ホントウの勇者

さとう

MID BOSS BATTLE④/【銃神ヴォルフガング】VS【斬神】・【毒神】/魂喰らいの左腕・【白の神話魔術】



 ああ……わかる、わかるぞ。この【神器ジンギ】の使い方


 俺はザンクとサソリが手にしてるアウラの身体を見た
 ザンクがアウラの右手を掴み引きずっている…アウラから零れた血が床を汚していた


 俺の頭は一瞬で沸騰した


 「汚ねぇ手でアウラに触れんじゃねえよ……!!!!」


 俺のグリーブの踵辺りから火が噴き、未だに動かないザンクとサソリに近づいてアウラを取り返す……あれ? 何でコイツ動かないんだろう。とりあえずアウラはヨルナ達の所に避難させておこう


 俺はアウラを抱えて移動する。踵からまた火が噴いた


 「……!?」
 「えっ!?」
 「なっ!?」
 「な、何がっ!?」


 何だろう。ビックリしすぎじゃね?
 ザンクとサソリは辺りをきょろきょろ見回してるし


 「き、キミは……いつの間にそこへ!?」
 「な、何をしたの!?」


 え? いや、普通に移動しただけですが……?


 「ジュ、ジュート殿、我々にはあなたが全く見えませんでした。瞬きした瞬間にあなたが目の前に」


 フェリーナが説明してくれる。ああそうか、俺が速すぎたのか
 とにかく3分しかない。コイツらを……ぶちのめすか


 「アウラを頼む……まだ生きている」
 「アウラ姉様ぁ!!」
 「アウラぁ!!」


 マニャーナさんとヨルナはアウラを抱きしめている。ラルシドは、マニャーナ達を守るように前へ出た


 「……ご武運を!!」


 「ああ、まかせろ!!」




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 「は、ははは。ピンチになってパワーアップして復活…まるでヒーローだね」


 「悪いけど……さっさと終わらせるぜ」


 俺は持ち手だけになった『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を構える…すると、砕けたパーツが集まりさらに濡羽色の光が包みフォルムが変わった。より鋭角的に、より大きく、装甲が追加された新形態




 「『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』……行くぜ!!」




 ザンクとサソリは共に神器を展開し、俺に襲いかかってくる……が


 全然見えなかったザンクの剣の太刀筋が見える。ザンクは手首、腕、肩を駆使して様々な斬撃パターンを使用してるのが初めて分かった。これは俺もマネしよう


 さらにサソリの尻尾の動きも見える。一本一本が独立した動きで、なぎ払い、突き刺しがメインの攻撃だ。パターンこそ少ないが動きが速い、これに対応できる人間はそうはいないだろう……これも進化した眼のおかげだ


 俺は『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』 の新機能を使う


 「【赤装填レッドチャージ】」


 すると、『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』のバレルに赤い紋章が刻まれる
 そしてそれをザンクに向けて放つ


 「くらえ、【赤炎弾フレアショット】!!」


 「なっ!? 【赤】属性だと!?」


 ザンクに匹敵する速さの炎の弾丸が、ザンクの左腕を焼き、【神器ジンギ】を取りこぼし地面に転がった


 「ぐっがぁぁぁぁっ!!」
 「ザンク!! よくも!!」


 サソリの尻尾が8本全て俺を狙う…が、今の俺なら簡単に躱せる


 「【青装填ブルーチャージ】、【紫装填パープルチャージ】」


 今度は2つ、青と紫の紋章がバレルに浮かぶ


 「シビれろ【青紫融合弾アクアブリッツショット】!!」


 「なっ、ぎゃあぁぁぁぁっ!?!?」


 雷を帯びた水の玉がサソリの全身を包み感電させる
 おー、シビれてるシビれてる…まだまだこんなもんじゃないぜ


 俺は砕けた双剣…【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】と【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】の柄を拾い構える


 「ゴメンな…でも、お前達はまだ戦えるんだ。死んでも雄大に輝くんだ!!」


 残骸が地面から巻き上がり、濡羽色の輝きと共に修復される。デザインが多少変わり進化した


 俺はその剣を合体させ一本の大剣にする


 漆黒と聖銀が混じり合う大剣…『雄永死輝絆剣ウィンクルス・デッド・スパーダ


 俺はその大剣を背中に収容した。するとそのまま背中にくっついた


 「あ、が…ががが」
 「サソリぃ!! まずはお前からだ!!」


 俺は背中の『雄永死輝絆剣ウィンクルス・デッド・スパーダ』を装備し『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』をセット、1本の銃大剣にする


 そして、『冥錬鉄の無神銃エクセレーナ・アイゼン・ブラスター』に〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕をセットしてスライドを引き、引き金を引きながらサソリめがけて振り下ろした


