ホントウの勇者

さとう

BOSS BATTEL②/【潜神】・【腐神】・【蛇神】VS【銃神ヴォルフガング】/神器の力・愛の意味



 何が起きたのか分からなかった
 痛みだけが俺の身体を支配した


 そして、俺はワケも分からず絶叫した


 「ぐぎっがぁぁぁぁぁっ!?」


 そして、三人はとても楽しそうに笑ってる


 「ぎゃあっはぁぁぁぁぁっ!! ぶわーぁぁか!!」
 「あひゃひゃひゃ!! こおぉんな手に引っかかるなんて、本っ当にバカねぇぇぇ。ヒヒッハハ!!」
 「あははっ!! マヌケェッ!!」


 俺は辺りを見回すと鎖が見えた


 「【灰】の魔術……誰だ……!?」


 土丸じゃない。毒嶋さんか久薙縄さんだ
 【友情の約束プロメッサ・アミティーエ】 が裂かれて血が出てる
 どういうことだ?……クロの【時】魔術で壊れないはずなのに
 すると、俺に向かって無数の鎖が飛んできた


 「ぐッ……ッ!? や、やべぇッ!!」


 俺は地面を転がり追撃の鎖を躱す…が、完全には躱せなかった


 「なっ!? がぁぁぁぁぁっ!?」


 俺の絶叫に3人は楽しそうに笑っていた


 「よーし、ヒットぉぉぉっ!!」
 「へー、毒嶋やるじゃん」
 「よーし、私だって……えいっ!!」




 しばらくの間、俺の絶叫だけが辺りに響いた




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 「ぐうぅっ……いてえ。はは、体鍛えておいてよかった……」


 ボロボロにやられた……3人は魔術だけを使い俺を痛めつけている
 このまま【時の大陸クローノス】に連れて行くなら殺さないだろう
 俺は結局甘かった。3人を見つけたときにほんの少しの希望にすがってしまった


 情けねぇ、体はまだ動くな
 右手よし、左手・右足・左足……いける
 もう女だからって遠慮しない……いくぞ




 「「「えっ!?」」」






 俺は瞬間的に飛び上がり土丸の足を本気で踏みつける
 ビキリと音がして土丸は苦痛に顔をしかめる


 「っいぎぃぃっ!?」


 そのまま腹部に右拳で本気で殴る
 すると土丸は吐瀉物をまき散らした


 「ぐぼおぇぇっ!?」


 頭が下がってきたので下アゴに本気の膝蹴りを叩き込む
 土丸はブサイクな顔になって白目をむいた


 「がぼおっっ!!」


 土丸は地面に沈む……1人目






 毒嶋は驚いてる。そのスキに肘でみぞおちを強打
 口からは空気が漏れる音が聞こえた


 「ごぼっ!?」


 顔面を掴みそのまま地面に後頭部から叩きつける


 「ぎゃあん!?」


 悪いな毒嶋さん……2人目






 久薙縄さんのアゴを掌底で突き上げる
 ゴガンととても気持ちのいい音が聞こえた


 「ぐぎっ!?」


 そしてそのまま右ハイキックで側頭部の蹴り
 久薙縄さんは白目をむいて気を失う


 「ぎうっ……」


 よーし……3人目




 この間10秒……終わった
 3人とも気絶して地面に転がってる
 あとは【神器ジンギ】破壊すれば終わりだ


 「くそ、体がいてぇ……ハァ、ハァ……」


 全身が痛むが他のみんなも気になる




 「メリッサ達は……大丈夫なのか……?」




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 グランドレッド軍650とモンスター500の戦いは、グランドレッド軍が優勢だった
 その最大の理由は、意外な助っ人の存在だった


 《おらおらおらぁっ!! 雑魚どもがぁっ!!》


 アグニードラ・インフェルノの猛攻である
 グランドレッド軍は混乱していた……なぜならいきなり喋る赤いトカゲがモンスターを攻撃し始めたからである
 最初は仲間割れかと思ったが、明らかにグランドレッド軍を助けている
 実は銃斗はアグニードラのことを軍に話してなかった、普通に忘れていたのである


