きい。複眼は赤く中に黒い瞳がきょろきょろ動き、なんともかわいらしい。羽は6枚生えていて、色は薄緑、足は8本生えている。腹部は太く、そこを自在に動かしていた


 ある程度変な生物だとは思っていたけど…まさか、トンボとは
 完全に意表を突かれた……負けました!!


 《というワケで…アナタも来なさい》
 《ええ~~…おいら、ここで昼寝を……》


 なんかイヤそうだ…すると


 《よ~うクライブグリューン。元気だったか?》
 《ゲ…ゲェェェェェーっ!? あ、アグニードラさぁぁん!?》


 アグニの登場に、クライブグリューンは完全にびびっていた


 《あたしもいるよ~っ!!》
 《もぐ~っ!!》


 ルーチェがモルを抱っこして現れる。これで全員揃ったな


 《る、ルーチェミーアさんにトレパモールさんまで…同窓会っすか?》
 《オイ…クライブグリューン。オメェも一緒に行くよな?》
 《ヒィィっ!! は、はいぃぃ!! お供させていただきまぁっす!!》


 クライブグリューンは前足で器用に揉み手しながら答える
 ああ、コイツの上下関係が透けて見えるわ……同情するぜ


 《そ、それではよろしくっす…はぁぁ》
 「よ、よろしく」


 なんか素直に喜べない俺がいた…ドンマイ


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 《ジュートジュート、あだ名あだ名!!》
 「ん?…ああ、そうか」
 《はい? なんっすか?》


 ルーチェが説明する


 《いいっすね、かっこよくお願いします!!》


 「じゃあ……クライブで」


 《《《《《………》》》》》


 お前ら全員表出ろや!!


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 「なぁクライブ…ここには古代の神の力が眠ってるんじゃないのか?」


 《ああ、それですか………そりゃウソっすよ?》


 「………はい?」


 クライブはホバリングしながら懐かしそうに話す




 《ここはもともと…ヴォルフガングさんがおいらの為に作ってくれた場所で、不用意に人が近づかないように結界を張ったんっす。それから結界を解除しようといろんな魔術師が集まったけど、手も足も出なくって…それから変な噂が流れるようになっていつの間にか古代の神の力、なんて言われるようになったんすよ》 


 「ふーん……そうだったのか」


 《はい。おいらが静かに休める場所がほしい、っていったら、ココを作ってくれたんっす…へへへ》


 クライブは嬉しそうに語る。きっとコイツの中では大切な思い出なのだろう


 とにかく…用事はすんだな




 「クライブ、これからよろしくな!!」


 《へい。ここまで来たらしかたない……やるっすよ!!》








 こうして俺たちは新たな仲間、【緑】の【九創世獣ナインス・ビスト】、クライブグリューン・リベルラを加えて出発するのであった




 「アウラにお別れ……しないとな」




 今日はもう帰ろう……





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