ホントウの勇者

さとう

水中迷宮都市ラビュリント②/自己紹介・4人の決意



 俺とクロと冒険者4人は地上に戻ってきた


 俺が潜ってから4時間ぐらい
 ちょうどお昼時だ。せっかくだしご飯に誘ってみるか


 「なぁみんな、せっかくだし一緒にご飯食べないか?」


 と、言うと剣士少年がうれしそうに言う


 「は、はい。是非ご一緒させてください!!」
 「お、おう。声でかいねキミ……じゃあ行こうか」


 他の3人もついてくる
 俺は魔術師少女にクロを渡してみた


 「あ、あの……?」
 《………》


 何だろう、この光景見たことあるぞ
 どこでだっけ……?


 魔術師少女は不思議そうにしているが、俺は曖昧に笑いクロをそのまま抱っこさせた
 魔術師少女もまんざらでは無いのか、抱っこしながら頭を撫でたりモフモフしてる


 そのまましばらく歩くと1件の定食屋を見つけて入る。店の中は意外と空いてる
 そのまま6人掛けの席に座りメニューを見る、俺はここで年上の威厳を見せた


 「俺が払うから、好きなの沢山頼んでいいぞ」


 と、俺は笑顔で言う
 剣士弓士少年ズは喜んで焼き肉定食大盛りを頼んでいたが、拳闘士魔術師少女ズは遠慮したのかパスタとサラダしか頼まなかった。まぁ女の子だしな
 俺はおすすめの魚定食。ちなみにクロは外で待っていてもらった。あとで焼き魚買ってあげよう


 料理が来るまでの間自己紹介をするか。挨拶は基本だよね


 「改めて俺はジュート。一応冒険者だ、あっちのネコはクロだ」


 俺が言うと4人は背筋を伸ばしそれぞれ自己紹介をする


 「オレは剣士のフリックです。冒険者でランクはFです。よろしくお願いします」
 「私は拳闘士のミコトです。冒険者ランクはFです。よろしくお願いします」 
 「僕は弓士のグリューです。冒険者ランクはFです。よろしくお願いします」
 「わたしは魔術師のミレアです。冒険者ランクはFです。よろしくお願いします」


 う、うーん。名前以外みんな同じ喋りだ
 緊張してんのか、それよりも冒険者ランクみんなFか。始めたばっかなのかな?


 「俺たち冒険者ランクになってまだ1月なんです。ここのダンジョンで強くなろうと思って」


 と、フリックが言う
 おお、やっと料理が運ばれてきたな




 「とりあえずご飯にしよう。せっかくだしみんなの話を聞かせてくれよ」




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 それから俺はみんなのことや、個人個人の話を聞いたりして楽しく食事をした


 4人は全員〔魔術都市ウィルエンデ〕の出身で幼なじみ、1月前に全員で冒険者ギルドに登録してパーティーを組んだらしい


 まず剣士のフリックは、魔術の才能はなく元々剣士に憧れていたので、我流で剣を勉強したらしい
 町の外にいる〔ブルースライム〕や〔ブルーマンドラン〕なんかを相手に狩りして10歳から15歳までの5年間、剣の修行をして冒険者になった
 装備は皮装備の一式で右手に鉄の剣、左手にはシールドを装備している
 髪型は茶髪で短めのツンツンヘアー、顔立ちは目元がぱっちりした元気なワンパク小僧って感じだ


 拳闘士のミコトも魔術の才能はなく、父母が共に武術家だったので武術を習ったらしい
 小さい頃からずっと続けていてこのパーティーの中では一番強いらしく、小さい頃から何度もフリックを武術に誘ったそうだ
 しかしフリックは剣士を目指していたので一緒に学べなかった事を少し残念に思ってるらしい
 もしかしてミコトはフリックのこと……
 ミコトの装備は皮の胸当てとグラブとレガースの武術家装備、髪型は黒髪の短いポニーテールで顔立ちもカワイイ元気娘って感じだ


 グリューは【赤の大陸】出身の狩人で、5歳の時にこちらに移住してきたらしい
 父親が狩人で5歳の頃から弓を使っていて、100メートル以内なら百発百中の腕前とのこと
 【赤の大陸】に妹と結婚を約束した恋人がいるからいずれは【赤の大陸】にもどり、あちらでも狩人をするためにこちらで修行の真っ最中だそうだ
 装備は皮の胸当てと弓、弓は木を加工して作ったような弓だ
 髪型は緑髪のストレートヘアで後ろで束ねていて、顔つきは目が切れ長でおとなしめの顔つきだ


 ミレアは【緑】の初級魔術師で〔ウィルエンデ魔術学院〕の生徒
 13歳の時に入学して2年間勉強し、15歳になると3年間の留学が許されるために幼なじみ3人に誘われて冒険者になったとのこと
 本来なら魔術ギルドに所属するのが普通だが、姉の影響を受けて冒険者になるつもりでいたので、仲良し3人と冒険者をやれてうれしいらしい
 装備は青のワンピースに青のローブ、黒いブーツを履き、頭には青の魔女っぽい帽子をかぶってる
 髪型は黒のセミショート、顔立ちは妹っぽいかわいい系
 何だこの既視感は?……どっかで見たような?


