ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE②/【銃神ヴォルフガング】VS【盾神シュタルマルドゥーク】/決着・焱龍神化

 
 《アグニードラ、どうしたノ?》
 《なぁクロシェットブルムよぉ……ジュートは勝てると思うか?》
 《……わからナイワ。まだ力に目覚めたばかりのジュートと、【神の箱庭サンクチュアリ】で力を磨き続けた〔神の器〕……分がワルイのは間違いないワネ》
 《なぁクロシェットブルムよぉ……オレは、いや…オレ達は、あの時ヴォルと一緒に戦ってたら、あいつを死なせることなかったんじゃねーかって……今でも思う》
 《………ソウかもね。でも、過去は変えられないワヨ》
 《そうだな。けどよ……ヴォルの力を受け継いだジュートがいるぜ。オレはここにヴォルの意志を感じる……最初は興味本位での同行だったけど、いまはヴォルがついてこいよって言ってるような気がするんだ》
 《アグニードラ……アナタ》
 《オレは決めたぜクロシェットブルム。あいつがこの世界とクラスメイトを守ろうってんなら、オレはジュートを守るぜ》
 《アグニードラ……》




 《オレ達【九創世獣ナインス・ビスト】が生まれたのはきっと……ジュートと一緒に戦うためだ。クロシェットブルム、オレはいくぜ!!》




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 俺は盾守に銃口を向けている
 そして盾守は、自信たっぷりに俺を指さした


 「撃ってみろ、その豆鉄砲をな」
 「豆鉄砲だぁ……?」


 こっちは死ぬ思いで【神器ジンギ】を覚醒させたんだぞ……それを豆鉄砲だと
 俺はカチンときた……すると頭の中でアグニが言う


 《馬鹿野郎冷静になれ、相手の挑発に乗るんじゃねえよ。いいか、頭を冷やせ……コイツはかなり強えぇ、はったりじゃねーぞ》


 わかってるけど……【銃神ヴォルフガング】を馬鹿にされてなんとも思わねーのかよ


 《ふざけんな、ヴォルは最強の神だ!! それをバカにすんのは許さねーぞ!!》


 当然だろーが。いくぞ……後悔すんなよ




 俺は銀弾を容赦なく盾守に向けて発砲する
 狙いは全身……しかし


 「な、なにぃッ!?」
 「だから言ったろう? 効かんとな」


 銀弾は全て弾かれる
 ギンギンと金属音が響くが、盾守の鎧には傷1つ付いてない


 「だっ、だったら!!」


 俺は弾丸をチェンジ
 銀色のレーザー光線を盾守に向けて放つ……が


 「ま、マジかよ……ッ!?」
 「ムダだといっただろうが」


 レーザーも弾かれる
 まるで鏡に映る光のように反射して弾かれた


 まさか銀弾も光弾も弾かれるなんて
 残された技は【銃神砲撃ヴォルフガング・ブラスター】のみ
 しかしあれは使いどころが難しい……どうする


 「お前の力は銃だけだな……つまらん。何故エルレイン様はこの程度のヤツを恐れているんだ?」


 そんなん知るか
 だったら……魔術を使って攻撃してやる


 「【青】の上級魔術・【泡沫洪水フルート・シャオム】!!」


 盾守の真下に青い紋章が光り水泡があふれ出し爆発を起こす
 しかし全くのノーダメージ


 「【青】の上級魔術・【爆発水球スプレッド・ボンバー】!!」


 盾守を巨大な水球が包んで大爆発を起こす
 しかし傷ひとつ付いてない


 「【緑】の上級魔術・【翆玉斬刃エメラルド・ストライサー】!!」


 エメラルドに輝く刃が盾守の鎧を刻んでいく……が、鎧は全くのノーダメージ


 「【赤】の上級魔術・【爆炎爆破エクスプロード・ブレイズ】!!」


 炎の弾が盾守を直撃し大爆発を起こし周囲を燃やす
 しかし鎧は傷ひとつ付かず周囲が燃えている
 盾守はつまらなそうに火を消化した……あれ?


