ホントウの勇者

さとう

MID BOSS BATTLE①/【銃神ヴォルフガング】VS【??神】・【??神】/格の違い



 俺は、与えられた自室で食事を取っていた


 《……明日ネ》


 「ああ。ここまで来たらやるしかない」


 《……死なないデ、お願い》


 「……クロ?」


 《………なんでもないワ》


 とにかく、やるしかない
 先手必勝、とにかく攻めて攻めて攻めまくる…相手に攻撃をさせないくらい攻めまくって、必殺の一撃を叩き込むしかない


 明日は儀式の日…アウラが王になる日
 今日仕掛けなかったと言うことは、明日しかない


 必ず勝つ。勝って全てを守ってみせる










 この時、俺は気付いていなかった














 俺の考えは、どこまでも甘かったということを






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 次の日、俺達は王宮に集まっていた


 アウラはこれから〔緑の祭壇〕に向かって祈りを捧げ、そしてエルフの新しい王となる


 王宮に居るのは、エルフ王族と親衛隊、武装した兵士に、この国のお偉いさんが沢山だ。俺の所にはラルシドとフェリーナもいる、俺も親衛隊という扱いにしてもらった


 アウラはまだ来ていない···祈りを捧げる為の正装に着替えているそうだ


 俺は周囲を見回すが···あの二人がいない
 アマルティとマニャーナさんの所にもいない、嫌な予感だけはする······すると


 扉が開き、アウラが現れた


 「······おお」


 アウラは······美しかった


 エルフの伝統的衣装を着込んだアウラは、優雅な足取りでエルフ王のもとに近づき、誰もがその光景に目を奪われる


 エルフ王の足元に跪く、するとエルフ王が侍女から渡された首飾り···〔王の証〕をアウラの首にかける


 そして一礼し、後ろにある通路に向かい、祈りを捧げる


 そして······それはやって来た 




















 「······? なんじゃ、おぬしら」






 初めからそこに居たように立つ二人の男女


 微笑を浮かべて立ち塞がる、最強の敵






 「我々の目的の為に、貴女が必要なのです」


 切華きりはな斬駆ざんくと呼ばれる、柔らかな物腰の青年と






 「貴女の命を持って···〔聖樹メーディアス〕への道が開かれるのよ」


 甲金こうがね蠍理さそりと呼ばれる黒髪の美女






 【緑の大陸】で最後の戦いが始まろうとしていた






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 「【灰】の中級魔術、【拘束巻鎖バインダー・チェーン】‼」


 「おや?」
 「あら?」


 俺の魔術が二人を拘束する


 「離れろアウラ‼ そいつ等はお前を殺すつもりだ‼」
 「な、なんじゃと⁉」


 アウラは後ずさりしながら俺を見る
 辺りは騒然となった、逃げ出したお偉いさんに、武器を構える兵士達、そして


 「おいサソリィィィ‼ どういうことだァァァ‼」
 「ザンク···あなた、本気⁉」


 当然のように怒り出すアルマティとマニャーナさん
 全身を拘束されながらも全く変わらない様子の二人が問に答えた


 「はい。僕達の目的は〔聖樹メーディアス〕に宿る古代の神の力です。初めからあなた方を利用させて頂きました」
 「ごめんなさいねアルマティ···あなたの側も悪くなかったわ」
 「······お前らぁ‼ 生きて帰さねぇぞ‼」


 アルマティの掛け声で兵士が全員戦闘態勢に入る


 俺もアウラの前に立ち、二人を睨みつけた


 「·········それが君の答えかい?」
 「ああ、お前等をブッ倒せば全部丸く収まるからな」


 「······残念だよ」




 次の瞬間、【拘束巻鎖バインダー・チェーン】が吹き飛ばされた


 何事も無かったかのように、二人は会話をする


 「サソリ、君は雑魚どもを頼む。僕は彼を始末する」
 「わかったわ···フフ」


 サソリは俺の脇をあっさりすり抜け、アルマティの元へ向かう


 「サソリィィィ‼ てめぇぇぇぇ‼」
 「いらっしゃい、遊んであげるわ」


 サソリのローブ下から8本の機械触手が現れる。その先端は針のようになっていて、透明な液体が滴っていた


 「戦士達よ‼ 相手を女と思うな、かかれ‼」


 それが合図となり、エルフの戦士が一斉に飛び出していった


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 「アウラ、逃げろ‼」
 「し、しかし」
 「いいから逃げろ‼ 邪魔だ‼」
 「ッ‼······」


 アウラは走って出ていった
 それを見送り、ザンクと対峙する


 「『神器発動ジンギはつどう』」


 俺の身体が濡羽色に包まれて姿が変わる
 黒いコート、右手の篭手、足のグリーブ、顔半分を覆う仮面、そして…『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター


 「ヘェ、それが君の神器か。うん、いいね」


 全くもって変わらない余裕。舐めやがって


 「少し···相手をしてあげよう」


 そう言って腰から剣を抜く
 何処にでも売っていそうな鉄の剣だった


 「舐めんじゃねえぞコラァァァ‼」


 俺は両手に【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】と【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】を構えて全力で斬りかかる


 狙いは首、心臓、足、腕···とにかく行動不能にしてトドメを刺す···しかし


 「ははは、見え見えだよ。そんなスピードで僕に届くとでも?」


 当たらない。全く
 かすりもしない···まるで全ての動きが読まれているようだ


 俺が剣を振るうとすでにその位置にはいない
 フェイントを混ぜたり蹴りを放っても無駄だった


 「だったら‼」


 俺は右手の【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】を投げつける


 「おお?」


 当然回避されるが、俺はこの瞬間に右手で『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を抜き、銀弾を連射した


