ホントウの勇者

さとう

閑話 轄俥盛輪・【乗神アウスシュタイゲン】



 轄俥盛輪かつぐるまじょうりん


 彼は今、同級生を2人を魔導車に乗せて【青の大陸】を走っている


 魔導車と言っても只の魔導車ではない
 その見た目は、従来の魔導車とは大きく異なるデザインで強いて言うなら装甲車に近い


 まずその大きさは大きさは全長6メートル、横幅3メートル、車高は2.5メートルほどでかなり大きい。タイヤの数は前輪4つ、後輪4つの計8つでボディカラーはメタリックグリーン


 なによりこの魔導車には武装が積んであるまず最上部には戦車砲が2門、左右の装甲には機関銃、さらにロケット砲のような物も搭載されている。もちろんまだ隠された機能もある


 もちろん、こんな物をこの【青の大陸】の技術で作れるはずがない


 これこそが轄俥盛輪かつぐるまじょうりんの中に宿る神
 【乗神アウスシュタイゲン】の神器ジンギ・『装甲走行操行ヴォワチュール・アウトヒューラー』である


 彼の力の真骨頂はその移動力にあり、本気のスピードを出せばこの青の大陸を1日で回ることが可能な高速の【神器ジンギ】である
 事実彼は〔神の器〕40人の中で、最速の男でもある


 そんな彼は今、二人の同級生に挟まれていた


 「いいからさっさと無月を殺しに行くっつってんだろ、盾守がやられてんだぞ‼」
 「ばーか。無月は【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】の盾守をやっつけてんだよ? 真正面から行って勝てるわけないじゃん······アタマつかいなよ」
 「ンだとコラ···オレじゃ勝てねぇってのか⁉」
 「さぁ、試してみれば?」
 「上等じゃねーか‼ おい轄俥ぁ、オレをここで降ろせ‼」


 さすがにこのまま降ろすわけにはいかない
 ここで説得しなければ彼は本当に降りるだろう
 彼は思う·····何故自分がこんな目に、と


 「ダ、ダメだよ錐藤きりどうくん。無月は先発隊の3人も一人で倒してるし、盾守君だって撤退まで追い込まれてるんだよ。いくら何でも一人じゃムリだよ」
 「うるせぇ‼ さっさと降ろせやぁっ‼」
 「ちょっ、危ないって⁉ ああああっ⁉」
 「あーあ、行っちゃった」


 そのまま錐藤きりどうは走って行ってしまった
 追いかけようと思いハンドルに力を込めたとき、隣にいた小柄な女子の円筒薙魅えんとうなげみが声を掛けてくる


 「やらせておけば? 無月はどうやらアタシ達を殺すつもりはないみたいだし、【神器ジンギ】を破壊されるくらいなら大丈夫でしょ」
 「【神器ジンギ】を破壊って、【神器ジンギ】を破壊されたら力をしばらく使えなくなっちゃうんだよ⁉ 先発隊の2人は【神器ジンギ】を破壊されて魔術しか使えない状態で」
 「わーかってるよー。だから錐藤きりどうと無月が闘ってるときを狙うんだよ。アタシの【神器ジンギ】ならそれが出来る」


 たしかに彼女の力ならそれが出来るだろう
 2人が闘っている所を狙い、無月銃斗を仕留めることが必ず出来る
 そのために彼を囮にする。悪くない作戦かもしれない


 「無月は今【青の大陸】のどっかにはいるはず。アンタの【神器ジンギ】の力なら簡単に見つけられるでしょ?」
 「······たぶんね」
 「アタシ達で無月を見つけて錐藤きりどうをけしかける。そしてアタシの【神器ジンギ】で始末する······なかなかのチームワークじゃない?」
 「錐藤きりどうくんの役割が大変だけどね。でもやるしかないか」


 真正面からぶつかっては勝てないかもしれない。
 しかしこのやり方なら可能性はある
 というか成功させてみせる。と彼は思う


 「そうね。第2陣のアタシ達でなんとか仕留めましょ。それにしても【神の箱庭サンクチュアリ】からみんなはまだ出てこないの?」
 「【神器ジンギ】が覚醒しても使いこなせなきゃね。第1陣はそれで負けたような物だし、さらに練度を上げるために【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】以外のみんなは鍛錬してるんだよ」
 「【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】か、あの13人には勝てる気しないわ」
 「そうだね、次元が違うよ······」


 【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】はみんな強い
 今必死に【神の箱庭サンクチュアリ】で鍛錬してるのは、【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】の強さにみんなが追いつくためだ
 肩を並べ【時の大陸クローノス】を滅ぼそうとする8大陸と闘うために


 轄俥盛輪かつぐるまじょうりんは思う。そのためには無月銃斗を始末しなければいけないと




 決意を新たにして、彼はハンドルを握る手に力を込めた





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