ホントウの勇者

さとう

閑話 【王ノ四牙】①/報告・女神



 【時の大陸クローノス】〔クローノス城〕にて
 場所はクローノス城の一室。魔術により空間を隔離されて外からの干渉は不可能


 この空間を作ったのは【歌神ローレライ】
 これから行う【王ノ四牙フォーゲイザー】の密会のために、彼女の魔術でこの1室を完全に空間から隔離したのだ
 これに干渉出来るのは同じ【王ノ四牙フォーゲイザー】の二人
 【獅子神レオンハルト】は魔術を使えないので、【空神シグムント】か【薬神ナーカティック】のどちらかと一緒に来るだろう
 ローレライは部屋に備え付けてあるソファに座り、紅茶を飲んでいた
 残りの3人はまだ来ない
 シグムントは女漁り。ナーカティックは薬いじり。レオンハルトは鍛錬
 どうせそんなことだろうとローレライは睨んでいた
 そして


 「来たわね…」


 部屋のドアに紺色の紋章が輝く
 中から現れたのは、2人


 「ヒヒヒ。悪いねぇ、遅くなったわさ」
 「オウ、ローレライ。何か食いもんねぇか? 腹減っちまってよ」


 現れたのは【獅子神レオンハルト】と【薬神ナーカティック】
 どちらも遅刻したことどどうでもいいような口ぶりだ
 ローレライはため息をつきソファをすすめる


 「どうぞ」
 「オウ!! ん? ウマそうな果物があるじゃねぇか!!」
 「やーれやれ、あんさんは鍛錬と食い物の事ばかりやねぇ」


 ナーカティックがレオンハルトを見て呆れている。


 「うっせーぞババァ!! 食と鍛錬はオレに取っての究極の娯楽だ!! おまえに取っての薬みてーなもんだ。コレがねぇと生きてる意味がねぇ!!」
 「わかったわかった、もう少し静かに喋れ。あんさんの声はうるさくてかなわん」
 「んだとコラぁ!!」
 「……そこまでよ」


 ローレライが仲裁して扉を見る
 すると扉に紺色の紋章が浮かび上がり中から【空神シグムント】が現れた
 遅刻したシグムントを睨みながら、レオンハルトは果物をモグモグ食べながら言う


 「おっせーぞシグムント!! こんな退屈な話し合いさっさと終わらせてオレはガキ共を鍛えてーんだよ!! ったく何してやがったんだ!!」


 シグムントは顔を上げてレオンハルトを睨み付けた


 「黙れ、殺すぞ・・・
 「……ほーう、おもしれぇ事言うじゃねぇか」


 一瞬にして場の空気が変わる
 なぜか苛ついてるシグムントが、今のレオンハルトの言葉で完全に火が付いてしまった
 レオンハルトも立ち上がりシグムントを睨み付ける…一触即発の空気が流れる


 「おやめなさい二人とも、シグムント…何を苛ついてるの?」
 「……あなたには関係ありません」


 殺気が消えてシグムントは目を反らす
 レオンハルトも鼻を鳴らしソファに座り、果物を囓り始めた
 ナーカティックは意地悪く言う…この老婆は全てわかっていた


 「ヒッヒッヒ。女、だねぇ?」
 「……!!」


 シグムントはナーカティックを本気で睨み付ける
 しかし、ナーカティックはその殺気を受け流し、笑いながら言う


 「あんさん、未だに〔神の器〕の女共を堕とせないから苛ついているんだろ? ローレライはほとんどの男共を籠絡したってのに、あんさんに至っては22人もいる女でったったの4人しか堕とせていない…しかもそのうちの2人は行方不明、もしくは死亡ときたもんだ!! ヒッヒッヒ、苛つきもするわさ」