 「【黄】の上級魔術・【超岩石槍ギガ・ロックランス】!!」


 大地に黄も紋章が輝き盾守の真下を巨大な岩が突き上げる
 盾守は真上に持ち上がるが特に問題はなさそうだ




 俺の魔術はまだまだ続く




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 「もういいか?」


 盾守は全くの無傷
 あれから何十発も魔術を放ったが全くのノーダメージ
 盾守が全ての攻撃を受けたのは俺の心をへし折るため……畜生
 ならやってやるよ……でも、なんだこの違和感。何かを見落としたような


 「まだあるのか?……それで最後にしろ。もうお前には俺を倒すことは出来ない、ひと思いに終わらせてやる」
 「じゃあ……俺の切り札を見せてやる!!」


 俺は左のマガジンホルスターから〔決戦技弾フィニッシュアーツ・ストレージ〕を取り出し『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』に装填してスライドを引く
 濡羽色の紋章が銃口に集まり、最強の一撃が放たれる






 「終わりだ盾守!! 【銃神砲撃ヴォルフガング・ブラスター】!!」


 「な、何だとォォォォォッ!?」






 濡羽色の光線が盾守を飲み込んでいく……




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 「ハァ、ハァ……終わった、のか?」


 強かった……あんなに固いヤツがいるなんて
 【盾神シュタルマルドゥーク】だっけ、ホントにアイツそのものだったな
 っていうかやべぇ!? 盾守、死んでないだろうな!?


 「ハァ……っくそ、おーい!! たても……」










 「呼んだか?」










 「え?」




 突然、俺の全身に衝撃が走った




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 「何が起きた……盾守、なんで……倒したんじゃ……?」


 俺は盾守の盾そのもので殴られ地面を何度も転がった
 【果たされし友情の約束リアライズ・プロメッサ・アミティーエ】の防御を簡単に突破され、少なくないダメージを負ってしまった




 「驚いたぞ。まさかここまでやるとはな……まさか俺の盾に傷を付けるとは」




 盾守の体をよく見るとたしかに右腕の盾の一部分にわずかな亀裂が入っている
 しかしその部分だけで他は全くノーダメージだった
 俺の切り札がまさか効かないなんて……ウソだろ




 「お前の強さに敬意を表して俺の最高の技で葬ってやろう」




 盾守はその場でジャンプすると体を丸める
 すると鎧が変形してスパイクのついた球体に変化
 それは恐ろしい速度で回転を始め、地面をえぐりながら俺の方へ向かってきた




 「『棘球回弾ソーンヴェンガー』!!!!!」




 やべぇ、あんなの喰らったらミンチになる


 俺は痛む体を引きずり逃げるが盾守は執拗に俺を追う
 何度か銀弾や光弾を撃ったりしたが全く効かず、次第に俺は追い詰められていった。


 「ちくしょう、ちくしょう……どうすれば!!」
 「お前はよくやった。あきらめて楽になれ!!」


 盾守は俺を踏みつぶし、バラバラにしたかに思えた
 轟音が響き地面が大きく揺れる
 そして、何かがいた


 「む……?」
 「え、な……なんで?」


 轟音の正体は何かが盾守を蹴り飛ばした音
 そこにいたのは一匹の赤いトカゲ……ではなく


 アグニードラ・インフェルノ




 【赤】を司る【九創世獣ナインス・ビスト】だった




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 「ア、アグニ!? 危ねーぞ下がってろ!!」
 《ヒヨッコが俺に指図とはずいぶんえらくなったじゃねぇか。あぁん!!》


 いやマジで何なの?
 ホラ、盾守もぽかんとしてるじゃん


 《オレは以前言ったよな、ヴォルは俺たち【九創世獣ナインス・ビスト】と契約したのはいいが一度もその力を使わなかったてな》
 「あ、ああ……それがどうした?」
 《お前はヴォルじゃねえ。いくらお前がヴォルの力を使おうと、お前一人じゃこの世界は救えねぇ……クラスメイトも守れねぇ》
 「…………」
 《でも一人じゃなきゃ出来る。俺たち【九創世獣ナインス・ビスト】とヴォルの力を合わせればどんな奴にも負けねぇ》
 「アグニ、お前……」
 《ヴォルは俺たちを愛してた。守るべき家族だって言って……でも、俺たちだってヴォルを守りたかった。だから……!!》
 《オレはもう後悔したくねぇ。ジュート、オレと一緒に闘ってくれ!! 今度こそヴォルと一緒に、ヴォルの力を持ったお前を守るために》


 アグニはずっと後悔してたんだ
 【銃神ヴォルフガング】と一緒に闘えなかったことを
 守られるより守りたい、一緒に闘いたかったんだ


 確かに俺は【銃神ヴォルフガング】じゃない、その力を持つ只の人間だ
 だから……弱い人間だから一緒に闘ってほしいって思う


 「いこうぜアグニ……一緒に闘ってくれ!!」
 《おうよ!! このアグニードラ・インフェルノの力……見せてやるぜ!!》


 すると俺の左のマガジンホルスターが光り輝きひとつの赤いマガジンが宙に浮く
 そうか……わかった。マガジンからこれがどういう物か伝わってくる


 《よっしゃいくぜ!!》


 アグニがマガジンの中に吸収される
 俺はそのマガジンを『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』に装填し引き金を引く




