ホントウの勇者

さとう

魔術都市ウィルエンデ①/魔術の館・紫の魔女



 「·········」


 俺は今モンスターと対峙している
 このモンスターは〔ブルーオーク〕だ
 豚が二足歩行になったようなヤツで、棍棒を構えて俺の様子を伺っている


 たしかこいつのレートはD、肉は食材にもなる
 本来なら倒してその場で解体してギルドに卸す、と言う手順でお金を得るのが冒険者としての基準だ


 しかし俺はお金には困ってないし、グロいのは嫌なので今までモンスターを倒しても放置していた
 こいつはどうしようか、逃げようかななんて考えてたら〔ブルーオーク〕が突進してきた


 「ぶもォォォォォォっ‼」


 どしんどしんと音を立てながら迫って来る
 しかしそのスピードは遅すぎる
 俺は投げナイフを両足に3本ずつ投擲した


 「もがァァァっ⁉」


 両足の膝に投げナイフは命中
 〔ブルーオーク〕は転倒してゴロゴロ転がり、俺の数メートル先で痛みでバタバタしてる


 俺はそのまま近づき首をナイフで切る
 すると噴水のように血が吹き出して〔ブルーオーク〕はそのまま動かなくなった


 このまま放置して行くのも気が引けるので、魔術を使って埋めた
 もう町が近いのに〔ブルーオーク〕がなんでこんなところに?


 〔ブルーオーク〕は本来森の中に生息している




 それなのにこんな町に近い街道に現れるなんてな




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 俺は今〔魔術都市ウィルエンデ〕に繋がる街道を一人で歩いている
 クロは〔セーフルーム〕でルーチェと昼寝をしている


 ルーチェはよくクロを連れて〔セーフルーム〕で遊んでいる
 遊び疲れるとそのままクロを抱き締めて寝てしまう
 そんな事が多くなっているので、俺は最近一人で歩く事が多くなっていた


 ルーチェは最初はアグニのことも怖がってたが、最近はクロとアグニと3匹でよく遊んでいる
 たまに俺も引っ張られて遊び、一緒に昼寝もしたりして過ごしていた


 俺は暫く歩いてから【流星黒天ミーティア・フィンスター】を出して跨がり、ヘルメットをかぶる


 〔魔術都市ウィルエンデ〕まであと3日くらい




 少し飛ばして行きますか




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 【流星黒天ミーティア・フィンスター】を飛ばして3日
 俺は〔魔術都市ウィルエンデ〕に到着した


 町の雰囲気はモダンな感じ
 地球で言うフランス、イタリアみたいな感じかな? 行った事ないけどね


 町の中に川が流れていた
 そこをボートみたいな船が走っていたり、辺りにある店も魔術用品店や魔道具屋が沢山ある
 武器防具屋はほとんど無い。町を歩く人も魔術師のような人達ばかりで、冒険者も結構いる······あ、勧誘してる


 辺りは魔導車の専用道路もあり、俺は【流星黒天ミーティア・フィンスター】でそこを走っていた
 やばいな、注目浴びてる。降りて歩こう


 俺は【流星黒天ミーティア・フィンスター】から降りて魔術空間にしまい、町の中心まで歩いてきた


 町の中心に、各ギルドや有名どころの武器防具屋、魔術用品店、魔道具屋何かが並んでいるが、一番目を引いたのが多分この街で一番大きな建物、〔ウィルエンデ魔術学園〕だ


 「クレアやミレアの母校か」


 その建物はまんま城、千葉のテーマパークにある城みたいな建物で、入口には巨大な門がありそこに〔ウィルエンデ魔術学園〕と巨大な看板が立っている
 中に出入りしてる人達は同い年くらいな人も居れば小学生みたいな子もいる
 しかしみんな同じ服、同じローブを着ている。制服なのかな


 まあ、魔術学園はどうでもいい
 とりあえず今日の宿を探して休もう




 探索・補給・情報収集は明日からだな




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 俺が選んだ宿屋は、中央広場にある〔魔術の館〕と言う名前のかなりデカい宿屋だ


 中に入るとロビーは広く、魔道具の光や魔道具の音楽などが流れていてすごく明るい
 受付のお姉さんも魔術師なのか演出なのかは知らないがローブを着ている
 とりあえず受付と支払いをする。部屋は5階だ。


 驚いたことに何とエレベーターがあった。これも魔道具らしい
 部屋に入るとふかふかベッドにお風呂、シャワーなど高級宿屋である証があった。嬉しいね


 すると青い紋章が輝きルーチェが現れた。クロを抱えたままで
 そして風呂を見るなり嬉しそうに飛び回り、俺の前で停止した




 《やったー‼ お風呂だお風呂♪ ジュート、お湯貯めておいてー》




 と言い、クロを抱き抱えたまま嬉しそうに言う
 とりあえず俺は言われた通りにお湯を貯めた
 10分もしない内に満タンに貯まると、ルーチェがクロを抱き抱えたまま湯船に飛びこんだ


 《わーい気持ちいい~。あったかいねぇ~クロシェットブルムぅ~》
 《ニャぶぶっ、ばぶ······ッ⁉ ルーチェミーアっ···ぼぶっ······はなじなっざいッ⁉ 溺れ······ッ‼》


 クロが苦しそうに呻いている
 ルーチェはしっかり抱き締めたまま寛いでる


 するとルーチェはクロを解放してほっこりしてる······大丈夫かな?
 まぁ平和そうだしいいか、死にはしないだろ




 とりあえず明日から頑張ろう




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 翌日、宿屋を出てまず買い出しからする事にした


 まず道具屋で食材を買い、そして家具屋でハンモックを買った
 ルーチェはベッドよりもハンモックの方がいいらしく、吊るしたハンモックにクッションを敷き詰めて寝るのが好きらしい
 クッションも沢山買っておこう


 そしてお酒
 麦酒と葡萄酒はあったが米酒がなく、アグニは凄く落ち込んでいた。が、穀物酒···つまりウィスキーが売っていたので試しに買い、飲ませてみたら凄く感動してた
 なのでこれも大量に買い、クロの異空間にしまう


 それとルーチェが欲しがったのはお菓子だった
 この街のお菓子屋に入ると、クッキーやチョコレートが沢山売っていたので買い、これもクロの異空間で管理して貰う


 とりあえずこんなもんかな
 お金はあと300万ゴルドか。大金なんだけどなぜか少なく感じる


 俺は町の中央広場に向かう
 露店で食べ物でも買うか


 クロはルーチェの相手をしてるので一人で露店に向かう
 ほう、ブルーオーク・ハンバーガー〕か
 なんか引かれるな、買ってみるか
 

 俺は支払いをしてハンバーガーを受け取り早速食べる


 「うまい‼」


 たっぷりの肉汁がパンに染み込んで何とも言えない


 俺は食べ終わると立ち上がり、情報を集める為に冒険者ギルドに向かう事にする
 そしてギルドの位置を確認するため辺りを見回し




 見つけてしまった




 〔ウィルエンデ魔術学園〕から誰か出て来る


 「あ······」
 「ウソ······」


 その誰かは俺を見て驚愕の表情をしている


 それは、【赤の大陸】で別れた少女


 紫のワンピースに紫のローブ
 魔女っぽい紫の帽子を被った中級魔術師




 元冒険者の少女、クレアだった





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