 「ぶっ飛べぇぇ!! 【銃神剣砲ヴォルフガング・ブレイバー】!!!」


 「ぎっがっぎゃぁっぁあぁぁっ!!!???」


 漆黒と聖銀の波動がサソリを飲み込み、神器をメチャクチャに破壊した
 サソリはボロボロになりながら壁に叩きつけられ、漆黒と聖銀の波動はそのまま空へと消えていった


 その光景は、ザンクの心をへし折るのに十分だった


 「さ…サソリ……ははは、無月君…キミは一体……」
 「うるせえボケ、お前等は終わりだ」


 試してみるか……それに、コイツらにはいい薬だ


 「お前等のマヌケな復讐劇も…ここで終わりだ」


 「ははは、殺すのかい?……いいだろう。キミにはその資格がある」
 「フフフ……地獄でまってるわ」


 ザンクとサソリは抵抗を諦めたようだ……殺す? 誰がそんなもったいないことするか






 「おい、死んで楽になるなんて誰が許した? お前等は生きて地獄を味わうんだよ」




 自然と口角がつり上がる
 お前等は実験台第1号だ






 「起きろ、『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』」






 俺の呼びかけに応じて『左腕』が変貌する


 鎧が分離して巨大な腕となる。人間の腕ではなく、濡羽色のもやがそのまま腕を形作っていた
 腕は巨大化してその手を広げる




 「喰らいつけ『左腕アルマイト』」


 「なぁっにい!?」
 「いやぁぁっ!!」


 『左腕アルマイト』が2人を拘束し持ち上げる




 「『魂喰ソウルイーター』!!」


 「ギャアアアアああァァァ!?!?」
 「ぐえェェェェェェぇぇ!?!?」


 見えないナニカがザンクとサソリを苦しめる
 そして、2人を床に投げつけた


 「な…何…を……!?」
 「う、うう……えっ!?」


 ザンク達は自身の変化に気がついた
 そして……俺を見た
 俺はたまらず笑顔で答える




 「これなーんだっ!!」




 俺の左腕には、キラキラ輝く球体が2つ、浮遊していた


 「ま……まさか……うそだ!?」


 「現実見ろよ、そう…これはお前等の中にいた神の魂・・・だ」


 「ば…馬鹿な!?」
 「か…返してぇぇぇ!!!」












 




 


 「やなこった。これから先お前等は、死ぬまで一般人として生きるんだな」


















 俺は左拳を握りしめ、魂を握り潰し咀嚼する


 左腕を通して、何かが俺に入ってくる






 戦意喪失したザンクとサソリを俺は眺めていた




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 「は、ははは、はは…無月君、キミは、残酷だ」
 「この……悪魔め」


 「そりゃどーも。じゃあ、あんたらは消えてくれ。大丈夫、ちゃんと着地させるからさ」


 俺は『左腕アルマイト』を再び広げて2人を掴み構える


 「な、何を!?」
 「た、助け…」


 「じゃあな、元気で暮らせよ!!」


 俺は全力で、2人を外にぶん投げた
 風を纏わせているから着地は平気だろう…今度こそ終わった


 それと同時に神器が解除され、もの凄い倦怠感が俺を襲う…が、倒れるのはまだ先だ。【雄大なる死グロリアス・デッド】と【死の輝きシャイニング・デッド】はきちんと鞘に収まっている…よかった


 俺はアウラの元へ歩き出す


 「ジュート、さん」


 ヨルナが真っ赤な目で俺を見る
 アウラは…眠っているようにしか見えなかった


 アウラの頭を撫でながら、俺は静かに歌い出す








 
 『癒し救え神の光 大いなる光の意思よ』


 ありがとうアウラ…俺はお前に救われた


 『救済せよ我の為に 歌を謳え癒しの詩を』


 お前との旅は、かけがえのない思い出だ


 『神話が紡ぐ神の唄 魔術の粋よここに至らん』


 お前が作るエルフの国……必ずまた見に来るから


 『【銃神ヴォルフガング】の名の下に我は告げる』




 だから……戻ってこい、アウラ!!








 「【白】の【神話魔術】、【全知全能のサルベイション・アーンギル救済天使・ヘレナ・サリエール】 !!」




 全てを癒やす神話の魔術が発動した


 俺の上に白い紋章が現れ、そこから1人の天使が舞い降りる


 法衣を纏い、白い仮面を被った癒やしの天使


 天使が翼を広げると、無数の羽が舞い、全てを癒やす


 死んで間もない兵士達、毒に侵された者達、仲間を守り死んだアルマティ


 そして……アウラ


 神の呪いの傷、死して間もない者を癒やし、清める究極の回復が発動した


 人間、エルフだけでなく建物でさえ修復してしまう


 兵士達とアルマティは起き上がり、何が起きたのかさっぱり分かっていなかった


 「お兄様ぁぁぁっ!!」
 「おっと…ヨルナ? 何が…どうなった?」
 「兄様…良かった」
 「お、おう?………???」


 そして……




 「う……うむ?…わらわは…???」


 「アウラ…アウラぁぁっ!!」


 「きゃあっ!? ちょっ、ジュート!?」


 「アウラ姉様ぁぁぁっ!!」


 「ヨルナまでっ…なんなのじゃぁーっ!!」












 「神の奇跡……いや、あの少年の力か」


 エルフ王は、優しく微笑んだ







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