ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE/【銃神ヴォルフガング】VS【魔神獣・ラードヴァルケン】/豚の王



 進軍が始まり全部隊が前進を始めた


 〔ダルフィン城〕はここから魔導車で1日の距離
 勿論これだけの人数の魔導車は手配できないので馬を使ったりしてる
 基本的に魔術師が魔導車に乗っていた


 サフィーアも魔導車に乗って移動していて、その両サイドにクレアとミレアが控えている


 俺は早速部隊を離脱して【流星黒天ミーティア・フィンスター】をかっ飛ばしていた
 そして半日で〔ダルフィン城〕が見える位置まで到着して周囲のモンスター達の様子をうかがう


 ここにいるモンスター達は〔ブルーオーク〕・〔ブルートロール〕・〔ブルーグリフォン〕なんかのD~Bレートのモンスターばかりで、はっきり言って力で簡単にごり押しできそうな雑魚ばかり


 やはり本命は城の方角だ
 城までの距離はだいたい1キロぐらい、しかし……わかる
 強いのが2体ともっと強いのが1体。たぶんコイツが【魔神獣・ラードヴァルケン】だ


 流石に3体同時相手はキビシい、と言うかムリだ
 どうしようと考えていると頭から声が聞こえる


 《おいおいジュートよぉ、誰か忘れちゃいませんかね?》
 《ふっふ~ん!! やっと出番がきたね~》


 アグニとルーチェの声だ
 アグニはともかくルーチェも戦えるのか?


 《おいおい、ルーチェミーアは【青】魔術の達人だぜ? 真の力には遠く及ばねえけど大抵のモンスターなら楽に倒せるぜ》


 マジかよ。どう見てもただの幼女人魚にしか見えないけど


 《大丈夫だよジュート!! わたしを信じて!!》
 「……わかった。頼んだルーチェ」
 《うん。まかせて!!》




 取りあえず城の中に侵入してみるか




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 わかったことがあった
 まずはここのモンスター達は飢えている……しかも尋常じゃ無く
 【魔神獣】はモンスターの統率に優れている、なんて聞いていたけれどコレはひどい
 共食いまで始めているぞ…おぇぇ


 モンスター達を集めたのでは無く、魔術か餌を使って洗脳してコマにしている
 本命はやはりこの3匹のモンスター達が相手をするらしいな


 城で言う謁見の間みたいなところまであっさり侵入出来た
 コイツら本当にやる気あんのか? ってくらい簡単に侵入出来た
 逆に罠を疑ったけどホントに何もない。謁見の間には3匹のモンスターがいた


 まず1匹目は筋肉むきむきの豚のモンスターだ
 上半身はむき出しで体の至る所に傷があり歴戦の武闘家って感じのモンスターだ。たぶんSレート


 2匹目はローブを着て杖を持っている豚だ
 たぶん魔術師のモンスターでコイツも結構強そうだな。たぶんSレート


 そして最後、コイツが【魔神獣・ラードヴァルケン】で間違いない
 身長は座っていても3メートル以上あるし、体は鎧で覆われている
 その顔は厳つい豚で瞳はギョロついていて気持ち悪い
 武器はいすの裏に立てかけてある大きな両刃斧、たぶん5メートル位ある。喰らったら死ぬな
 コイツがSSレートでまちがいないな


 するとラードヴァルケンがしゃべり出した


 「ふん、人間どもめ……来るなら来てみるがいい。くくく、このラードヴァルケン様の斧の餌食にしてくれるわ!!くくく、はははははっ!!」


 すると豚魔術師がラードヴァルケンにむかって目線を送る
 この2匹はしゃべれないのか


 「そうか来たか……よし、雑魚どもを解き放て!! 餌の時間だ」


 そして豚魔術師が杖を掲げて何か言うと、杖から紋章が輝き────地震が起きた


 「違う、コレは……モンスター達が走り出したんだ。餌を求めて……!!」


 解放されたモンスター達が一斉に走り出し、数キロ先にいる人間の部隊めがけて走り出した音だ
 きっと新鮮なおいしい肉があるとでもこの豚魔術師に言われたのだろう。


 まぁおかげでやりやすくなった
 アグニ、ルーチェ……準備はいいか?