 「···むっ‼」


 投擲とは段違いのスピードで銀弾が飛来し、ザンクは回避しつつ剣で受ける、すると···剣はコナゴナに砕け、初めて僅かなスキが生まれる


 俺はこの事を予想して銀弾を撃った瞬間にザンクに向かって飛び出していた。そして、懐へ飛び込むことに成功する


 俺は左手の【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】を心臓に突き立てようとして見た




















 ザンクのグチャリ・・・・と歪んだ笑みを












 そして












 【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】は砕け散り、俺の左腕がズタズタに切り裂かれた










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 「ぐっ···ああァァァァァ⁉」


 俺の左腕から血が噴き出した
 切断こそされていないが、相当深く斬られている
 指が全く動かないし、骨も見えていた




永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】は柄を残して砕け散り、銀色の残骸が辺りに散乱した


 ザンクは能面のような笑みを浮かべて語る


 「惜しかったね、まぁ···努力賞かな。動きも太刀筋も悪くないよ、でも…僕相手じゃ勝てないよ?」


 何をされた⁉
 気がついたら血が噴き出した
 俺は断じて油断してなかった‼


 「あー···何されたか気になるんでしょ? 教えてあげるよ」


 俺は既に感覚のない左腕を無視して、落ちた【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】を拾い構える


 「僕の力は簡単に分けると2つ、その内の1つが超高速移動さ。ただ単純に君が見えていなかっただけさ」


 俺は【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】を振るい、ザンクを追い詰める


 「おっと、ふふふ、僕のもう1つの力がこれさ」


 「なぁっ···ぐがァァァっ⁉」


 今度は【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】が柄を残してコナゴナに砕ける


 右腕は篭手に覆われていたおかげで、切断こそされていないが指は動く




 「僕はあらゆる物を断つ、人だろうと、神だろうと···僕に切れない物はない」


 「ぐうぅぅっ···が、ぁぁ」




 痛みで血と脂汗が止まらない。でも、右手は動く


 俺は震える右手で『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を抜き、ザンクに向けて構える




 「最後に···僕の【神器ジンギ】を見せてあげよう」


 「え?······」




 ザンクの右手に握られていたのは···小太刀


 柄の色は青、刀身は60センチ程の長さで、ガラスのように透き通っているシンプルな【神器ジンギ














 「これが【斬神エストレーノ】の神器『蒼天湖ソウテンコ真烈シンレツ』さ」
















 次の瞬間、『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』が砕け散った───




 
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 俺は斬撃をまともに受け吹き飛ばされる


 身体中に斬撃の跡が付いてる
 【果たされし友情の約束リアライズ・プロメッサ・アミティーエ】の防御なんて、ザンクからすれば無いようなもんだ


 身体が、まともに動かない···こんなにやられたのは久しぶりだ




 「やれやれ、結果は分かっていただろう?」
 「うる·····せ、え」




 俺は全ての力を振り絞り立ち上がる
 こいつの前で寝るのだけはゴメンだ


 俺の右手には砕け散り持ち手だけとなった『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』、当然···攻撃力はない


 それでも、あきらめな




















 「『猛毒錐針ヴェノムギムレット』」








 俺の背中に、何かが刺さった




 「⁉⁉······あ、あ、ぁぁぁぁ?」




 「これが貴方の決意の代償よ?」








 黒髪の美女···甲金こうがね蠍理さそりがそこにいた




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 「な、な、な、なん、だ、これ?」


 寒い寒い寒い、背中があつい
 いしきがおかしい、ねむい、あつい、いたい
 ふるえ、とまらな······


 「私の毒はいかがかしら? 貴方には強力な神経麻痺毒をプレゼントするわ。苦しみ、嘆き、もがきながら死になさい」




 目の前には、機械の蛇みたいな8本の尻尾をつけたサソリがいた。その後ろには、アルマティや兵士達が血まみれで苦しんでいた




 「私の力は毒、あらゆる毒をその場で調合し打ち込み、どんな生物だろうと狂わせ壊す」


 サソリは、尻尾をグネグネ動かし嘲笑う








 「これが【毒神テトリヒス・ギフト】の神器、『猛毒鍼ベネノモルタル八又アシミノーク』よ」








 俺の意識は消えかけていた···何か聞こえる




 「終わったのかい? 相変わらず遅いな。その獲物を嬲るクセ、治したほうがいいよ」


 「いいでしょ別に···あなたこそ、この子と遊んでたじゃない」


 「うん。中々見込みがあったからね、でも···おや?」


 「あら?」










 「驚いたな、まだ立てるのかい?」




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 「何故、立ち上がるんだい? もう君は死ぬ、諦めて楽になりなよ」


 「そうよ坊や、貴方はよくやったわ。何故、諦めないの?」




 そんなの···決まってる
 生きてる限り、俺は戦う
 守りたい人がいるから




 「諦める理由が···ねぇからだ‼」




 武器はもう無い、身体中ズタズタで意識は朦朧としてる、神器を維持するのも限界だ···でも、俺は生きてる




 「············」
 「············」




 二人は黙り込んで俺を見る···そして




 「いいだろう···君は僕がこの手で殺してやろう」




 ザンクは『蒼天湖ソウテンコ真烈シンレツ』を構えて俺に向かってくる




 もう·······ここまでか




 アウラ······なんとか逃げてくれ
















 ザンクの刃は、俺の心臓を貫いて






















 「何?·····」




 「え?」






























 「ごぶっ······」








































 「あ、アウラ?」
















































 ザンクの刃は、アウラの心臓を貫いていた







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