ホントウの勇者

さとう

閑話 盾守堅硬・【盾神シュタルマルドゥーク】

 
 盾守堅硬たてもりけんこう


 彼は古風な少年だった
 小学生の頃両親を交通事故で亡くし、厳格だった祖父と二人暮らし
 祖父は厳しいが彼を大切に育て上げ、地元の剣道教室に通わせて心身共に強くなるように鍛え上げた


 そんな彼の祖父の趣味は時代小説の収集
 盾守堅硬は小学生の頃から祖父の時代小説に没頭し、テレビでは流行りの番組より時代劇や大河ドラマなどを好んだ


 小学生の頃からそんな生活をしていたので当然彼の人格に影響が出る
 古風な喋りかたや礼儀作法など彼はクラスでは浮いていた


 しかし小学生にして身長170を越える彼をからかう者はおらず、皆彼を自然と遠ざけるようになった


 中学に入りますます身長も伸びて筋肉もつき得意の剣道は中学の全国レベル、この時彼は全国大会で幾度となく戦う事になる金村剣吾と出会い、自分と同じくらい強い剣吾をお互いライバル視して切磋琢磨していった


 高校に入り驚いたのは金村剣吾が同じクラスだったということだ
 その再会にお互い喜び、もちろん剣道部に入部した




 そして2年生になり彼は無月銃斗と出会ったのである




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 友達、と呼べるのはこの2人だけかもしれい
 その体格や風格、剣道の成績を知ってる人間はあまり彼に近づこうとせず、同じクラスでも挨拶もあまりしない


 銃斗や剣吾は自分の事を話せる貴重な友人だった
 自分の趣味の事を言うと銃斗が物すごく食い付き、休日に自宅に招待して時代小説の本棚を見せると興奮して読み始め、帰ってきた祖父と気が合い結局その日は泊まっていった
 一緒に泊まりにきた剣吾は小説の山にげっそりしていた


 この日、始めて彼は心から笑った
 そんな日がずっと続くと思っていた




 異世界に召喚されるまでは




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 無月銃斗が死んで盾守堅硬は【時の大陸】の外に出た


 【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】の任務で8大陸の視察・偵察をすることである


 【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】は神との適合率が高く、神器の発現も早かったので単独での行動をしている
 表の偵察・視察は残ったクラスメイトの27人が行い、裏の視察・偵察は【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】が行う


 【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】の戦闘力はクラスメイト3人チームが力を合わせて戦っても勝てない強さ
 しかし彼らは同じクラスの仲間であり大切な友人である


 だからこそ彼は耳を疑い……許せなかった




 無月銃斗が生きている


 そして先発隊を壊滅させた、ということが




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 この報告を【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】序列第2位・静寂書華から通信があった時は、何かの間違いだと思った。ヤツは死んだはずだと
  
 ヤツは【青の大陸】に向かっている
 その情報を受け取り彼は決めた。自分がヤツを始末すると


 盾守堅硬・【盾神シュタルマルドゥーク】の〔神の器〕
 彼の属性は【黄】・【時】・【青】
 しかし彼は魔術をほとんど使えない、というか使う気がない


 自分の巨体、剣道で鍛えた技、【盾】の力を使った物理攻撃があまりにもハマりすぎて、魔術を使う余地がないのである
 だから彼は格闘技を【獅子神レオンハルト】から徹底的に叩き込まれた


 そして今の彼がいる
 【英雄十三傑ヴァリアントサーティ】序列第10位・盾守堅硬が






 無月銃斗を倒すため、盾守堅硬は歩き出した──


  

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