 《おう、久しぶりに暴れるぜ!!》
 《わたしも歌わせてもらおうかな~》




 俺は殺気を漲らせて豚どもの前に出た




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 「誰だ!! ん?……貴様まさか、【銃神ヴォルフガング】か!?」
 「だったら何だよ豚野郎」


 俺はすでに両手にナイフを装備している
 すると豚格闘家が拳を構えて突進し、豚魔術師が詠唱を始めた……が


 《オラぁッ!!》
 《ふふ~ん》


 豚格闘家の突進をアグニが防ぎ
 豚魔術師の杖にルーチェの【水針アクアニードル】が刺さる


 《よお、少しは楽しませろよ!!》
 《わたしの歌、聞かせてあげるね》
 「アグニ、ルーチェ……まかせた」


 そう言って俺は豚の王と対峙する
 何でだろう。負ける気がしない


 「【銃神ヴォルフガング】ゥゥ!! 殺してやるぞォォォ!!」


 豚の王は両刃斧を構えて俺を見据える
 俺もナイフを構えて薄く微笑む




 戦いが始まった




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 この謁見の間の広さは体育館ほどの広さ
 そこに3VS3の戦いが始まった


 アグニ VS 豚格闘家
 ルーチェ VS 豚魔術師
 俺 VS 【魔神獣・ラードヴァルケン】




 俺と豚野郎の距離は10メートル
 豚野郎はメチャクチャに斧を振り回し辺りを破壊してる


 石畳がめくれ、柱・壁が破壊しながらゆっくりと近づいてくる
 あれはまともに受けられない……全部躱さないと


 「オォォォォォッ!!」
 「おわっ!?」


 すると豚はいきなり斧をゴルフスイングして地面を抉り、石つぶてを飛ばしてきた


 「あっぶねぇっ!?」


 地面を転がるように回避すると目の前に豚が迫っていた


 「ブモォォォォォッ!!」
 「はやっ!?」


 豚は打ち下ろしの一撃で俺を真っ二つに両断するつもりだ……しかし
 俺は右手に魔力を込めて放つ


 「【赤】の上級魔術・【爆炎爆破エクスプロード・ブレイズ】!!」


 豚は爆発し辺りは爆炎に包まれた……しかし


 「フン、効かんなァァァァァッ!!」


 無傷の豚がにやけながら突進してきた
 豚がゴルフスイングで俺を狙う


 「ぐっ……おもッ、ぐぁぁっ!?」


 豚の一撃を両手で構えたナイフでなんとか受け止めるが壁まで吹っ飛ばされてしまう
 背中から壁に激突し視界が明滅した


 「ぐっがぼっっ!?」


 口の中に鉄の味がこみ上げはき出す……赤い物が口から零れた
 今ので内臓を痛めたのか。車に轢かれたような衝撃だ


 「チッ……いってぇな」


 わかったことがある
 コイツは魔術を使わなずに物理攻撃のみの攻めだ
 上級魔術も効いてないのか鎧にも傷ひとつ付いていない
 生身じゃムリか。使うしかないな


 俺はナイフをしまい豚を見つめる


 「なんだ、降参か?」
 「いや、終わりだよ」


 俺は勝利を確信し宣言する






 「お前のな!! 『神器発動ジンギはつどう』!!」






 濡羽色の輝きが俺を包む
 俺の姿が変わり装備も変わる


 俺は『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を構えて微笑んだ




 「さぁ、行くぜ豚野郎!!」




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 豚は先ほどと同じゴルフスイングで礫を飛ばしてくるが俺はよけなかった
果たされし友情の約束リアライズ・プロメッサ・アミティーエ】 が全てを防ぐ