 「な、なぁ。ミレアのお姉さんってどんな人?」
 「お姉ちゃんですか? 名前はクレアです。【赤の大陸】で冒険者になって、3年間でBランクまで上がったんですよ。それにもう少ししたら帰ってくるんです……ふふ、楽しみです」


 ク、クレアの妹だと……世の中狭いぜ
 まさか姉に続いて妹まで助けることになるとは、これも運命かな
 まぁ聞かれない限りは言わなくていいか




 さて、これからのこと聞いてみるか




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 「みんなはこれからどうするんだ? またダンジョンに戻るのか?」


 と、質問すると全員の表情が暗くなる
 まあそうだよな。さっきまで手足ちぎれて腸が飛び出しておしっこ漏らしてたもんな
 すると頭の中から声が聞こえる


 《おいジュート、いい機会だ……コイツらを鍛えてやれ》


 え、なんで?


 《人にモノを教えることでお前も成長できる。最近まともな修行してなかったからな、お前も原点に帰って基本からコイツらに教えてやれ。そうすればお前の為にもなるしコイツらの為にもなる。せめてダンジョンの50階くらいまでは行けるくらいに鍛えてやれ》


 なるほどな。確かに最近なまってる気がする
 移動は【流星黒天ミーティア・フィンスター】で最近全然走ってないし、モンスターの戦闘もおざなりだ
 よし、やるか……っていうかみんなに確認取ってみないとな


 「なぁみんな、よかったら俺が鍛えてやろうか?」


  と、言うとみんながぱっと俺を見る


 「Aランク冒険者が俺たちを鍛えてくれる?……お、お願いします。俺、強くなりたいです!!」
 「わ、私もお願いします!!」
 「僕も是非お願いします。強くなりたいです」
 「私の魔術も、せめて中級魔術を使えるくらいには強くなりたいです」


 よしよし、お兄さんに任せなさい……やったこと無いけど
 まぁクロもアグニもいるし大丈夫だろ


 「わかった。やるからには厳しく行くからな」


 「「「「よろしくお願いします、師匠!!」」」」




 こうして、俺に4人の弟子が出来たのである




 師匠か……いいね


 
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 さて、時間は流れ翌日の朝


 俺と4人組は集まり今は町の外に出ていた
 ここは町からけっこう離れた所で近くに水場や洞穴があり、キャンプなんかも出来そうだ
 人を鍛えるなんてやったこと無いけどまずは基礎能力だよな
 と言うわけでまずみんながどれくらいの力を持っているか確かめてみることにした


 俺はまずフリックに全力で俺と闘ってもらうようにした。俺もアグニと本気で闘ったし
 もちろん殺すつもりでこいと言って闘う


 「じゃあフリック、かかってきな」
 「ハイ!! 行きます!!」


 結果はまぁ、ぶっ倒れたけどね
 見た感じ体力はなかなかある。けど剣の型がめちゃくちゃ、大ぶりで振り回してるし隙も大きい
 これでは素早いモンスターなんかには対応できない。まずは型を強制して全体的に筋力を付けてもらい、そして実戦で戦いまくって強くなってもらう
 実戦での経験はバカに出来ないからね、修行内容は俺がアグニとやったトレーニングの劣化版ってところだ。ナイフ投擲はやんないけどね


 「じゃ、次はミコト」
 「ハイッ!!」


 ミコトは格闘重視なので俺も素手で闘った
 いやー強かった、俺は正直やられると思った……勝ったけど
 確かに強いしなかなか速い。けど、決め技に欠ける……なのでミコトには近接での牽制担当で闘ってもらうことにする。素早い動きで翻弄して相手の隙を作る役目だ
 なので、足腰と動体視力を鍛えてもらう。修行内容は重りを付けた走り込みや、手加減した俺との超接近戦、ミコトはよけるだけで攻撃はなし
 とにかくよけまくって動体視力を鍛えてもらう


 「テンポ良く行くぞ、グリュー」
 「参ります」


 グリューの弓は100メートル以内なら外さないってのはホントだった
 これは悩んだがとにかく的に当てる練習と近接戦闘の訓練。アリンもナイフで闘っていたしな
 さらにグリューは【赤】の属性だったので魔術の訓練もしてもらう。この辺りは俺が頭の中でクロの教えて貰い、それを伝える
 そうすれば俺も勉強になるし、グリューの弓で矢が無くなった時の奥の手にもなるからな


 「よーし、ミレア」
 「お、お願いします」


 ミレアは魔術師
 今は初級魔術師なので魔術を沢山使ってもらい魔力の枯渇を狙って魔力総量を上げる
 そして中級魔術師になって貰いあとはひたすらモンスターと戦って度胸を付ける
 仲間のピンチでもあきらめずに戦える強さを手に入れてもらう


 そして個人の能力が上がってきたら次は連携だ
 幸い俺はAランク冒険者なので高ランクの依頼も受けられる
 そして強いモンスター討伐の依頼を受けまくって戦いまくる
 と、こんな感じの訓練だ。期間は1ヶ月……俺もここに留まって訓練しよう


 「てな感じかな、質問ある?」


 「「「「………」」」」


 「ないね。じゃ早速始めようか」


 「「「「………」」」」


 「返事はどうした? 強くなるんだろ?」


 「「「「は……はい」」」」




 こうして、ルーキー4人の特訓が始まったのだった




 

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