ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE/【銃神ヴォルフガング】VS【鎌神】・【乗神】・【投神】/突然に・人魚神化



 俺は辺りを観察した


 遮蔽物は特にない平原、錐藤の後ろにはサフィーア達が驚いた表情で俺を見ている
 このままだと戦闘に巻き込んじまう……場所を変えるか


 「んん? おい無月ィ逃げんじゃねぇ!!」


 俺は背を向けて走り出した
 お、着いてくる着いてくる
 

 錐藤は下半身の8本足をガチャガチャ動かしながら着いてくる。キモいな


 「よし、このまま着いてこい」


 大体1キロくらい走った所で、古城の手前辺りの草原に誘導して錐藤と対峙する


 「よお、鬼ごっこは終りかぁ? じゃあ死ねや!!」
 「おお。かかって来いよ」


 錐藤はガチャガチャ音を立てながら接近してくる
 やっぱり 錐藤も近接攻撃がメインなんだ
 もし遠距離攻撃が出来るなら俺が逃げてる最中にでも攻撃できたはずだ


 攻撃パターンは両手の大鎌のみ
 魔術は使わない
 スピードはそこそこ……問題無く対応できる


 「さて……」


 俺の対応は…… 死角に回り込んでの攻撃、武器の破壊、足を潰して機動力を奪う
 奥の手も考慮して一瞬で破壊する


 やれやれ……こんな考えが出来るなんて、我ながら物騒になったもんだ




 「よし、やるか」




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 「あぁん!?」


 俺は今錐藤の真後ろにいる
 錐藤は俺の存在に気付いていない


 まずは足からかな


 俺は【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】と【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】を抜き構える


 「おい錐藤」
 「なっ……!?」


 俺の声に反応した錐堂が振り向く
 まさか一瞬で後ろを取られるなんて考えてもいなかったようだ


 「が、あァァァッ!?」


 振り向き様に8本足を切り刻み、全ての足を切断する
 錐藤は足を破壊されてその場に転がり落ち、鎌を振り回して暴れている


 「チキショうがあぁぁぁ!! 無月ィィィィ!!」
 「…………」


 体を支える足を失ったので大きすぎる大鎌は振るのも辛そうだ
 よし。遠距離攻撃の可能性は完全に消えたな


 俺は『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を構えて狙いを点ける
 狙いは鎌と足


 「悪いな、終わりだよ」


 銀弾を連射して両手の鎌を滅多撃ちにして部位を破壊する
 再び銀弾を連射して両足のギミックを破壊する


 「あ、あ……やめ」
 「錐藤、もうやめ」














 次の瞬間、俺の中を衝撃が突き抜けた














 「………え?」




 なんだ?
 おい錐藤?
 はは、なんだよその顔
 あれ……声でない?
 





 「ごぶっ……!?」






 なんだこれ?
 血?
 なんで……?




 なんで俺の胸に穴・・・・・が空いてんだ・・・・・・?




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 《ジュート、ジュートぉ!!》


 ルーチェ……俺、どうなったんだ


 《遠い所から狙われたんだよ!! ジュートが倒した〔神の器〕は最初から囮だったんだよ!!》


 錐藤は囮……そっか。はは、やられたぜ


 《ジュート、死んじゃうよ!!……うぇぇ、もうやだよぉ……ヴォル、いやだよぉ!!》


 ルーチェ?


 《ヴォルは何にもいわないで居なくなっちゃった……ジュートぉ、もうあんな思いしたくないよぉ……うぇぇ……》


 ルーチェ、ゴメン……ん?


 なんだ? 暖かい、これって……?






 〔エリクシルペンダント〕が、光ってる?






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 俺はゆっくり立ち上がり胸元を確認する
 そこには穴はなく傷一つなかった


 足元には砕けた〔エリクシルペンダント〕が落ちている


 「これが守ってくれたんだな······」


 錐藤は未だに放心状態だが放っておいて周囲を隈無く探索する


 「────いた」


 あれは······轄俥と円筒さんか?


 装甲車のようなものに乗った二人がいる
 運転席に轄俥が、上部ハッチを開けてスリングショットを構えた円筒さんが驚愕の表情でこちらを見ている


 距離は約2キロメートル


 《ジュート、わたしを使って!!》


 ルーチェ? どうしたんだよ?


 《わたし怒ってるからね!! 大好きなジュートをこんな目にあわせて······お仕置き!!》


 はは、わかったよ······じゃあ行くか!!