 豚が斧を振りかぶり俺を両断しようとするが
 右手の籠手で敢えてガードした。たいした重さじゃない


 俺はバックステップで豚から距離を取り、同時に銀弾を10発連射する
 狙いは豚の両指


 「ぐおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」


 銀弾が豚の両指を吹き飛ばし斧を取り落とした


 俺は『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』をホルスターにしまい【雄大なる死と絆グロリアス・デッド・リアン】と【永遠の死の輝きエターナル・シャイニング・デッド】を抜いて豚に近づき一瞬で両足を切断した


 「ぐがああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 血を流しながら豚が転がる……もう何も出来ないのかな?
 【魔神獣】って言ってもこんなもんか


 俺は〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕を『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』にセットしてスライドを引く
 濡羽色の紋章が輝きとどめの一撃の準備が完了する




 「ま、待てぇぇぇぇぇぇっ!?」




 豚の命乞いが響く
 でも俺は容赦しない




 「悪いな……【銃神砲撃ヴォルフガング・ブラスター】!!!」




 豚は濡羽色の光に包まれ消えていった




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 豚は完全に消滅したみたいだ
 俺はそのままアグニとルーチェの様子を確かめようと二匹の位置を確認すると、すでに終わってるみたいだった


 豚格闘家は体が爆散して死んでるし、豚魔術師は影も形も無い
 アグニはともかくルーチェも強いんだな
 すると俺の戦いを見ていたのかアグニとルーチェが言う


 《強くなったじゃねえか。今のお前は神に匹敵する強さだぜ。魔神獣程度じゃ相手にならねえな》
 《うんうん!! わたしビックリしちゃった。まさかジュートがこんなに強いなんて!!》


 二人が誉めてくれる。なんか恥ずかしいな
 さて、外の様子を確かめに行くか。サフィーアもいるし問題無いだろうけど




 俺達は城から出て戦場へ向かって行った




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 戦いは既に終わってモンスターは全て倒されていた
 しかし、その場には僅かな人しか立っていない




 「なんで……戦力差は倍以上だったんだぞ!?……サフィーア、クレア、ミレア!!」




 魔力の気配がする────向こうか!!




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 そこに居たのは騎士団数人とサフィーア、クレア、ミレアだった


 しかし全員ボロボロで、満身創痍で目の前の白い騎士服を着ている少年に敵意を向けている
 サフィーア達の視線が俺に向きその騎士服の少年がこちらに振り向いた




 「よ~う無月、やっと会えたぜ……くくくっ!!」
 「錐藤……なんでお前が!?」
 「ハァ? バカかお前、お前の抹殺指令が出てるって盾守が言ってただろ。俺は第2陣でこの大陸に来たんだよ」
 「第2陣!? じゃあお前意外にも……!!」
 「ああ、どこにいるかは知らねーけどな」
 「おい錐藤、話を……」
 「あーあーそう言うのはいい。俺はお前が許せねぇんだよ……俺の大事な仲間を痛め付けたお前がよ。てめぇはここでぶっ殺す……仇打たせて貰うぜ!!」
 「錐藤。俺は、俺は仲間じゃ無いのかよ!! 確かにクラスじゃ挨拶する程度だったけど、俺は」




 「うるせぇな、いいから死ねや!! 『神器発動ジンギはつどう』!!」




 錐藤の体を繭のようなものが包み込み、鎧のような形を形成していく
 そして異形の姿に変貌する


 全長4メートル、高さ3メートルくらいの大きさで両腕に巨大な両手鎌が装着
 さらに下半身は長細い腹に8本足のギミックが装着され、ガチャガチャ動く装備と一体化しておりイビツな羽が生えている
 そして6枚の羽を広げて威嚇する姿は出来損ないのカマキリみたいだった




 「これが【鎌神ファルクスディヒル】の神器・【プレディカドール】だ。ぎゃはは!! いくぜ無月ィィ!!」
  





 「錐藤……今、終わらせてやるからな」






 戦いは、再び始まった





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