 「きゃあぁっ!?」
 「「メリッサ!!」」
 《おーっと、嬢ちゃん大丈夫か?》
 「え、あ…はい。だ、大丈夫です……はい」


 メリッサたちはいきなり現れたこの喋る赤いトカゲに救われた
 敵の数も少なくなってきたし、少し喋る余裕が生まれて来たので思い切って話しかけてみた


 「あの、助けてくれてありがとうございます」
 「ホントに助かったよ。ありがとね」
 「ありがとう。ところでアナタ一体……?」


 するとトカゲは自己紹介を始めた


 《おう。オレはアグニードラ・インフェルノ!! 【赤】を司る【九創世獣ナインス・ビスト】だ。まぁお前らに何かあればジュートが傷つくからな、気にすんなや!!》


 何を言ってるのかよくわからなかったが、敵では無い
 それにジュートと言った、彼の知り合いなのか取りあえずいろいろ聞いてみたかったが、ここは戦場……気を抜くことは許されない
 するとアグニードラ・インフェルノと名乗るトカゲは大声で言う


 《この辺はもぉ大丈夫だろ、オレはあっちの方を見てくるからよ。じゃあ最後まで気ぃ抜くんじゃねーぞ》


 そう言ってトカゲは行ってしまった
 トカゲに言われたように最後まで気は抜けない
 メリッサ達は自分たちの位置を確認すると、思ったより前に出てきてしまっていた
 そう思い辺りを確認すると、ボロボロになったジュートを発見した


 そして、メリッサは叫んだ




 「ジュートさん、危ないっ!!」




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 「─────────え?」




 メリッサの声が聞こえ後ろを振り向く
 そこには銃斗が眠らせたはずの3人……達俣土丸たつまたつちまる毒嶋得巳ぶすじまどくみ久薙縄真毟くちなわまむしが、冷徹な空気を漂わせ、凍り付くような瞳で銃斗を見つめていた
 そして、久薙縄真毟くちなわまむしが静かに呟いた




 「『這蛇スリザリン』」




 金属を擦り合わせたような音が聞こえ、何かが現れた


 「な、なんだよアレ……!?」


 それは『へび』のような何かだった
 何も無い空中に無数の紋章……色は【黄】・【灰】そして【紺】すなわち【時】


 その数は実に500。その中から長さ50センチほどの金属の『へび』のような何かが現れ、銃斗を飲み込んだ


 切られ突かれ食われ囓られ裂かれ叩かれ嬲られ啜られ裂かれ叩かれ切られ囓られ舐られ啜られ……叫び声すら許されない


 無月銃斗は全身ズタズタにされた……生きてるのが不思議なほどに
 体は裂かれ穴だらけにされて右目が食われ消失し、地面は血だまりになり死まで精々数分程度……それでも彼は生きていた
 意識を失えば待ってるのは確実な死




 そしてその牙は銃斗だけでは無く冒険者達をも襲う




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 「な、なんだぁぁっ!?」
 「や……やめろぉぉぉぉっ!!」 
 「うぁぁぁぁぁっ、助けてくれぇーっ!?」


 絶望が辺りを包み始める
 そして久薙縄真毟くちなわまむしだけでは無い。達俣土丸たつまたつちまる毒嶋得巳ぶすじまどくみは静かに告げる
 少し遅れて久薙縄真毟くちなわまむし




 「「「『神器発動ジンギはつどう』」」」




 【神の紋章】が輝き3人をそれぞれ包む
 光が晴れると3人の姿は変わっていた。【神器ジンギ】を発動させた姿……【神化形態しんかけいたい】に


 達俣土丸たつまたつちまる・【潜神マオルビルフ】の【神器ジンギ・ヴューレン】は両手に装着された巨大な爪と両足に装着されたヒレのような足、そして目を覆うゴーグルと口を覆うモグラのようなマスクだった


 毒嶋得巳ぶすじまどくみ・【腐神ティルミクローテ】の【神器ジンギ腐食浸食ディアヴィロスウィ】は食虫植物が無数に生えたような機械の籠手……その植物は意思を持っているように動いている


 久薙縄真毟くちなわまむし・【蛇神ドラトシュランゲ】の【神器ジンギ蛇女の憎愛ヒュドラエキドナ】は下半身は機械で出来た蛇のしっぽであり、背中の鞄のような物から8本の蛇が伸びている


 達俣土丸たつまたつちまるは、死にかけの銃斗に告げる




 「キミは最後だ。キミの仲間を全滅させてから最後にキミを殺してあげるよ」






 一方的な虐殺が始まった




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 各ギルドマスター達は後方で指示を出しながら闘っていた
 そしてその中の一人【上級魔術師】リアスフィーダ・ベネは見た
 歴戦の冒険者・屈強な傭兵・強力な魔術師達が一斉に逃げ出しているのを


