ホントウの勇者

さとう

戯れの世界よ我が手の中に①/氷の煌き・絡まぬ糸



 どうしよう。まさか投降するとは思わなかった
 そういえば助けた後の事全然考えてなかった


 高名さんと鳴戸さんは両手を上げて俺の対応を待っている
 『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を構えたまま取り敢えず目の前にある【神器ジンギ】を見る


 剣と……何だ? グローブかな?
 取り敢えず壊しとくか?


 「えっと、悪いけど……」


 そう考えていると右手のバンドが震え始めた
 俺はバンドのスイッチを入れると、マフィの声が聞こえてきた


 『様子は見ていた……面白い、一度私の所へ連れてこい。ああ【神器ジンギ】は破壊するなよ』
 「······ハァ、わかったよ」


 でも、いろいろ聞いておかないと


 「高名さん、鳴戸さん……俺が憎い?」


 これだけは聞いておきたかった


 「······わからないわ」
 「あたしも〜」
 「……どういう事?」


 「最初は殺したいくらい憎かった。でも今はそうは思わない、だからと言ってあなたに味方する気はないし、エルレイン様の事は今でも大事に思ってる。分からない……頭の中に意識が2つあるみたいな、ああ」


 高名さんは頭を抑えて苦しんでいる。それを鳴戸さんが隣で支えている


 「ねぇ無月。わたし達も納得できない事がいっぱいあるの、今の状況と神様たちの考えがわかんなくて混乱してんの……お願い、わたし達の話を聞いてよ〜」


 俺は二人を見る
 高名さんは頭を抑えて辛そうにしてる
 鳴戸さんは高名さんに寄り添い俺に訴えかけてる
 仕方ないか···それに、今は友達を信じたい。こんな形でも話をする機会ができたしな


 「わかったよ、話せる場所に案内する」


 俺は二人の【神器ジンギ】を亜空間にしまう
 そして『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を下ろして二人に近づく
 二人は俺を警戒してる……まぁそうだよな
 俺はここで【神器ジンギ】を解除した


 「じゃあ行くよ、足元に注意して」


 二人は首を傾げたが……まぁ行けばわかる
 俺はバンドに魔力を通した


 「なっ⁉」
 「ふぇっ⁉」


 地面に穴が空き俺達は落下した




 あ、〔イエロードラゴン〕の素材取れば良かった




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 俺達が落ちたのはソファの上だった
 俺を中心に左右に高名さんと鳴戸さんが着地した


 「ようこそ、我が城へ」


 出迎えたのはここの主
 ボサボサのロングヘアーに紺色のワンピース、縁無しメガネに白衣を着た14歳くらいの少女
 【戯神マレフィキウム】ことマフィだった


 「な、何⁉ どういうこと⁉」
 「ほえ〜、ビックリした〜」


 まぁこれが普通の反応だ
 3回目の俺もちょっとビックリした
 マフィは指パッチンで俺達の前にお菓子と紅茶を用意し、俺は喉が乾いたので遠慮なくいただく


 「美味しいよ、飲んでみたら?」


 俺の一言に二人は反応する
 高名さんは少し迷い、それでも手を付けない
 鳴戸さんは躊躇わず飲み始め、目を見開き俺を見る。どうやら美味かったらしい
 俺もにっこり笑い返した……こういうの久しぶりだ


 「さて、キミ達に幾つか聞きたい事がある」
 「あ、あの……あなたは?」
 「子供だよね~?」


 まぁそういう事だよね
 いきなり案内された所に中学生くらいの少女が居たらそういう質問が出るよね


 「おっと失礼。私は【戯神マレフィキウム】……神の一人だ」


 その答えに二人は硬直した


 「か、神様⁉ ウソ⁉ だって神様は【時の大陸】にしか居ないって、どういう事⁉」
 「現存する神様はエルレイン様と【王ノ四牙フォーゲイザー】だけって聞いたけど〜」
 「疑う気持ちはわかるが事実だ。どう見ても子供だけど信じてやってくれ」
 「ジュート、お前が一番失礼だぞ」


 おっと失礼しました


 「キミ達の話を聞かせて欲しい。キミ達の疑問にはわかる範囲で全て答えよう。その代わり私の質問にも答えて欲しい」
 「いいわ。この気持ちが何なのか、神様の思惑や私の体について教えて貰う」
 「あたしもお願い。このまま帰ったら間違いなく実験動物扱いだし〜、今は無月の事キライじゃないから〜」


 二人の了承が取れた
 それから二人は質問を始めた


 二人が気になっていた事、それは〔神の器〕は俺を鍛える為に存在してるのではないか?
 大陸に向かう人選がおかしい、戦う度に俺が強くなるように仕向けているように感じる


