ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTLE③/【潜神】・【腐神】・【蛇神】VS【銃神ヴォルフガング】/もう一人の『俺』・それはいつもそばにいた

     


 「───ここは?······教室?あれ?」


 俺は辺りを見回すが人は誰もいなかった
 間違いなくここは自分が通っていた高校の自分の席だった
 しかも【友情の約束プロメッサ・アミティーエ】ではなく学校指定の制服を着ていた


 「時間は······放課後か?」


 オレンジの夕日が教室の窓に差し込んでいる
 とても懐かしい光景のような気がする
 俺は立ち上がり教室から出ようと思った


 「俺は───死んだのか」


 あの傷だしまぁ助からないだろうな
 あれ、右目が見える······確かに食われたはずなのに


 「まあいいや、どうせもう終わったんだしな······」


 俺はこれからどうなるんだろう?
 最後の最後に神様が奇跡を起こしてくれたのかな


 「クロ、アグニ···何にも出来なくてゴメン······」


 メリッサ、アリン、クレア出来ることなら、生きてくれ


 サニー、シャムスさん。また会いたかったな
 サニーとまた遊ぶ約束、守れなかった


 ルビィ···米をまた食べに行くって言ったのに、行けそうにないよ


 ジョアちゃん、クイナ······強くなれよ
 二人なら、きっと強くなれる


 ラント、グランツさん。これからも頑張って下さい




 俺はそこまで願うと自分の席に戻り突っ伏した


 「寝よ·········ん?」




 そして、誰かがいるのに初めて気がついた




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 その頃アグニは、達股たちに痛めつけられていた


 《ぐがぁぁっ⁉ ちくしょおぉっ‼》
 「ねぇ、このトカゲ何? 普通に喋ってるんだけど」
 「僕が知るわけないだろ、さっさと始末しろよ······僕、爬虫類苦手なんだよ」
 「そんなこんな言ったら私は蛇なんだけど?」
 「い、いや。そーゆー意味じゃなくて······」
 「ハイハイ、どーせ私は蛇女ですよーだ」
 「ヒヒヒッ、ねぇ···この3人どう殺す? 無月くんの知り合いらしいし連れて帰ってみんなで楽しむ?」
 「楽しむ、か······いいね」
 「ふふっ、エッチなこと考えてるでしょ? まぁ顔はかわいいし、男子達の娯楽の道具にでもしよっか?」
 「そうだね。じゃ、じゃあ僕が一番最初で」
 「へぇ·········」
 「ふぅん·········」
 「な、なんだよ······いーだろ別にっ‼」






  メリッサ・アリン・クレアは震えていた


 目の前の異形の存在の攻撃にただ弄ばれていた 
 人体に見たこともない装備を着け、戦士たちを子供扱いして殺し、自分達を守ってくれたトカゲをズタズタにしている


 《クソが···本来の力があればお前らごときに······‼》


 そう言ってトカゲは動かなくなり、その体をモグラのような体の〔神の器〕が思い切り蹴飛ばした


 「さぁて、いよいよだね」


 そして、3人の視線がメリッサ達を捕らえた


 あまりの恐怖にメリッサ達は下半身が生暖かくなるのを感じた
 それを見てモグラは興奮したのか、メリッサの装備を剥がし服を破き上半身を露にする


 「はぁ、はぁ······あははははっ‼」
 「い、いやぁ······」


 メリッサは羞恥心よりも恐怖が勝り、胸を隠す事無くただ震えてる
 モグラは更に興奮するが、仲間の2人はそれを止めようとしない······むしろ楽しんでいた


 蛇女はアリンに近づき至近距離まで顔を近づけ微笑みかける
 そして一匹の蛇がその体に巻き付き、アリンの体を締め上げた


 「あはは、どこまで耐えれるかな?」
 「ぐぅ、ご···ごごご」


 絶叫が響き鈍い音がする。どうやら体のどこかの骨が折れたようだ
 やさしく緩め、再び締め上げる
 それを繰り返しいたぶる······殺さないように


 「ヒッヒィ······アハ」
 「な、何を······」


 クレアの前には食虫植物がいた
 そして弱い酸を吐き出し、クレアの体と服を溶かす


 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ⁉」


 この世の物とは思えない絶叫が響き、全身を少しずつ溶かされていく
 体は全裸にされ、その皮膚は8割が焼けただれていた
 それでもクレアは生きていた。生かされていた······