 腰のホルスターから青いマガジンが飛び出す
 それを『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』にセットしてスライドを引き放つ
 

 「【九創世獣ナインス・ビスト魂融ソウルエンゲージ】!!」


 姿が変わる。濡羽色を基調とした青に
 仮面の装飾も代わり、銀眼が青眼に変わる




 「【人魚神化ソウルオブルーチェミーア】!!」




 さて、終わらせるか




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 俺は左手を前に突き出しもう一つの武器を呼び出した


 「『狙撃水漣銃ナルキッス・カラヴィーナ』」


 現れたのはゴテゴテした装飾のついた狙撃銃


 しかし大きさが2メートル以上ありその銃身も遥かに長い
 銃口もデカいし、これは······対物ライフル
 アンチマテリアルライフルだな


 俺は『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を【狙撃水漣銃ナルキッス・カラヴィーナ】にセットして照準を轄俥の神器に合わせる
 こんなに大きなライフルなのに全然重たくない、立ったままでも大丈夫だ


 「おお、見える見える」


 轄俥が叫んで円筒さんを装甲車の中に引きずり込んでる
 逃げるつもりだな


 俺はタイヤに照準を合わせて引き金を引く
 弾丸ではなく水のレーザーが発射された


 「······命中」


 空を切り全く無音で前輪に着弾
 続けて残りのタイヤもいきますか


 「悪いな」


 全タイヤを撃ち抜き身動きをとれなくする
 轄俥は頭を抱え、円筒さんは涙ぐんでる
 

 「決めますか」


 俺は〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕を『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』にセットしてスライドを引く
 悪いね。怪我はさせないから




 「【人魚砲撃セイレーン・ブラスター】‼」




 青い紋章が輝きそこから巨大な水球が発射された
 そして水球が破裂して無数の水のレーザーが空を切る


 「着弾······」


 

 レーザーは、装甲車と円筒さんの神器を破壊した
 



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 錐藤はいつの間にか居なくなっていた
 轄俥達と合流して【時の大陸】に帰ったんだろうな
 

 俺はクレア達の元に戻ると、そこにはクレア、ミレア、サフィーアしかいなかった
 他の人達は? と思うとクレアとミレアが


 「他の騎士たちは生き残りの人達を探したり、怪我人の手当てをしてもらってます」
 「ええ。いきなり居なくなったあなたを殴ろうと思ってね、私達だけここに来たの」


 クレアとミレアが怖いです
 って言うかミレアに俺は〔神の器〕って言ってないけど、俺の姿見てたよね?


 「あなたの事はすでに伝えたあるわ」
 「はい。ジュートさんは神様だったんですね!!」


 本当に伝えたのかよ
 まぁいいや。あ、そうだ


 「サフィーア、ゴメン。このペンダント壊れちまった」


 俺は〔エリクシルペンダント〕をサフィーアに見せる
 するとサフィーアは嬉しそうに言う


 「壊れていいんですよ、これはどんな怪我や病も治すと言われている〔エリクシル〕が入ったペンダントなんです。これが壊れたと言うことは、立派に役目を果たしたと言う事ですから」


 そうなのか。でも、ありがとう


 「さて、わたし達はこれから戦後処理がありますが、あなたは行かれるんですね······?」
 「うん。【黄の大陸ポアロイエロー】に行くんだ」
 「そうですか。本当はわたしの側で護衛を続けて欲しい所ですが、そうはいきませんね?」
 「悪いな。それといろいろ悪かった、あと世話になった」
 「はい、また遊びに来て下さいね。あなたならいつでも大歓迎です」


 そう言ってサフィーアと握手した
 そして俺はクレアとミレアに向き直る


 「行っちゃうんですね」
 「ああ、ミレア···ダンジョン制覇頑張れよ。フリック達にもそう伝えてくれ」
 「はい。ぐすっ·····ジュートさぁん!!」
  

 ミレアが飛び付いてくる
 俺は優しく抱き締めて頭を撫でてやる
 

 「元気で、また会おう」
 「ばい。わだじがんばりまず‼ えぐ······」


 俺はミレアの目元を優しく拭いクレアに向き直る


 「私ね、サフィーア様の御側係になったの。歳も近いし、女同士だしね」
 「そっか······俺、クレアに会えて良かったよ。メリッサやアリンの事ずっと気になってたから、3人と分かり合えて本当によかった」
 「······バカ」
 「また4人で〔喫茶プフランフェ〕でご飯食べようぜ。必ず」
 「うん。約束」


 するとクレアは俺に抱きついてくる
 俺も抱き締め返すとクレアは俺の頬に口づけした


 「メリッサやアリンに悪いから、ここまでね」
 「······おう」
 「約束、守ってね」
 「おう。守る」
 「······元気でね」
 「おう」






 「······愛してる」
 「······ありがとな」






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 クレア達と別れてバイクで走る
 このまま南下すれば【黄の大陸ポアロイエロー】に着く


 「黄の大陸ってどんな所だ?」


 と、ヘルメットを被ったクロに聞く


 《行けばわかるワヨ》
 「それもそうだな」


 いつかまたこの大陸に来よう
 そしてクレアを連れて、メリッサ達に会いに行こう




 俺は固く誓い、更にスピードを上げた



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