 「何が起きた、状況を説明しろ!!」
 「ば、ば、化物だあああァァァァァァ!!」
 「こ、殺される!! 逃げろォォォォォッ!!」


 「化物? 殺される?……どういうことだ、まさか……〔神の器〕か?」




 彼女の考えは当たっていた……そして見た




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 達俣土丸たつまたつちまるは地面に潜ると恐ろしいスピードで掘り進み、周囲を決壊させる。時折地面からロケットのように飛び出しその鋭利な爪で戦士達を切り刻む。そのスピードについて行ける者は誰もいない・・ただ殺されるだけ・・・






 毒嶋得巳ぶすじまどくみはその両手を前に突き出す・・50本の食虫植物が口を開け全てを腐らせ溶かす強力な酸をはき出す・・・辺りは地獄と化す・・大地が溶け、人が溶け、モンスターの死骸が溶ける・・・強力な腐臭に何人も嘔吐する・・ 毒嶋得巳ぶすじまどくみは恍惚の表情を浮かべていた・・涙を・・涎を・・鼻水を流しながら








 久薙縄真毟くちなわまむしはそのしっぽで周囲を這いずり回る・・背中の蛇は8本、その全てが餌を求めているように戦士達を襲う。1人・・また1人と丸呑みされ一瞬で分解される。空中には未だに『這蛇スリザリン』が舞い、戦士達を蹂躙する








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「ば・・・ばけ・・・もの・・・」


 【上級魔術師】リアスフィーダ・ベネは一瞬思考を放棄しそうになった・・息を整え周囲を見回す・・およそ半数以上の戦士達が死亡・逃亡している・・・このままでは・・頼みの無月銃斗はすでにやられていてこのままでは間違いなく全滅だ・・どうする・・どうする


 周りを見る・・自分以外の【上級魔術師】もどうすればいいのかわからないみたいだ・・しかもここには【特級魔術師・ルビーラ】が眠っている。彼女を失うわけにはいかない






 改めて〔神の器〕達を見る・・・ヤツらはあのトカゲを追い詰めていた。後ろにはあの3人の女の子達がいる・・・・






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 《チィッ・・!! オイお前ら!!逃げろジュートがやられた時点でもう勝ち目はねぇ!!さっさと逃げるぞ!!》


「でもでも!! ジュートさんがぁ!! 死んじゃうよぉ!!」


「どうしようどうしよう!! ジュートぉぉぉぉ!!!」


「あ・・あああ・・私は・・ジュート・・」


 《クソがっ!!! お前らが死んだら本当にジュートの犠牲が無駄になるぞっ!!! いいからさっさと逃げろぉぉぉぉぉぉっ!!!!》


























「キミ達・・・ジュート君の何なんだい?」


「ふーーん・・ヒヒッ・・楽しめそうだね・・フヒッ・・」


「借りを返すいい機会だね・・・」


































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 《ヤラレちゃったワネ・・・》






 ─────────うん・・ゴメン・・クロ・・






 《イイのよ・・アナタは頑張ったワ》






 ─────────そうかな・・俺・・何も出来なかった






 《そんなコトない・・ココで終わる?・・まだ動ける?》






 ─────────体が・・全然動かないんだ・・俺・・死ぬのかな






 《アナタ次第よ・・ネエ・・【銃神】のこと・・覚えてる》






 ─────────【銃神】・・みんなを守るために・・闘った






 《ソウね・・ヴォルは・・世界を・・神々をも愛してた》






 ─────────【銃神】は・・すごかったんだな・・俺と違って






 《そんなコトない・・アナタにも出来るわ・・友達を・・世界を救おうとしてる・・ヴォルがアナタに求めているのはキット・・・愛すること》






 ─────────愛?・・・






 《ソウ・・救うコト、助けるコトだけじゃない・・世界を・・人を・・神を・・愛すること・・それがキット・・アナタにヴォルが求めているものヨ・・》






 ─────────・・・・俺は・・この世界が好きだよ?






 ─────────これが愛なのかは、わからない・・でも






 ─────────この世界での出会いが・・俺を強くしてくれた






 ─────────だからきっと・・これからもっと好きになれる






 ─────────俺はこの世界を・・愛してる


















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 ─────────俺の意識は・・・闇に落ちた





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コメント

  • ノベルバユーザー333647

    楽勝ー!
    ってならなかった。

    まあ神器持ってるくらいだし普通の物理攻撃だけでは勝てないってことですかね?

    むしろ楽勝より胸熱展開になりそうでワクワクするからこのパターンは凄く好きです。

    0
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