ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE①/【銃神ヴォルフガング】VS【盾神シュタルマルドゥーク】/英雄十三傑・盾の力

 
 俺とクロは【流星黒天ミーティア・フィンスター】で国境への街道をひたすら走る
 途中でクロが酔って歩いたりもしたけれど国境まであと1日ぐらいの距離まで来た


 「今日はここまでにしよう」
 《……そうネ》


 俺とクロは〔セーフルーム〕に入るとソファーに座り込む
 疲れた……それにしてもこの部屋も充実してきたなぁ


 この部屋にあるのは、ソファー・テーブル・コンロ・魔導冷蔵庫など生活に必要な物はそろってる
 町に着いたらいろいろ見て買い足そう


 俺の部屋にはベッド・テーブル・ソファー・魔導スタンドが置いてある
 この部屋の電気は部屋全体が発光してるような光なので魔力を流すと真っ暗になる仕組みだ
 いずれは風呂や蛇口を設置したい。クロに相談しよう


 ちなみにこの世界に風呂はあまり浸透していない
 なぜなら生活魔術で体の汚れを綺麗に出来るから、だから温泉なんかは娯楽のひとつとして体を洗う為の施設などではないそうだ


 でも日本人として風呂はやっぱり欲しい。まぁおいおい考えていこう


 この空間には現在アグニとクロがいる
 クロはソファーで香箱座り、アグニは部屋の隅で酒盛りだ
 ちなみにアグニの酒はクロが管理している。アグニは魔術があまり得意では無いのでクロが酒を管理してる特別な亜空間にはアクセス出来ないのだ。するとアグニが言う


 《なぁークロシェットブルムよぉ、そろそろ樽出してくれや》
 《約束は週に一本ヨ。あと2日あるワ……我慢なさイ》
 《あ、あと2日だぁ!? なあなあ頼むぜクシェットブルムよお~》
 《ダメ》


 アグニにはとことん厳しいクロさんでした
 俺も腹減ったな。よし


 《アラ、どうしたノ?》
 「ん? ああ腹減ったからメシ作るんだよ」


 俺はそう言ってメシの準備をする
 今日はとりあえず米を炊いて……よし、肉野菜炒めでも作るとするか


 俺は野菜を刻み、この世界の豚肉を切り、とりあえずご飯が炊きあがるまで冷蔵庫へ
 ご飯が炊きあがったのでここから一気に肉と野菜を炒め、塩こしょうで味付け


 「よーし。クロ、アグニ出来たぞー」
 《待ってました。へへっいい匂いだぜ~、あーん》
 《アグニードラ、意地汚いワヨ》


 そんなこんなで食事は進む




 今日も一日平和でした




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 平和というのは突然崩れ去る
 誰かがそんなことを行っていた


 国境の門まであと数キロまで来た
 今いるのは〔ゴロ平原〕という見渡す限り何も無い平原
 俺たちは順調に進んでいた。しかし【流星黒天ミーティア・フィンスター】を止めざるを得ない事態が発生していた


 俺たちの視界に立ちふさがるように誰かがいる──────────


 白い装飾された騎士服を纏い、腰に剣を差してマントを着けている
 マントにはⅩ……10の刺繍がしてあった


 俺はその顔を知っている
 仁王立ちで腕を組み、目を伏せている武人のような男
 身長190センチ・体重95キロの筋肉質の巨漢




 盾守堅硬たてもりけんこうがそこにいた




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 「盾守、久しぶりだな」
 「………無月、貴様何故生きている?」
 「いきなりだな。それに高校生が貴様って……・時代小説の読み過ぎだぞ」
 「…………」
 「お、怒るなよ。冗談だよ……」
 「貴様が生きてると知らせが入ったのが3日前、達俣達が神器を破壊され戻って来たときだ。貴様が生きてるとの報告聞いて潜行していた【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】全てに貴様の抹殺任務が入った」
 「【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】……何だそれ?」
 「俺たち〔神の器〕の40人から選ばれたもっとも強い13人だ。俺は10番目だがな」
 「そうなのか……じゃあ剣吾や静寂さん、弓島さんも?」
 「ああ。その3人は俺より強いぞ」
 「………そっか」
 「貴様にはここで死んでもらうが……構わないな?」
 「…………悪いな、俺はここで死ぬわけにはいかないんだ。この世界を守るため、クラスメイトとまた笑うため……お前と闘ってでもお前を守る」
 「ハハハッ!! そうか、守るか……この世界の真実を知らぬお前に救われるほど俺たちは弱くないぞ?」
 「その真実が間違ってんだよ、いい加減気づけバカ」
 「うるさい……いくぞ!!」