 彼女達は薄れ行く意識の中思う




 助けて───と




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 その光景をリアスフィーダ・ベネは涙を流し見ている事しか出来なかった


 レッドキングダム貴族・ベネ家の長女として生まれ、剣と魔術の才能を見出だされ英才教育を受け、修業の一環で15歳で冒険者となり19歳でSランク冒険者となった
 そして22歳の頃に王都の要請で冒険者ギルドマスターに就任した
 ギルドはその大陸の王都が管理しており、ギルドマスターは今までの功績を踏まえて王が任命する
 22歳と言う若さでの就任は最年少記録で、それはリアスフィーダ・ベネの優秀さを物語っていた


 彼女自身、自身の功績でベネ家の名が上がる事を誇りに思い、これからもベネ家のため国のための剣として戦い続ける覚悟たった


 そんな時だ···黒猫を連れた黒服の少年と出会ったのは


 冒険者希望と言うその少年は恐ろしく強く、自分の剣が全く歯が立たず何も出来なかった
 しかしリアスフィーダ・ベネは嬉しかった。自分はまだまだ強くなれる、あの背中を追えば自分はもっと高みを目指せる


 しかし、その少年すら歯が立たない
 本当の化け物を目の当たりにして、リアスフィーダ・ベネは戦うことが出来なくなってしまった
 彼女は諦めかけて、そして思った




 ────誰か、助けて




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 【赤の特級魔術師・ルビーラ】は静か目を覚ました
 そして、辺りの様子がおかしい事に気づいた


 怒号が飛び交い、泣く声や叫び声、そして屈強な男達が逃げ出している
 なんだこれは? 自分達は優勢だったのでは? と思い辺りを見回し理解した


 化け物がいる


 【特級魔術師】と言った所で、彼女は10歳の少女
 化け物が顔見知りの3人の女の子を蹂躙しているのを見て恐怖を感じ、失禁した


 ルビーラは天才と呼ばれていた
 平民の出身で特に貧しくもなければ裕福でもない普通の家庭に生まれ、両親と仲良く暮らしていた
 そして彼女の住んでいた村に、仕事で上級魔術師がやって来た
 彼女はその魔術師が魔術を使うのを見て憧れ、そして見よう見まねで魔術を使い········そして、魔術は発動した




 【赤】の上級魔術・【爆炎爆破エクスプロード・ブレイズ




 この時ルビーラは、6歳だった


  
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 それから彼女は親元を離れて魔術の勉強をして、8歳の頃には【特級魔術師】と呼ばれるようになっていた
 そして10歳になり王都の暮らしも慣れて、たまに親元へ帰り親に甘え、そして退屈なイベントである武具大会で出会った


  黒猫を連れた黒服の少年、ジュート


 彼女は魔術師であり剣や武術には興味がない、なので第一試合が終わると同時に散歩に出かけた
 試合に夢中なのか辺りは誰もいないと思い外に出る、すると一人の少年が美味しそうなものを食べている
 知らず知らず近づき見つめていた、すると


