ホントウの勇者

さとう

〔フルブルー大塩湖〕/ルーチェミーア・アロロツェーレ



 「この先に〔フルブルー大塩湖〕があるんだよな?」


 と、俺は隣を歩くクロに聞いてみる
 すると音を立てずに歩く黒ネコは言う


 《エエ、この先にルーチェミーアはいるワネ。もう少し近づければ念話で会話できるケド》


 今俺達が歩いているのは〔オルダ洞窟〕
 薄暗いが周りの岩が青白く発光している、どこか神秘的な洞窟だ


 モンスターもそこそこ出た
 〔ブルークラブ〕とか言うカニと〔ブルーオクト〕とか言うタコ
 タコはぶつ切りにして、カニはこんがりと焼いて調理……いや倒した


 そのまま特に問題なく進んでいる
 歩いていると明るい光が差し込んできた


 「出口だ!!」


 俺達はそのまま洞窟を出て目の前の景色に驚いた


 まず俺がいる〔オルダ洞窟〕の出口は崖っぷちになっていて、そこから見下ろすような形で湖が広がっている
 その大きさはとにかくデカい、イルカみたいのが跳ねてるし
 周りは森に囲まれてるが平原も見えているし、街道のようなものが見えているから町も近いのだろうか。とにかく降りてみよう


 俺は辺りを見るが、道のような所はない
 本当に出口と崖っぷちしかないので、【灰】の魔術で鎖を作ろうかと思ったが面倒なので【神器ジンギ】を纏い、そのままクロを抱っこして飛び降りた


 そのまま華麗に着地、クロを地面に下ろす
 するとクロは呆れたように言う


 《アナタね、あんまりムチャしないでヨ……ちょっとビックリしたワヨ》
 「ごめんごめん。お詫びに湖で魚取れたら焼いてやるからさ」
 《……まぁいいワ》


 よし。これで機嫌は取れたな




 さーて、さっさとルーチェミーアに会いに行くか




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 俺達は湖が見渡せる広場みたいな所に来た
 ここでクロにルーチェミーアを呼び出して貰うのだ
 

 《ルーチェミーア、来たわヨ》


 クロが念話で会話してる
 そのまま暫く話していると、クロは終わったのか俺の方を見て言う


 《ルーチェミーアはアナタに興味があるみたいヨ。すぐに来るワ》


 と、クロが言った直後に湖の青い紋章が輝き、その中のから誰かが現れた


 「こ、これは……!?」






 そこにいたのは人魚………だよな?








 まず目につくのはその下半身。透き通るようなクリアブルーの魚の足でヒレがついている
 上半身は人間で、こちらは人形のような綺麗な白い肌、胸には青い海藻のような物が巻き付けてある
 そして顔は物凄く整っていて目は薄い青……スカイブルー
 髪型は蒼いウェーブが掛かったロングヘアで、貝殻の髪飾りを着けている
 さらに体には薄いヴェール、いや羽衣を着けていてまるで天女みたいな雰囲気だ
 周囲には水の玉みたいなのが浮いていて、それで体を浮かせている






 そんな5歳くらいの幼女だった……ちっさ




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 こ、この子がルーチェミーア?


 なんかもっとこう……魚みたいなのをイメージしてた
 するとルーチェミーアが俺に近づき、周りをぐるぐる飛び初めクロに抱きついた


 《クロシェットブルム久しぶりーっ!! あ~もふもふ~気持ちいい~……えへへ~》
 《にゃっ!? ル、ルーチェミーア……もう、いきなり抱きつくなっていつも言ってるでショ?》
 《だってクロシェットブルムは気持ちいいんだもん。わたしだけじゃなくてティルミファエルも抱っこしてたよ?》
 《ハァ、アナタとティルミファエルはよくワタシの抱っこでケンカしてたワネ……それよりも》
 《うん。この人がヴォルの力を持ってる人なんだね……こほん、こんにちは!!》
 「は、はいこんにちは。えと、俺はジュートです」
 《ジュートね!! えへへ、わたしは【青】を司る【九創世獣ナインス・ビスト】のルーチェミーア・アロロツェーレです。よろしくね!!》