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 盾守は【神器ジンギ】を使うのかと思ったら腰の剣を抜く、だいたい1メートル位の長さの剣だ
 俺も【雄大なる死グロリアス・デッド】と【死の輝きシャイニング・デッド】を抜き構える
 お互いの距離は約10メートル……そういえばコイツ剣道部だっけ


 盾守が突進し右手の剣を横に振りかぶる……横薙ぎの一撃


 「おぉぉッ!!」
 「うおぉッ!? アブねっ!?」


 袈裟、切り払い、突き。剣道とは関係のない剣舞が俺を襲う
 こんにゃろ……やべぇ、躱すので精一杯だ


 「とりあえず止まってろッ!!」


 俺は魔力を貯め、盾守の動きを封じる作戦にした


 「【灰】の中級魔術・【拘束巻鎖バインダー・チェーン】!!」


 盾守を囲むように鎖が現れ、全身に巻き付いた




 「よっしゃ、拘束かんりょ……」
 「ヌンっ!! 効かんっ!!」


 んなアホな、筋力だけで引きちぎりやがった


 「この程度かっ!!」
 「ぐうっ!!」


 俺は【雄大なる死グロリアス・デッド】と【死の輝きシャイニング・デッド】を交差し構え、盾守の打ち下ろし切りを防御する
 両手の打ち下ろしだったため、腹ががら空きなのがわかる
 そして、盾守の鳩尾に蹴りをぶちかます


 「くらえこのヤロッ!!」


 ズドン!! と鉄板入りの靴が盾守の腹筋に直撃
 普通なら内臓が破裂してもおかしくない一撃……だが


「ほう、いい蹴りだ」
「なっ!?」


 俺の蹴りがまともに腹に入ったのにノーダメージ
 しかもなんだこの腹筋は……ゴムタイヤを蹴ったような感触だぞ
 前からすげえ筋肉だって思ってたけど反則だろ!?


 盾守はにやりと笑い剣を捨てる
 そして、おかえしとばかりに強力なパンチを俺の腹にぶちかました


 「ヌンっ!!」
 「ぐがあぁっ!?」


 あまりに違う威力に俺は悶絶
 そのまま崩れ落ちて腹を押さえ込む




 「この程度か……3対1で達俣達に勝ったと言うから期待してたんだがな。仕方ない、最後に俺の神器を見せてやろう」


 「『神器発動ジンギはつどう』」




 そして、盾守の周囲に変化が起きた




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 その姿はまるで亀のようだった
 両腕に装着された円形の巨大な盾・頭を覆う兜・背中には亀の甲羅のような盾を背負い、両足も鎧に包まれている……つまり全身鎧
 そして1つ1つのパーツが巨大すぎるため190センチの身長は3メートル近くまで大きくなっている
 盾守は告げる……自信に満ちた声で


 「これが【盾神シュタルマルドゥーク】の神器ジンギ・『甲殻剛豪隔ヴィダル・シュプルーフ』だ。俺は魔術がほとんど使えない……だからこの身ひとつで強くなった。俺はこれからも強くなる、貴様はここで死ね!!」
 「盾守………」


 コイツは昔からそうだ……バカみたいに真っ直ぐで、時代小説が大好きで
 俺や剣吾がからかうと青筋を立てて、怒らせると怖かった
 でも、もう逃げない……俺が倒す


「盾守っ!! 俺はお前を怒らせたらいっつも逃げてたよな……でも、もう逃げねぇぞっ!!」




 「『神器発動ジンギはつどう』」




 俺の体を濡羽色の光が包みこんでいく
 そして漆黒の装備が完成し、右の銀眼が盾守を捕らえた




 「いくぜ盾守。【銃神ヴォルフガング】の神器ジンギ・『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』で相手してやる」






 激闘が始まった





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