  「······食べるか?」
  
 と、言われた瞬間お腹が鳴り、顔から火が出そうだった
 結局貰った。しかも飲み物まで貰い嬉しかった。


  この人は不思議な匂いがする・・一緒にいると安心する・・頭を撫でられると・・気持ちいい・・まるで、お兄ちゃんみたいな・・彼女は少年になついていた


 そんな彼は今、血の海に沈んでいた
 生きてるのか死んでるのかすらわからない
 ルビーラは、涙を流しながら思った




 ───だれか、たすけて




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 「えぇっ⁉」


  
 俺は仰天した
 いやだって、そりゃ驚くぜ


 「お···『俺』なのか?」


 目の前に『俺』がいた
 笑顔を浮かべてる。俺ってこんな顔で笑うのか
 ふっ、なかなかイケメンじゃねーか


 俺は死んだ──その現状を受け入れて少し余裕が出てきたのか、俺は目の前の『俺』を受け入れ始めた


 『俺』は笑うと人差し指をクイクイッとして歩きだす


 俺は素直に着いて行く···もちろん会話はない
 すると『俺』は歩調を変えて俺の隣を歩きだす
 不思議と悪い気はしない 


 「お、ここは···何か懐かしいな」


 着いたのは自販機コーナーだった


 懐かしさを感じていると『俺』はポケットから小銭入れを取り出し飲み物を買い、俺に投げてくる······キャッチ


 「あ······これって」


 それは130円のカフェラテ
 俺が一番好きな飲み物だ、100円のコーヒー牛乳ではなく130円のカフェラテ
 この高校に入ってからずっと気に入ってる飲み物


 『俺』も同じカフェラテを買い並んでベンチに座る
 カフェラテを飲むと懐かしい味がして···涙がこぼれた


 「あ······美味い」


 懐かしさに胸が満たされる
 カフェラテは、すぐ無くなってしまった


 ゴミ箱にカップを捨てて再び歩きだす
 『俺』は一言も喋らないがむしろ心地よかった


 「······あはは」


 そして着いたのは───屋上
 扉を開けて屋上に出ると夕日が見える


 俺は素直に綺麗だと思った
 『俺』は俺の最後に、こんなに素晴らしい物をくれた
 このまま柵を乗り越えればきっと俺は楽になれる


 「ありがとう······『俺』」


 俺はお礼を言って『俺』を見る
 すると『俺』は、出口に向けて指を指す


 「······え⁉」
 そこには映像が映っていた
 メリッサ達が、アグニが、ルビーラが、リアさん達が······ボロボロになっていた


 特にメリッサ達がひどかった
 メリッサは土丸に裸にされて殴られていた
 土丸は興奮してるのか手を止めようとしない
 メリッサの顔は腫れ上がり、涙を溢していた


 アリンは久薙縄に締め上げられていた
 その目は虚ろで死にかけてるのが目に見えてわかる
 口からは血の泡を吹いていた


 クレアは全身が焼けただれていた
 全裸だが羞恥心はなく、皮膚だけではなく髪も溶かされ頭はほぼ禿げ上がっていた
 それでも痙攣してる······生きている


  残った残党モンスターをルビーラとリアさん達が倒してるが、戦士達はほとんど逃げ出してしまい、ギルドマスター達とルビーラ、それと5人くらいの騎士団で倒している
 騎士団の男の人が涙を流しながらメリッサを見て叫んでた




 メリッサの父親だ······




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 ───なんで




 ───なんで、なんで




 ───なんでこんな光景を見せんだよ




 ───俺、もう諦めてたのに




 ───どうして······




 ───メリッサ達の声が聞こえる




 ───助けて




 ───リアさんの声が聞こえる




 ───誰か、助けて




 ───ルビーラの声が聞こえる




 ───だれか、たすけて






 『俺』は俺を見ていた
 その目は告げていた






 ──────選べ






 死んで楽になるか
 生きて守る為に戦うか






 俺はふと、クロの言葉を思い出した 






 ────愛






 ────ああ、やっぱり俺は






 ────戻らないと、俺は






 ────俺はあの世界を、愛してるから






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 俺は夕日を見つめ振り替える
 もう逃げない。死んで楽になるなんて俺が許さない


 『俺』を見て、俺は笑顔で頷いた


 「ありがとう」


 『俺』は満足そうに笑う


  俺は出口に向かい歩きだす




 「······え?」




 『俺』が俺の肩に手を置く
 俺は振り替えり『俺』を見ると、『俺』は懐に手を入れて何かを取り出す




 「これは······」




 それは装飾の施された、黒い拳銃だった




 俺はそれを掴む、そして笑う
 『俺』も笑い、俺の胸に拳を当てる




 俺は自然に、そして静かに呟いた






 「『神器発動ジンギはつどう』」




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 「ねぇねぇ、無月くん死んじゃってない?」
 「ありゃ、やりすぎたかな」
 「まぁいいんじゃない? それよりもう終わらせて帰ろう。お腹すいちゃった」
 「そうだな。さーて、トドメといきますか」


 その場にいる人間はもう、誰も動いていなかった


 全員が死を受け入れ、絶望していた


 ふと、誰かが思った




 救いの神はやっぱりいない、と




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 しかし、希望は残っていた




 次の瞬間、濡羽色の輝きが辺りを包む




 そして、その場いる全員が見た




 そこにいたのは漆黒の少年




【銃神ヴォルフガング】の神器・『錬鉄の神銃アイゼン・ブラスター』を構える




 ───ホントウの勇者だった





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コメント

  • ノベルバユーザー333647

    これクレアは死ぬでしょ。
    つーか8割焼けてる時点で死亡確定コースじゃないか。
    皮膚呼吸って知ってる?

    0
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