ホントウの勇者

さとう

ファーナ砂漠/スナイパー・不意撃ち上等



 「お兄さん、またね‼」
 「ああ、後でな」
 「出発の前に挨拶に来なさいね」
 「わかったよ」


 3人で〔海のオアシス亭〕の朝食を取り、ブランとシトリンは王宮へ戻って行った


 俺の本日の予定はモンスター討伐
 冒険者ギルドで依頼を探して強そうなモンスターを相手に【神器ジンギ】を鍛えるのが目的だ




 そんな訳でいざ冒険者ギルドへ出発!




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 朝の早い時間という事もあり依頼掲示板は沢山の冒険者で溢れていた


 王都のギルドと言う事もあるが、多すぎだろ
 遠目から見て分かるのは、A・Bレートモンスターの討伐が一番多い
 後は薬草、鉱石採取やら洞窟や森の調査など多種多様だ
 Sレートモンスター討伐の依頼もいくつかあるが、かなり残ってる
 掲示板から人がいなくなり、やっと存分に依頼を見る事が出来る
 すると俺の隣に誰かが来た


 「ん?」
 「あ⁉」


 そこに居たのはsランク冒険者チーム〔デッドストライカー〕だった
 5人は俺を見て何歩か後ろに下がる


 「や、やぁ……い、依頼かい?」
 「ああ」


 リーダーのクリフは完全に俺にビビっていた
 表情が固く、声が震えている
 他の4人も似たような感じだ
 やっぱりやりすぎたかな


 しかし、ブランにした事を考えるとやはり許せない気持ちになる
 だから保険を賭けておくことにした


 俺はクリフに近づき肩に手を置く


 「悪かった、俺もやり過ぎたよ。今回の事は水に流そう」


 俺は笑顔で言う
 5人は少し安心した表情になり息をついた
 俺は5人にだけ聞こえるように笑顔で言った




 「次は殺す」




 これだけ言えば大丈夫だろう
 5人は真っ青だけど、まぁいいか




 さーて依頼は……と




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 凍り付いた5人はほっといて掲示板を見る


 Sレートモンスターの討伐依頼がいくつかあった
 お、よく見ると掲示板の端に古い依頼書がある
 それを見て驚いた


 〔イエロードラゴン〕討伐 Sレート 報酬5000万ゴルド


 ドラゴン
 俺は【赤の大陸】で会った〔レッドドラゴン〕を思い出した
 あの誇り高い生物の討伐
 人に迷惑をかけてるならまだしも、何の理由も無い討伐はちょっとな
 とりあえず受けて見て、自分の目で確かめて討伐はそれから決めよう


 依頼を受けて詳細を聞く


 〔イエロードラゴン〕は〔王都イエローマルクト〕から東へ約40キロ先にある〔ファーナ砂漠〕に生息してるモンスターだ
 〔ファーナ砂漠〕は【黄の大陸】で一番過酷な砂漠と言われ、砂漠の中央には古代遺跡があり、そこには秘宝が眠っていると噂されている
 なので秘宝を目指して向かう冒険者が後を絶たず、〔イエロードラゴン〕にとっては冒険者は絶好のエサらしい
 以前も討伐隊が組まれたが、砂漠の過酷な環境に囚われ思うように戦えず全滅した
 なので国は〔ファーナ砂漠〕には近づくなと言うお触れを出して、〔イエロードラゴン〕の討伐はギルドに丸投げしてる


 なるほど、秘宝か
 おもしろそうだしやってみるか




 よし、〔ファーナ砂漠〕へ出発だ‼




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 町を出て街道を歩いてると、クロとモルが現れた


 《ファーナ砂漠のイエロードラゴン退治ネ、【神器ジンギ】を使うのかしラ?》
 「ああ、最近まともに使ってないからな。それに『左手』も覚醒させなくちゃいけないんだろ?」
 《……そうネ》
 《……もぐ》


 みんなを救う方法
 『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』という、もう一つの【神器ジンギ
 その力で、みんなの中にいる神をだけを殺す
 そうすればみんなは元に戻る




 もっと、強くならなくちゃな




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 1日ほどで〔ファーナ砂漠〕へ到着した
 見渡す限りの砂漠、嫌になるぜ


 「それじゃ行きますか」
 《待っテ》
 「ん? どしたクロ?」
 《……》


 クロは辺りを見回してる
 俺は肩にいるモルを見たがモルは首を傾げる。かわいい
 指でモルを撫でているとクロが言う


 《ジュート、【神器ジンギ】を纏いなサイ》
 「え? なんで」
 《いるワ》
 「いる?……何が?」




 《〔神の器〕がココに居るワネ》




 「マジかよ、何でこんな所に?」
 《さぁネ、どうするノ?》
 《もぐもぐ?》
 「行くしかないだろ」


 俺は【神器ジンギ】を纏い全力で気配を断つ


 《ジュート。ルーチェミーアの力を使って辺りを探りつつ進みまショ》
 「わかったよ」


 俺は【人魚神化ソウルオブルーチェミーア】を使って慎重に進む
 辺りを警戒し、【狙撃水漣銃ナルキッス・カラヴィーナ】のスコープを使いながら進む


 そして、怪しげな集団を見つけた




 「……見つけた」




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 俺はいたる所にある岩場の上にうつ伏せで寝そべり、【狙撃水漣銃ナルキッス・カラヴィーナ】を構えて周囲を観察した


 スコープの倍率を上げて右目と併用しながら見る
 すると服のシワから表情・声まで聞こえる。まるでスナイパーだな


 人数は4人
 皆木、鳴戸さん、高名さん、只野君
 只野君はマント、番号は11、盾守より下か
 場所は砂漠のど真ん中
 よく見るとモンスターの死骸みたいなのが見える


 「あれは〔イエロードラゴン〕か……死んでるな」


 〔イエロードラゴン〕は死んでいた
 まるで爆発したかのように肉片が飛び散ってる
 アレをやったのは只野君だな


 何故なら只野槌男ただのつちおは、巨大なハンマーを抱えていた
 アレは間違いなく【神器ジンギ】だ


 大きさは縦20メートル、叩く部分は10メートルはある
 あれで〔イエロードラゴン〕を叩き潰したのか
 でも、今ならここから狙撃して破壊できるかも


 只野君は【神器ジンギ】を構えたまま皆木と話してる
 【神器ジンギ】を破壊してすぐに残りを無力化する
 いきなり狙撃されれば少なからず動揺するはずだ
 目標までの距離500メートル
 俺は〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕を装填して力を高める




 「喰らえ……【人魚砲撃セイレーン・ブラスター】‼」




 俺の全力の一撃が只野君の【神器ジンギ】目掛けて飛んでいく



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