 そして、高名さんの胸の痛み
 以前、俺に関する話をしていた時に激しく傷んだらしい
 他にも何人かいて、身体的異常は全く見られなかったと言う


 マフィは分かる範囲で答えていく
 しかし〔神の器〕の人選は分からないらしく、考えすぎだろうと言う事で落ち着いた
 胸の痛みに関しては心当たりがあるらしい


 「よし、キミ達二人の体を調べたいが構わないか?」
 「······いいわ」
 「あたしもいいよ〜」
 「うむ。ではさっそく」


 マフィは指パッチンで風景を切り替える
 そういえばここはマフィの【神器ジンギ】空間だっけ


 【戯れの世界よパラケルスス・マキナ我が手の中に・エルガステリオン


 まぁ要はなんでも空間だな
 そして風景が病院の様な場所になった
 モニターが幾つも表示されてまるで制御室のような部屋、しかしベッドや医療機器が置いてあり、やはり診察室を彷彿とさせた
 俺はいつの間にかマフィの隣にいて、正面に高名さんと鳴戸さんが立っていた


 「さて、さっそく調べさせてもらおう」


 再び指パッチン。すると


 「····え?」
 「····ふぇ?」
 「んなぁぁぁっ⁉」


 二人は全裸になっていた


 丸出し、モロ見え。同級生の全裸を見てしまった
 うおおぉぉ‼ 目が離せねぇ‼
 二人は視線を下に向けて、一瞬で真っ赤になった


 「いやぁぁぁっ‼」
 「わわわわわっ⁉ 何コレ〜⁉」


 二人はしゃがみこんでしまう


 「お、おいマフィ‼ 何で裸なんだよ⁉」
 「ああ。私の趣味だ」
 「ふざけんな‼」


 俺は二人を見ないように文句を言う
 するとマフィはニヤニヤしながら言う


 「ガン見してたくせに何言ってるんだ? 本当は嬉しいくせに」


 俺は【神器ジンギ】を発動させ『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』をマフィの頭にグリグリ押し付けて言う


 「俺の称号に〔神殺し〕が増えるな……」
 「じょ、冗談だ、落ち着け」


 マフィは再び指パッチン
 すると二人の体に光が纏わり付き服になった
 二人とも色違いのワンピース
 高名さんは青、鳴戸さんは赤だった


 「さて、今度は真面目に」


 二人の周りに光が殺到する
 光線だったり、カメラのようなフラッシュだったり、2人を余すことなく調べていく




 そして、結果が分かった




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 俺達は最初の休憩室に戻っていた
 再びお茶とお菓子が出されると、今度は高名さんも飲んでくれた
 するとマフィが本題に入る


 「結論を言おう、今のままだといずれ神に精神を乗っ取られる」
 「……そんな」
 「……そんな気はしてたけどね〜」


 二人は俯いていた
 高名さんは恐怖、鳴戸さんは諦め。そんな感情が感じられた


 「〔神の器〕とは本来、肉体を失った神がこの世に現れる為の手段だ。いずれは神に肉体を乗っ取られる。キミ達は【薬神ナーカティック】の投薬や、【歌神ローレライ】の歌を聞いただろう? あれは神の魂を人間の肉体に早く定着させる手段の一つだ」


 「……」
 「……やっぱりね〜」


 マフィは淡々と、事実だけを告げる


 「キミ達がいまある程度の本来の意識があるのは強い意志を持って神の力を押さえ込んだからに過ぎない。すぐにまたジュートを憎み襲うようになるだろうな」


 マジかよ
 俺は二人を見ると、2人は俺の服の袖を掴んでいた
 その姿は怯えている普通の女の子にしか見えなかった


 「このまま【時の大陸】に戻ったら今度は記憶を消されるだろうな。そしてシグムントに調教されて完全な戦闘マシーンに生まれ変わるだろう」
 「……ううっ」
 「……うっ、ひくっ……やだぁ」


 二人は泣き出した。ちくしょう
 俺は二人の手を強く握り締める


 こんな事しか出来ないのか?
 俺に出来る事は?


 「そうならない方法が一つだけある」
 「……え⁉」


 俺はマフィを見る
 そのまま高名さんと鳴戸さんを見て笑う


 まだ希望はある‼
 するとマフィが言う


 「ジュート。お前の協力が必要だ」
 「俺の協力? 何でもする‼ 言ってくれ‼」


 俺は立ち上がり大声で言う
 何だってやってやる‼ 


 「無月君······」
 「むつきぃ〜」


 二人は泣いてる


 「だが根本的治療ではなくあくまで現状維持の治療だ。彼女たちの魂と融合してる神を抑えつける事しか出来ない。ちゃんと完治させるにはお前の『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』で神の魂を喰らうしかない」
 「それでも何もしないよりマシだ‼ このまま【時の大陸】に戻ったらもっと酷い目に合うかもしれないんだろ……そんなのダメだ。それに、せっかく会えたのに、もう行ってほしくない」