 「【九創世獣ナインス・ビスト魂融ソウルエンゲージ】!!」




 【果たされし友情の約束リアライズ・プロメッサ・アミティーエ】の色が変わる
 漆黒から黒を基調とした赤に変化、仮面のと右手の籠手のデザインも変わり銀眼が赤眼に変わる




 「【焱龍神化ソウルオブアグニードラ】!!」




  いまここに【銃神ヴォルフガング】が使うことの無かった力が蘇る 




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 「……終わったか?」


 あ、はい。待ってて貰ってすみません
 やっぱりこういうのってお約束だよね


 これが本来の【九創世獣ナインス・ビスト】の力
 【銃神】が使わなかった、アグニの力
 すげぇ、特撮のフォームチェンジそのまんまじゃん


 「待たせて悪かった。いくぜ盾守!!」
 「姿が変わろうと無駄なことだ!!」


 おいそれ死亡フラグだぞ……そんなセリフ吐くなよ
 すると盾守は顔をしかめて言う


 「ちっ、今の俺ではあの技は一度しか使えん。まぁ貴様を殺すのにあんな大技はもう必要ないがな」


 アグニのタイミングはバッチリだったわけだ
 じゃあ俺もここで決めますか……!!


 俺は『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』をホルスターにしまい、別の武器を赤い紋章から取り出す




 「【焔炎放射機インフェルノ・スロアー】!!」




  俺が取り出したのは───火炎放射機


 その形状はまず背中にタンクのような酸素ボンベみたいなものが現れ、そのボンベからチューブが伸びている
 そして放射口の大きさは1メートルくらいで長く、装飾もゴテゴテしていた
 放射口の一番後ろには『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』をセットできる構造でそのまま引き金になる
 俺は『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』をセットして放射口を盾守に向けて言う


 俺はずっと違和感を感じていた
 魔術を乱れ撃ちしてた時に感じた小さな違和感……確かめてみるか


 「なあ盾守、お前は確かに硬い。俺の全力の攻撃でも歯が立たねーよ、でもさ……なんであの時炎を消化したんだ? まるで無敵のお前の体は炎に弱いって言ってるようなもんだぜ」


 そう、こいつは何故か俺の魔術の炎を……こいつが直接燃えた訳じゃないのにわざわざ消化した
 試してみる価値はある


 「ん?……おい盾守」


 わかりやすいヤツだなコイツは
 盾守の顔は、わかりやすいくらい蒼くなっていた




 「図星かよっ!?」




 火炎放射機が、文字通り火を吹いた
 



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 紅蓮の炎が盾守を包み込む


 「ぐおァァぁぁぁぁぁっ!?」
 「その鎧が壊せねぇんなら溶かすまでだっ!!」


 盾守は体を丸めて耐えているが次第に【神器ジンギ】が溶け始めてきた
 いける、もう少しだ


 「ぐがあァァアッ!!」
 「なっ!?」


 盾守は燃えながら突っ込んでくる
 俺は炎を止め横に転がり盾守の突進をかわした


 「盾守、もうやめろ!!」
 「敵の心配か? 相変わらずお前はやさしいな、無月……」
 「え、盾守……お前!?」


 俺は見た……盾守はやさしく笑っていた
 学校で見るたまにしか見ない笑顔、俺や剣吾もそんなに見たことがない盾守の本当の笑顔
 すると盾守は頭をおさえて苦しみ出す


 「う、ぐぅううっ……無月、今日はここまでだ。決着は次につけようっ……くそっ、薬を!!」
 「盾守、おい盾守ぃっ!!」




 盾守は異空間の門を開けて、そのまま消えていった


 

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 俺は神化を解き盾守が消えていった場所を眺めていた


 盾守は最後のあの時はいつもの盾守だった
 最後、頭を押さえて苦しみだしたのは土丸と同じ……やっぱり何かある


 俺がいろいろ考えているとアグニの声が聞こえてきた


 《おうどうだった俺の力は!! これでわかっただろ、俺達【九創世獣ナインス・ビスト】の力がお前には必要なはずだ》
 「ああ、やっぱりアグニはすげーな」


 【九創世獣ナインス・ビスト】の真の力
 【銃神ヴォルフガング】の力に上乗せして変身する属性攻撃か


 《ま、他の連中を仲間にして力を使いこなせばお前は最強だ。頑張れよ!!》
 「ああ、もっと力を使いこなして強くなる……!!」
 《そーだな。よーし今夜は祝杯だ!! なぁクロシェットブルム……ちょっとぐらいいいだろ?》
 《………今回だけヨ》


 クロさんはたまに優しいです




 俺達は再び【青の大陸】に向けて走り出した











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