ホントウの勇者

さとう

閑話 円筒薙魅・【投神ランチャティラール】



 円筒薙魅えんとうなげみはほくそ笑んでいた


 「ねぇ、〔王都ブルーヴェルト〕で【はぐれ神獣】の討伐があるみたいよ」
 「はぐれ神獣って昔の神の戦いの生き残りでしょ。それがどうしたの?」


 そう答えたのは轄俥盛輪かつぐるまじょうりん
 ここは彼の運転する魔導車、【装甲走行操行ヴォワチュール・アウトヒューラー】の中での会話である


 「ここに錐藤を向かわせましよ。無月はお人好しだから絶対に現れる」
 「なるほどね、そこで錐藤君と無月を戦わせて、最後に気が緩んだ所を君が……」
 「ふふん……そー言うこと」


 彼女はそう言うと後ろの座席へ寝そべった
 女子の騎士服はスカートのため下着が見えているが、彼女は特に気にしていない


 「じゃ、じゃあ錐藤君に連絡先をいれるよ。無月の居場所がわかったって」
 「うんよろしく~」




 彼女はそのまま眠りについた




───────────────


───────────


──────






 「円筒さん、この辺りでいい?」
 「ええ、バッチリよ」
 「あとは無月がここにくるかだけどね」
 「大丈夫よ……ふふん」




 円筒薙魅えんとうなげみは小柄な少女だ


 身長145センチでクラスメイトのなかでは小さい部類に入るが、スタイルは悪くない
 胸もあるし顔も可愛いとよく言われるし、男子から告白も何度かされている
 しかし彼女は一人でいるのが好きな人間だった


 他人と深い付き合いはせずに狭く浅い付き合いでここまで生きてきた
 クラス会や文化祭等のイベントがあると憂鬱になったりもする女子高生


 彼女は無月銃斗に思うところはない……【魔神軍】な脅威だから排除する




 その程度の存在だった




───────────────


───────────


──────






 彼女達は今、無月銃斗と錐藤蟷螂が戦っている場所から約2キロメートル離れた場所にいる


 「やっぱり錐藤じゃムリね……強すぎるわ」
 「錐藤君、ゴメン」
 「あいつの神器が破壊された瞬間を狙うわ……ふふん」




 「『神器発動ジンギはつどう』」


 

 彼女の左手に神器が現れる


 それは、片手用の投石器スリングショット


 従来のものよりも大きいY字型の武器である
 勿論飛ばすのは石ではなく、魔力の塊を具現化したもの


 彼女の属性は【時】・【灰】・【紫】の3種類。【灰】の魔術で弾を作り出し神器に乗せて放つ
 直接戦闘が苦手で魔術も不得意な彼女は、この狙撃が一番の武器だった


 このスリングショットは照準機が搭載されている
 最大飛距離は5キロメートル……この距離なら絶対に外さない


 

 「ふふん。【投神ランチャティラール】の神器・【ブロンティグローム】の一撃を奢ってあげる。サヨナラ無月」






 避けられない狙撃が無月銃斗を狙う
 


「ホントウの勇者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く