 俺は泣いていた
 高名さん……一緒にテニスをした女の子。もう一度勝負したい
 鳴戸さん……直接の関わり合いはないけど、大事なクラスメイトだ


 高名さんと鳴戸さんは、俺の腕に抱きついて優しく言った


 「……無月君、ありがとう」
 「あんたにいっぱい酷いコトしたのに、優しすぎるよ」


 二人の温もりが腕から伝わってきた
 暖かく、絶対に守りたい
 するとマフィの手にはいつの間にかディスプレイが浮かんでいて、それを見ながら楽しそうに言う


 「ほほう‼ 凄いな、神の力を完全に押さえ込んでる。いけるな……ジュート‼ もう一度聞く、何でもするな?」
 「ああ、任せろ」
 「キミ達二人……氷寒ひょうか括利くくりだったな、覚悟はあるか?」
 「……はい、大丈夫です」
 「なんでもするよ〜‼」
 「いいだろう、ではジュート」
 「おう‼」


 ここでマフィは、イヤらしく微笑んだ




 「二人を抱け」




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 「············」
 「············」
 「············」


 今なんて言ったコイツ?


 「聞こえなかったのか? 二人を抱くんだ」
 「お前、ふざけてんのか?」
 「心外だな、キチンとした理由がある。この状況でふざけるほど病んじゃいないさ」


 いや、でもさぁ……高名さんも鳴戸さんも固まってるし


 「今は彼女たちの命が神の魂を押さえ込んでる状態だ。そこでお前の魂、すなわち【銃神ヴォルフガング】の魂とパスを繋げて彼女たちの神の魂を更に抑えつけるのさ」
 「そんな事で抑えつけられんのかよ? っていうかなんでそれが抱く事に繋がるんだよ」
 「簡単さ。生殖行為は肉体と精神が完全に結びつく行為だ。魂のパスをつなげるにはもってこいの儀式なんだよ。だが手を繋いだりキスする程度じゃ全く足りない、それにお前の魂は規格外だからな。素手の村人と訓練された完全武装の兵士が戦えば兵士が勝つだろ? 今は村人の気迫に押されて兵士が引っ込んでる状態だ。そこに村人が助っ人でSSレートのドラゴンを連れてきたらもう兵士は闘う気が起きない。……つまりそういう事だ」


 わかったようなわからんような
 で、でも……抱くってのは、男と女が裸でするヤツだよな
 俺は二人を見る


 「……私は無月君となら、いいわ」 
 「あ、あたしもいいよ〜」


 顔を真っ赤にして言う


 「お、俺でいいの? こういうのは……その、好きな人と」
 「……だからいいのよ、これ以上言わせないで‼」


 高名さんは大声で叫ぶ
 それってまさか


 「……休みの度にテニスに付き合ってくれた、私の作ったお弁当を美味しいって言って残さず食べてくれた、買い物に付き合ってくれた……全部楽しかった。いつの間にか好きになってた……私じゃダメ?」


 高名さんは泣きながら告白した
 俺はその瞳を見つめる


 「……ん」
 「っ⁉」


 キスされた……ファーストキスは、柔らかく甘い


 「あの〜、あたしも忘れないでね〜」
 「ほほう……面白いな」


 するとマフィが指パッチンをして風景が変わる
 場所はベッドルーム
 巨大な天蓋付きベッドがあり、部屋の広さは12畳ほど、そこに俺達3人は立っていた
 マフィはいないが、マフィの声が部屋に響いた


 『パスは私が繋いでやるからお前達は何も考えずに行為を楽しめ。ああ、妊娠の心配はない。生活魔術の【避妊】を使っておいたからな、グッドラック‼』


 何がグッドラックだよ


 「……あ、あの」
 「ごめん、俺も覚悟決めたよ」


 俺は高名さんを抱きしめる
 そして至近距離で言う


 「俺も高名さんが好きだ。でも、この気持ちは高名さんだけじゃない、他にも気になる子がいる」


 我ながら最低だ
 でも高名さんはクスリと笑って言う


 「知ってるわ、静寂さん、弓島さん、羽蔵さん、式場さん……まだいるのかしら?」
 「え⁉ なんで⁉」
 「胸が傷んだ子はみんな、きっとあなたが好きな人ばかりよ?」
 「マジで⁉」


 こりゃビックリだ。すると鳴戸さんが


 「ねぇ〜、あたしも忘れないでよ〜‼ うむっ」
 「ちょ」


 鳴戸さんがキスしてきた。何コレ? モテ期?
 俺の理性は崩壊寸前だ


 「……あ、あの、よろしくお願いします」
 「あたしも始めてだからよろしく〜」
 「が、頑張らせていただきます‼」


 二人は服を脱ぎ全裸になる……綺麗だ
 俺も全裸になり準備が整った


 俺は二人に覆いかぶさり、その柔らかさを堪能した
 ああダメだ、気持ちよすぎる……溶けていく


 
 俺達が部屋から出たのは3日後だった





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コメント

  • キリン

    どうしてこうなった

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