 次の瞬間、シグムントが腰の剣を抜きナーカティックに斬りかかる
 狙いは首。超高速の斬撃はあっさりとナーカティックの首を切断
 生首が地面を転がった……しかし


 首が無くなった体からは血液が流れず何事も無かったように歩き出し生首を回収
 切断面同士を合わせるとあっさりとくっついた


 「おやおや図星かい? だからといってこの年寄りに当たるとは…空の支配者と言われた【空神シグムント】も墜ちたもんだねぇ、ヒッヒッヒ」


 「貴様…!!」


 再び殺気が充満していく…そしてそれを止めたのはレオンハルトだった


 「シグムントもババァもいー加減にしろ!! オレはさっさと終わらせて帰りてーんだよ!! これが終わったら外でゆっくりやりやがれ!!」


 その言葉を聞いてシグムントは剣を納めてソファに座る
 場所はローレライの隣でレオンハルトの正面
 そしてローレライが何事も無かったように語り出した






 「じゃあ、【女神の鎮魂歌エレオノール・レクイエム】計画の進捗状況を話しましょうか」




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 「レオンハルト、〔神の器〕の状況は?」
 「まぁ順調だぜ。このまま鍛え続ければ全員が【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】下位レベルの強さになる。中でも1~5位は別次元の強さだ。オレでも少し手こずるレベルだ。この短期間にここまで強くなるなんてな、今回は豊作だぜ!! がっはっは!!」
 「そう、外での戦いは子供達に任せるしかないものね。私たちは全員この大陸に・・・・・縛られている・・・・・・から。【銃神ヴォルフガング】の力も順調に上がってるわ。このまま子供達と闘わせて強くなって貰いましょう」
 「ヒッヒッヒ、そうだねぇ。【神器ジンギ】を破壊された〔神の器〕の修復もなんとかなりそうだ。ちと寿命を縮めるが…あと三月ほどで使えるようになるわさ。ヒッヒッヒ、先発隊の3人、【潜神】・【腐神】・【蛇神】のガキ共は息巻いて修行をしとるわ。楽しみだねぇ……ヒッヒッヒ」
 「そうね…シグムント、女の子達は?」
 「……まだ4人だけです。あとは【銃神ヴォルフガング】への想いが強くなかなか墜ちません。洗脳と記憶消去と調教という手段もありますがそれだと【神器ジンギ】の力に影響が出ます。中でも【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】の9位・8位・2位・1位の精神が非常に強く肉体にも影響が出始めています。神の魂とヒトの魂の反発現象でしばし痛みを感じるそうですね。やはりこの4人だけでも記憶の消去を考えねばなりませんね……【銃神ヴォルフガング】……あの忌々しいクソ餓鬼め」
 「……それは最後の手段ね、まだ様子を見ましょう。男の子達はほぼ全員完了してるし、このまま行けば精神が完全に神にすり替わるまでそう時間は掛からないわね」
 「ほーう、たいしたもんじゃねぇか。どんな手を使ったんだ?」
 「簡単よ、誘惑して自信を付けてあげたの。フフフ、若いオトコは単純でいいわ、少し乗せるとすぐその気になる。まぁ、そうじゃない子も少しいたけど問題無いわね」
 「なるほどねぇ、ヒッヒッヒ。実にあんさんらしいわ。そうそうもう一つ」
 「なに? まだあったかしら?」




 「【戯神マレフィキウム】…ヤツはどうする?」




 「……そうね、放っておいていいんじゃないかしら? あのコは以前の【魔神大戦】でも一切関わらなかったし、オモチャを作って人間と遊んでる変な子でしょ? 害はないわ」
 「そうですね。しかしヤツの頭脳は神の中でも1・2を争うレベルです。もしヤツが【銃神ヴォルフガング】の側についたら厄介では…?」
 「そうかぁ? アイツの【神器ジンギ】は戦闘には向かねーし、頭脳ならコッチにはシャルムの〔神の器〕がいるだろ? 問題ねーよ、それにどこにいるかもわかんねーしな」
 「そういうことよ…すぐに対処しなきゃならない問題じゃないわ」
 「……わかりました」
 「ヒッヒッヒ。さて、最後の確認だ」






 「エルレイン・・・・・の状況は?」






 「問題無いわ。あの子には序列2位の静寂書華を専属で付けている。仲良くやってるみたいよ?」
 「序列2位? 確か彼女は目が見えないのでは?」
 「ヒッヒッヒ。それは問題無い。あやつが【神器ジンギ】に覚醒した時に見えるようになったらしいわ。面白いことにその事実を隠していた・・・・・・・・・・ようだわさ」
 「……何故?」
 「さぁねぇ、エルレインがそのことに気付いたようでな、今は二人の秘密・・・・・らしいわ。ヒッヒッヒ」
 「……まぁいいわ。ともかく計画は順調、【銃神ヴォルフガング】は【緑の大陸グレングリーン】に向かうみたいね」
 「そうですね、次の【九創世獣ナインス・ビスト】の所へ行くのは間違いありません。次はどの〔神の器〕を送り込むんですか?」
 「それならちょうどいいのが仕上がってきてる。【針神】・【爆神】・【岩神】、それと近くに序列7位の【闘神】がいる。全員バリバリの直接戦闘員で根性も座ってる、いくら【銃神】でもかなりの苦戦を強いられるはずだぜ…チクショーっ!! オレも混ざりたいぜ!!」
 「そうね、その子達なら今までのように楽にはいかないはず。まかせるわ」
 「オウ!! じゃあ早速鍛えてくるぜ!! おいナーカティック、門を開けろ!!」
 「はいはい。ホレ」
 「よっしゃあ!! 行くぜーっ!!」
 「騒がしいですね……ホントに」
 「そうね……」
 「ヒッヒッヒッヒッヒ……」
 「どうしたの? ナーカティック」
 「いやぁ、間違えてこの大陸の最南端の〔ゴルテム洞穴〕の最深部に門を繋いでしまった」




 「「…………」」




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 「さて、私は【神の箱庭サンクチュアリ】へ行くわ。また男の子達をその気にさせないとね」
 「私も出来る事をします。彼女達の【銃神ヴォルフガング】の呪いを解かなくては。あのクソ餓鬼への想いをね」
 「あたしは【神器ジンギ】の修復を急ごう、ちと危険な薬を使わせてもらおう。ヒッヒッヒ、こんなに〔神の器〕がいるなんて滅多にないからねぇ、楽しませて貰おう」
 「そうね。全ては目的のため」
 「はい……」
 「ヒッヒッヒ……」








 「【女神・・エレオノール・フォーリア】復活の為に」


 

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