 ルーチェミーアは俺にピースして挨拶してきた
 この子も伝説の神獣なんだよな……全然見えないけど


 《それで要件は伝えた通りヨ。力を貸して》
 《いいよ、おもしろそうだし。ここで遊ぶのも飽きてきたし……それにジュートはなんだかヴォルと同じ匂いがする。一緒にいると楽しそう!!》


 ルーチェミーアは嬉しそうに俺の周りをぐるぐる飛び初める
 なんかかわいいな……すると


 《あ、そうだ。ねぇねぇわたしにも愛称で呼んでよ》


 あぁそうか。クロやアグニだけじゃ不公平だしな
 そうだな、ルーチェミーア・アロロツェーレか……よし


 「よし。じゃあお前は今日からルーチェだ。よろしくなルーチェ」
 《ルーチェ……ルーチェかぁ。えへへ、ヴォルはわたしの事ミーアって呼んでたけどルーチェもいいね》


 そんなこんなで和んでいると俺の隣で赤い紋章が輝きアグニが現れた
 そしてにっこり笑ってルーチェを見て挨拶をした




 《ようルーチェミー《いやぁぁぁぁぁぁぁっ!?》
 《お、おい《やだやだやだぁぁぁっ!! なんでアグニードラがいるのおおぉぉっ!?》
 《な、なぁ話を《食べられるぅぅっ!! 丸焼きにされるぅぅっ!!》


  大パニックだった
 ルーチェがアグニを見たとたんに悲鳴を上げ、辺りをぐるぐる飛び回り俺の後ろに隠れてしまった


 《…………》
 

 アグニは一筋の涙をこぼしその場から消えていった・なんかかわいそう


 「な、なぁルーチェ。アグニの事嫌いなのか?」
 《嫌いっていうか怖い。だって前に酔っ払ってくしゃみしてわたしの事丸焼きにして食べようとした》
 《ねぇルーチェミーア。アグニードラも悪気があった訳じゃナイの、アイツもずっとアナタに謝りたいって言ってたから許してあげて……ネ?》
 《……うん。わかった》
 《ありがと、ルーチェミーア》
 「まぁアグニはお前を食べるようなヤツじゃないよ。食べるより酒飲んでる方が好きなヤツだからな」
 《たしかにネ。ふふ》
 「じゃあアグニを呼ぶからな」
 

 そう言って俺は心中でアグニを呼び出す
 ルーチェはまだ怯えていたが、なんとか大丈夫っぽかった


 《ルーチェミーアすまねぇ。本当に悪かった!!》
 《わたしの事、食べたりしない?》
 《もちろんだ。【創造神】に誓って食わねェ!!》
 《……わかった。許してあげる》


 何とか仲直りできたみたいだ
 よかった、と思っていたらクロが今後の事を話始める


 《サテ。これからの事だけど次は〔魔術都市ウィルエンデ〕で補給をしてカラ【黄の大陸ポアロイエロー】に向かって、そこで【黄】を司る九創世獣ナインス・ビスト】・【トレパモール・イェンシュー】に力を貸して貰いまショ》
 《トレパモールのヤツかよ。オレは未だにアイツの事はよくわからん》
 《そーかな? トレパモールってかわいいと思うけど》


 アグニとルーチェの意見は違うようだ
 こりゃ会ってみないとわからないパターンだな
 すると、ルーチェが思い出したかのように言う


 《あ、そーだ。ねぇねぇジュート、この湖の底に人魚の町があるの。人魚は魔術の達人だからジュートに魔術を教えてくれるかも》
 「そうなのか? でも水の中じゃ呼吸できないし…人間の俺が行ったらパニックになるだろ?」
 《わたしと一緒なら大丈夫だよ。みんな好い人ばっかりだし、空気があるところだから問題ないし。移動はわたしに任せて、じゃ行くよー!!》
 「え、ちょ……ま、待って!!」


 俺の答えを待たずにルーチェは指先から青い光を出す
 俺の足元に紋章が光りそのまま俺を包んで行った




 こうして俺達は新しい仲間、【青】を司る【九創世獣ナインス・ビスト】、ルーチェミーア・アロロツェーレことルーチェを仲間にして、人魚の町へ向かったのだった





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