ホントウの勇者

さとう

閑話 【九創世獣】①/【赤・青・時】



 ここは〔セーフルーム〕
 まだ無月銃斗が〔貴族都市ガルベイン〕に着く前の話


 《マズいワネ……》
 《うん、どうしよう》
 《まだ大丈夫だろ、ジュートもマレフィキウムからチラッと聞いた程度だ。そんなに心配することはねぇよ》
 《でもジュートは絶対に使うと思うよ、クラスメイト達を助けるって言ってるし》
 《そうネ……》
 《チッ、マレフィキウムのヤツも余計な事言いやがって。そもそもなんでアイツが知ってやがるんだ?》
 《アア見えても神の中ジャ1番か2番めくらいに頭がいいからネ。他の神が知らないコトも知ってておかしくないワネ》
 《うん。でもでも今のジュートには絶対使いこなせない、ヴォルだってアレは切り札だったんだから!!》




 《『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』……ネ》




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 《そうだなぁ、『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』は神の魂を食い尽くす【神器ジンギ】だ。同じ神のヴォルならとにかく、人間の魂を持つジュートが使ったら神の力に魂が汚染される可能性がある。いくらヴォルの魂と融合しててもベースはジュートの魂だ。体ももたねぇハズだ》
 《デモ『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』だけジャこれから先は厳しいカモ。他の〔神の器〕も間違いなく強くなっているハズ、『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』が覚醒する可能性は高いワネ》
 《どうしよう。私、ジュートに死んで欲しくないよぉ》
 《オレもだ、まだまだ鍛えてやりてーしよ。個人的にもアイツは好きだ》
 《……》
 《クロシェットブルム? どーしたの?》
 《ネェ、ワタシ達なら負担を減らせるカモ》
 《え、どーやって?》
 《そうか、【九創世獣ナインス・ビスト魂融ソウルエンゲージ】だな?》
 《エエ、ソレはジュートと一時的に魂を融合させる技。ワタシ達の魂の一部をジュートの中に混ぜて純度を高めれば、少なくとも死ぬコトはないハズよ》
 《でもよ、オレ達だけじゃ足りねえな。やっぱ全員揃わねーとダメか?》
 《全員揃えばイイけど、ワタシ達だけでもやった方がいいワネ》
 《でも、クロシェットブルムは》
 《ゴメンなさい、今はワタシは融合出来ないノ。アナタ達頼りになっちゃうケド》
 《気にすんな、仲間じゃねーか!!》
 《そうだよ、だいじょーぶ安心して!!》


 《……アリガト》




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 《オレ達は今ジュートと契約してる。今ならジュートの魂と結びついてるから魂の一部をアイツに移植する事も出来るはずだ。ちと時間掛かるがな》
 《そだね、じゃあやっちゃおっか。クロシェットブルム、サポートよろしくね》
 《ああ。そうだ、その前にジュートの様子見てこいよ。最近アイツのそばにいなかっただろ?》




 《ソウいえばそうネ、じゃあチョット行ってくるワネ》




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 《アグニードラ、クロシェットブルムが融合出来ないのってやっぱり》
 《ああ、アイツはまだジュートのコトを認めてない。イヤ違うな、クロシェットブルムのヤツはまだヴォルのコトが忘れられねーんだ、その思いが枷になって力を貸すことが出来ねーんだ。コレばっかりはオレ達にはどうしようもねーな》
 《私はジュートが大好き。でもヴォルも大好きだよ?》
 《想いの違いだ。後はジュートに任せるしかねーな》
 《うん、ねえアグニードラ》
 《あん?》
 《こんな時、シロフィーネンスだったらなんて言うかな?》




 《……さーな》




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 《おまたセ》
 《おかえりー、ジュートは元気だった?》
 《エエ、なんでもイエーナって女の子を探してたワネ。場所を見つけてあげてアトは任せてきたワ》
 《かーっ!! また女かよ。なんだかんだでアイツ女ばっかりに関わってやがんな。かかかっ!! 今度からかってやろーぜ!!》
 《アノネ……マァいいワ。とにかく始めるワヨ》
 《うん!! サポートよろしくね!!》
 《さっさと終わらせよーぜ!!》




 《エエ、任せて》




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 《お疲れサマ》
 《ふう、終わったか。コレで『魂喰いの左腕ソウルイーター・アルマイト』が目覚めてもすぐにどーこーならねーハズだ》
 《うん。えへへ、ジュートと一つになった……なんかうれしい》
 《一つニュースがあるワ、ジュートが神話魔術を使ったワ》
 《なにぃ!? 神話魔術だぁ!?》
 《なんでなんでぇ!?》
 《どうやら町にあった城を破壊するために使ったみたいネ。まさか封印が解けてたなんて》
 《ああそーいえば封印は解けたぜ。マレフィキウムんトコでよ、お前が死んだって聞かされた時の怒りで封印のカギがぶっ壊れたんだよ》
 《うん。クロシェットブルムが死んだって聞かされてジュートはスッゴく怒ってたよ、ドワーフ族を皆殺しにするつもりだったみたい》
 《……全く。ワタシが死ぬワケないじゃナイ》
 《うれしいんだろ?》
 《うれしいんでしょ?》




 《ウ、ウルサイ!!》




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 《さて、そろそろトレパモールの所に行くんだろ? アイツん所行ったらトレパモールにも魂の一部を移植して貰わねーとな》
 《うん。ふわわわ……私眠くなってきちゃった》
 《ワタシはジュートの所に戻るワ。確か次は〔ダナード村〕ネ、トレパモールの所までモウ少しネ》
 《さーてオレは久々に酒盛りだ。おいクロシェットブルム、酒出してくれ!!》
 《ハイハイ……ホラ》
 《おおっ、サンキュー!! 次の村でもイイのあったら買ってくれよ!!》




 《わかってるワヨ。じゃあネ》




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 《アグニードラ、クロシェットブルムは?》
 《ジュートんトコ行っちまったよ。何だ?》
 《クロシェットブルムは……大丈夫だよね?》
 《さーな》
 《ヴォルが死ぬ原因になった、【王ノ四牙フォーゲイザー】に付けられた傷》






 《ヴォルが、クロシェットブルムを庇って付いた傷》






 《クロシェットブルムはヴォルが好きだけど、罪悪感も抱いてる。だから素直にジュートに力を貸せない……そんな気がするの》
 《もういいだろ、アトはクロシェットブルムの問題だ。オレ達が言うことじゃねぇ》
 《うん……ゴメン》




 《ジュートなら……なんとか出来るよね》





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